10/12/12 16:21:18 0
>>216>>224
眼にはいるのは、男達の死体。
鼻を刺すのは、死体から上がる死臭。
(……人殺しをすんのは、半年ぶりぐれぇか)
実のところ、赤染はただのボロ道場の師範代ではない。
彼の現在の師にあたる人物がこの手のヤバい世界に精通しており、時折『仕事』を手伝わされているのだ。
(正しく、アイツが言ってた通りだな。何考えてるか分からない奴ほど、殺り難い相手は居ないってのは。
……まぁ今は、んな事考えてる場合じゃねぇな)
赤染はそんな感傷に浸る時間を無駄と判断し、さっさとこの家から去ろうとする。
だが、その時だった。
―――背後からの風切り音ッ!!
「―ッ!?」
すぐに左へとステップを踏み、謎の飛来物を躱す。
その物体の正体は切っ先を真っ直ぐにこちらに向けた包丁であった。
「―新手か…ッ!?」
その言葉を言い終える間もなく、次は全く別の方向から包丁が飛来する。
(こいつは、異能力で操ってんのか? となるとさっきのゾンビ野郎とは別種のワイズマンの手駒か?
……いや、このイベントの参加者が機会を窺ってたってのが妥当なとこか)
二撃目も躱すも、まだまだ飛び道具による攻撃は終わらない。
包丁以外にも瓦礫や釘などが、次々と部屋の外から室内へと進入し、赤染を狙ってくる。
「次から次へと。こんなんじゃ、致命傷は与えられねぇぞ、おい」
赤染は飛来物の一つである、瓦礫を掴むとそれを振り回し、釘やガラスの破片などの小さいものを叩き落とす。
それでも凶器の嵐は止まらない。一度躱したはずの包丁が再度、赤染の背後から迫る。
「チッ……」
「取り込み中のところ失礼する。おっと、この攻撃は私がしているものではない」
突如、現れた謎の人物は包丁の柄を掴んだ。
その人物は赤染より若干背の高い黒髪の女性だった。
「少し話を聞きたいだけだ。といっても、まずはこの状況を何とかしてからだが」
「……お前が誰で何者かは知らねぇが、言われなくても何とかするつもりだ」
持っていた瓦礫をその辺に投げ捨て、次の攻撃を警戒する。
そしてようやく、気付く。
オーラに関しての技能は不得手とする赤染でも感じるほどの、オーラの増大を。
(これは、デケェのが来る予兆か?)
壁に床に突き刺さった凶器らが、先程の包丁のように再び宙を舞った。
凶器は赤染とその背後に突如現れた女性を球状に取り囲み、そして――その刃で二人を圧し潰しにかかった。
226:赤染 壮士 ◆aaFVqjpXic
10/12/12 16:22:47 0
「……悪いがちょっと我慢してろ」
背後の女性にそれだけ告げると彼女の頭を掴み、抱きかかえるように自分の方に引き寄せる。
それから息を吸い、そして吐くと同時に右足を地面に叩き付けた。
『 覇阿ァッッ!!!!!!! 』
大気を揺らす咆哮と部屋全体を揺らす震脚。
その振動に赤染の異能力が加わり、一瞬、小さな爆発にも似た炎が巻き起こった。
火炎と爆音が室内を駆け巡った後には、中心の赤染の周辺以外は黒い異物に姿を変えていた。
「多少は抑えたがやっぱこの短時間でオーラを使いすぎたなぁ、おい。 ったくよぉ、さっさとワイズマン達を探さねぇと……あぁ?」
そこまで言って赤染は、自分の腕の中でもがいてる女性の存在を思い出した。
おっと、すまんな、と軽い謝罪の言葉と共に女性を解放した。
どうやらレザー材質のこの服では完全に息はできなかったらしく、多少息が上がっていた。
「お前、確か俺に聞きたいことがあるとか言ってたな? 丁度いい、俺もだ。
どうやら、攻撃の第二波はすぐには来ねぇみたいだし、とっととここから離れるぞ」
言うが早いか、赤染は既にこの家の裏口から外へ出ようとしていた。
女性は少し思慮する表情をするが、どうやら付いて来るようだ。
二人はその家から遠ざかり、しばらくの間住宅街を疾走した。
それから、二分ほどで別の民家の庭へと到着した。
「ここまで来れば大丈夫か。さて、ようやく話ができる状況になったな。
俺の名前は赤染壮士って言う。腕輪の番号は462だ。さっきの戦闘で借りがあるし、お前の質問答えてやるぜ」
民家の縁側に座り、そう女性に告げた。
顔にはようやく気が休まるためか、若干安堵の色が覗かれた。
【赤染 壮士:先程まで戦闘していた家とは離れた民家にまで退却。海部ヶ崎と話合おうとする】
227:神宮 菊乃 ◆21WYn6V/bk
10/12/13 02:14:34 0
>>224
「くそッ、どうやって俺の居場所が解ったッ!?」
男から返ってきた第一声はその言葉だった。
かなり動揺しているようだ。見るからにうろたえている。
菊乃はフッと笑い言葉を返した。
「アンタにそれを教える理由があるのかい?アタシには分からないんだが」
男は暫く黙っていたが、やがて口を開いた。
「…あいにく、俺の能力は正々堂々と戦えないような代物なんでねェ。この体を見ても解るだろォ、とてもまともに戦って生き残れる人間じゃァねェのさ。」
先程までとは打って変わり、大仰なしぐさで会話を再会する男。
「その点じゃ、アンタは生き残れる可能性が高そうだなァ。どうやって2階の窓から飛び込んで来たんだィ?
ッたく、騒々しいったらありゃァしねェ。アンタのお陰でこっちの位置が気付かれたじゃァねェか…」
男の顔に動揺の色は見られない。しかし―
(よく喋る男だねぇ。でも、逆にその所為で心の中が丸見えだよ。
余裕のフリをしてるんだろうが…完全に逆効果だな。
最初にアタシが現れた時に動揺したのが失敗の原因だ。
動揺した後にペラペラ喋る奴は、大概動揺を隠しながら次の手を、打開策を考えている)
菊乃は男の心中を見抜いていた。
研究所から出た後各地を放浪していた菊乃は、様々な人間と出会い、会話し、戦ってきた。
中にはこの手の人間も少なからずいた。
(さて、別に逃げられてもいいんだけど、折角だしやってやるか。
見たところ武器は持ってない。何か体も弱そうだな…。
さっきのコイツの言葉を信じるなら、何かを創り出すか操る能力ってところか)
相手の能力を仮定した菊乃だが、構える様子はない。
「アタシはペラペラ喋る奴は嫌いでねぇ。少し黙ってもらおうか」
そう言うと跪き、床に左手を当て、更に右腕を振り上げて静止する。
「ま、この程度で死ぬなよ?―『重力の戦槌』―」
振り上げた右腕を床に叩きつける。
重力の込められたその一撃は床を容易く打ち抜き、更には家屋全体に衝撃を伝える。
元々ボロかったその建物がその一撃に耐え切れるはずもなく、あっけなく崩れ落ちた。
菊乃は崩れ落ちる寸前に入ってきた窓から外に飛び出していた為、崩落に巻き込まれることはなかった。
「さて、向こうはどうなったかねぇ。死んでなきゃいいんだけど」
瓦礫の山を見つめて、一息つく為に煙草を取り出して火をつける。
(流石にこう瓦礫が多いと退かす気にもならねえ。出てくるのを待つか。…生きてたら、の話だがな。
そういや海部ヶ崎達の気配が遠くなってるな。一緒にいた奴と逃げたのか?
ま、後で追いかければいいか。そこまで遠くには行ってないみたいだからな)
紫煙を吐き出しながらあれこれ考える菊乃であった。
【神宮 菊乃:天木と自分のいた民家を破壊。天木の動向を探る】
228:海部ヶ崎 綺咲@代理
10/12/13 02:52:14 0
>>223>>224>>225>>226
変化は目に見えて現れた。
壁に刺さり、地に落ちていた刃物たちが、再び浮き上がって周りを囲んだのだ。
肌で感じられるほどの大きな気を持って。
(やはり私を敵と見なしたか。予想通りのリアクション。後は─)
後は、何とかして本体をこの場に引きずり出す。
そう続けようとして、頭を掴まれる突然の感触に、海部ヶ崎は思考を止めた。
「……悪いがちょっと我慢してろ」
耳元で男が囁く。男は海部ヶ崎の頭を掴んで、体ごと傍に引き寄せていた。
「なっ─」
「覇阿ァッッ!!!!!!!」
何かと問うより早く、男から耳を劈くような声が発せられ、
それと共に生じた震動と炎が、室内を駆け巡って刃物を焼失させていく。
部屋の床や壁ごと……。それは正に一瞬の出来事であった。
(炎の使い手……。しかも、中々の腕だ。……いや、それはそうと)
「とっとと放せ。私は人形ではないぞ」
その声を聞き、男が「おっと、すまん」の言葉と共に海部ヶ崎の身を解き放つ。
海部ヶ崎は改めて男と対峙し、その風貌を確かめた。
ワインレッド色の髪の毛、黒いジャケットに同色のパンツ。
顔から見て歳はまだ若い。20代の前半……といったところだろう。
「お前、確か俺に聞きたいことがあるとか言ってたな? 丁度いい、俺もだ。
どうやら、攻撃の第二波はすぐには来ねぇみたいだし、とっととここから離れるぞ」
言うより早く、男が建物の裏口を潜っていく。
(まぁいい。第二派が来る気配がないということは、恐らく敵も離れたと見える。
今から正体を暴こうとしても無駄だろう。どうやらピエロでもなさそうだしな)
これ以上、ここに留まることは無意味との結論を出した海部ヶ崎は、
素直に男の言葉を聞きいれ、同じように裏口を潜って男の後をつけていった。
そして、男の後をつけることおよそ二分。
ふと男が立ち止まるを見て、海部ヶ崎も立ち止まった。
そこは先程の場所から少し離れた民家の庭の中であった。
「ここまで来れば大丈夫か。さて、ようやく話ができる状況になったな。
俺の名前は赤染壮士って言う。腕輪の番号は462だ。さっきの戦闘で借りがあるし、お前の質問答えてやるぜ」
男─赤染と名乗った彼が、縁側に座りながら告げる。
それに対し、海部ヶ崎は軽く一礼しながら言った。
「いや、最終的にあの攻撃を無力化したのはキミだ。私は礼を言われるほどのことをしたつもりはない。
私の名は海部ヶ崎 綺咲。角鵜野市という場所から来た。
私がキミに訊きたいのは二つ。一つはあの場所─恐らく喫茶店と思うが、
あの近くにピエロがいたはずだが、奴はどこに消えたのか……勿論、知らないなら知らないでもいい。
ただ、どんな些細なことでもいいから、奴の向かう先に関して気が付いたことがあったら聞かせて欲しい。
そして二つ目─」
顔を上げて、海部ヶ崎は続けた。
「先程、私に聞きたいことがあると言っていたな。それはなんだ?」
【海部ヶ崎 綺咲:赤染に質問を投げる】
229:鎌瀬犬斗 ◆K3JAnH1PQg
10/12/13 23:26:55 0
>>222
『えーっと、私はこのラジコンの製作者です…というかあなたは誰ですか?
まぁ、大方拾った方だとは思いますが…』
という文字データがラジコンに送られてきた。当然、意識の一部をとけ込ませてる斎葉もそれを感じ取っている
(文字データ…? 音声ではなく…? もしかしてこの方、喋ることができないのでしょうか…?)
『エエ、オ察シノ通リ、コノらじこんヲ拾イ修理と改造ヲ施サセテイタダキマシタ。斎葉巧ト申シマス
マァ、私ノ本体ハ別ノ所二居マスガ…』
ラジコンの音声機能で夜深内の質問に答える斎葉
『所デ先程ノ文字でーた…モシカシテ貴方、話セナカッタリ機械ダッタリシマス…?』
率直な疑問を述べてみる
【斎葉巧:夜深内からの文字データに答えた後、質問する】
230:夜深内 漂歌 ◆h5kXMXaZSA
10/12/13 23:47:43 0
しばらく待つとラジコンの方からまた音声がしたので見た
『お察しの通』
231:夜深内 漂歌 ◆h5kXMXaZSA
10/12/13 23:51:39 0
>>230
[ミスったーーーーーーーー!!!!!orz
すみません、明日にレスします、立ち直れません…ハズカシイ]
232:天木 諫早@代理
10/12/14 04:32:37 0
>>227
「アタシはペラペラ喋る奴は嫌いでねぇ。少し黙ってもらおうか」
その一声に、こちらの考えなどとっくに見透かされていた事を感じた。
(まずい、まだオーラの充填が終わって無い…ッ!)
見たことの無い、不思議な構え。地に跪くその動作から、彼女が自分を直接攻撃はしない事を知る。攻撃の対象は、その床。つまり、これは――
「ま、この程度で死ぬなよ?―『重力の戦槌』―」
振り返り、2階から別ルートで家を脱出しようとしたが、到底間に合わない。破砕音と共に、上から死が迫る。
今、彼の能力が操ることが出来るのは、オーラを不十分だが充填した小物類のみ。これらで何とかして圧死を防がなければならない。
崩れてくる家屋を下から押し上げるようにあらん限りのイメージで小物類を操作する。
(崩壊を止めるのは今のオーラ充填量じゃ無理だ、つまり落ちるのに従いながら出来るだけ崩落の加速度を軽減する…ッ!)
(そして自分が死なないだけのスペースを確保!落ちてくるのは大きな塊だ、小物類を上手く使えばそのスペースを作れるはずだ!)
「畜生、ちゃんと生き残ったら数倍にして返してやる…ッ!」
――幾らの時がたったか、捻じ曲がった時間感覚の中で崩落の終わりを知る。
彼の体はスーツケースと共に、その体が残るだけのギリギリのスペースに押し込まれていた。砕けた皿の破片が体に刺さり、数箇所から出血している。
(何とか生き残ったか…十分な時間さえあれば、脱出は可能だな。とりあえず、ダメ押しが来る前に外の状況を確認してェ)
スーツケースの中から、ずっしりとした小包を取り出す。それは、研究所で考案し作成した、特殊合金の球。直径2~5cm程の黒紫の球が、いくらか入っている。
彼がこの島に来る前に準備した、専用の武器。オーラとの親和性が高く、硬度と適度な重量を兼ね備え、熱に耐性があるこの球は、操作という能力を持つ彼にとって、武器として扱いやすい。
自身のオーラをその球に、濃密に充填していく。恐らく、気を感じる事の出来る者ならば、その崩壊した家屋の中に、二人の異能者が居ると錯覚してしまうだろう。
充填に10秒。そのサイズの物体にしては過度に時間をかけて、その凶器が完成する。
「さて、そろそろ息苦しいからな。外の世界を拝むとするかィ。―『凶弾』(キラーショット)―ッ!」
、 、 、 、 、 、
破壊音。何かを強引にへし折るような音と共に、それは撃ち出された。
それは射出とも言うべき凄まじいスピード。操作時間を犠牲に速度に特化したその『操作』は、もはやその概念を超えた、一種の砲撃とも言える。
凄まじいスピードで瓦礫を打ち抜いた球は、そのまま隣の家屋に突っ込み、数枚の壁を貫き、新たな出入り口を作った。
打ち抜いた穴から、天木がスーツケースに引っぱられるように出てくる。オーラによってスーツケースを操作し、掴まったのだ。
それまで赤染達が居た場所には、爆発の後があった。恐らく赤染の能力で天木のブラッディジェイルを吹き飛ばしたのだろう。
あの二人の姿が見えない事を確認して、逃走したと判断する。途中で合流した女の事も気になったが。
「よう、久しぶりに会えたなァ。出会い頭に無茶苦茶やってくれンじゃねェか。
…お前も『ゲームに参加』してる奴か。俺も自分は生き残りたいと思っている。他人に命をどうこうされンのは真っ平ごめんだからな。」
煙の向こうの少女を睨んで、スーツケースによりかかり、黒い髪をかきあげて、赤い瞳を覗かせる。右手で鋼球を数個投げ上げて、キャッチして。
「そっちがその気なら、俺は相手になるぜ。」
その言葉の真意は、経験。彼は、本気でどちらかが倒れるまで戦う気は毛頭無い。ただ、この少女の能力の特定と、経験が欲しいだけだ。
不利な状況にも対応出切るよう、脱出までの時間に幾つかのものにオーラの充填を終わらせていた。
「二度目だ。『反凶弾』(キラーショット・リターン)ッ!」
大きく左腕を振るう動作。そのイメージに連動して、破壊音と共に隣の家屋の中から先程撃ち出された鋼球が少女の斜め後ろから接近した。
先程までの威力は無いものの、その速度は打撃に十分であろう。
【天木 諫早:破壊された家から脱出し、相手の意思を確認。能力による攻撃を開始する。】
233:神宮 菊乃 ◆21WYn6V/bk
10/12/15 08:45:09 0
>>232
待つこと数分、2本目の煙草を吸っていた時、瓦礫の中からオーラの高まりを感じた。
それはこの場にいない人間でオーラを感知できる者なら、二人分だと勘違いしてしまう程濃密なものだった。
しかし先程まで瓦礫の下にいる人物と対峙していた菊乃は相手が一人であることは分かっている。
(何か来るな…。しっかしあの瓦礫でよく生き残れたなぁ。……ま、能力者なら当たり前か)
などと思っていると、瓦礫の山から凄まじい速度で何かが飛び出してきた。
「やっと出てき―ん?」
しかしその物体は菊乃のいる場所を外れて明後日の方向に飛んでいった挙句、隣家の壁をも打ち抜いていった。
「一体何だ…?」
訝しげにその方向を見ていると、先程開いた瓦礫の穴から今度はスーツケースが飛び出してきた。
よく見るとそれには先程の男が掴まっている。
「成程ね、睨んだ通り何かを操る能力だったか。…それにしても器用な奴だねえ」
男の方を振り向くと、丁度男の方もこちらを向いて口を開いた。
「よう、久しぶりに会えたなァ。出会い頭に無茶苦茶やってくれンじゃねェか。
…お前も『ゲームに参加』してる奴か。俺も自分は生き残りたいと思っている。他人に命をどうこうされンのは真っ平ごめんだからな。」
久し振りって程でもないだろうに、というツッコミは口には出さず、黙って男の方に歩み寄る。
「そっちがその気なら、俺は相手になるぜ。」
「別にゲームに参加しているわけじゃないさ。ただ単に知り合いが攻撃されてたから助けに入ったまで。
至って普通のことだろ?…少なくともアタシにとっては普通のことだよ」
「二度目だ。『反凶弾』(キラーショット・リターン)ッ!」
男がこちらが言い終わると同時に叫ぶと、背後から風切り音と共に何かが飛来してきた。
死角からの飛来であったのと不意を突かれた事が重なり、回避が間に合わない。
背中と脇腹の中間辺りに激突し、衝撃で弾き飛ばされる。
勢いで数m吹っ飛び、激しく地面を転がる。しかしその直後、何事もなかったかのように起き上がる。
―そう、痛みを感じない菊乃にとって、"体が動かせる"のであれば大した問題ではないのだ。
立ち上がり、男の方を見ながら首をコキコキと鳴らす。男は驚きの表情を浮かべていた。
「軽いねぇ。そんなもんかい?この程度じゃアタシは"倒れない"ぜ?
…さて、今度はこっちの番だな」
跪き、地面に手を当てる菊乃。
男は先程と同じ攻撃が来ると思ったのだろう、飛び退って距離をとった。
しかし菊乃はニヤリと笑い、オーラを解放し始めた。
「いい判断、と言いたいところだけど甘かったね。
見かけだけで同じ攻撃を予想するとは……アンタ、戦いなれてないな?」
こちらが"腕を振り上げてから"距離をとったのならそれは正解だろう。
しかし"地面に手を当てただけ"で距離をとるのなら少し意味が変わってくる。
"別の攻撃が来るかも"という予測が立てられていないのだ。
多くの戦闘を経験してきたものなら容易に出来るであろうその予測が、目の前の男にはできていなかったのだ。
「んじゃ、ここで少し経験を養っておくといいさ。この先生き残れるように、な
―『重力増加』―」
言葉と共に周囲の重力が高まる。数値にして3倍。
別に菊乃はこの男を倒したいわけではなかった。寧ろ生き残ってもらわないと困る。
一人でも多くの人間に手伝って欲しいのだ。―ワイズマン打倒を。
【神宮 菊乃:攻撃を食らうも致命傷にはならず。戦闘を続行】
234:夜深内 漂歌 ◆h5kXMXaZSA
10/12/15 20:25:10 0
しばらくするとラジコンの方からまた
声がした今度は
「エエ、オ察シノ通リ、コノらじこんヲ拾イ修理と改造ヲ施サセテイタダキマシタ。斎葉巧ト申シマス
マァ、私ノ本体ハ別ノ場所ニ居マスガ…」
(おぉ!、またしゃべった)
続けてさらに
「所デ先ホドノ文字でーた…モシカシテ貴方、話セナカッタリ機械ダッタリシマス…?」
(えっ、あっ…しまった…どうしよう…
取りあえず…)
『はい、諸事情によりくわしく話すことはできないですけど
音声による会話はできないです』
と返信した
【夜深内 漂歌:斎葉 巧の質問に応答】
[遅れてすみません]
235:赤染 壮士 ◆aaFVqjpXic
10/12/15 22:41:02 0
>>228
改めて、赤染は女性の風貌を観察した。
自分より二、三歳は若い。おそらく二十歳前後だろう。
刀を携え、服装は自分とは対照的な軽装だ。
一見してみれば、そこに居るのは街中に普通に居そうな女の子。
だが、鋭い眼光や全身から出る気配が彼女を只者ではない事を物語っている。
彼女は礼儀正しく、軽く一礼しつつ質問する。
「いや、最終的にあの攻撃を無力化したのはキミだ。私は礼を言われるほどのことをしたつもりはない。
私の名は海部ヶ崎 綺咲。角鵜野市という場所から来た。
私がキミに訊きたいのは二つ。一つはあの場所─恐らく喫茶店と思うが、
あの近くにピエロがいたはずだが、奴はどこに消えたのか……勿論、知らないなら知らないでもいい。
ただ、どんな些細なことでもいいから、奴の向かう先に関して気が付いたことがあったら聞かせて欲しい。
そして二つ目─」
そこまでの言葉の中で、一つの単語が赤染の脳内で引っ掛かった。
(アマガサキ?……もしや、この女…)
「先程、私に聞きたいことがあると言っていたな。それはなんだ?」
「―じゃあまず一つ目の質問からだ。」
赤染は思い出すかのように、頭を少し掻いてから語り始めた。
「『ピエロ』ってのはやっぱあの夢に出てきた野郎の事だよなぁ、おい?
スモークガラス越しで見ただけだが、確かにあの場に居たぜ。特に益体もねぇ話をした後、
気味悪い笑い声を残して、消えちまいやがったよ。あそこに居たのは“用足し”の途中だとかぬかしてたな。
まぁ、たったこれだけだ。煙みてぇに消えちまったから、どこへ行ったかは見当もつかねぇよ。」
ここで一旦、言葉を区切る。
それから、少し言葉を選び、考えてから言葉を続ける。
「二つ目の質問だが。なに、別段変わった質問じゃねぇ。お前と似たようなもんだよ。
さっきまで居たあの場に死体として倒れてた二人の男達についてだ。まぁ、お前は気付いて無いかもしれねぇが。
奇妙な連中で特徴は二人とも腕輪が無い、知性が無い、異能力が無い。あるのは『CO』と数字のタトゥー。
そういう特徴の奴らに見覚えがあったら教えてくれ。
――で、これは今さっき出てきた疑問なんだが……海部ヶ崎。
お前もしかしてあの『大災害の日』の……『カノッサの乱』の渦中に居た、あの海部ヶ崎か?」
相手の反応を見るに、どうやら赤染の推測は正しかったらしい。
だが、驚いているのは赤染も同じだった。
「ほぉ、驚いたな。まさか、カノッサを潰した異能者の内の一人が俺より年下の女性だとはな。
で、三つ目の質問になるが。お前の父が『幾億の白刃』……あの最凶の殺し屋って噂は確か?」
【赤染 壮士:海部ヶ崎と質疑応答中】
236:天木 諫早 ◆0i7FhSLl8w
10/12/16 01:22:30 0
「別にゲームに参加しているわけじゃないさ。ただ単に知り合いが攻撃されてたから助けに入ったまで。
至って普通のことだろ?…少なくともアタシにとっては普通のことだよ」
その言葉を聞いたのは、彼が『反凶弾』を発動してしまった後だった。
ゲームに参加していない、というその言葉。ならば、彼女の目的は何だ?ただ、知り合いが攻撃されているだけで、命の取り合いに踏み込んでこれるのか?
―いや、彼女にはそれがまるで呼吸するかのように出来るのだろう。戦闘能力への高い自信の表れでもある。
そう、天木が初めて出会った、あの能力者のように、自分の思うがまま力を振るうことが出来るのだろう。
戦闘への注意力とは裏腹に彼の思考の底は、そんな事を考えていた。死角から迫った鋼球は彼女に正確に激突するが、天木の表情は依然として険しかった。
「軽いねぇ。そんなもんかい?この程度じゃアタシは"倒れない"ぜ? …さて、今度はこっちの番だな」
「…この重量と速度なら普通の人間じゃ昏倒するんだがねェ。オーラによる能力補正にしても、ちょいと効き過ぎじゃァねェか…ッ!?」
、 、 、 、 、 、 、 、
冷や汗をかきながらも、口元には笑みがある。目の前の少女はこの程度では無い。
そしてそこから紡ぎだされた彼女の先程と同じモーションに、天木は危険を感じて飛び退いた。
(さっきの攻撃か、だとしたらマズい、アレは見掛けよりも遥かに威力が―)
「いい判断、と言いたいところだけど甘かったね。見かけだけで同じ攻撃を予想するとは……アンタ、戦いなれてないな?」
「何を、…ッ!!!」
「んじゃ、ここで少し経験を養っておくといいさ。この先生き残れるように、な ―『重力増加』―」
ズン、と重みが圧し掛かる。オーラによる強化の乏しい体には、負荷が大きすぎる。
内臓が鉛のようだ。腕が鋼のようだ。その状態に居るだけで、恐らく彼は消耗しきってしまう。
「なるほど、な、『重力』…ッ!それでさっきの攻撃が馬鹿みてェな威力を出すわけだ…」
ゆっくりと、重い重い右手をあげる。それは降伏の意思では無く、新たなる攻撃への予備動作。
「確かに俺ァ戦闘経験がねェ。この能力を実際戦闘に使うなンざ、まだ考えて無かったからなァ。それに俺ァ『研究者』だ。どちらかというと思考が好きでねェ。
あンたの能力について、幾つか仮説を立てたンだ…地面に手をつくという本来不要な予備動作。そしてあの理不尽な破壊力と崩壊速度…
最初は『エネルギーの下方変換』とか考えてたが…まァ、何れにせよ」
、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、
「やっぱり、こっちを用意しておいて正解、だったなァ…ッ!――『飛爪』(ディメンション・クロー)―ッ!」
その手を空を裂くように振り下ろした。
既に。神宮の頭上にその攻撃は在った。4本の小型のナイフが、振り下ろされる爪を模して、彼の右手に連動し彼女の肩口に抉りこむように迫る。
自分の体の動きに連動するイメージ。右手とナイフが距離を越えて、操作能力によってリンクされる。
彼は例え砂粒であってもオーラを注入出来る。離れた場所のナイフに、砂粒を介してオーラを輸送し、充填を完了させ、結果、この条件での不意打ちの攻撃準備が整っていた。
「そう、『上から下』への攻撃を、あンたは能力じゃァ防げねェ。違うかィ?」
だが、彼はリミットが近付いていた。逃走、休息、オーラの回復。急がなければ、この重力下では余りにも体力を削られすぎる。
【天木 諫早:重力増加の影響を受けながら戦闘続行。】
237:鎌瀬犬斗 ◆K3JAnH1PQg
10/12/16 18:00:39 0
>>234
『はい、諸事情によりくわしく話すことはできないですけど
音声による会話はできないです』
『ソウデスカ…。マア、言エナイノナラカマイマセンヨ。
トコロデアナタガ作ッタコノらじこん…勝手ニ改造シテシマイマシタガヨロシカッタノデショウカ…』
ラジコンから音声で返事をする。その後…
「もしかしてとても大切な物だったとか…ありませんよね?」
「壊れてたけど…」
ラジコンのカメラ映像を頼りに鎌瀬と斎葉が歩いてきた
【鎌瀬犬斗&斎葉巧:ラジコンで返答をした後、カメラを頼りに夜深内のところへ行く】
238:海部ヶ崎 綺咲
10/12/16 22:53:27 0
>>235
「『ピエロ』ってのはやっぱあの夢に出てきた野郎の事だよなぁ、おい?
スモークガラス越しで見ただけだが、確かにあの場に居たぜ。特に益体もねぇ話をした後、
気味悪い笑い声を残して、消えちまいやがったよ。あそこに居たのは“用足し”の途中だとかぬかしてたな。
まぁ、たったこれだけだ。煙みてぇに消えちまったから、どこへ行ったかは見当もつかねぇよ。」
赤染は一つ目の質問にそう答えると、やがて言葉を切って黙りこくった。
「そうか……」
海部ヶ崎はぽつりと漏らした後、小さく唇を噛んだ。
期待していたわけではなかったから、落胆の気持ちがあったわけではない。
これは、もしも時間をロスしていなければ……
という、途中で狂戦士の邪魔が入ったことに対する悔しさの表れであった。
「二つ目の質問だが。なに、別段変わった質問じゃねぇ。お前と似たようなもんだよ。
さっきまで居たあの場に死体として倒れてた二人の男達についてだ。まぁ、お前は気付いて無いかもしれねぇが。
奇妙な連中で特徴は二人とも腕輪が無い、知性が無い、異能力が無い。あるのは『CO』と数字のタトゥー。
そういう特徴の奴らに見覚えがあったら教えてくれ。
――で、これは今さっき出てきた疑問なんだが……海部ヶ崎。
お前もしかしてあの『大災害の日』の……『カノッサの乱』の渦中に居た、あの海部ヶ崎か?」
しばしの沈黙を経て、二つ目の質問の答えを明かした赤染の目は、じっと海部ヶ崎を捉えていた。
物理的な刺激を受けたように、海部ヶ崎の心臓は一瞬、ドクンと高鳴った。
(この男、どこで……)
海部ヶ崎は驚いた。三ヶ月前の惨劇─その事実を知っている者の存在に。
「ほぉ、驚いたな。まさか、カノッサを潰した異能者の内の一人が俺より年下の女性だとはな。
で、三つ目の質問になるが。お前の父が『幾億の白刃』……あの最凶の殺し屋って噂は確か?」
思いもよらず、父の名を出されたことで、またも心臓が大きく鼓動する。
しかし、直ぐにそれを鎮めた海部ヶ崎は、やがて落ち着いた口調で言った。
「……私に対して、キミが嘘を言っていたとは思わない。だから、私も全て事実で答えよう」
赤染の意図するところは判らない。かといってお茶を濁すことはしたくない。
それが正直に話した者に対する礼儀だからである。
「キミが闘ったという腕輪のない連中は、恐らく私がつい先程闘った奴の仲間だ。
そいつも腕輪がなく知性がなかった。私の仲間はそいつを『狂戦士』……と呼んでいた。
何でもかつてカノッサによって作り出され、処分されたはずの異形とのことだが、
どういうわけかそいつらが今も生き残り、この島をうろついているらしい……。
……そしてキミのいう噂についてだが、それは確かだ。
三ヶ月前の出来事といい、その噂といい、キミがどこで聞いたかは敢えて聞かないがな」
【海部ヶ崎 綺咲:質問に答える】
239:神宮 菊乃 ◆21WYn6V/bk
10/12/17 09:01:03 0
>>236
「なるほど、な、『重力』…ッ!それでさっきの攻撃が馬鹿みてェな威力を出すわけだ…」
こちらが視覚的に能力を行使したことで、向こうもこちらの能力が分かったようだ。
しかし分かっただけで解決策にはならない。男は既に能力の範囲内に入っている。
男はゆるゆると右手を上げた。恐らく重力の影響で上手く体が動かせないのだろう。
「確かに俺ァ戦闘経験がねェ。この能力を実際戦闘に使うなンざ、まだ考えて無かったからなァ。それに俺ァ『研究者』だ。どちらかというと思考が好きでねェ。
あンたの能力について、幾つか仮説を立てたンだ…地面に手をつくという本来不要な予備動作。そしてあの理不尽な破壊力と崩壊速度…
最初は『エネルギーの下方変換』とか考えてたが…まァ、何れにせよ」
「やっぱり、こっちを用意しておいて正解、だったなァ…ッ!――『飛爪』(ディメンション・クロー)―ッ!」
叫びと共に頭上から飛来する何か。
「そう、『上から下』への攻撃を、あンたは能力じゃァ防げねェ。違うかィ?」
それは4本のナイフであったのだが、動きがおかしい。
まるで猛獣が爪を振り下ろすが如く迫ってくるのだ。
しかも完全に虚を突かれたタイミング。かわしようがない。
「チッ、厄介だね、操作系の能力は。そら…よっと!」
勢いよく左腕を振り上げる。
肩口を狙ってきたその攻撃は寸前で出現した左腕に命中する。
深々と刺さり―否、既に貫通していたそれを一瞥すると男に向き直る。
「流石は自称『研究者』だねぇ。お見事だよ。
確かにアタシの"能力じゃ"上から下への攻撃は防ぎようがない。何せ重力だからな。
だが"能力じゃなければ"話は別だ。いくらでも防ぎようがある」
(ま、痛覚云々は言わなくてもいいだろ。変な目で見られても困るし)
ナイフの刺さった左腕をダラリと下げているが、菊乃に苦痛の表情はない。
それどころかナイフの存在自体眼中にないかの如く会話する。―実際にないのだが。
「さて、そろそろ終わりにするとしようか。アタシも暇じゃないんでね」
言い終わると同時に菊乃の姿が消える。『重力減少』を利用した高速移動だ。
男の顔は驚きと焦りの表情に満ちていた。
今まで目の前にいた相手がいきなり消えたのだから、戦闘経験の少ない者からすれば脅威に他ならないだろう。
「驚くことはないだろ?アンタ自身が言ってたじゃないか。
『地面に手をつくという本来不要な予備動作』。
その仮説は大当たりだよ。アタシは能力を行使するのに一々手を当てる必要なんてないのさ」
動きながらも会話を続ける菊乃。
その間、男は焦った表情で忙しなく首を動かして周囲を見ていた。
恐らく菊乃の位置が掴めていないのだろう。見当違いの方向を見ている時もある。
「アンタも筋は悪くないよ。ちゃんと実戦を経験すれば強くなるだろうね。
…ま、今回は相手が悪かったって事で諦めな」
男の死角から強烈なボディーブローを放った。
【神宮 菊乃:天木の攻撃を受けるが反撃】
240:天木 諫早 ◆0i7FhSLl8w
10/12/17 17:16:51 0
>>239
「チッ、厄介だね、操作系の能力は。そら…よっと!」
少女が振り上げた左手を、彼はただ呆然と見るしか無かった。手から力が抜け、傾いていたスーツケースが倒れる
その防御法、いくらなんでも異常に過ぎる。能力は一人一つ、この原則が正しいのならば、彼女の恐るべき耐性はどこから来るのか。
「流石は自称『研究者』だねぇ。お見事だよ。確かにアタシの"能力じゃ"上から下への攻撃は防ぎようがない。何せ重力だからな。
だが"能力じゃなければ"話は別だ。いくらでも防ぎようがある」
「…能力以外の秘密があるらしィなァ、あンたの体には。それは、いくらなんでも”ありえねェ”。」
天木の頬を汗が伝った。目の前の人物の異常性と自分の今の戦闘能力。
完璧な不意打ちだった筈だ。手持ちの駒は、『凶弾』ぐらいしか無く、ロードの長いこの技は、こんな高重力下ではさらに充填が遅くなるだろう。
ぎし、と足が軋んだ。この重力に、自分のやわな体は適応出来ていない。―このままだと、死ぬ。
彼女の真意が『1枠の生き残り』で無く『ワイズマン打倒』であることに、天木はまだ気付けなかった。
彼女の肉体の異常性が相まって彼女の真意を見えにくくし、即座に殺しに来ないのもその性癖の為であろうとうっすら考えていた。
「さて、そろそろ終わりにするとしようか。アタシも暇じゃないんでね」
言葉と同時に、砂埃を残して神宮が消える。天木の動体視力ではとても追いつけない距離、そしてこの重さの中では何が起きても反応が出来ない。
「そんなことも…出来る、のかッ…!」
「驚くことはないだろ?アンタ自身が言ってたじゃないか。『地面に手をつくという本来不要な予備動作』。
その仮説は大当たりだよ。アタシは能力を行使するのに一々手を当てる必要なんてないのさ」
(どこから来る…!!…タイミングだ。タイミングを考えろ、隙を突いて逃げなきゃ、ここで終わりだ…ッ!)
「アンタも筋は悪くないよ。ちゃんと実戦を経験すれば強くなるだろうね。
…ま、今回は相手が悪かったって事で諦めな」
色々な方向から彼女の声が聞こえてくる。その言葉が、彼の思考を一転させた。赤の瞳がどこに居るかも解らない虚空を睨みつけて。
、 、 、 、 、
「舐めやがって、諦めるかどうかは俺が決める。てめェなンかに決められてたまるかァァァッ!!!」
衝撃が走った。時間の速度が急に落ちたような、重く、深い、衝撃が、彼の体内に深い深いダメージを与えた。
呼吸が。血管が。詰まってしまったかのような体の内圧。思考と意識が飛びかけるが、すんでのところで捕まえる。
「か、は…ッ!」
だが、その眼はてんで諦めてなど居なかった。ピアスをつけた口が捻じ曲がる。攻撃を受けてから、0コンマ1、2秒で、それは、神宮の背後からやってきた。
彼のスーツケースが、神宮の後頭部を目掛けて飛んできた。
本来は、戦闘脱出用にオーラを注入したのだが、此処に来て脱出への欲より、彼の意地が勝った。
威力こそ無いものの、当たれば脳を揺さぶる打撃になるだろう。
どれだけ相手が早かろうと、攻撃の際、その体は天木の周囲にあるだろう。そしてインパクトの瞬間、確かにその体は止まるはずだ。
、 、 、 、 、 、 、 、 、
その衝撃を体が認識した瞬間に、その方向へ飛ばせば。確かにその体は其処にあるのだ。
(反撃、完了、か…ッ)
軽く数メートル程吹き飛んで、天木の体が地に落ちた。最早自力で立つことも出来ない。攻撃を終えたスーツケースも同じ場所に落ちてきた。
高重力下と呼吸器への攻撃で、彼の手足は震えてまともに機能せず、それでも逃走の為、スーツケースに触れた場所から必死にオーラを流し込む。
残存オーラも少なく、このコンディションでは更に笑えるほど注入が遅い。
【天木 諫早:攻撃をまともにくらいながら、反撃を放つ。戦闘継続は不能、脱出を試みる】
241:夜深内 漂歌 ◆h5kXMXaZSA
10/12/18 21:50:47 0
「ソウデスカ…。マア、言エナイノナラカマイマセンヨ。
アナタガ作ッタコノらじこん…勝手ニ改造シテシマッタガヨロシカッタノデショウカ…」
答えようと思い、またデータを作っていると
別の場所からさっきとは別の二人の声が聞こえた
「もしかしてとても大切な物だったとか…ありませんよね?」
「壊れてたけど…。」
(ラジコンの中にいた方でしょうか?
…その可能性が一番高そうですね)
私は再びモニターを創り出し
そこに
『いえ、特別大切なものだという訳ではありません
このモニターと同じように‘創った’物です
ところであなたはこのラジコンの中にいた人の本体でしょうか?』
と出力した
【夜深内 漂歌:斎葉と鎌瀬の本体が近づいてきたのでそちらに応答】
242:名無しになりきれ
10/12/19 03:05:39 0
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243:名無しになりきれ
10/12/19 03:06:43 0
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244:名無しになりきれ
10/12/19 03:08:13 0
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245:名無しになりきれ
10/12/19 03:10:39 0
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