14/10/23 03:52:26.39
ソース(iRONNA、山本一郎氏) URLリンク(ironna.jp)
週刊誌の売れ筋ランキングを見ると、やはり上位にはいまも「嫌いな隣国」関連で埋め尽くされています。中国、韓国叩きの記事は、
やはり読まれ、売れるようです。問題を提起し社会への警鐘を鳴らすべき存在である各種メディアは、各々の媒体としての価値観や
あるべき姿を模索しながら記事作りを進めているとは言え、やはりビジネスでもあり、読まれてナンボ、大きな反響を生んで始めて
一人前という観点が出るのも仕方のないことだと思います。
本来ならば、ある種の「売れさえすれば何でも書く」の足かせとして、出鱈目なことを書かれた本人が名誉毀損や誹謗中傷の訴訟を
起こすことで一定の歯止めがかかるのがマスコミに対するチェック機能のひとつでもあります。ところが、読者の趣味、興味の延長線の
先には隣の国、民族への反感や批判、あるいは揶揄、異質さ、排除したい気持ちといったものが根底にある場合、はっきりいって事実で
あろうとなかろうと面白おかしく書いても訴えられることはほとんどありません。いわば、叩いてもノーリスクに近い罵倒の対象としての
韓国というのは、メディアにとってはおいしい存在です。
韓国のここがおかしい、韓国経済が破綻寸前だ、船が沈んだすったもんだで韓国社会はこんな無能を晒しているというネタをいくら
週刊誌やウェブでばら撒いても、恐らくは訴えられるなどの反撃はされないということで、売れることも相俟ってこういう嫌韓記事が
花盛りになっていると言えます。
URLリンク(ironna.jp)
また、関係が悪化の一途を辿る対中国も同様です。中国人の横暴や、中国社会自体が孕む矛盾に、最近ではマクロ面での中国経済
の変調、成長鈍化が話題になってきました。そうなると、いままで経済成長を求心力として謳歌してきた中国経済の影響力にも翳りが
見えて、外交面での中国の傲慢さや、中国国内での異民族暴動や大規模デモなども日本人の娯楽として話題が提供されるようになって
もさほど不自然はありません。
そうすると「ああ、韓国も酷いことになっているのだな。日本はそうにならないように改めよう」と日本にとって建設的に考える人よりも、
「そんな酷い韓国や中国のお陰で日本は迷惑を蒙っている。いままで我慢してきたが、もう許すことはできない」という排他的な態度を
取る日本人も、当然のことながら一定数生まれることになります。場合によっては、ヘイトスピーチや在日韓国人の人たちに対する
排斥デモに参加する人も出てくるでしょう。読まれれば読まれるほど、そのような予備軍が増えるのは当然とも言えます。
他国に目を転じると、日本に限らず多くの国で移民に対する反対運動が起きていることが分かります。ドイツでもデンマークでも
スウェーデンでも、抜き差しのならない規模で、移民に対して地元民が抗議運動をするケースはたくさん報じられています。中には、
文字通り民族主義的な政党が支持を集め、極右政党が大躍進して政治的に大きな影響を及ぼす事態になり、反EU的な活動にまで
結びついているフランス国民戦線やイギリス独立党といった政党が、無視できないレベルにまで成長してきました。
URLリンク(ironna.jp)
翻って、日本の場合はヘイトスピーチ問題は単体の社会問題として捉えられ、どちらかというと表現の自由や人権問題の枠組みで
解釈されることが多くあります。もちろん、差別的な言動は許されるものではなく、社会の責任としてきちんと制限をかけるのは大事な
ことです。
一方で、以前はネットの中だけでわいわいやってきたネトウヨの一般化が始まり、これらのデモに参加する層の広がりを細かく見て
いくと、日本社会や政治に対する不満や、思うような職に就くことのできない貧困問題がリンクしていることは確実です。娯楽としての
排斥主義的な嫌韓や反中が、実際には包括的な社会問題に結びついて閉塞感とセットになってきていることは言うまでもありません。
(>>2以降に続く)