10/07/02 03:47:04 KWvZ7x18
小ネタですが。エレベーターで二人きり(エロなし)
やべえマジどうしよう。なんでエレベーター止まってんの。よりにもよってスイーツ(笑)女子と一緒に乗ってるときに止まる
とかちょwwwエレベーター空気読めwwwっていう。いやいやいやいや、逆に考えるんだ。ひょっとしてこれはフラグかもれない。
もしかしたらイベントが発生しててこれからスイーツ(笑)とエロいことができるのかもしれない。そう考えればエレベーター
が止まるのも仕方ない。何しろフラグなんだからな。フラグの前にはどれだけ念入りに点検したエレベーターでも無力。その
ときがきたらあっけなく止まる運命。それが世界の修正力ってやつだ。多分。
などとアホなことを考えている場合ではもちろんない。だってリアルにエレベーター止まってるし。若干薄暗いのは一旦電源
落ちてそのあと非常灯が復旧してるからだし。それにしてもエレベーターみたいな無機質な空間が薄暗いとバイオハザードっ
ぽいな。隣にいるのはゾンビじゃなくてスイーツ(笑)だけど。薄暗いとこで見るスイーツ(笑)はなんか白っぽい服と肌とあい
まって幽霊っぽくみえる。怖い。だってスイーツ(笑)さっきから無言。超無言。こええよ。なんか喋ろうよ。いや俺も無言だ
けど。でもスイーツ(笑)はスイーツ(笑)なんだからなんか話題くらいあんだろうよ。「今日見たいドラマあったのにぃ~、マ
ジさいあくぅ~。ていうか金曜の夜に止まるとかー」とかそんなんでいいからさあ。そしたら俺が心の中で「こんなときまで
ドラマとか(笑)危機感なさすぎ(笑)マジスイーツぱねぇっす(笑)」って半笑いしつつ「そうなんですかぁー、お互い大変です
ねー。あ、ところで好きなプール用具ってなんですか?」とかなんとかお茶濁して当たり障りのない世間話はじめるからさあ
!
八つ当たりのような脳内独り言大会を繰り返していると、幽霊じみたスイーツ(笑)はかすかにみじろぎした。ていうか睫毛長
すぎで薄暗い照明でものすごい影ができてる。なにこれ怖い。
「……あのう」
よしきたスイーツ(笑)きた。これでかつる。スイーツからのリアクションがようやく得られた。良かった。スイーツ(笑)なん
てはじめからいなくて俺一人だけなんじゃないのもしかしたら……とか思い始めた矢先だったから本当に良かった。俺の中に
しか存在しない想像上のスイーツ(笑)とかなにそれって話だもんな。
さあ来いスイーツ来い。どんなスイーツ話を繰り広げられてもついていくぞ今のところは。
意気込んでスイーツを見つめると、スイーツは長い睫毛を重そうにくっつけた瞼を半開きにして、だるそうにエレベーターの
開閉ボタンの下についている真っ赤なボタンを攻撃力の高そうな爪で指し示して言った。
「非常ボタン押してもいいー?」
「えっ?」
何それ怖い。じゃなくてスイーツ冷静。超冷静。なにこれほれる。俺そんなん全然思いつかなかった。スイーツやべえ。
「いい?大丈夫?……ていうか、ここのエレベーターよく止まるし。大丈夫だよ心配しなくても。すぐ動くようになるし」
「あ……そそそ、そうなんだ……ですか」
「うん。そーなんですー。ここくんの初めてー?」
うわ。スイーツ場慣れしてる。マジかっこいい。しかも気ぃ遣ってる。なんか馬鹿にしててごめんなスイーツ。もうスイーツ
(笑)ってつけないわ。スイーツ(偉)だわ。
「……初めてです」
「そかそかー。んじゃあ、今ボタン押したからぁ、五分くらいしたら係りの人がなんとかしてくれるしー、飴でも食べながら
待っとくー?」
357:名無しさん@ピンキー
10/07/02 03:48:10 KWvZ7x18
そういうと、スイーツ(偉)は俺に飴をくれた。それはもちろんヴェスターズオリジナル。なぜなら俺は特別な存在だから……
ではなく、黒飴だった。懐かしい。ていうか、婆ちゃん?なんで黒飴?疑問は抱きつつもスイーツが笑いながらくれた飴は甘
くて旨かった。ついでに、スイーツがアホのように長くてゴテゴテした爪で苦もなく高そうなブランド物の鞄を開けるのが異
常にかっこよく思えてきた。何これ恋? スイーツに恋? これが噂のつり橋現象? 男女が日常と異なる環境になると恋に
落ちやすいっていう? 修学旅行カップル激増の真相といわれているアレですか?
俺が混乱しつつ飴を舐めている間に、係りの人と連絡を取っていたらしいスイーツ(偉)は、元に戻った照明と動き出したエレ
ベーターの階数表示を見て、俺と視線を合わせた。
「ねー?」
動いたでしょ?とちょっと自慢げに言うスイーツ(偉)がかなり可愛く見えてきた俺はもうだめかもしれない。スイーツ(偉)な
のに……っ……悔しいっ! でも感じちゃうっ! びくんびくん。アホなことを考えている間にもエレベーターは滞りもなく
順調に機能を回復し、独特の浮遊感を持って動き始めた。
「……すごい」
「いい加減ちゃんと直せばいいのにねー。ケチるからたまにこういうのあるんだー」
スイーツは微笑みながら言う。笑った顔はやっぱり可愛い。
チン、と音を鳴らしてドアを開いたエレベーターは少し空気を呼んだらいいと思う。
なんとなく連れたって歩きだしながら、俺はスイーツに話しかける。
「……あ、あの、ありがとうございました」
「あー、いいよー。気にしないでー。ほんとよくあるんだ。コレ。他の子と居るときになったらさっきみたいにしてね」
「は、はい」
「じゃーまた来週ねー、上山くん」
スイーツは小さく手を振って大股に受付を通っていく。俺はそれ手を振り返そうとして、なんとなく照れくさくて手を振り返
せずにランドセルの肩掛けを握ったまま、スイーツの華奢で白い背中を見送っていた。
「……というようなことがあってな」
「それでやたら落ち着いてるんですね、先輩」
「うん。やたら止まるんだ。俺の通ってた塾のエレベーター」
「管理怠慢なんじゃないですか、それ?」
「うん。だから潰れた」
「へー」
「ところでだな、なんでこんな話をしたかというと」
「分かってますよ。今現在まったく同じ状況ですもん私たち。違いは非常ボタンが作動しないことですけど」
「些細にして重大な違いだな」
「ところで先輩」
「なんだ?」
「そのスイーツ(笑)さんとはそれ以降?」
「まあ普通に塾の講師とそこに通う小学生として過ごしたが。美しい初恋の思い出ってやつだな」
「ふーん……」
「なんだその含むところありそうな顔つきは」
「エレベーターの中で恋に落ちるとか、ほんと先輩って変わってる」
「ほっとけ。どこで落ちようが自由だろうがそんなもん」
「ところで先輩」
「お前、ところでが多くないか?どんだけ話題転換しまくるんだよ。ペース速いよ」
「今、私たち同じ状況ですよね?」
「いやいやいや、さっき確認したじゃん。……そうですよ」
「………………」
「…………え? なにこれフラグ?」
終わり。1レスで収まるかと思ったら収まらなかった
358:名無しさん@ピンキー
10/07/02 23:59:33 sZ7ZUxru
オチまでちゃんとつけてくれて最高だよアンタ
359:名無しさん@ピンキー
10/07/04 22:54:33 CSMJuIVJ
>>356
面白かったw
GJ!
360:名無しさん@ピンキー
10/07/23 07:30:10 tE4sJ6xh
保守
361:名無しさん@ピンキー
10/08/05 20:13:45 T2C7PIZ1
\ さいごのガラスをぶち破れ~ /
\ 見慣れた景色をけりだして~ /
( \/ /_∧ <./| /| /\___
ヽ/ /Д`/⌒ヽ / .| / / / //
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し' \_/ i />  ̄ ̄ ̄ ̄
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i | /ヽ ヽ ∠__/  ̄ .|| |::
ヽ ヽ| |、 \_ノ > <> || |::
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/ し'.ヽ ( .∨ /\________|__|
// し' / /\  ̄:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
362:名無しさん@ピンキー
10/08/08 13:44:22 hs+FTLCR
昔、巨人のドシンというゲームがあってなぁ……
俺は持ってないんだが、ゲーム情報雑誌でシステムを色々見たときに、
誰も寄りつけない遠く離れた海に小さな島を作って、生存のための木々を用意して、
そこに2組の夫婦のうち、1組は夫、もう1組から妻を選出して攫ってきて置いたら、
二人きりになった彼らはどうなるんだろうなぁと妄想してたよ
363:名無しさん@ピンキー
10/09/05 23:32:13 byO4GeU1
だれかきて
364:名無しさん@ピンキー
10/09/06 22:34:40 W8FJTU2/
「ふ、ふたりっきりだね///>>363」
365:名無しさん@ピンキー
10/09/23 02:30:01 Gx88RMCl
あげ
366:名無しさん@ピンキー
10/09/27 07:28:00 zeGhUMsw
あげ
367:名無しさん@ピンキー
10/10/11 20:42:34 L9Z7a3bU
保守
368:名無しさん@ピンキー
10/10/22 02:34:44 PMUPvJi4
あ