【陰湿】レズいじめ【ドロドロ】at EROPARO
【陰湿】レズいじめ【ドロドロ】 - 暇つぶし2ch141:女学院復讐SS2 7/10
09/06/09 17:23:31 OZ0dGwUB
 携帯電話を見ながら何事かを打ち込んで、文月は微笑んだ。おそらく、あれで涼香と連絡
を取り合っていたのだ。
「おしっこしたいの?」
 くすくすと笑って、文月が一歩進み出る。思わず退きそうになって、幸は踏みとどまった。
「うるせえ……てめえ、こん……っな、ことして、ど、どうなるか……わかって、んのか」
 途切れ途切れの恫喝に笑って、文月はまた携帯電話で何事かを打ち込む。指の動きを止
めないまま「わかってないのは幸崎さんね」と余裕の表情でつぶやいた。
「あとで……」
「後なんてないのよ」
 文月の声を後押すように、背後から足音が響いた。ひとつ、ふたつ、みっつ。三人分の靴音
に幸が目を向ける。高等部の制服を着た生徒が二人、中等部の生徒が一人、険しい目つき
で立っていた。
「……?」
「覚えてない? みんな、幸崎さんに恨みのある人たちよ」
「ぐ……」
 そんなところだろう。これで退路は完全に封じられた。笑顔のまま歩みよる文月をどうすること
も出来ず、幸はギリギリと奥歯を噛み締めた。
「今は授業中、こんなところには誰も来ない。自分で保健室に行くって言ったんですってね。と
いうことは、教室に戻らなくても誰も不思議に思わない」
「う……ぐ」
 頭の中で赤いランプが点滅している。こんなはずはない。こんなのはおかしい。自分は狩人
のはずだ。獲物はこいつらのはずなのだ。なのにどうして、こんなことになっているんだ。
「おしっこしたいんですよね? しなさいよ」
「……」
 冷たい声で、背後の生徒のうち、眼鏡をかけた女生徒が言った。睨みつけると一瞬身をすく
めたが、すぐに眉を吊り上げて手を伸ばす。
「ほら、早く!」
 どん、と肩を押される。踏みとどまろうと足に力をいれると、膀胱に溜まった尿が暴れだす。股
間を手で押さえて、幸は無様にたたらを踏んだ。
「ふ、う、お、おま、お前ら……」
「なに、なんか文句でもあるの!」
 眼鏡の生徒の脇、髪を頭の両脇でツインテールにした生徒が、後ろに引いて突き出された
形になっているお尻を平手で叩いた。衝撃が臀部から走り、膀胱の灼熱が応えるように燃え
上がる。喉をいっぱいに開いて肺の空気を全部吐き出してしまうと、幸は深い呼吸を二回繰り
返した。
「頑張るわね」
 笑いながら、文月がそう言った。
「先輩の努力、ちゃんと撮ってる?」
「はい!」
 力強く幼い声が聞こえる。この場で唯一の後輩、中等部の制服を着た最後の一人が、小
型のカメラを構えていた。掌に隠してしまえるような小さなものだが、幸の痴態を撮るのに不便
はないだろう。それどころか、
「高精細の美麗映像が連続六時間撮影可能。凄いでしょ?」
 日本の家電三割を支配するALICEグループのご令嬢が、自慢げにそう言った。
 喉がカラカラに渇いていく。体中の水分が、汗か尿のどちらかになってしまったようだ。
「香堂さん、やっちゃっいましょう」
 文月にそう言われて、この場で最も背の高い、眼鏡の女生徒―香堂が動いた。

142:女学院復讐SS2 8/10
09/06/09 17:24:13 OZ0dGwUB
「ほら、早くしなさいよ。おしっこしたくてここに来たんでしょう!」
 震える幸の両脇に手を差し入れて吊り上げる。背の低い幸はそれだけで足が宙に浮いてし
まう。踏みしめる床がなくなると、膀胱の猛りが激しくなった気がした。
「有瀬、私も参加していいんだよね?」
「もちろんよ、柚子澤さん」
「ふん、なにこれ、サンドバッグ? 殴っていいのかな!」
 笑って、ツインテール―柚子澤が拳を優しく下腹部にあてる。軽く触れられているだけな
のに、幸は唇を噛んで俯いた。
 暴れれば戒めからは抜け出せるかもしれないが、膀胱の疼きがそれを許さない。どうすれば
いいのかわからないまま、幸は太ももをすり合わせる。
「なんだよ、いつもみたいに強気になってよ。私のお尻にホースつっこんだ時みたいにさ!」
 軽くあてられる拳が、少しずつ強くなる。腰が勝手に跳ねて、その衝撃でまた下腹部の疼き
が大きくなる。言葉も出ない。とうとう、涙まで滲んできた。
「本当、随分大人しいのね。いつもこうなら、こんな思いしなくてすんだんですけどね!」
 言いながら、幸を吊り上げる香堂がお尻に膝を叩き込んだ。
「ひやぁうっ」
 思わず悲鳴をあげて、ぎゅうっと合わせた太腿を引き絞る。汗だくの脚が踊る様をカメラにお
さめて、うわあ、と中等部の生徒が声をあげた。
「先輩、早くおもらししちゃえば楽になれますよ」
「な……」
 涙目の幸に幼い笑顔を向けて、カメラを逸らさずに少女は言った。
「あたしにおんなじこと言ったの、おぼえてないですかぁ?」
 覚えている。
 後輩を相手にすることは珍しかった。それにあの時は後始末に手間がかかったから、よく覚
えている。そうだ。幸は確かに、この少女を相手にいじめをしたことがある。二年前、幸が中等
部二年だった時だ。中等部から編入してきたこの子―逢坂仁和子を、二月ばかりいじめぬ
いた。
 そうだ。覚えている。
「しゃ、しん……」
「え?」
「に、にわ子、あんたの……写、真が」
 何を忘れていたのだろう。幸にはとっておきのカードがあるのだ。この場にいる全員の痴態を
収めた写真たちが、幸の携帯電話には入っている。文月のもの以外はバックアップも既にとっ
てあるのだ。
「おまえ、らも……」
 名前も思い出せないかつての獲物たちに視線を向けて、幸は脅しをかける。汗だくの泣き
顔で、口元に笑みを浮かべての脅迫は、壮絶な気迫に満ちていた。
「ばら、まく。ばらまく、ぞ……!」
 良家のお嬢様たち。家柄と風聞を何より気にする彼女たちが、そんな写真の流出を良しと
するはずがない。解放される。これで解放される。
 靄がかかる頭で必死に導き出した策に、幸は笑う口元を更に吊り上げた。文月の反乱には
驚かされたが、いかほどのものか。即席の配下になどなんの意味もないということを、教えてや
らねば―
「今更、何を言ってんの」
 ―思考を断ち切って、柚子澤が呆れ気味につぶやいた。
「え……」
 まるで動揺していない。掌が伸びて下腹部を掴み上げ、ぎちゅっ、と握り潰した。

143:女学院復讐SS2 9/10
09/06/09 17:25:22 OZ0dGwUB
「うぁああっ」
「今更、何を言ってやがんのよ! もうとっくに、写真なんてバラまいてるくせに!」
 一瞬、世界から音が消えた。直前に耳にした言葉だけが、脳内を駆けずっている。
 馬鹿な。
 そんなはずはない。データは自分が持っている。他の誰にも触らせてない。幸がバラまいて
いないものを、誰がバラまくというのだ。
「顔を隠せばわからないと思ったんですか。馬鹿にして」
 吐き捨てるような声が背後から心臓に突き立った。違う。違うのだ。幸ではない。何が起こっ
たわけでもないのに写真をまいても、幸には何の得もないではないか。
「昨日の夜、有瀬さんから連絡があったんですよ。私たちだって復讐なんてする気はなかった。
あなたが、写真は流さないって約束を、ずっと守っていたからですよ……それを!」
「ち、ちが、違う……あ、ああ」
 得をするのは。今この状況で写真を散らばせて、利益を得るのは。それは単独では難しい
復讐に、熱意ある協力者を得ることができる、眼前に佇むこの女以外にありえない。
 その思考を読みきったのか、文月は幸にだけわかるように、薄い笑みを浮かべて頷いた。
「あ、ありせだ、ありせが、ありせが」
 震えながら、必死にそれだけを繰り返す。握りこんだ掌に力をこめて、柚子澤が我慢しきれ
なくなったように叫んだ。
「どこのどいつが、自分の写真をネットに流すんだよ!」
「じぶ―」
 今度こそ、幸の思考は完全に停止した。
 その通りだ。どこの誰が、自分の痴態をバラまいてまでいじめの復讐をするというのだろう。そ
んなもの、まともな人間の考えることではない。
 甘かった。見くびったのだ。こんな奴に手を出してはいけなかった。有瀬文月という女は、と
んでもない怪物だ。
「あは、」
 涙をこぼしてふるえる幸を見て、たまらなくなったように文月が笑った。快感を堪えたように、
ぶるりと身を震わせる。
「ほら! 後悔しろ!」
 一度離れた掌が股間を握り、思い切り捻られた。喉から声にならない悲鳴が迸り、背が勝手
に反っていく。赤く明滅する視界が、限界の到来を警告する。
「や、やだ、やめろ、ちくしょう、やだ、やだ! 無理、もう無理なんだよ! 許して、もう」
「うるさい、馬鹿!」
 叫んで、柚子澤が腕を突き上げた。縦揺れの衝撃が股間から膀胱を突き抜けて全身を貫く。
足が伸びきってビクリと震え、たまりにたまった熱の塊が、ずるり、と下方へ落ちていく。白く染
まる世界で、幸は、
「ふぁあぁあ……」
 心の底から安堵したような、甘くゆるやかな吐息をこぼした。

 ぷあしゃああっ、という破裂音にも似た放尿音が響いた。

 下着を通りぬけて、生暖かい液体が床まで太い黄金の糸を張る。柚子澤が手を放して体を
避け、カメラを構えた逢坂が一歩前に進み出る。
 幸はそれにも気づかず、せき止められていたものが解き放たれた、そのえもいわれぬ開放感
に震えていた。半開きの口から吐息と喘ぎが交じり合うような声が漏れ、時折ぴくりぴくりと足
が揺れる。脱力した体は香堂に持ち上げられていなければすぐさま倒れこんでしまうだろう。

144:女学院復讐SS2 10/10
09/06/09 17:25:47 OZ0dGwUB
「漏らして感じてるの? 変態」
 その様子を柚子澤が嘲弄する。ぱしゃぱしゃという水音がいやらしく惨めに響き渡り、幸は
涙でけぶった視界を足元に向けた。黄色い水溜りが大理石の床に広がっている。パンツはぐ
しょぐしょに濡れて、スカートにまで染みが広がっていた。
「惨めですね」
 声と共に、幸の両脇から手が抜かれた。踏み堪えることなどできるはずもない。落とされたの
はほんの数センチだが、幸は足を滑らせて自分の作った尿溜まりに顔からつっこんでしまっ
た。
「きたなあい」
 くすくすと笑って、逢坂がカメラを近づける。口の中にアンモニア臭い尿が入り込んできて、
幸は思わず唾を吐いた。
「学校の施設を汚さないで」
 嘲笑まじりのつぶやきと共に、柚子澤の足が幸の頭を押さえ込む。びしゃり、と水音が跳ね
て、顔面がおしっこまみれになる。
「まだ漏らしてますよ」
「う……」
 たまりにたまった尿は、勢いこそ多少弱めたものの、不様に地面にへばりつく幸の股間から
なおも弧を描いて散り飛んでいる。惨めさに目をつぶって、幸は唇を噛んだ。
「お似合いね」
 甘い吐息の混じる、文月の声が聞こえてくる。屈辱に身を固くして、心胆が怒りで燃え上が
って、それでも、放尿だけは止まらなかった。
 トイレの床を叩く水音は、そのまま一分近くも続いた。
■■■
 大理石に広がる尿溜まりに浸していた全身をゆっくりと起こして、幸は自分を取り囲む四人
を睨みつけた。
 眼鏡を押し上げる香堂、ツインテールを揺らす柚子澤、カメラを構える逢坂、そして堪えよう
ともせず愉悦の笑みを浮かべる有瀬文月。四人の怒りと興奮が、空気を通じて伝わってくるよ
うだった。この程度で、満足するはずがない。
「アリセ……アリセ……」
 ぎりぎりと歯を噛み締めて、怨敵の名を唸るようにつぶやく。当の文月は笑うばかりでとりあお
うとしない。
 文月がどうやって写真を流出させたのか、それは幸にはわからない。寮に空き巣に入ったの
だとしても、文月自身のデータはまだ携帯電話の中にしかないのだ。
「どうする、みんな?」
「これで終わりにはできないよね」
 文月の問いかけに柚子澤が言い、
「私たちがされたことをひとつずつ、全部やり返してあげましょうよ」
 眼鏡を押し上げて香堂が続いた。逢坂が楽しそうに何度も頷く。
「逢坂さん、カメラはあんまり揺らさないようにね」
「あ、すいません」
 カメラ―。自分で撒き散らした小便にまみれて、便所の床に膝をつくこの姿をカメラに収め
られているのかと思うと、目の前が暗くなっていく。この先にあるものがなんなのか、幸は誰より
知っている。知っているからこそ、魂を鷲掴みにされるような恐怖と絶望を覚えるのだ。
「ちくしょう……ちくしょう」
「さあ、はりきってね幸崎さん。時間なら、まだまだあるんだから」
 つきつけられた携帯電話の液晶の中、泣きながらお漏らしをする幸の写真の上で、三限が
はじまるまで四十分近くあることを知らせる時計の針が、秒と一緒に幸の体を刻んでいた。

145:名無しさん@ピンキー
09/06/09 17:26:07 OZ0dGwUB
以上です
んじゃつづき書いてくる。

146:名無しさん@ピンキー
09/06/09 18:36:09 KegoxmhX
これはメシウマGJ!
歪みなく丁寧で語彙も豊富だなあ
次回も期待して待ってます

147:名無しさん@ピンキー
09/06/09 21:49:02 KznfwjXo
うまいなぁ、そして面白いっていう
このwktk感はひさしぶりです
いくらでも待つので続き期待しています

148:名無しさん@ピンキー
09/06/10 03:40:42 w4hRj4mz
冗長な言葉をほとんど使わずに、書けてしまうのが凄いな。
続きを楽しみにしています。


149:名無しさん@ピンキー
09/06/10 21:07:32 jLXdpsXY
これは読みやすいし、それでいてすごく引き込まれるなあ。
GJ!

150:名無しさん@ピンキー
09/06/14 01:59:21 uCZ7lgUh
続きまだかなー?
楽しみすぎる

151:名無しさん@ピンキー
09/06/14 04:54:47 uszQ/0jb
まいぷるモード
キタ━━━(゚∀゚)━━━ !!! URLリンク(003.harikonotora.net)

152:名無しさん@ピンキー
09/06/18 21:49:17 8lBAG5As
まだか…

153:名無しさん@ピンキー
09/06/19 04:39:58 7Gtfcep3
>>109,134のつづき書いてみた。
以下から12レス分投下します。

スカトロ(大便)注意。

154:女学院復讐SS 1/12
09/06/19 04:41:14 7Gtfcep3
 ―ずっしりと、体が重くなる。
 目の前が暗く淀む感覚に、幸は身震いして四人の復讐者を見上げた。小水で濡れた制服
が、僅かに動いただけで不快感を全身に伝えてくる。特にショーツはぐっしょりと尿を吸い込ん
で肌に張りついていて、これでは丸いお尻もふっくらとした土手の形も、くっきりと浮かび上が
らせているに違いない。
「それじゃあ、誰からやります?」
 眼鏡を光らせて、香堂がそう言った。四人それぞれが受けた恥辱を、そのまま幸に返すと、
先ほども香堂はそう言っていた。自分が彼女らに何をしたのか、頭の片隅でどうにか思い起こ
して、その絶望に寒気を覚える。
「とりあえず、相田さんの分からにしましょう」
 提案したのは文月だった。どこから取り出したものか、大きめのペンケースを用意して、うっす
らと笑う。
「覚えてる、幸崎さん。あなたが彼女に何をしたのか」
「うるせえ……」
 覚えている。今朝までは忘れていたが、そもそもその写真を見たから幸は涼香のことを思い
出したのだ。液晶の中で泣く相田涼香。その膣に突きこまれていた十数本のボールペンまで、
はっきりと思う浮かべることが出来た。
「下着が濡れてたら気持ち悪いよね? 脱がせてあげるよ」
 笑いながら幸の短い髪の毛を掴んで、柚子澤が思い切り引きずった。黄色い水溜りから引
き出されて、幸が小さく苦悶の声をあげる。
「それじゃあ、脱ぎましょうね」
 言って、香堂が尿を吸い込んで濃く染め上げられたスカートをまくりあげた。現れたのは、意
外にも清廉なイメージの白いショーツだ。だが尿まみれで肌に密着したそれは隠すべき恥丘
の形をむしろ強調するようで、濡れた上質な布地はその奥の肌を透けさせて殊更に淫靡な印
象を与える。
 あらわになったスカートの内側にカメラを向けて、逢坂がくすりと笑った。
「……」
 意味のない静止の言葉など、幸は口にしなかった。本音を言えば叫びだして逃げ出したか
ったが、そういった言動の全てが火に注ぐ油になることを、彼女は誰より知っていたのだ。
「うわ、きったなぁい」
 嫌味たらしく言葉を溜めて、香堂が嘲罵する。柚子澤が便所の床に幸の小さい体を引き倒
し、香堂が膝に膝を乗せて動きを封じる。両の人差し指がショーツの端を引っ張り、ゆっくりと
嬲るように引き下ろした。
 散々に尿を吸ったショーツは肌に張り付いてスムーズには抜けず、くるくると縒りあって染み
込んだ汚水をこぼしはじめる。股を伝う感触に幸が眉をひそめ身をよじると、それをファインダ
ーにおさめる逢坂が楽しげな笑みを漏らした。
「それっ」
 掛け声をあげて、香堂が一気にふとももまで指を引き下げる。股布がしぶとく股座にしがみ
ついていたが、指先を引っかけられると、びちゃり、という淫猥な音をたてて剥がれ落ちた。
 さらけ出された幸の股間は、楕円状に鬱蒼とした陰毛が太腿あたりまでを覆っていて、その
形や色がにわかに判別できない。小便で濡れる恥毛は艶やかに秘奥を隠す黒い滝となって、
凌辱者の視線を遮っている。それでもその奥に、陰裂からはみ出た小陰唇が震えているのが
伺える。
 子供のような体躯に似つかわしくない淫蕩さが、露わになった秘所からは匂っていた。
「グロいですねぇ……」
 カメラをズームにしながら、逢坂が半ば本気の声でそう言った。幸が彼女を睨みつけるとほ
んの少し身を引いたが、カメラは逸らさない。

155:女学院復讐SS 2/12
09/06/19 04:41:53 7Gtfcep3
「なに後輩ビビらせてんだよ。ほら、香堂、足持ってよ」
「はい、そっちもお願いしますね」
 二人は片足ずつ両手に抱えて、左右に開いていく。幸も抵抗しないわけではなかったが、
体が小さく力も弱い彼女では二人がかりの強制開脚に対抗できるはずもない。ほどなく、幸の
両足は鈍角のV字を描き出した。
「それじゃあ入れるわね。しっかり開いててね」
「うん」
「私ここに来て、カメラ大丈夫?」
「はい、ちゃんとグロいあそこが映ってますよー」
 開かれた股に顔を寄せて、文月がくすりと笑う。細い指が生い茂る繊毛をかきわけ、 ぐちっ、
と容赦なく秘裂を割り開いた。色素の沈殿もない薄桃色の内襞が、外気と悪意ある視線に晒
されて怯えるように震えた。
「大人の形してるわりに、色はかわいいピンクなのね」
「逆にエロいなー」
「処女なんですか?」
 香堂が、ちらりと幸の顔を見返った。幸は初等部からこの学院で暮らしている。男と触れ合う
機会が全くないわけではないが、性行為の経験などある方がおかしいというものだ。香堂もわ
かって聞いているのである。
 幸は視線を厳しくするだけで答えない。その様子を見て、文月が口端を吊り上げた。
「確かめましょう」
 そう言って、文月はペンケースから一本のボールペンを取り出した。ノック式の黒いペンで、
学院の購買で売っているものだ。ペンケースの中には同じようなボールペンが二十本近くも入
っている。
「まず、一本」
 つぷ、と先端が靡肉にもぐりこむ。プラスチックの冷たい感触に幸が小さく声をあげ、四人が
嘲笑を漏らした。歯を食いしばって睨みつけるものの、文月は笑顔を浮かべるばかりだ。入り
口を探るようにペンが蠢く。幸は一日一回は自慰を行うが、それにしたって襞の表面を指で擦
る程度で、何かを入れたことはない。乙女のような貞操観を持っているわけでもないが、それで
も同性にボールペンで破られるとは思いもしなかった。
 細く、硬く、冷たい感触が秘肉を擦りながら淫奥へと近づいていく。じわじわと攻め込まれる
恐怖が、少しずつ、幸の体を震えさせている。
「怖いの?」
 見透かしたように、文月がつぶやいた。その視線は幸の秘所に向いたままだ。わざと肝心の
場所を外しているのだろう、ペン先が膣口をなぞるように円を描いている。
「……」
「正直に言って。怖いの、幸崎さん」
 足を抱えている香堂と柚子澤も、秘所の前に顔を寄せる文月も、それらをカメラに収める逢
坂も、幸が震えているのは明白だとばかりに薄笑いを浮かべている。噛み締めていたはずの
歯がカチカチと音を立てている。今まで自分が犯してきた女たちと同じような惨めな反応だけ
は見せまいと、幸はそれだけを考えて涙の浮かぶ眼を吊り上げていた。
「怖く―ない」
 裏返った声を震わせて、幸はそう強がりを吐いた。感心したように文月が吐息まじりの笑み
を浮かべて、
「あ、そう」
 ずぐり、と一気にそれを突きこんだ。
「あ、ぅ――!」

156:女学院復讐SS 3/12
09/06/19 04:42:29 7Gtfcep3
 細いペン一本、予想したような痛みや衝撃はなかった。ただ、異物が押し入る強烈な違和
感と不快感、そして『犯された』という実感が、ぞわりと幸の心を蝕む。目の前がぐらりと揺れて、
それだけで崩壊しそうになる。
 踏みとどまったのは、単純に屈するのが嫌だったからだ。ただの強情に過ぎないが、それで
も幸は悲鳴を飲み込んで視線に力をこめることが出来た。
「入ったのかよ」
 かすれる声で、そんな言葉さえ投げてみせる。自分はただ泣き叫ぶだけだったお前らとは違
うのだと、そう心で叫び続ける。そんな幸の精一杯の強がりに、
「入ったわよ。ほら、幸崎さん、一緒に数えて」
 文月の一言が亀裂を入れた。
「数え……?」
「そう。これが一本目。はい、二本目」
 かちり、とペンの尻に硬いものがあたり、震動で膣がこすられる。息を呑む幸を嘲笑うように、
二本目のペンが突きこまれた。
「いぎ……っ!」
「まだ余裕あるわね。ほら、数えるんだって。三本目」
 二本のペンでもう埋まりきっている隘路に、強引に三本目のペンが割り込む。肩を跳ねさせ
て、幸が細い喉から空気の塊を吐き出した。
「次は四本目ですよ」
「はい、よん、ほん、めー」
 笑いながら、幸を取り押さえる二人が囃し立てる。抗議の声をあげようにも、膣を押し広げて
突きこまれるボールペンがそれを阻害する。四本のボールペンが股間から伸びるのを、幸は
荒い息を繰り返して睨みつけた。
「がんばるわね。あと何本いけるかな」
「あたし的には、最低十本はがんばってほしいですー」
「いやあ、十五本はいけるさ。なあ?」
 柚子澤が片手を伸ばして、ボールペンを押し込んだ。びくりと背を反らせて、幸が呻き声を
あげる。
「なに言ってるんですか、せっかく用意したんだから、全部使わないと」
 ぐらり、と視界が揺れる。全部。全部と言った。一体何本あるのだろう。たった四本で、もう幸
の体は限界を訴えている。柚子澤の言葉を信じるなら最低十五本―この四倍近い数が、
膣に押し入ることになる。
 無理に決まってる。そんなの、耐えられない。
「お、おまえ、ら」
「はい、五本目」
「ごほんめー」
 声を弾ませる逢坂に合わせるように、赤いボールペンが林立する黒い柱に加わる。五本に
なった膣栓を見て、うん、と文月は頷いた。
「いいオブジェだと思わない?」
「数が足りないな」
「あと三倍はないといけませんよね」
「そっか。だってさ、幸崎さん。何か言いたいことある?」
「う……ぐ、い、」
 幸がゆっくりと口を開く。哀願なんて誇りが許さない。この期に及んで罵声を吐こうとして、
「いひぁああっ!」
 股間を襲撃した強烈な刺激に、思わず悲鳴をあげてしまった。

157:女学院復讐SS 4/12
09/06/19 04:42:58 7Gtfcep3
 バチバチと視界が瞬いて、危険を知らせるシグナルがひっきりなしに脳内で警報を鳴らす。
みちみちと膣が裂ける音が聞こえる。それが幻聴であるとわかっていても、幸は自分の股間が
真っ二つに裂けてしまったのではないかと本気で考えた。
 それほどの痛みだった。
 膣を駆け上り全身の血管を踏破して頭上へ突き抜けた痛みは、今まで幸が経験したどんな
痛覚とも違う性質のものだ。まるで神経を直接焼かれるような、名状しがたい衝撃だった。
「ふ、あ、ああ、」
 何が起こったのか、またしても涙がこぼれはじめた視界を、ふらふらとそこへ向ける。伸び上
がるボールペンの森が、倍近くに増えているように見える。
 ……錯覚ではない。
「はい、八本目。あれ、計算合わない?」
 わざとらしく笑いながら、文月がボールペンの尻をぐりぐりと回した。膣壁を撹拌される想像を
絶する感覚が、体の中心を走り抜ける。
「あっ、か、あああっ」
「かわいい声」
 ずちゅっ、と湿り気のある音がして、またペンが一本増える。濡れているわけではない。破瓜
の血があふれ出して来たのだ。ペンの林を伝う赤い雫に、文月は笑みを深くした。
「はい、十本目」
「大台突入だな」
「ふたけたですよー、先輩、すごいですね!」
 限界近くまで広がった膣口を更に押し広げて、今までのものより若干太いペンが潜りこむ。
抉りこむようにしてペンとペンの隙間にそれを差し込むと、文月は全てのペンのノッカーに掌を
添えた。
「これ以上は無理みたい。でも、全然足りないわよね?」
「そうですね。これで終わりなどといわれても、納得できません」
「おまえら……」
「ちゃんと撮ってますからねー、安心して泣いたり叫んだりしてくださいねー」
 この先の展開を予告するように、あるいは脅すように、文月の手がノッカーを軽く叩く。たった
それだけの刺激にも背を震わせる幸を見て、復讐者はこらえようともせず笑い声をあげた。
「それじゃ、いくわよ」
「あ、あ、ま、待っ―」
 文月の白い掌が、並ぶ十のノッカーに向かって、思い切り突き出された。
「んやぁああああぁああ――!」
 ザアッ、と視界に真っ赤なノイズが走る。
 ぐじゃっとグロテスクな音を立てて突進したペンたちは、未だ異物を知らない膣を抉り、未踏
の処女道を突き抜けた。飛び出たペン先が膣壁をつつき、激痛の中にひとしずくの快感を垂
らす。だがその程度では、脊椎を炙る激痛を紛らわせるにはまるで足りない。
「全部で二十本用意したから、足りない十本分はこれで我慢してね、みんな」
 言って、文月がペンを掴んだ手をぐるりと回した。十本のボールペンが互いにぶつかり合い
ながら、膣の中をぐじゅぐじゅと抉る。
「い、ぎあぁああ! やっ、やめっ」
「はい、二回目」
 今度は逆方向に手首が捻られる。跳ね上がる腰を香堂と柚子澤が押さえ込み、喉を反らし
て悲鳴をあげる様を逢坂が楽しげに記録する。
「やっ、やぁっ、いひゃあぁああっ」

158:女学院復讐SS 5/12
09/06/19 04:43:39 7Gtfcep3
 回転しながら抉るようにペンが押し込まれていく。涙でけぶる視界はまともに像を結ばない。
真っ赤なノイズが白濁する世界に踊っているだけだ。開きっぱなしで閉じることもままならない
口から、ぼたぼたと涎がこぼれおちる。伸ばされた舌が宙で踊り、ろれつのあやしい悲鳴が迸
る。情けない惨めな姿だが、幸にはもうそれすらわからない。
「―はい、十回目」
 いっそ優しげな声で、文月がそうつぶやく。事態を理解させようと一拍の間を置いて、幸の
反応を確かめた。
 幸には文月の声は聞こえていない。ただ、ずっと膣を抉りこんでいた感覚がなくなったことに、
ほんの一瞬気をゆるめて文月を見た。これで終わったのかと、無言の安堵が視線に現れる。
 文月は笑っていた。まさに、この一瞬を待っていたのだと言わんばかりに。
「そうれ!」
 掛け声をあげて、鍵のかかったドアノブを無理に開けようとするように、文月は乱暴に激しく、
手首を往復させた。

 ―ぐちっ! ぐちゃあ! ぐちゅあぁっ!

「―ぁっ」
 声が詰まる。音にならない。体を抉られる音が内側から聞こえる。おなかの中が燃えている。
炎が体中を巡っている。死ぬ。死んでしまう。死んでしまう!
「ああぁあああああ! や、も、もうやだ、いやだあぁああ!」
 全身を暴れさせて、幸は叫んだ。叫ばずにはいられなかった。今なにがどうなっているのかわ
からない。ただ、このままでは自分はどうにかなってしまう。ぼろぼろと涙をこぼして両手を振り
乱す幸を、香堂と柚子澤があわてて押さえ込む。文月が立ち上がって一歩下がると、二人も
幸から一旦離れた。
「やぁああ! も、もうやだ、やだよぉ! くんな! 来るなよお!」
 自分の体を抱いて震える幸は、さっきまでとはまるで別人のようだ。つまらなそうに唾を吐い
て、柚子澤が股間のボールペンを蹴り上げた。
「んきゃあああっ」
「この程度で参らないでよ。本番はこれからなんだからさ」
 言い捨てて、柚子澤は大股でトイレの奥へと向かっていく。不愉快そうなその背中をみやっ
て、香堂が軽く肩をすくめた。騒動の末に脱げてしまった幸のスリッパを拾って、仕切り直しだ
と言うようにパンパン、と打ち合わせる。
「四つんばいになりなさい」
 そして、高みから見下ろすような声で言った。
「え……?」
「四つんばいに、なりなさい」
 パンッ、とまたスリッパが音を立てる。「じょうおうさまですね」と逢坂が恐々つぶやいて、文月
が苦笑を返した。
 もう逆らう気力もないのか、幸は言われるままに大理石の床に手と膝をついて、震えるお尻
を香堂に向けた。まくりあがっていたスカートが垂れて、白く丸い桃肉を覆う。肩越しに怯えた
視線をよこして、
「たた、くのかよ」
 と涙まじりの声をあげた。
「それもするけど、今は違います。今は、あれ」
 そう言って、香堂はトイレの奥、用具室から出て来た柚子澤を指で示した。幸がそちらに目
を向ける。―息を呑む音が、離れて立つ文月にまではっきりと聞こえた。
 薄笑いを浮かべる柚子澤は、その手に長い、長い、水道のホースを握りしめていた。

159:女学院復讐SS 6/12
09/06/19 04:44:29 7Gtfcep3
「覚えてる? 覚えてるよね? これ」
「は、や、や、やだ! いやだぁあ!」
 四つんばいの姿勢のまま、犬のように手足を振り乱して、幸は逃げ出した。覚えている。正し
く言えば思い出した。あれを肛門に突き刺して、おなかが膨れるまで水を注ぎ込んだのだ。ぼ
ろぼろ泣いて許しを請う柚子澤の顔を踏みつけたことも、幸ははっきりと思い出した。
 記憶の中で、泣き叫ぶ柚子澤が自分と重なる。それは眼前まで迫った絶望的な未来だ。
「逃げないでくださいよ」
 当然のように、逃げ道を香堂が塞ぐ。眼鏡を押し上げて、いつか彼女にそうしたように、頭を
踏みつけられた。大理石の滑らかな感触が頬いっぱいに広がって、それでも幸は手をばたば
たと暴れさせる。まるで駄々をこねる子供のような、不様な姿だった。
「ほら、尻あげてよ、尻」
 まくりあげるのも面倒がって、柚子澤がスカートをズルリと引きずり下ろした。震える双臀とボ
ールペンが突き立ったままの陰部が晒される。十本のボールペンは血を滴らせて、強引に広
げられた膣は暴虐に喘ぐようにひくついている。
 それでも柚子澤は、その光景を不憫に思うことも、痛々しいと感じることも、罪悪感を覚える
こともなかった。それは囚人の処刑を憐れむようなものだ。
 潤滑液がわりにぬめる血液を掬い取って、肛門に塗りつける。その様子を見て、文月が手
洗い場から石鹸を持ってきた。軽く泡立てて塗りこむと、ぬるりと指が潜りこむ。これならば入り
そうだ。
「どのくらい耐えられるかな? どのくらいなら耐えられる?」
「むっ、無理、無理、無理! 無理だよぉ!」
「そんなことないよ。結構はいるもんだよ、ホースも水も!」
 どうにか逃げようと左右に揺れる柔肉を掴んで、石鹸で白く泡立った窄まりに指をかける。小
さく悲鳴をあげて背を反らす幸に笑い声を投げかけて、柚子澤は親指を菊座に押し込んだ。
「ふぁっ! は、ぬ、ぬいて!」
「まだ入ってないものを、どうやって抜くっていうんだか」
 爪の先から第一関節までを潜りこませると、鉤状に曲げた指を外側に引き寄せる。少女ゆえ
の柔らかさでぐにっと肛門まわりの肉がまるごと歪み、ピンク色の直腸壁が顔を出した。
「にわ子」
「はいはーい」
 呼ばれて、逢坂がカメラを構えたまま小走りに駆け寄る。むき出しにされた排泄器官をアッ
プで撮って、「おおお」と感嘆の声をあげる。
「なんか、やっぱグロいですね」
「だってよ?」
「う、うぅ、やめて、もうやだよぉ……」
 声をかけられても、涙をこぼすばかりで幸は何も答えない。これから何が起こるのかも、その
苦痛も、結末さえわかっているから、現実から逃げるくらいしか身を守る方法がないのだ。
「えっとー、えいっ」
 そんな幸の最後の抵抗を笑うように、逢坂の人差し指と中指が、一気に震える肛門に突き
こまれた。中で二本の指をパタパタと振る。直腸を嬲られる感覚に、幸は悲鳴をあげた。
 肛門は言うまでもなく排泄のための器官で、異物は自動的に外へ吐き出すように出来てい
る。その圧力すら愉しむように二本の指をわずかに前後させて、逢坂は柚子澤に倣うように、
二本の指をいっぱいに開いて、鉤状に曲げたそれを思い切り外側に引っ張った。
 口を閉ざして震えていた肛門は、今や歪んだ三角形を作って腸壁を晒している。
 冷気が内臓に直接触れて、幸の体を内側から冷やしていく。さっきからずっと目の前が真っ
赤で、視界がぐらぐらと揺れ続けている。きちんと前が見えないのは、泣いているからだけだろ
うか。幸ははもう、どうしたらいいのかわからなかった。どうすればこの状況を逃げれるのか、いく
ら考えても答えが出ない。こんなはずじゃない、こんなことになるはずはなかったのに。

160:女学院復讐SS 7/12
09/06/19 04:45:00 7Gtfcep3
「幸崎さん」
 いつの間にか幸の脇にしゃがみこんでいた文月が、にっこりと笑った。
「助かりたいの? 許して欲しいの? ごめんなさいって謝って、自分のしてきたことが最低で
馬鹿げたクズみたいな遊びだって、認められる?」
「はっ、は―」
 不思議と、文月の言葉だけはいやによく聞こえた。視界さえ明瞭になる。
 背後では柚子澤が開いた菊口に細めたホースの先をあてている。その感触を肌で感じて、
幸はガチガチと歯を鳴らした。
「この女学院であなたがしてきたことが、最低のことだって、言える?」
「はっ、はっ、はっ、はっ」
 幸は初等部の頃からこんなことをしてきた。女学院での最大の楽しみは、間違いなくこれだ
った。それを否定するということは、彼女の十数年を否定するということだ。幸にはプライドがあ
る。元々、彼女は誇り高い人間なのだ。そんなことを、容易に認められるわけがない。いかに
心身ともに嬲られきって衰弱していても、迷う。
 文月は、その迷いを知っていた。
「残念。幸崎さん謝るのは嫌だって。柚子澤さん、やっちゃいましょう」
「―えっ」
 最後の、助かる唯一の機会を自ら棒に振ったことを知って、幸は愕然と声をあげた。縋れた
かもしれない藁が、流されて消えていく。その絶望は、幸の心にぽっかりと穴を空けた。
「ひぁあああっ!」
 その穴を埋めようと、青いホースが首をもたげて潜りこむ。少しずつ数を増やされたボールペ
ンと違い、最初からある程度の太さを持つ太いホースの侵入は、幸の視界をまた赤い明滅で
埋め尽くすのに十分だった。
 肛門が侵入する異物を押し返そうと蠢きはじめるが、最初から広げられた穴では十分な働き
ができない。分厚いゴムの管は狭い道のりをぐにぐにと押し広げながら、五、六センチばかりも
潜り込んだ。
「このくらいなら、抜けないかな」
 言って、柚子澤が親指を引き抜く。それを見て逢坂も指を抜いた。途端に肛門が口を閉ざ
し、わずかにホースが押し出されるが、これほどの長さを吐き出せるほどの力はない。
「幸崎さん、いきんでみたら? 出るかもしれないわよ」
「ふ、ん、んー! ん――!」
 言われて、幸は必死になって括約筋に力をこめた。ひくひくと肛門が震え、菊皺がわずかに
広がって捲くり返る。だが、そんなことでホースを排出できるはずもない。
「ほんとにやってるよ」
「馬鹿っぽいですよぉ、先輩」
 背後で笑われて、幸は大理石の床に顔を押しつけた。もういやだ。もういやだ。今すぐここか
ら逃げ出したい。どうしてこんな目に遭うんだ。おかしい。おかしいじゃないか。
「それじゃあ柚子澤さん。注水といきましょう」
「まっ―待って! いや、それは嫌、やだ!」
「そりゃあ嫌だろうなあ。私も嫌だったよ」
 笑いながら、柚子澤がホースの根元、トイレの奥に歩いていく。文月が立ち上がって、ゆっく
りとした足取りで幸の背後に回った。肛門を押さえる必要のなくなった逢坂が、一歩退いてカ
メラを構え直す。
「ねえ幸さん。さっきの質問だけど」
 水道の栓が開かれ、ホースの内側を水道水が走りだす。シャアアッ、と滑らかに響く音に幸
が身を竦めるが、その瞬間はやってこない。

161:女学院復讐SS 8/12
09/06/19 04:45:32 7Gtfcep3
 香堂が、頭を踏みつけていた足を放した。おそるおそる背後を振り返ると、伸びるホースを、
文月が足で踏みつけていた。あれならば、そこで水は止まりここまでやってこない。蛇口も全開
にしているわけではないのだろう。水のたまりも遅いようだ。
「今なら答えられるんじゃない? あなたのしてきたことを、あなたの十年間を、あなたの口で否
定してちょうだい」
「……あ、ああ、」
 さっきは見逃した救いの藁が、今またそこに漂っている。それは幸のアイデンティティに関わ
ることかもしれない。それでも、この場から逃れられるのなら、なんだって構わない。
 顔を前に戻す。香堂は一歩も動かずそこにいる。逃げようとしても無駄だろうし、元からそん
な体力はない。幸の膣には、まだボールペンが十本も群れを作っているのだ。
 もう一度肩越しに振り返って、幸は涙でぐしゃぐしゃの顔を更に歪ませた。
 文月の足によって止められている水が、ホースを内側から押し広げている。ホースの膨らみ
はそのまま、幸にとっての絶望の量だ。水圧でホースが揺れるのを見てとって、幸は一度唇を
噛み締めてから、
「みとめる、」
 と、つぶやいた。
「何を、どう、認めるの。もっとはっきり言いなさい」
 冷たい声は香堂のものだ。幸は震えながら、肺の中身を全て音にするように、悲鳴じみた宣
誓を行った。
「アタシがしてきたことは、馬鹿で下種な最低の遊びだった! 本当に―本当にそう思う! 
ごめんなさい! もうしません! だから許して! もう許してください!」
 ガクガクと震えながら、顔中を涙で濡らして、それでも幸は言い切った。それはこの場の全員
が望んでいた謝罪だ。普通の方法では決して得られなかっただろう、幸崎幸の懺悔だ。
 満足したように、文月は微笑んだ。他の二人も、胸につかえていたものが少しは取れたよう
に、小さく頷く。
「そう。わかったわ、幸崎さん」
「あ……」
 安堵に、幸が震える笑みを浮かべる。儚いその笑顔を見て、
「それじゃあ、お仕置きね」
 文月は微笑みを浮かべたまま、ホースを踏みつけていた足をあげた。
「え」
 散々せき止められていたものを解放されて、鉄砲水が弾け飛ぶ。垂れていたホースを水圧と
衝撃で跳ねさせるその勢いのまま、幸の腸内へ一挙になだれ込んだ。
「ひゃああぁああああ―――ッ!」
 普通に生きていればまず経験しない直腸への逆流に、幸は背を仰け反らせて悲鳴をあげた。
冷たい。異物感などは二の次だ。腹の奥まで流し込まれる冷水の低すぎる温度だけが、幸の
感覚の全てだった。
「このまま、逆側からお腹いっぱいにしてあげるよ」
 用具室から出て来た柚子澤が、笑いながらそう言った。
「なんで! な、ひゃあぅっ、なんれ、なんでだよぉ! あやまっひゃのに、あ、アタ、アタシ、ちゃ
んとあやまったのにぃ!」
 バンバンと大理石の床を叩いて、幸が吠える。耳元では大量の水が胃に逆流する音が聞こ
えている。もちろん本当にそんな音が鳴っているわけではない。全て幻聴だ。
 だが今の幸にとって、その恐怖は現実だった。
「謝ったわね。そうすれば許すなんて、誰が言ったの?」

162:女学院復讐SS 9/12
09/06/19 04:46:18 7Gtfcep3
 水の勢いが強くなった。柚子澤が用具室に戻って、蛇口を更に開いたのだ。ドドド、という水
音が、今度は本当に響いている。腸の柔壁を盛大に叩かれて、ビクリビクリと白い尻が跳ねる。
薄く張られた漿膜を乱暴に撫でながら、漿液と交じり合ってS字結腸にまで達し、溢れかえっ
て踊っている。
「う、うあ、ひゃっ、ああ、う、うそつき、うそつき、うそつきぃ……!」
 なんてつまらない手に引っかかったのだろう。騙した文月も、騙された自分のことも許せな
い。
 心を奮い立たせることはもうできない。違う誰かをいたぶることすらもうできないだろう。今日こ
の日が、この宣誓が、永遠に幸につきまとう。誰かを嬲る喜びは、幸の中から消えたのだ。虐
げられる立場に転落し、そこから這い上がる唯一の方法すら奪われた。
 幸にはもう、戦う気力がない。
「うああああ! もうやだ! や、ふぁあっ、つ、冷たいよぉ、ぬいて、もうやめてよぉ!」
「って言ってるけど、どうする?」
「あ、じゃあ、そろそろ私いいですか?」
 スリッパを掲げて、香堂が言った。微笑んで、文月が位置取りを交換する。逢坂が「すぱん
きんぐっていうんですよね!」と無邪気に声をあげた。
「おなか、苦しくないですか」
「う、うひっ、ひぅ、ふ、ふ、」
 苦しくないはずがない。柚子澤が調節しているのか、水の勢いは収まってきてはいたが、そ
んなものは気休めにしかならない。下腹部は妊婦のように膨らみ、大量の水が腸壁を押し広
げている。冷え切った腹部が激痛を訴え、ぐるぐると不穏な響きまで立てはじめた。体を丸め
て耐えているが、決壊はそう遠くないだろう。
「苦しいですよね? うん、そうですか。よかったです」
 そこで、放水は止められた。ホースを生やした肛門付近に水がにじんでいる。逆流してきた
のだろうか、と香堂は考えて、どちらが逆流なのかわからずに苦笑した。
「それじゃあ、我慢してくださいね。私、汚れたくないので」
 ひゅうん、と風切り音を立ててスリッパを振る。震える柔尻に一度スリッパを優しくあてて、そ
れから思い切り振りかぶった。
「一発目!」
 ぱあん! と景気のいい音が響く。びくん、と幸の背が跳ねて、すぐにまた身を丸める元の姿
勢に戻る。それを見て、香堂は遠慮なく二発目を打った。
「くぅあっ! あ、ふ、ふぁっ! ぎぅっ!」
 ぱあん、ぱあん、と音が鳴るたびに桃尻がふるんふるんと跳ね回り、繋がっているホースが踊
る。性器に潜りこんだままのボールペンがカチャカチャと音を立てて、しぶとく伝う処女血が床
に雫を落とした。
「まだ! まだ! 我慢! するんです、よ!」
 幸の尻はあっという間に真っ赤になってしまった。香堂はわざわざ左右叩き分けて、休まず
に腕を振る。呻き声をあげ、打擲のたびに体を跳ねさせながら、それでも幸は懸命に肛門を
締め付けた。そんなことに意味はないと知っていても。
「香堂先輩、過激ですねえ」
「お前はやらなくていいの?」
 いつの間にか用具室から戻っていた柚子澤が、香堂のスパンキングを楽しげに眺めてそう
言った。ちらりと視線を投げて、逢坂はふるふると首を振った。
「おもらしの仕返しは、もうしましたからねー」
「なるほど」
 ばあん! と一際大きな音が響いて、幸の小さな体が、上半身が起き上がるほど弾んだ。何
事かと思えば、香堂がスリッパを肛門に直接たたきつけたらしい。ぷぴっ、という下品な音を立
てて、水が数滴散るのが見えた。

163:女学院復讐SS 10/12
09/06/19 04:47:44 7Gtfcep3
「……まあ、こんなものでしょう」
 息を切らせて、香堂が体を横にずらす。いざ決壊するとなった時に、足にかぶったりしたら最
悪だ。スリッパを、わざわざ幸の顔にあたるように投げ捨てる。
 文月はその様子を見て、一度全員を見返った。腕を組んで笑みを浮かべる柚子澤。わずか
に頬を上気させ、息を整えている香堂。カメラを構えて、にこにこと笑う逢坂。そして、今も体を
丸めたまま、震えて便意に耐える幸崎。
「……みんな、いいかしら」
 授業時間もそろそろ終わりだ。全員が顔を見合わせて、一様に頷く。文月は頷き返して、足
もとの幸に目を向けた。
「立って」
「む、り」
「今度は本当に、これで許してあげる。だから立って」
「……う、ぐ……」
 文月の言葉を信用したわけではないが、どちらにせよ従わなければいけないことに違いはな
い。幸はおなかを押さえて、ふらふらと立ち上がった。
「小さい方からはじまったから、大きい方でおわらせるの。楽しいでしょう?」
「ゆ、ゆるして、くれるっ、て」
「うん。今からいうことをちゃんとできたらね」
 文月はまず制服を指さして「脱いで」と簡潔に命令した。
「う……」
「股間からペン生やして、今更でしょ。間に合わなくなっちゃうわよ」
 震える手で、幸は制服を脱ぎはじめた。腹痛を堪えてのことだからいちいち動きが遅い。だ
が幸にしてみれば、これは本当に最後のチャンスなのだ。今更と言うならばそれこそ今更だが、
それでも幸は従わないわけにはいかなかった。
 ほどなく、幸は下着も脱ぎさって裸になった。局部を隠す余裕などない。慎ましい胸と桜色
の乳首を見て、文月は少しだけそこを責めなかったことを残念に思った。
 制服と下着を受け取って、微笑む。幸は動こうとしない。許されるのを待っているのだ。勝手
に判断してトイレに駆け込まない程度には、この数十分で『調教』されていた。
「それじゃあ幸崎さん。今日何をされたかはわかるわよね。みんな、やられたことをやり返した。
そうよね?」
「……」
 聞かれても、幸に答える気力は残っていない。ただ頷くだけだ。
 文月はそれで満足なのか、頷き返して、それから、
「でも、私は、まだよね」
 うっすらと、心臓まで凍るような笑顔を浮かべた。
「え……」
「私にしたこと、覚えてる? 伊勢宮さんじゃなくて、あなたが、したことよ」
「……」
 幸は腹痛に占領されそうになる頭をひっくり返して、必死で思い出そうとした。文月にしたこ
と。幸が、文月にしたこと。いくらでもありそうな気がしたが、そう多くはない。裸にして、写真を
撮って、性器を嬲っていたのは伊勢宮だから―
「あ」
 ―そして、その答えにたどり着く。わかってみれば簡単だった。幸はほとんど、それだけを
文月に与えたのだ。
「ま、って」
 もうずっと震えている声で、なんとか制止の言葉を紡いだ。だがそれがなんだというのだろう。
「それじゃあ、いくわね」
 笑顔のままだった。文月は笑顔のまま、足を振り上げた。

164:女学院復讐SS 11/12
09/06/19 04:53:27 7Gtfcep3
 逃げたい。だが逃げられない。足がすくむ。それでなくとも、幸は精神的にも肉体的にももう
限界だった。
「せーの!」
 掛け声とともに、文月の細い脚が風を切ってしなり、幸の膨れ上がった下腹部をしたたかに
蹴りつけた。
 水の詰まった袋を蹴ったような、ぼすっ、という鈍い音が響く。体をくの字に折って、幸は呼
吸を止めた。時間さえそれで止まればと、刹那の感激に叶わない願いを祈る。
 だが、腹部から迸る衝撃は、それすら許さない。
「ふ、あ、あああああああああああああああっ!」
 決壊は一瞬だった。
 今まで誰も聞いたことがないような凄まじい放出音と共に、まずホースそのものが吐き出され
た。噴出した水が後を追って大理石の床を叩く。それはまだ透明な水道水だ。がくがくと震え
る足を伝い水溜りを作りながら、おそろしく遠くまで飛沫を飛ばす。文月を含め、全員が幸か
ら距離をとった。
 水の勢いが弱まりはじめると、幸の腹から唸り声のような異様な音が響きはじめた。激しく首
を振ってその瞬間を拒否しようとするが、そんなことをしても何の意味もない。
 激流が腸を駆け抜けるのを、幸ははっきりと感じ取った。それは氷のように冷え切っていなが
ら同時に体を焼き尽くす灼熱で、下腹部をぐるりと巡りながら腹の内側を蹂躙する。激しすぎ
る通過に腸壁が悲鳴をあげ、一センチも広がった肛門がべろりと裏側まで捲くれてビクビクと
痙攣する。
 そうして、何かが爆発したのかと思うような、ばん! という音と共に、茶色の液体が幸の肛
門から噴出した。
「うああああっ、ああ、あっ、ああああああああああっ」
 ばじゅっ、ぶりゅ、ぶじゅっ、と、聞くだけ吐き気を催すような汚らわしい音が、磨き上げられた
大理石を穢していく。水溜りの上に降り注ぐ赤茶色の液便はあっという間に透明な水道水を
汚水に変えてしまった。
「きたない……」
 ぼそりと、香堂がつぶやいた。
「いや、いやあ、やだあああああっ」
 立っているのも辛いのだろう、幸の体が沈みかけたが、その下は便の海だ。震える足をどうに
か叱咤して、無理矢理にでも中腰を維持する。
「あ、あ、うそ、ち、ちがっ、ふあぁああっ」
 排便が促したのか、あれほど出したというのに、ボールペンの林立する股間から黄色い飛沫
が飛び散った。びしゃびしゃとふたつめの尿だまりが出来上がる様を見て、四人が小さく吐息
をつく。
「これは予想外ね」
「おもしろい絵が撮れましたよー」
 ぶびゅるっ、という放射音を最後に、幸の放便は終わった。震えながらも最後まで立ち続け
た幸は、大きく息をついてよろよろと体を起こした。
「お、わり……?」
 真っ赤になった目を向けてそう言う幸に、文月は頷いた。
「ええ。後片付けをしておしまいよ。もう授業も終わる。……みんな、おつかれさま」
「いや、私だけじゃ、とてもここまでできなかった」
「そうですね……やっぱり、あまりいい気分ではないですけど、気は晴れました」
「この映像は責任を持ってネットに流しますよー」
 最後の言葉に幸がかすかに震えたが、抗議の声はあげなかった。今日のはじまりを思えば、
それは当然の結末だ。

165:女学院復讐SS 12/12
09/06/19 04:55:16 7Gtfcep3
「それじゃあ幸崎さん。後片付けはよろしくね。これ、雑巾だから」
 言われて、幸はふらふらと視線をそれに合わせた。笑顔の文月が突き出しているのは、幸の
制服だ。
 ……幸の制服だった。
「ぞう、きん?」
「そう、雑巾」
 そう言って、文月は当たり前のように、制服一式をまるごと、糞尿の海に投げ捨てた。びちゃ
り、と音をたてて上質の布地が水没し、雫が跳ねる。制服はあっという間に水と尿と便とを吸
い込んだ。
「……あ、あ」
 呆然としたまま、幸は動けない。そんな彼女を尻目に、一行はぞろぞろと出口に向かう。
「おわったー、つかれたなあ」
「みんな、幸崎さんの他には誰かいましたか?」
「あたしの時は知らない先輩がいました。髪が長いの」
「ああ、月小路さんね。彼女は私もはじめてみたわ……あ、ごめん、みんな先に行ってて」
 文月だけが集団から外れて、用具室へと戻る。手に何かプレートのようなものを持って、糞
尿溜まりを避けながら呆然とする幸の前を通り過ぎる。他の三人がトイレを出たことを確かめて、
幸に小さく、囁くように声をかけた。
「幸崎さん、ひとつだけ、教えてあげる」
「え……?」
 ふらり、と顔をあげる幸に、文月はにっこりと微笑んだ。彼女が微笑む時は、大抵ろくなこと
を言わない。文月自身ですら、そう思っている。
「最近、チェーンメールが、多かったんじゃない?」
 一語一語区切るような言い方で、文月はそう告げた。
 幸は不可解そうな顔から、ほんの数秒で愕然と瞠目して、小さく呻き声をあげた。
「幸崎さん、賢いのね。でも、これからは気をつけてね。携帯電話にも、ウイルスってあるのよ」
 取り出してみせた文月自身の携帯電話をくるりと回す。この事態の元凶となった画像流出、
その証拠が全て詰まっているかもしれないそれを、文月はあっさりと叩き折った。
「それじゃあ、さようなら」
 優雅な足取りでトイレを出て行く。足もとに転がる操作盤と液晶を呆然と見つめて、幸はとう
とう、膝を折った。
■■■
「なにしてたんだ?」
「あ、待っててくれたのね」
 文月は微笑んで、トイレの扉に『清掃中』と書かれたプレートをぶら下げた。納得したように
頷く三人に微笑んで、響きはじめた授業終了のクラシックに天井を見上げる。
「……それじゃあ、教室に戻りましょうか」
「そうだね。おつかれさん」
「また連絡しますね」
「有瀬先輩、あとでアップロードのこと教えてください」
「いいわよ」
 三人がそれぞれの教室に向かって立ち去って行く。無人の廊下を歩く様子は少し目立って
いるが、すぐに廊下に溢れ出る生徒たちが、不自然に集まっていた彼女らをあっという間に飲
み込んでしまう。まだ曲は終わっていないのに、気の早いことだ。
「うん、ちょうどいい時間―」
 防音性の高い扉の向こうから、悲鳴のような、泣き声のような絶叫が聞こえた気がしたが、
「―予定どおりね」
 響くクラシックにかき消されて、誰の耳にも届かなかった。

166:名無しさん@ピンキー
09/06/19 04:57:56 7Gtfcep3
以上です。
んじゃつづき書いてくる。

あと、すごい遅筆で申し訳ない…

167:名無しさん@ピンキー
09/06/19 08:02:09 tYhL6LSk
メシウマGJ!
描写がしつこ過ぎず淡白でもなく、巧いなあ
次は月小路かな? どんな方法でどうなるのか楽しみにしてます

168:名無しさん@ピンキー
09/06/19 16:25:36 SnnnHT0e
超GJ!
この分量とペースで遅筆だなんてとんでもない!
いつまでも待ってるのでゆっくり気が済むまで書いてください

169:名無しさん@ピンキー
09/06/20 19:13:37 pKTW34qg
GJ、すげぇな!
正直、ここまでの大作が見れるとは思わんかった

170:名無しさん@ピンキー
09/06/21 12:29:29 2lkKh221
まさにスレタイ通りの神作品。
次回も楽しみにしています。

171:名無しさん@ピンキー
09/06/21 19:31:01 ljSE1s0T
あなたが神か。

172:名無しさん@ピンキー
09/06/28 10:01:37 M+PXnYt2
神降臨待ち保守っとな

いじめの鬱憤を晴らすカタルシスが素晴らしい

173:名無しさん@ピンキー
09/07/02 22:09:59 wTCuoVoE
保守age

174:名無しさん@ピンキー
09/07/04 00:19:07 eeDF992B
保守

175:名無しさん@ピンキー
09/07/04 19:31:10 jFZp+b8J
続きまだかな

176:名無しさん@ピンキー
09/07/07 04:26:16 hCf1hBHM
神まち

177:名無しさん@ピンキー
09/07/07 06:37:27 p/9bJ97q
>>153のつづき書いてみた。
以下から11レス分投下します。

178:女学院復讐SS4 1/11
09/07/07 06:38:29 p/9bJ97q
 ―息が荒い。視界が揺らぐ。足が引き攣って、横腹が悲鳴をあげている。肺が焼けるよう
に熱い。全身の細胞が限界を訴えている。
「はっ、はぁ、はぁ、」
 携帯電話を握り締めて、金色の髪を翻し、それでも伊勢宮アリスは足を止めない。寮の階
段を駆け下りて、地下に唯一作られた生徒の個室、特別製のその扉の前に立つ。
「大丈夫……だいじょうぶ」
 脳裏には、信じられないほど弱りきった幸崎幸の姿が焼きついている。この扉を開けたときそ
こに何があるのか―考えたくない。
「大丈夫」
 根拠も自信もない、ただ自分を勇気づけるためだけの言葉を繰り返して、アリスはドアノブに
手をかけた。全寮中唯一完全防音のこの部屋は、扉が重く分厚い。
 鍵はかかっていなかった。
 一抹の不安を押し殺して、アリスは扉を開けた。何かが焦げるような異臭が鼻についたような
気がする。思わず目を細めて、それでも一気に扉を開く。
 その先にあったのは―
■■■
 ―扉が開く気配に、月小路妃美歌は鍵盤の上で躍らせていた指を止めた。
 今はまだ三限の途中、授業の真っ最中だ。こんなところに……月小路妃美歌の部屋に誰
か来ることはまずない。ましてや、ノックもなしに扉を開くなどと。
「誰?」
 そういえば鍵をかけていなかったかもしれない。部外者のいない寮内で危機管理意識が弱
まるのはよくあることだが、月小路の場合は普段来訪者が極端に少ないため、なおのこと鍵に
関する習慣がないのだ。
 重い鍵盤蓋を下ろして立ち上がり、扉へと視線を向ける。そこに、予想外の人物が大きめの
鞄を持って立っていた。
「……有瀬文月?」
 眉をしかめてその名をつぶやく。呼ばれた方は静かに頷いて、勝手に室内に踏み入ってき
た。後ろ手に防音扉を閉めると、くすりと微笑んでみせる。手にした鞄を下ろして「こんにちは」
と白々しく挨拶を投げた。
「演奏中お邪魔した?」
「うん、邪魔。なに?」
 自分でも乱暴な物言いだと思うが、これは仕方がないだろう。有瀬文月は入学する前からい
じめのターゲットに決まっていて、つい昨日、これまでのまだるっこしいやり方から、本来のわか
りやすい方法に切り替えたばかりだった。わざわざ自分をいじめている人間のところにやってく
るのだから、それなりの理由があるに決まっている。
 丈の長い薄手のワンピースを纏う月小路と違って、文月は制服を着ている。つまり、一度は
教室に行ったということだ。
「今、授業中じゃないの」
「月小路さんも授業には出ていないじゃない。それも六年間も」
 言われて、月小路は口をつぐんだ。
 文月の言葉は正しい。月小路妃美歌は、初等部三年の頃から教室に行くことをやめた。も
ともと休みがちだった授業を完全に放棄したことに、さしたる理由はない。強いていうなれば、
我慢の限界だったのだ。
「すごいわね、この部屋。私の部屋の倍くらいあるわ。それも独り部屋なのね」
 くるりと部屋を見渡して、文月がそんなことを言った。

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 礼染女学院の寮は二人一部屋が基本だが、当然一般的な学生寮よりも遥かに広く、各室
三部屋に分かれているから、実質は個室と変わりない。そんな礼染の学生寮にあって、なおこ
の部屋は異常だった。
 部屋自体の広さは言わずもがなだが、その広大なスペースをたった一人の生徒が使ってい
るのだから、この部屋もその生徒も『特別』というしかない。
「このくらい広くないと、これが置けない」
 鍵盤蓋の上に手を置いて、月小路はそうつぶやいた。黒塗りの表面を手で撫でながら、ゆ
っくりと扉へ向かう。その様子を見て、文月が小さくため息をついた。
「グランドピアノなんて、部屋に置くものじゃないでしょうに」
 部屋の中央に鎮座している黒塗りの巨大な楽器。これが、この部屋が地下にあって完全防
音な理由。そして、月小路妃美歌が礼染女学院で特別扱いを受ける理由だった。
 初等部一年ではじめたピアノだったが、遅いスタートを一瞬で巻き返すほどの才能を月小
路は持っていた。あちこちからひっきりなしに招聘の要求を受け、学院の言うままそれに従っ
た三年間。月小路はその三年間で世の中に対する諦観を得、学院は広大なコネクションと多
大な利益を得た。
 一年ほど前までは特に強い要請があったものに限り演奏に出ていたが、今では全て断って
いる。それでも学院が彼女を特別扱いするのは、これまでの功績があまりに大きいからだ。
「なんてメーカーのピアノなの。有名なんでしょ?」
「ベヒシュタイン」
 月小路は淡々と答えを口にしたが、文月は小さく首を傾げるだけで何も言わない。どうやら
知らないらしかった。月小路が、無学な、と不満げに形のいい唇を尖らせる。
「ストディラヴァリとかじゃないんだ」
「ストラディヴァリだろ。ストラドはヴァイオリン」
「ああ、そうか」
 長い黒髪を手で梳いて、月小路は小さく吐息をついた。馬鹿の相手をするのは嫌いだった。
授業に出なくなったのもそのせいだ。よく三年もあんな馬鹿の巣窟に足しげく通ったものだと
思う。
 月小路にとって、世界は馬鹿の集合体だった。自分ひとりだけが特別で、他はみな虫けら
のようなものだ。脚をもいで笑っても、踏み潰して笑っても、巣ごと水浸しにして笑っても、誰も
文句など言わない。
 あるいは学院を出てもっと広い世界を知ればそうではないのかもしれないと、昔はそう考えて
いた。だがそんな幻想も、鍵盤の上を舞った三年間のうちに全て枯れ果ててしまった。
 世界には馬鹿しかいない。実に退屈だ。
「で、何の用」
 心にざらつくものを感じながら、吐き捨てるように月小路はそう問うた。このざらつきを癒す術
はひとつしかない。馬鹿どもを足蹴にして、指をさして笑うのだ。
「想像つかない?」
「つかない。……有瀬は本当に余裕だな。昨日の今日で、ここまでの奴は初めてだ」
 ほんの少し、声音に感嘆の響きが混ざった。これまでターゲットにされた生徒は、大半が翌
日の授業を休んだ。その場合月小路たちの行動は決まっている。自室で独り震えているとこ
ろを『お見舞い』に行って、休む方が辛いことを体に刻み込むのだ。ところが文月は、授業こ
そサボっているかもしれないが、飄々と月小路の前に現れた。
 目的がいまひとつわからない。まさか、復讐というわけでもあるまいに。
「……」
 当然のように否定して、それから月小路はかすかに眉根を寄せた。文月が口元に浮かべる
薄笑い。湧き上がる感情を押し込めようとして失敗したような、悪意がにじみ出るその表情を
月小路はよく知っている。幸崎幸が、獲物を前にした時あんな風に笑うのだ。

180:女学院復讐SS4 3/11
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 復讐―そんなはずはない、などと言えるだろうか。
 知らず、月小路は足を後ろに引いていた。追って、文月が歩を刻む。
「何しに来た」
「だから、想像つくでしょう?」
 喉の鳴る音がした。ざわざわと全身の毛がわなないている。幸崎に連絡を取ろうと指先が携
帯電話を探し、それが隣の寝室にあることを思い出す。ピアノを弾く時はいつも、電話を遠ざ
けるのだ。
「何かしてみろ。明日から地獄を見るぞ」
「地獄なら、今さっき見てきたわよ。あいにく、私は上から見下ろす立場だったけど」
「……っ」
 その言葉の意味を瞬時に悟って、月小路は言葉を失った。
 震える足が更に後ろに下がるのと、分厚い防音扉がわずかに動くのが同時だった。文月は
眉をひそめて、月小路は助けを期待して目を向ける。ゆっくりと開かれた扉の向こうに、
「独りで遊ぶなんてひどいじゃないか」
「あたしも混ぜてくださいよー」
 柚子澤と逢坂が、にやにやと笑いながら立っていた。
「あんたら……!」
 かすれた声で月小路が呻く。幸崎幸と違い、月小路は今までいじめて来た相手の顔はひと
通り覚えている。そこに立つ二人のことも、はっきりと思い出せた。
「なによ、こんなところにいるって、よくわかったわね」
「ふふふー、教室とは逆方向に向かっていったのを見て、後をつけたんですよー」
「んで、私が呼ばれたわけ。香堂はとりあえずもういいってさ。あいつの時は月小路いなかった
らしいよ」
「ああ、そうなの。それじゃあ、三人でやりましょうか」
「とりあえず、どうする?」
「カメラもってきましたよー」
 三人は笑顔で凌辱の打ち合わせをはじめた。足が震える。いくら広かろうが学生寮の一室
だ、当然入り口はひとつしかない。三人相手に逃げ延びる方法など、月小路にあるわけがな
い。電話まで辿り着ければ―いや、それで何がどうなるというのか。
「とりあえず押さえつけて、幸崎さんがどんな地獄にいるのかを見せてあげましょうか」
 微笑んで、文月がそんなことを言った。
「よし」
 応えて、柚子澤が大股に歩み寄る。逃れるように後ずさった体が、すぐにグランドピアノにぶ
つかった。戸惑っている間に距離をつめられ、気がついたときには腕を掴まれていた。
「は、放せ」
 柚子澤は何も答えなかった。ただ思い切り腕を引いた。ぐるりと視界が回って、全身に衝撃
が走る。床に胸が叩きつけられて、呼吸が一瞬止まる。
 追い討ちをかけるように柚子澤が馬乗りになって、綺麗な長い黒髪を掴みあげた。毛髪ごと
頭皮を引っ張られて、無理矢理に顔をあげさせられる。噛み締めた歯の奥から、苦悶の声が
漏れた。
「にわ子、カメラ」
「はいはーい」
 小走りに近寄った逢坂が、カード型のカメラを操作する。背面に取り付けられた液晶に、ほ
んの数十分前の女子トイレが映し出される。それを、逢坂は笑顔で獲物の前に突き出した。
「はい、ちゃんと見てくださいねー」
「幸……!」
 そこに描き出されたのは、なるほど地獄かと思うような光景だった。

181:女学院復讐SS4 4/11
09/07/07 06:40:33 p/9bJ97q
 ホースを肛門に突きこまれた幸崎が、泣きながら許しを請うている。そこにいるのが彼女でな
ければ、今まで幾度となく見てきた景色だ。これを非道というのなら、自分もまた非道である。
そうと知りながら、月小路は「ひどい」と口にせずにはいられなかった。
「あんたら……なんだって今更こんなことを!」
「お前も同じようなこと言うんだね。知らないと思ってるの?」
 吐き捨てるような柚子澤の言葉にも、月小路は眉をひそめることしか出来ない。終わった相
手には干渉しない。それがこのいじめのルールだ。一年以上前のターゲットが今になって牙を
剥くなど、何かあったとしか思えない。誰かが、何かを仕組んだのだ。
 誰か、など―有瀬文月に違いなかった。
 文月は扉のそばから動かないまま、酷薄な笑みを浮かべている。睥睨するように押さえ込ま
れた月小路を眺めて、
「地獄、ちゃんと見た?」
 と、愉悦を滲ませた声音で尋ねた。
「……」
「答えてくれないのね。幸崎さんとは違って無口だから、寂しいわ」
 言いながら、足もとの鞄を持って、文月はゆっくりと歩き出した。その一歩一歩がカウトダウン。
眼前の小さな画面で展開される悪夢が、今度は自分の身に降りかかるのだ。
「は、放せ……」
 がくがくと手が震えている。無様だと思う余裕もなかった。
 不意に後頭部を引っ張っていた圧力が消えて、仰け反っていた首が前に倒れる。背後を見
返ると、背に乗っている柚子澤がワンピースの薄布を両手で掴んでいた。
「破けるかな?」
「あ、あ、ちょっと待ってください」
 逢坂があわててカメラを撮影モードに切り替える。それを確認して、柚子澤が両手に思い切
り力をこめた。生地がきしみをあげて伸ばされる。だが、破けるまではいかない。
「んぎ……破けないな」
「さすが、安物じゃないですねー」
 縫い目を探して同じように引いてみるものの、布はしぶとく伸びるばかりで裂くことは出来な
い。柚子澤が小さく舌を打った。
 一級品の丈夫さに感謝しながらも、月小路はその舌打ちに怯えずにはいられない。破くな
んて面倒な手段を選ばなければ、彼女を裸にすることなんて簡単なのだ。ましてや、
「柚子澤さん、はいこれ」
 近づいてきた文月が、鞄の中から笑顔で裁断鋏なんて取り出して見せたのだから。
 文房具とはとても言えない、無骨で大きな布を断ち切るためのそれを、文月が柚子澤に渡
す。絶望的な光景だった。
「準備がいいね」
「もちろん、色々と用意してきたわよ」
 震える月小路を見下ろして、文月は楽しそうにそう言った。
 新品らしく鈍い銀色に輝くブレードが視界の端を横切り、そのまま死角に潜りかんだかと思う
と、首筋に冷たい感触があてられた。
「ひっ……」
「んん、このままブッ刺したら死んじゃうかな」
「そのまま放置したら死ぬでしょうね」
「血がいっぱい出ますねー。掃除が大変ですよ」
 歯の打ち合う音が口の中で響きだす。こいつらは一体何を言っているのだろう。月小路も幸
崎も、そこまでのことはしていない。後に残るような傷をつけたことはないはずだ。
「そんなに震えない。本当に刺さっちゃうよ」

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 そんな標的の様子を笑って、柚子澤はゆっくりと手を動かした。刃が肌の上を滑る感覚に月
小路が身を震わせる。襟元に到達すると、もぐりこませた刃をかみ合わせる。シャキン、という
音を追うように、刃を中途半端に開いたまま、白い肌は傷つけないよう手を滑らせた。
 上質な布地は裂かれる時ですら美しい音を立てた。
「……っ」
 冷房で下げられた室温が柔肌を直撃する感覚に、月小路は身を震わせた。背の中央辺り
までを一気に切り開かれ、剥き出しになった肩甲骨を誰かの掌が撫で回す。震える首を後ろ
に向けると、肩越しの狭い視界の中で、柚子澤が立ち上がった。頭のどこかでチャンスだ、と
声がしたが、立ち上がる気力は恐怖ですりつぶされていた。下手なことをすれば、本当に刺さ
れるかもしれない。
 震える月小路をまたいで逆向きになった柚子澤が、裂け目に刃をあてて、残りの布も引き裂
いていく。ノースリーブのワンピースは肩紐で吊る形になっているため、本来は肩紐さえ切って
しまえば裸に出来る。だというのに、柚子澤はわざわざ腹のあたりから横に刃を入れはじめた。
「ま、まだ切るの……!」
「いやあ、結構いい音がするからさ」
 銀光が二度三度と閃いてワンピースを裁断していく。手術着のように背中がパックリと開いた
ワンピースは、更にズタズタに切り裂かれた。腰から下はほとんど丸見えで、丸く大きな尻が恐
怖で震えているのがよく見える。
「くろい!」
「えろいな」
 露わになった桃尻を飾るのは、シースルーの黒い下着だ。外縁を飾るレース編みの装飾が
鮮やかで美しい、見るだけで高価とわかる一品だった。女子高生のものにしてはいささかセク
シーに過ぎるが、それもスタイルのいい月小路にはよく似合っている。
「こんなのつけて、誰を誘惑するんだか」
 鋭い鋏の切っ先が、股布を軽く突く。敏感な部分に鋭角の刺激を受けて、月小路がわずか
に背を浮かせた。
「柚子澤さん、逆にしよう」
「ん、そうだな」
 鋏を片手でもてあそびながら、柚子澤が月小路の細い腕を引っ張り上げる。力なく起き上
がった体が、すぐまた仰向けに引き倒された。
「ひぅ……」
 正面から鋏を見るのは、死角から切り裂かれるよりも恐ろしかった。圧倒的な脅威に晒され
ているという事実が心臓を掴みあげて握りつぶす。澄んだ音を立てて空気を切り裂く柚子澤
が、まるで悪魔のようだ。
 悪鬼の刃は背面と同じように高級品のワンピースを乱雑に切り裂いた。ジグザグのマイクロミ
ニに調節されて、更に腹のあたりまでスリットを入れられる。とてもではないが、こんな格好で外
には出られない。
「ううん、こんなもんかな?」
「いいセンスね。とても扇情的だわ」
 相変わらず、三人はくすくすと笑っている。柔らかで軽やかなはずの笑い声が、まるで獰猛
な獣の唸り声のように聞こえた。かつて自分たちが虐待した少女たちも、こんな気持ちを味わ
ったのだろうか。
「も、もう、もう放して……」
「はあ? もうって、まだ何もしてないって」
「……」
 呆れるように言って、鋏で空を切る。昔に見た、巨大な鋏を持った男から逃げるテレビゲー
ムを思い出した。いくらボタンを連打しても、ここからは逃げられない。

183:女学院復讐SS4 6/11
09/07/07 06:43:57 p/9bJ97q
「かわいい下着だけど、これ高いの?」
「……」
 唇を噛んで、月小路は震える眼差しを柚子澤に向けた。睨むなどという上等なものではない。
長い睫が許しを懇願するように震えて、まなじりにはかすかに涙すら見えた。
「月小路さん、かわいい」
 うっとりと眼を潤ませて、熱を孕む吐息とともに文月がそうつぶやいた。
「どれ……」
 巨大な刃が繊細なレースを挟み込む。眼前に迫った決定的な瞬間から逃げるように、月小
路はかすかに身を捩ったが、冷たい鉄の感触が腹を撫でると、それだけで動けなくなってしま
う。肺の奥が痙攣しているようで、呼吸がうまくできない。悲鳴すら、あげられなかった。
 シャキン、と涼やかな音色がショーツの右端を切断した。
 月小路が震えるのにも構わず、逆側も切り裂く。刃の先で布をつまんで、ゆっくりと、股布だ
けでつながるショーツの成れの果てをはがしていく。
「ほら、抵抗しないの? 見えちゃうよ?」
 また、柚子澤が笑う。いつの間にか足もとに回ってきた逢坂が、笑顔でカメラを構えている。
抵抗などできるはずもない。せめてもの矜持にと眼差しを強くするも、そんなささやかな抵抗を
笑うように、ショーツは完全にめくりあげられた。冷たい空気が下腹部を撫でる。
 月小路の秘部は体と同じように成熟しきっていた。閉じた口からは艶かしいビラビラが身を
寄せ合いながら顔を覗かせ、やや薄めの陰毛がデルタ状に陰唇上部を覆っている。薄茶に
色素の沈殿したそこは、グロテスクでありながら、同時に淫靡で官能的な美しさを誇っていた。
「見えちゃった」
「やっぱりグロいですねー。怪物になって夢にでてきそうですよー」
「にわ子言い過ぎ」
「……っ」
 泣くものか、と月小路は歯を食いしばった。ここで泣いて喚いて助けを求めても、きっとこの
三人は笑うばかりで返事もしないに違いない。ますます惨めになるだけで、それでは月小路が
虐げてきた連中と同じだ。
 月小路には誇りがある。自分が選ばれたものであるという誇りだ。それさえ失わなければ、ど
んな辱めを受けても屈したことにはならない。
 この五指が鍵盤を叩けば、それだけで彼女は特別になれるのだから。
「で、どうする?」
 首を捻って、柚子澤が文月に問いかけた。その間にも鋏の先で、露わになった陰門をつつ
いている。
「私、幸崎さんのことで反省があるのよ。ちょっと苦しい思いをさせすぎたかもしれないって」
 文月が答えると、柚子澤が不審そうに眉をひそめた。逢坂も首を傾げて文月を見ている。
「むしろ、全然足りないんじゃないの? もっとやっちゃうべきだったんだよ」
 つまらなそうに言って、柚子澤は鋏の切っ先を陰門の奥にもぐりこませた。ビクリと月小路の
背が跳ねるのを見て、楽しそうに笑う。
「そう? まあ、それでもいいんだけど―今回はね、苦しいばかりじゃなくて、少しは気持ちよ
くしてあげようと思うのよね」
「……ああ、なるほど」
 ぐりぐりと刃を押し込んでいくと、痙攣するように月小路が体を跳ねさせる。もちろん、快感な
ど微塵も得ていない。純粋に恐怖と痛覚で震えているのだ。
「だからまずはね……」
 それでも、月小路は必死に耐えていた。歯を食いしばって三人を睨みつけ、床に指を突き
たてて耐えていた。股間に冷たい鉄の感触を感じながら、時折走る鋭い痛みにも声をこらえて
いた。

184:女学院復讐SS4 7/11
09/07/07 06:44:32 p/9bJ97q
 そんな、彼女の精一杯の抵抗を笑って、文月が一本の剃刀を取り出した。裁断鋏よりも遥
かに小さいT字型のそれを、見せ付けるように左右に振る。
「いじりやすいように、これで剃りましょうか」
「……っ」
 月小路も、いじめのひとつとして剃毛を選んだことはある。相手が震えるものだから巧く剃れ
なかったのだが、それでも終わった後の間の抜けた陰部には笑い声を抑えられなかった。
「お、いいね」
 鋏と剃刀を交換して、柚子澤が笑う。鞄の中からシェービングクリームを出して泡立てながら、
文月が笑う。二人を見て位置取りを調節し、カメラを構え直しつつ、逢坂が笑う。
 女の子三人が笑っているだけなのに、まるで地獄の光景だ。
「肌が傷つくといけないからね……」
 泡立てたクリームが陰唇上部、陰毛の茂る下腹部から、股を覆って脚の付け根までを白く
化粧する。掌の温度が移ったのか、生ぬるいその温もりは生物を連想させた。
「じゃあ剃るよ」
 冷たい刃がふっくらと膨らんだ土手に添えられる。なだらかな丘を優しく撫でるように、剃刀
が滑り降りた。
 しゃりっ、と剃毛独特の音が響いた。
 自分の最も弱い部分を刃物が通り過ぎる感覚に、月小路が身を震わせる。しゃっ、しゃりっ、
と繰り返し音を立てながら、泡と一緒に縮れた陰毛がそぎ落とされていった。
「これ、なんか興奮するね」
 言葉尻にほのかな熱を潜ませて、柚子澤がそうつぶやいた。同年代の女の子を好きにいじ
りまわしている、その生殺与奪を握っているという事実が、彼女を昂ぶらせているのだ。手に力
がこもりすぎて、あわてて剃刀を一度離す。さすがに、直接傷をつけるつもりはない。
「気をつけてね」
 苦笑まじりに文月にたしなめられて、柚子澤はゆっくりと剃刀を添えなおした。既に半ばの毛
は剃られて、白い泡に埋もれて床に沈んでいる。つるりとした肌色の土手はかすかに青い剃り
跡が残るだけで、凌辱者たちに無毛の丘を晒していた。
 複雑な形状の肉襞や包皮をかぶったままのクリトリスを傷つけないよう、慎重に、丁寧に、赤
子を労わるような繊細さで、残りの毛を落としていく。童女のような―と評するには成熟しす
ぎた、それゆえに無毛の淫猥さが際立つ秘所が、そうして作り上げられていく。
「……」
 鉄が肌を滑る冷たい感覚だけで、月小路の頭にその光景が浮かび上がった。自分の目で
見る勇気はない。歯を食いしばり、目を固く閉じて、鍵盤の上でならば優雅に舞える十本の
指を、床に強く突き立てる。
 緩慢に進行する処刑の時間は、やがて終わりを迎えた。
 剃刀が離れ、小さな吐息が聞こえる。柚子澤が立ち上がったらしい気配の後に、湿った布
の感触が秘部を優しくぬぐった。予想外の感覚に背を震わせて、月小路はおそるおそる目を
開いた。
 開かれた股の間にいるのは、柚子澤ではなく文月だった。どうやらウェットティッシュでクリー
ムの残りを拭いているらしい。まるでおもらしの後始末をされているような光景に、知らず体が
羞恥で燃える。
「終わったわよ。ほら、自分で見て」
「……」
 躊躇していると、背後に回った柚子澤が無理矢理に体を起こしてきた。触れられているのが
嫌で、仕方なしに半身を起こす。震える視界に、それが飛び込んできた。
 丁寧に毛を剃られたそこは、毎日浴場で見るのとは別物のようだった。いっそ痛々しく見え
る剃り残しが、ことさら淫らに映った。

185:女学院復讐SS4 8/11
09/07/07 06:45:06 p/9bJ97q
「かわいくなったわね」
 そう言って、文月が無毛の秘部に指を這わせた。外縁をなぞるように円を描き、それから中
央のスリットを撫で上げる。顔を覗かせた肉襞を指先でつまんで、くい、と引っ張った。
「んぅ……っ」
 不覚にも漏れ出た声に、三人が小さな笑い声をあげた。屈辱と恥辱で、心臓から火が出た
ように体が熱くなる。
「敏感なのかしら……こっちはどう? 普段いじってる?」
 言って、文月の細い指が、陰門から更に上に向かい、皮をかぶって隠れている肉芽をつま
みあげた。
「……っ」
 今度は、声を抑えきった。唇を噛んでこらえる月小路の表情に何かを刺激されたか、文月が
くすりと笑って、つまんだ豆をきゅっ、とひねる。女性の快楽が集束する小さな淫芽は、それだ
けで凄まじい電流を月小路の全身に注ぎ込んだ。
「――っ! あ、か……っ」
 こらえた、のではない。声にならなかったのだ。肺の中身を全て吐き出すような乱暴な呼吸を
繰り返す月小路を見て、文月はまた微笑んだ。強すぎた愛撫を詫びるように、指の腹で優しく
肉豆をころがして、緩やかに確実な刺激を送る。
 身を固くして備えていた月小路をほぐすように、慈しみを錯覚するほどの丁寧さで、文月は
クリトリスへの愛撫を続けた。
「ふ……ん、は……」
 やがて、月小路の口元から吐息まじりの声が漏れ始める。
 こらえようにも、先の一撃が体内で荒れ狂って、声を抑えることが出来ない。どこで覚えたの
か、巧みな指使いで強引に引きずり出される快感に、月小路は背を震わせた。
「感じてる?」
「かんじてますねー」
 柚子澤と逢坂が笑い声をあげた。嘲笑だと知っていながら、屈辱以上に快感の炎が燃えて
いる。月小路は自慰のさいにクリトリスをいじる。だが文月の愛撫は彼女のそれに比べてあまり
にも穏やかで優しく、緩慢すぎてもどかしい。そしてそれ故に、くすぶる炎は際限を知らないよ
うに大きく育っていく。
 下腹部を中心として、同心円を描きながら快楽の波が少しずつ全身を侵していく。彼女が
常とするのは体をまるごと攫うような大波を起こす自慰だ。こんな、爪先から一滴ずつ水を注
がれるような快楽は知らない。
「ふ、ふぅ、は、はぁ……っ」
 膨らみすぎた風船が体の中で出口を求めている。破裂の瞬間が恐ろしくもあり、待ち遠しく
もあった。それでも、文月の緩やかな愛撫では、その時はまだ先だろう。
 月小路は朦朧とする頭で、そう考えた。そして彼女がそう考えることを、文月は知っていた。

 ぢゅるんっ!

 ―という音を幻聴する。
「いひぁあああ!?」
 突如駆け上った激感に、月小路は全身を仰け反らせて悲鳴をあげた。膨らみきった風船が
限界以上の空気を送り込まれてパンパンに腫れ上がる。緩やかだったはずの指先が、まるで
数瞬前の自身を忘れたかのように、一気に陰核包皮を剥いたのだ。
「ひぅ、ひっ、ひぁっ」
「あは、ぴくぴくケイレンしてますよー」
「気持ち悪いわね」

186:女学院復讐SS4 9/11
09/07/07 06:45:45 p/9bJ97q
 笑いながら言って、文月は剥き出しになった陰核を指先でそっと包み込んだ。涙目になった
月小路が、震えながらその光景を見ている。これから何をされるのか、彼女にもわかったのだ。
「いくわよ、月小路さん。五、四、」
 カウントを聞きながら、月小路は息を吐いた。襲い来る激烈をこらえようと、全身の力を抜い
て、それから身構えるつもりなのだ。
「三、」
 指先に、わずかに力がこもりはじめた。息を吐ききった月小路が、小さく口を開いた、
「―えいっ!」
 その瞬間を狙って、添えられた指先が思い切り陰核を押し潰した。
「んんぁああああああ!」
 あと二秒あったはずだ―そんな抗議は形にならない。迸った衝撃は淫芽から全身を猛烈
な速度で走り抜けて、腫れ上がった風船を一撃で破裂させた。その内にたまっていた快楽が
一斉に溢れ出し、血管を逆流して心臓を犯す。
「あ、っ、は、ふっ、ふぁっ、あうぁっ」
 びくびくと震える月小路に笑いかけて、文月が指先を左右にひねった。新たに送り込まれた
刺激が体内で混じりあって、燃え上がる炎を更に猛らせる。
「んっ、あぅっ……ひぁっ、あ、あっ、あっ、ああぁあああああ―――!」
 ねじ切られるかと思うほど強く捻りあげられて、月小路はえび反りになって悲鳴をあげた。そ
れが快感なのか、それとも単なる苦痛なのかわからない。だが猛りきった炎がその瞬間に全身
を突き抜けていったことはわかった。
 浮き上がった背が床につくと同時に文月の手がゆっくりと離れて、熱い吐息が三方から漏れ
る。深く重く、淫らな熱を孕んだ吐息を繰り返して、月小路は全身を震わせながら歪んだ視界
に笑う文月を見た。
「かわいいわよ、月小路さん」
 微笑に、罪悪感などかけらもなかった。それどころか、優越感や達成感すら見られない。た
だ、嗜虐の悦びだけが月小路を笑っていた。
「いった?」
「イきましたね」
「……」
 こんなに熱く荒い吐息を繰り返していては、否定もできなかった。悔しくはあったが、月小路
は唇を噛んで無様な言い訳をこらえた。
「逢坂さん、ここアップにして。ほら、こんなに膨らんでる」
「わ、すごいですねー。クリトリスって、こんな大きくなるんですね」
「あ、あ、私も見たい」
 騒ぎ出す三人の声を聞くまいとするが、全身が弛緩して耳を塞ぐことすらできなかった。さん
ざんに嬲られて腫れ上がり、敏感になった陰核に誰かの指がまた触れる。外側を撫でるような
その触れ方に違和感を覚えて、月小路はそろそろと視線を向けた。どうやら、文月は淫芽の
皮だけをつまんで引っ張っているようだ。
「わかる? 月小路さん。これが陰核包皮ね」
 言われても、横たわる月小路には見えない。文月は微笑んで、逆の手に持ったそれを掲げ
てみせた。
「それで、これが瞬間接着剤」
 一瞬、思考が停止した。
 瞬間接着剤。確かにそれは、有名な接着剤のチューブだった。速乾性で強力な、剥離剤
がなければまず剥がせない代物だ。
「え?」
 意味がわからなかった。ここで接着剤を取り出して、どうしようというのだろう。

187:女学院復讐SS4 10/11
09/07/07 06:46:37 p/9bJ97q
 不可解そうにしているのは他の二人も同じだった。三人全員に説明するように、文月がもう
一度繰り返す。
「これが、陰核包皮。これが、瞬間接着剤。わかる?」
 そのふたつがどうつながるのか。理解に数秒を要して、
「……え?」
 やっと、月小路はその企みを悟った。
「あっ、あー、なるほど、そういうことですかー」
「なに、どういうこと?」
「こういうことよ」
 チューブのキャップを外すと、キャップの内側から伸びるハケに接着剤をつける。文月はそれ
を、ゆっくりと包皮に近づけた。
「待って! 待って、待って! 嘘だろ、何考えてるんだよ!」
「今、月小路さんが考えていることで、多分あってるわよ」
「な、なに言って―」
 細いハケの感触が肌を撫でる。ぬめる粘液が下腹部に塗られ、同様に包皮の側にも少量
の接着剤が塗られた。
「あ、なるほど」
 柚子澤がやっと事態を理解して頷いた。それを見て、文月は楽しそうに笑って包皮を肌に
押し付けた。指に接着剤がつかないように、両者を密着させてこすりつける。塗られた接着剤
がわずかに溢れて、速乾性の名に恥じない速度で固まる。
「あ、あ……」
 体感的には、何が変わったわけでもない。だがそれは今だけの話だ。文月はあろうことか、
包皮と肌を接着してしまったのである。
「これで、ずっとかわいいクリトリスが剥き出しのままよ。よかったわね」
 文月は笑って、指先で淫芽を弾いた。快感よりは痛みの方が強い刺激に、月小路が肩を
跳ねさせる。
「これ、普段の生活どのくらい辛いんだろう」
「さすがにやられたことないから、わかりませんねー」
「歩くだけで服が擦れて、きっと気持ちよくなれるわよ。あとはローターあたりと組み合わせてあ
げれば、面白いことになるんじゃないかしら」
 全身の血管から血の引く音を聞いた気がした。幸崎ですら、ここまでのことはしなかった。考
えたこともないに違いない。一生に残るような傷をつけないことは、彼女たちのルールのひとつ
でもあったのだ。
「う、あ……」
 震える月小路を見て、文月はまた微笑んだ。立ち上がり、その顔に手を触れて、まなじりに
かすかに溜まる涙を掬い取る。そのまま、優しく囁いた。
「大丈夫よ、月小路さん。皮膚についた接着剤ってね、意外と簡単に取れるのよ。毎日お風
呂に入って何日かしてしまえば、すぐに剥がれちゃうわ」
「……」
 本当かどうかはわからない。だが、かすかに安堵したのは確かだった。仮に嘘だったとしても、
世の中にはちゃんと剥離剤というものがあるのだ。よく考えれば、一生このままになるわけでは
ない。
「だから」
 安心からついた吐息を飲み込んで、毒にかえて吐き出すように、
「剥がれたら、またつけてあげるわね」
 耳元で、文月がそうつぶやいた。
「あ……」
 目の前が暗くなる。視界が、本当に一瞬でゼロになった。

188:女学院復讐SS4 11/11
09/07/07 06:47:02 p/9bJ97q
 この女はおかしい。気が狂っている。自分たちも相当のものだと思っていたが、それを遥かに
凌駕する怪物が、目の前に立っていた。
 怖い―この時、月小路は心底そう思った。
 この女が、怖い。手を出すべきではなかった。こんな怪物に、関わるべきではなかったのだ。
 それは、つい先ほど幸崎幸が抱いたのと、同じ恐怖だった。
「ほら、立って、月小路さん。まだまだ、やりたいことはいっぱいあるんだから」
「あ、う……」
 脇をかかえて立たされる。そのまま強引に歩かされて、ピアノの前に座らせられた。柚子澤と
逢坂はこれからのプランを何も聞かされていないのか、不思議そうな表情に幾ばくかの期待を
こめて、こちらを見ている。
「も、もう、いやだ……」
 心が折れかけている。月小路はそれを自覚したが、奮い立たせるほどの気力はもうない。そ
んな彼女を見て、文月はにっこりと笑った。
「大丈夫よ。三限が終わったら、これもおしまいだから」
「……」
「本当、本当。昼休みまでに全員終わらせたいのよ」
「ハードスケジュールだな」
「先輩、今日は授業受ける気ゼロですね」
 その言葉が真実にせよ嘘にせよ、月小路には今を耐えることしかできない。震える視界を壁
にかけられた時計に向ける。三限はまだ半ば。この地獄が終わるまで、三十分ほども残されて
いる。その間に何をするつもりなのだろう。
 月小路は、時計からピアノに視線をうつした。最大の誇りであるこの楽器が、唯一のよりどこ
ろであることに、気づいてしまったのだ。
 ピアノの前に座らせて、何を、するつもりなのだろう。
「さあ、演奏会をはじめましょう」
 震える月小路の肩に手を置いて、文月はそう、新たな凌辱の開始を宣言した。

189:名無しさん@ピンキー
09/07/07 06:47:25 p/9bJ97q
以上です。
随分遅くなって申し訳ない。んじゃつづき書いてくる。

190:名無しさん@ピンキー
09/07/07 08:23:30 E/lvqzvN
朝からいいものを見た。

>「剥がれたら、またつけてあげるわね」
すばらしい一言だw

191:名無しさん@ピンキー
09/07/07 17:47:52 OehdZ4bd
神降臨大感謝大興奮GJGJ
とにもかくにも攻め責めのバリエーションが興奮のツボ押さえてて凄い。
続き大いに期待して待ってます。

192:名無しさん@ピンキー
09/07/07 22:37:14 06R9N7Uq
上手く言葉が見つからないが、こいつは大作だ。
このスレを覗いて良かった。
GJ!!

193:名無しさん@ピンキー
09/07/07 23:05:08 V4i6p0uv
ピアノでなにするんだろう!なにするんだろう!
月小路が可愛いんで、どうプライドが折れるのかすごく気になる…!

194:名無しさん@ピンキー
09/07/08 02:14:12 ilAmsgAQ
>>193
いじめっ子が可愛いだなんて信じられないわっ
月小路さんをめちゃくちゃにして二度とそんな感想が出ないように…てな展開だと良いな
俺は相田さんと柚子澤さんが何気に好きだ。復讐組は必要以上に仲良くならなさそうなのが少し残念だけど

195:名無しさん@ピンキー
09/07/09 00:48:14 KWRI2H3P
>>189
凄いの一言。
どうしたらそんなに、繊細な表現ができるのか……
続きを激しく希望しながら待っています。

196:名無しさん@ピンキー
09/07/10 00:36:41 HzMldFji
凄すぎる・・・
続き期待してます

197:名無しさん@ピンキー
09/07/17 19:22:10 wKeBtWkd
期待age

198:名無しさん@ピンキー
09/07/19 05:19:09 LF3MphSt
続き楽しみです

199:名無しさん@ピンキー
09/07/20 18:35:44 2VG7/reW
遅くなったけどGJ

200:名無しさん@ピンキー
09/07/20 22:37:13 vbXDlLdb
いつまででも待ってるぜGJ

201:名無しさん@ピンキー
09/07/25 09:00:41 2b4IjYp7
期待あげ

202:名無しさん@ピンキー
09/07/29 21:57:16 jYxS4AUw
スレタイに惹かれつつ騙されないぞと覗いてみたら
期待以上の神スレだった

203:名無しさん@ピンキー
09/07/29 22:40:44 FierfPf4
前回より間が長い
これは期待すべき

204:名無しさん@ピンキー
09/07/29 23:01:48 BSjfolrV
作者本人が楽しみながら(悦しみながら)書いてくれるのが俺の一番の望み

205:名無しさん@ピンキー
09/07/29 23:18:31 BuJHpaoM
>>204
同じく。
いつまでだって待てるから存分に書くことを楽しんで頂きたい。

206:名無しさん@ピンキー
09/08/03 08:32:02 rHF+ZrZ/
まだかな

207:名無しさん@ピンキー
09/08/05 21:44:46 BfnfIRo3
待機いているのだがそろそろズボンを穿くべきだろうか

208:名無しさん@ピンキー
09/08/05 22:28:56 OgUNGFcW
それじゃ俺がズボン脱ぐよ!

209:名無しさん@ピンキー
09/08/06 08:32:05 wbtFXFKF
早くお脱ぎなさいな

210:名無しさん@ピンキー
09/08/06 13:54:23 VtW4ELJ7
ちょっと男子ー、こんなところで脱がないでよー

211:名無しさん@ピンキー
09/08/06 16:07:08 OCCAZA79
何だよ女子ー、お前らはもうスッポンポンじゃないかよー

212:名無しさん@ピンキー
09/08/06 22:35:02 q8ArZmAf
>>178のつづき書いてみた。
以下から12レス分投下します。

213:女学院復讐SS5 1/12
09/08/06 22:36:25 q8ArZmAf
 ベヒシュタイン製のグランドピアノは、さすがに丁寧に磨き上げられていた。光沢を放つ鍵盤
蓋は覗き込めば表情さえ映りこむほどだ。
 今そこには、嗜虐の愉悦と、被虐の恐怖と、二種類の感情が浮かび上がっている。
「え、演奏会……?」
 下半身がむき出しになるまで切り裂かれたズタズタのワンピースだけをまとった格好で、月小
路妃美歌は震える声をあげた。住み慣れた自室の座り慣れたピアノ。だというのに、まるで異
次元にでも放り込まれたような気分だった。
 部屋の中には月小路の他に三人の生徒がいて、全員が敵だ。恐怖に潰されそうになるのも、
無理はない。
 月小路の目の前で微笑む有瀬文月が、楽しそうにうなずいた。
「そう、演奏会。せっかく月小路さんがいて、ピアノがあるんですもの、弾いてもらわないと損じ
ゃない?」
「……」
 ピアノは月小路の最大の誇りであり、唯一のよりどころだ。これを失ったら、月小路はどこにも
いけない。たとえば今、指を一本でも切り落とされたら、それだけで月小路妃美歌という人間
は終わる。そうして目の前のこの女は、その程度のことならばたやすくやってのけるだろう。
「ん、いやなの?」
 だが、断ることは出来ない。状況が許さないし、なにより恐ろしい。同い年の文月のことが、
心の底から怖い。
「ひ、弾くよ」
「そう? つらいならやめてもいいのよ」
「弾く」
 首を振って、月小路は断言した。重い鍵盤蓋を自ら押し上げ、並ぶ黒白の鍵盤に指を添
える。
「何を、弾けばいいんだ」
「譜面は必要?」
「ものによるけど……」
 文月は口元に手をあてて数秒考えると、ピアノに背を向けて鞄の中を漁りはじめた。月小路
をいたぶるためだけに用意したという道具の数々が、あの中にはおさめられているはずだ。
「私はよくわからないんだけど、月小路さんが一番得意なのって、なに?」
「……」
 言われて、月小路はほんの少しだけ黙った。小学校の頃から今まで、繰り返し奏でてきた無
数のメロディーが脳内をめぐる。
 答えはすぐに出た。
「……月光」
「月光?」
 顔をあげて、文月が繰り返す。カメラを構える逢坂が、ぱちくりと目を瞬かせた。
「ベートーベンですよ」
「ああ……柚子澤さん、知ってる?」
「有名な曲だよ。ピアノソナタ第14番嬰ハ短調作品27の2『幻想曲風に』。知らない?」
「詳しいのね」
 鞄の中からコードのようなものを引きずり出しながら、文月が感心したようにつぶやいた。当
の柚子澤は心外そうに肩をすくめて、
「そりゃ、私もピアノはやってるしね」
 と、月小路に視線を向けながらそう言った。
「そうなの?」
「それは意外ですねー」

214:女学院復讐SS5 2/12
09/08/06 22:37:14 q8ArZmAf
「にわ子、どういう意味?」
 柚子澤が引きつった笑顔を浮かべて一歩進み出ると、逢坂が乾いた笑いを漏らして二歩
下がる。無意味に緊迫した空気が室内の温度を下げていく。
「遊んでないで手伝って」
 呆れたような声に、二人はそろって文月の方を振り向いた。ようやっと鞄の中から目的の器
具を取り出したらしい。
 それは両手で抱えられるほどの大きな機械だった。L字型の本体にはいくつかのボタンと液
晶が備えられていて、なにやら物々しい印象を受ける。そこから細いコードが四本伸びて、辿
った先には楕円状の平べったいパッドのようなものが繋がっていた。
「なんだそりゃ」
「低周波治療器よ」
 簡潔に、文月は答えた。微電流によって肩こりや血行不良を治療する医療器具である。文
月は絡まったコードをほどきながら、ちらりと月小路に視線を向けた。
 月小路は顔面蒼白になって、その機械をにらみつけていた。
「ああ、なんだ。使ったことがあるのね、これ」
 なら説明の必要はないわね、と文月が微笑む。パッドを手に持って月小路の前に立つと、ゆ
っくりと腰を下ろした。
 椅子に座る月小路の股が、ちょうど文月の目の前にある。下着を取り除かれ、陰毛を剃られ
た月小路の秘部は、痛々しい剃り跡を震わせて陵辱を待っている。
「開きなさい」
「……」
 いまさら、抵抗することに意味などない。震える膝をゆっくりと開く。文月は秘唇に指を這わ
せると、つぷり、とスリットの中に指を沈ませた。柔らかな尻がビクリと跳ねるのを見て、小さく笑
みを浮かべる。
「柚子澤さん、開いていて」
「はいよ」
 柚子澤の指が秘唇を割り開く。先ほど一度絶頂を迎えた余韻がまだ残っているのか、月小
路がかすかに甘い吐息を漏らした。ピンク色の肉壁はぬらりとあやしく照り輝いて、ここから快
感が溢れたのだと知れる。
 文月は粘液を指で掬い取るように襞をひと撫でしてから、手にしたパッドをくちり、と肉壁に
押しつけた。震える声が月小路ののどからこぼれる。構わず、文月はもうひとつのパッドも貼り
つけた。残るふたつのパッドを手の中で弄びながら、舌から月小路の顔を見上げる。
「これ、結構高級品なのよね」
 そうして、見せ付けるようにパッドを掲げてみせた。
 よく見ると、パッドから直接コードが伸びているのではなく、コードの先端についた洗濯バサミ
のような接続端子がパッドをくわえていることがわかる。患部、症状に合わせてパッドを交換で
きるように設計されているのだ。
 文月はわざとゆっくりとした動作でパッドをはずすと、細長い棒のようなものを取り出した。ボ
ールペンより一回り大きい程度のそれには、末端に電極がついているのが見える。
「わかるわね?」
 言って、文月はそれにコードをつなげた。
「―なっ、」
 さすがにこれは予想外だったのか、月小路が小さくうめき声をあげた。凌辱者たちはその声
に笑みを深くする。ぱっくりと開かれたままの秘唇、その奥の女穴に、文月は慎重に電極を挿
しいれた。
「ぅんっ……」

215:女学院復讐SS5 3/12
09/08/06 22:38:02 q8ArZmAf
 冷たい感覚が膣に押し入る違和感に、月小路がまた声をあげる。わずかに濡れた響きを交
えるその声は、ますます三人を昂ぶらせた。
「それで、これが仕上げね」
「ま、まだ……」
 あるのか、と、月小路は最後まで言えなかった。文月が手にしているのはコードの先につい
た接続端子だけ。パッドも、棒もない。パクパクと開閉するそれを見て、月小路は全身から血
の気が引いた錯覚に襲われた。
 あれで、どこを、挟むつもりだ?
「待て! 無理、無理、それは無理だ!」
「大丈夫よ」
 切迫した悲鳴を軽くいなして、文月はむき出しのクリトリスに目を向けた。いっぱいに開いた
端子の口が、小さな淫芽を挟み込む。
「えいっ」
 ぎちゅっ!
 勢いよく指が放れ、バネ仕掛けが遠慮なく月小路の秘芯を噛んだ。声にならない悲鳴をあ
げて、月小路の背がビクリとのけぞる。
「準備完了ね」
 念のためテープで補強してから、柚子澤に手振りで合図する。散々に嬲られたとはいえ処
女の秘部だ、すぐに口を閉ざしてしまう。
 成熟した形に無毛の丘、加えてひくひくと蠢く唇から伸びる四本のコードは、いやがおうにも
官能を刺激する。つばを飲み込む音がした。いったい、誰のものか。
「それじゃあ月小路さん、ピアノ。月光だっけ? それをお願い」
「……? ひ、弾くだけでいいのか」
 それでは何のためにコードをつなげたのかわからない。文月はにっこりと笑って、柚子澤に低
周波治療器の本体を示した。
「月小路さんが一音でも間違えたら、柚子澤さん、あれのスイッチを入れて」
「……っ!」
「ああ、なるほど。これ、そんなにすごいの?」
「試しましょうか?」
 くすくすと笑いながら、文月が治療器のダイヤルを操作して、スイッチに指を乗せる。月小路
が制止の声をあげるのを待たず、カチリ、と軽い音を立ててスイッチを押し込んだ。
「んきぃやぁああっ!」
 とたん、月小路の背がのけぞって、ビクリと大きく跳ね上がった。地面に対して水平近くまで
跳ね上がった足が、同じ勢いで振り下ろされる。思わず両手で股間を抑えるものの、刺激は
内側から来ているのだ、意味のあるはずもない。
「やっ、やっ、やめっ、やめ……っ」
 定期的に送り込まれる刺激に抗うように、涙目になって体を抱く。その様子を見て、文月は
満足気にスイッチを切った。
「わかった?」
「……よくわかった。このつまみが強さ?」
「そう。今のが10%くらいね」
 電流も流していないのに、月小路が大きく体を崩した。椅子がガタン、と音をたてて、一同の
視線が集まる。
「どうしたの? 大丈夫よ、いきなり最大値になんてしないから」
「……」

216:女学院復讐SS5 4/12
09/08/06 22:38:49 q8ArZmAf
「それにね、」
 立ち上がって、優しく微笑みかけながら、文月は緩やかな足取りで月小路に歩み寄った。
両手を肩に置いて、ピアノに向かって座りなおさせる。安心させるように、軽く肩をたたいて、
「間違えなければいいのよ」
 そう、耳元でささやいた。
「簡単でしょう? あなたの得意なピアノの、得意な曲なんだから。最後まで演奏しきれば、そ
れだけでいいの。私は、絶対に邪魔はしないわ」
「そ、そんな、そんなこと、」
 そんなことを言っても。
 こんな状況、こんな精神状態で演奏などしたことはない。出来るとも思えない。指が震えてい
る。鍵盤が叩けない。そんなことを抜きにしても、ピアノのミスタッチはプロの演奏でも当然のよ
うに起こる。
「できないの?」
 毒を送りこむような声だった。静かで、優しく、だからこそ恐ろしい。
「できないの、月小路さん。ピアノが、弾けないの? このくらいのことで?」
「う……」
 肩に置かれていた手が首筋を撫で上げ、頬を包む。耳元に唇を触れさせて、文月はもう一
度繰り返した。
「できないの? そんなはずはないわよね。貴方がピアノを失ったら何も残らないもの。ただの
傲慢で怠惰な女だもの。そんなはずはないわよね」
 その通りだ。
 ピアノは最大の誇りであり、唯一のよりどころ。月小路妃美歌という人間の価値は、ここにし
かないのだから。
「ひ、くよ。弾けば……いいんだろ」
「そう、弾けばいいのよ」
 文月の体温が離れる。月小路は十指を鍵盤に乗せて、ゆっくりと息を吐き出し、同じように、
ゆっくりと吸い込んだ。肺の中身を全て交換するような―文月の囁きと共に送り込まれた毒
を全て吐き出すような深呼吸をすると、目を閉じて、そのまま数秒静止する。
「弾くよ」
 そして、宣言した。
「演奏、しきってやるよ」
 指先が浮き上がる。足がペダルに添えられる。折れそうになる精神を屹と立たせて、月小路
は鍵盤に指を叩きつけた。
 おそらく、人生で最も多く演奏した曲。文月は知らなかったが、月小路妃美歌の名を世に
知らしめた、彼女の最も得意とする曲。―月光の演奏がはじまった。
 最初の一音の時点で、既に柚子澤は愕然として動きを止めた。あまり音楽を嗜まない文月
や逢坂ですら、それが異様であると、理屈の外で悟ってしまった。
 月小路妃美歌の演奏は、それほどに美しかった。
 ただの和音が、まるで生を持って空を踊っているかのようだ。大気をふるわせる振動が耳元
から入り込み、脳をやさしく撫で回して陶酔へと導いていく。音を外すだとかリズムを乱すだと
か、そんな次元の話ではない。楽譜どおりに弾けることは大前提で、そこからいかに表現する
かが『音楽』なのだと、この時文月ははじめて知った。
 先の宣言は虚勢ではない。きっと月小路は、最後まで弾ききるだろう。
「驚いたわね……」
 軽く頭を振って、文月はそうつぶやいた。下半身がむき出しになるまで切り裂かれたワンピ
ース、股座から伸びる四本のコード、どこをどう見てもそんなものとは無縁のはずなのに、演奏
する月小路からは神々しさすら感じられる。

217:女学院復讐SS5 5/12
09/08/06 22:39:38 q8ArZmAf
 自分の甘さを反省するようにもう一度かぶりを振ると、文月は周囲をちらりと見回して、入り
口とは別の扉へと向かっていった。演奏に集中する月小路は気づかない。柚子澤と逢坂は
気づいてはいたが、それどころではなかった。
 柚子澤が考えていたのはひとつだけ。もしこのまま演奏が終わってしまったら、文月はどうす
るのだろう、ということだった。
 まさか、本当にこれで終わりにするとは思えない。幸崎幸にあれほど残酷な仕打ちをしてみ
せた文月が、この程度で満足するはずがないのだ。また何か適当な理由をつけて月小路をい
たぶるに違いない。
 ……けれど、もし文月が「ここで終わり」だと言ったら?
 指が震えるのを自覚する。低周波治療器のスイッチに、知らず人差し指が乗っていた。月
小路の演奏は完璧だ。きっと、そのまま最後まで完璧な演奏をするだろう。
「ゆ、柚子澤先輩……」
 逢坂が遠慮がちに声をあげた。それは、反則だ。だが、それがなんだというのだ。今更どんな
意味が―
「柚子澤さん」
 びくり、と指が震えた。
「それは反則よ」
 携帯電話を手に持った文月が、困ったような顔をしてこちらを見ていた。隣の部屋から戻っ
てきた彼女は、音楽に合わせるような緩やかな足取りで柚子澤の元までやって来る。
「ルールは、守りましょう」
「わかってるよ……」
 歯をかみ締めて、柚子澤は搾り出すような声でそう言った。
 柚子澤が葛藤している間に、曲は第一楽章を終え、更に先へと進んでいた。月光は三楽
章からなるソナタで、徐々にテンポをあげていく。特に第三楽章はそれまでとは別の曲のように
すら思える激しいもので、難易度がもっとも高い。
 第二楽章は二分と少しで終わった。月光は全体で十三分から十五分。これでおよそ半分
の工程を過ぎたことになる。
 三人の見守る中、月小路はひたすらに指を躍らせている。月光ならば、ノーミスでの演奏だ
って何度もこなしている。股の違和感も、身に巣食う恐怖も、何も問題にもならない。
あと数分。もうゴールは目の前だ。
 月小路は確信した。今の自分はかつてないほど冴えている。そう。ピアノに愛され、ピアノを
愛した自分が、この程度の困難で折れるはずがなかったのだ。自分の価値はピアノにしかな
いが、ピアノがあれば、誰より尊く、美しくなれるのだから。
 残り三十小節ほど。演奏も大詰めだった。
 音は美しく、大気は完璧な調べに酔いしれていた。
 彼女が演奏を完成させることを、誰も疑わなかった。
 月小路の体が揺れた。
 文月も、逢坂も、あわてて周囲に目をやった。揺れているのは月小路だけではない。部屋も、
ピアノも、大きく縦揺れの震動を繰り返していた。
 ―震度四。直下型。普段ならば、翌日の会話の種にしかならない、つまらない出来事。
 だが月小路の指をほんの少し、数ミリだけ横に逸らすのには、それだけで十分だった。
 美しく響いていた和音に、かすかな違和が混じる。揺れる室内に目も向けず、ただその瞬間
を待ち構えていた柚子澤は、迷わず指に力をこめた。
 次の瞬間、完璧に調和のとれた大気の調べが、強烈な不協和音で打ち砕かれた。
「あっ……んぁあああっぁあああっ!」
 でたらめな場所に置かれた十本の指が耳障りな音を響かせ、その後を追うように月小路の
悲鳴が轟く。

218:女学院復讐SS5 6/12
09/08/06 22:40:32 q8ArZmAf
「ひっ、ひっ、ひぁっ、ああっ!」
 今まで経験したことのない感覚だった。指でこねるのとも、舌で舐められるのとも違う、肉の内
側に直接触れられているような、神経そのものをしごかれているような、いわくいいがたい感覚。
「と、とめっ、とめて! とめてぇっ!」
 前のめりに倒れて腕全体が鍵盤を押す。そのまま崩れそうになる体を、不協和音を奏でな
がら鍵盤についた左手で支える。その瞬間にも、走り抜ける電撃はやまない。
 股間の内側から立ち上る断続的な刺激は、一瞬で全身を駆け巡り、また秘部へと戻ってい
く。腰が勝手に浮き上がり、体が跳ねる。その度に、責め立てるように不協和音が響いた。
「もっ、もうっ、止めっ、ひぇあっ、うぁああんっ」
 視界がぐらぐらと揺れて、あちこちで火花が散っている。畝肉を震わせながら走る電流は、
襞の一枚一枚に無数の針を突き刺すような鋭い痛みと、指先の自慰では決して得られない
強烈すぎる刺激を同時に与える。快感と、はっきり言えるほどではない。しかしただ苦しいだけ
でもない。その境界に揺れる感覚は、月小路から正常な思考回路を奪っていく。
「ひ、ぁ……ふ」
 鍵盤に全身をもたれかけた無理な姿勢で、月小路は小さく息を吐いた。ようやく、治療器の
スイッチが切られたのだ。
「どうだった?」
「ふぁ……」
 返事ができる状態ではない。指先がガクガクと震えて、少しでも体を動かせばそのまま倒れ
てしまいそうだ。
 文月は月小路の肩に手を置いて、支えながらゆっくりと体を起こしてやった。抗議のような声
が漏れたが、舌まで痺れているのか、何を言っているのかわからない。
「ほら、しゃんとして。柚子澤さん、端のスイッチ入れて」
「端……? ああ、この、コードがつながってるところのスイッチ?」
「そう」
 スイッチ、という言葉にビクリと月小路が震える。その肩をぽんぽんと叩いて、文月がまた、耳
元に唇を寄せた。吐息が耳朶からもぐりこみ、鼓膜を揺らして三半規管をぐるりと巡る。また、
毒をささやかれている。
「いい。さっきのはね、ここ―」
「あふぁっ、」
 文月の指が、くちゅり、といやらしい音を立てて月小路の女陰を割り開いた。ぬるりとした粘
液の滲み出る肉壁を指先で撫でて、貼り付けられたパッドをトントン、と叩く。
「―このふたつだけが動いていたのね。この奥にあるのとか、」
「きゃうっ、」
 指先が膣穴からわずかに除く電極の尻をつつく。秘部から一度指を離し、端子にはさまれ
た淫芽を指ではじいた。
「ふぁあうっ」
「ここのお豆のとかは、動いていないの。わかるわね?」
「は……あ、ふ……」
 わからない。今の月小路には、文月の言葉は聞こえていない。聞こえていたとしても、理解
できなかった。電流は止まったというのに、体中が痺れている。
「わかったら、もう一度、最初から」
 痺れているのに、信じられないことを文月が言った。
「ふぁ……?」
「ふぁ、じゃなくて。ほら、鍵盤に指を乗せる」

219:女学院復讐SS5 7/12
09/08/06 22:41:21 q8ArZmAf
 文月に手をとられて、指が鍵盤に添えられる。月小路は火花の散る頭で必死に考えた。何
をすればいいんだろう。何をさせる気なんだろう。
「弾くのよ。最初から、もう一回、やり直し」
 嘘だ。
 だって終わったはずじゃないか。たった今終わったはずじゃないか。
「な、んで」
「なんでもなにもないわ。きちんとできるまで、何回でも、やり直すのよ」
「―は、」
 視界が、一瞬でゼロになった。
 まだ、何か声が聞こえる。弾けといっている。無理だ。無理だ。もう無理だ。こんなのは音楽
じゃない。演奏じゃない。できなくたって、どうこう言われる筋合いはない。月小路妃美歌のピ
アノは、もっと気高く美しいものなんだ。
「弾けないの? できないの? ピアノが、弾けないのね?」
 なのに。そう思っているのに。
 その言葉に逆らえない。ここを逃げれば、ここで負ければ生きていないと、どこかで誰かが叫
んでいる。だから、戦わなくては。
「ふ……ぁ……」
 二度目の演奏がはじまった。
 震える指は、それでも見事に演奏を進めた。文月が本当に感心したのはこの時だ。なるほど
月小路妃美歌は確かに天才で、確かに、音楽にその身を捧げているのかもしれない。
 だから、音楽と共に倒れるのだ。
「―あ、」
 失敗は、やはり第三楽章で起こった。声を漏らしながらも指は自動的に演奏を進めるが、そ
れを許す柚子澤ではない。
 二度目の電流は、一度目の比ではなかった。
「あっ――」
 声が止まる。息が詰まる。与えられた刺激の種類を、脳が判別できない。ただその大きさに
視界が白濁し、意識がそのまま飛ばされ、

「――いぎゃあああああああああああっ!」

 即座に、同じ刺激で呼び戻された。
 挿入された電極から起こったそれは、いわば爆発だった。密着した膣壁を蹂躙したそれは、
肉の壁を打ち破って全身へ伝播する。痺れる、などという生ぬるいものではない。まるで肉とい
う肉がすべて沸騰しているかのようだった。稲妻はあらゆる感覚を振り切って、全身の神経を
一瞬で焼ききった。文字通り飛び上がった月小路は、うまく着地できずに椅子から転げ落ち
てしまう。伸ばした指先が鍵盤をかすかに撫でて、物悲しい不協和音を響かせた。
「いぁっ、はっ、ふああっ、ひゃっ、ひぎゃあっ」
 血が沸騰する。視界が明滅する。腰が跳ね上がり、手足がバタバタと床を叩く。低周波治
療器の電流は断続的に強弱をつけて流される。新たな刺激が膣から全身を突き刺すと、そ
れだけで意識まで飛ばされる。そうして、同じ刺激でまた引きずり戻されるのだ。
 気の触れた狂人のように床を転げ回りながら、月小路は壊れたおもちゃのスイッチが勝手に
切り替わるように、意識のオンオフを繰り返した。涙と涎が顔中を汚していたが、そんなことに
気づくような余裕はない。
「ふぁ、あ、」
 何度目かの覚醒で、ようやく彼女は自分の体が止まっていることに気がついた。電流はまだ
流れているが、強さを調節したのだろう、体の奥で疼く程度のものだ。

220:女学院復讐SS5 8/12
09/08/06 22:42:17 q8ArZmAf
「ぁ、あ、……うぁ……」
 股間のあたりがあたたかい。体温が漏れ出たような錯覚。それでも、月小路は股を覗くことも、
体を起こすこともできなかった。間接がまだガクガクと震えている。太腿あたりから尻の下まで
生ぬるい液体に浸っている気がしたが、体を横に転がすこともできない。
「お漏らししちゃったのね」
 くすくすという笑い声が、そんなことを言った。
「涎まみれのだらしない顔。そんなに気持ちよかったの?」
「あひゃぅっ!」
 反論しようと開けた口から出たのは、文月の言葉を肯定するような甘い声だった。さっきまで
の強すぎる刺激と比べて、今月小路の膣から全身を撫でて回る微電流はあまりにも優しすぎ
る。電気ではない何かが首の後ろを痺れさせて、月小路は無意識に内腿をすり合わせた。
「白目剥くまで電撃くらってよがってるのか?」
「変態ですねー」
「ひ、ひがう……」
 違う、と言っているつもりなのに、言葉にならない。ふるふると力無く首を振ると、文月が笑い
ながら両脇の下から手を差し入れてきた。
「はい、立って。柚子澤さん、最後のスイッチいれて」
「はいよ」
「ひゃ……」
 軽いタッチで柚子澤がスイッチをオンにすると、月小路の体が小さく跳ねた。やさしくなで上
げる微電流が、最後の端子―すっかり膨らみきった淫芽へと電流を送り込みはじめたの
だ。
「やっ、やあぅっ、待っ、ひゃぅんっ、」
 ただでさえ敏感なそこは、文月の執拗な愛撫ですっかり昂ぶっている。ぷっくりと腫れ上がっ
た快楽の中心、その更に深奥、まさしく秘芯というべき奥の奥までを、微電流は撫で上げてい
く。焼ききられた神経の名残を、快楽の電流が伝っていく。ただでさえ震えている足には全く
力が入らない。文月に支えてもらわなければ、立つことすらできないだろう。
「ほら、月小路さん。もう一回よ。今度は最後まで弾きましょうね」
「や、で、できない……」
「できない?」
 また、耳元で文月が毒を送り込む。もうやめてほしい。もう許してほしい。できない。できるは
ずがない。指が動かない。足が震えてる。椅子にも座れない。今度失敗したら、またあの電流
に襲われて―きっと、死んでしまう。
「できるわよ、月小路さんなら。さあ」
 椅子の上まで引きずられて、数分前の焼き直しのように、鍵盤に指を乗せられる。もういやな
のに、ピアノの前に座らされると、弾けないとは言えない。
「やだ、もう、やらぁ……」
「大丈夫よ月小路さん。あなたは人生をピアノに捧げてきたのだから。外で演奏はしなくても、
部屋ではずっと弾いてたんでしょう?」
 今度こそうまくいくわ、と文月は月小路の肩を叩く。無理に決まってる。鍵盤の位置が見え
ない。ペダルがどこにあるのかわからない。頭の中はまっしろで、電流は止まったっていうのに、
全身が痺れてろくに動かない。
 それでも月小路は、演奏をはじめた。
「―あ」
 最初の一音。
 それが聞くに耐えない不協和音になって、月小路ははじめて、自ら演奏の指を止めた。
「ひぁっ―――」


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