07/07/31 08:01:20 WHWB/lDq
「やっ」
いつものように、軽く手をあげて挨拶して、玄関からカズマを迎えいれた。
「じゃ、カズマ入って」
そう言って、自分の部屋のドアを開けると、カズマはけげんそうに眉を寄せた。
「ちょっと待って。メグ、お姉さんはいないの?」
「お姉ちゃん、今日は彼氏のとこにお泊まりなの。
だからカズマと私、二人っきりだよ」
「え」
「今、ドキっとした?」
「他の女の子ならドキっとするところだろうけど、メグが相手じゃね…」
そう、何かをあきらめ気味に言うカズマは、口だけじゃなくて、本当に私と二人だけってことにすこしも動揺していないようだった。
…こいつ、本当に私に気がないな。
ちょっとムカつく。
もっと慌てたりとかしてみせろよ。
「もう、いいから早く入ってよ!」
「うわっ」
背中を押して、無理矢理カズマを部屋の中にいれて、自分も入る。
すぐさまドアを閉めて、鍵をかけた。
「……メグ…?」
訝しげな表情でカズマが見てくる。
あんたの言いたいことはわかってるってば。
「カズマ、ヤって」
「は?やって?何を?」
「セックス」
口の中が粘つくのがわかった。
「!?」
感情はこんなにも冷静なのに、どうしてなんだろう。
だって、私はカズマに恋愛感情なんて微塵もない。
「…メグ、何言ってんの?今日なんかおかしいよ。てか大事な話ってそれ?」
「いつも1人で抜いてるんでしょ?本物の女の子の方がいいでしょ?私じゃダメ?」
そこまで一気に言うと、カズマは呆気にとられたようだった。
「………何で、メグが俺のこと好きなわけないよね?」
「ありえないから」
「だよね。…じゃ、何でそんなにしたいの?」
「処女は嫌なの」
カズマがまた黙った。
「……えっと、何で俺?」
処女は嫌なの。
あの人に釣り合う大人の女になりたいの。
今の私じゃ、ダメなの。
相手にしてもらえないの。