11/02/15 00:14:39 cPMkjUUQ
莫迦で助かる。よく鏡で自分の顔を見てからものを言ってくれ。
(去って行くタクシーを睨み付けて、悪態を漏らす男が一人。
つい先ほどまで若い女と腕を組み、ホテルへ向かって歩いていたのだが、携帯電話が鳴るなり足を止め、急な仕事が入ったといって、タクシーで帰したのだった。
実に申し訳なく残念そうな表情と声で女を送り出したものだったが、タクシーの扉が閉まって走り出すなり、仮面が剥がれ落ちた。
今や男の声も顔もさきほどとは打って変わって、不機嫌極まりない)
あんな女を抱くなんて、おぞましいにも程がある。
父さんの命令さえなければ、誰が相手などしてやるものか。
(地面を蹴りつけそうな勢いで、タクシーとは逆の方向へ歩き出す。
向かう先は夜の町でも特に闇の濃い一角。
男娼の集う特殊な館の方向だ。)