13/03/09 15:01:06.67 0
アップルは顧客体験だけでなく音楽ソフト会社の体験も変えている。
1曲99セントという破格な価格は、レコードやCDをその数倍の値段で売ってきた音楽ソフト会社にとって屈辱的だったに違いない。
しかし、すでに違法ダウンロードに悩まされ続け、売上高を激減させていた各社は、新しい体験を欲していた。
米グーグルが発明したものは検索エンジンである。しかし、グーグルは検索エンジンというソフトを売っているわけではない。
インターネットの普及で世界には情報があふれ、10年で情報の流通量は500倍になった。
あふれる情報の中で、自分が欲している情報をすぐに手に入れたい人々に向けて、
グーグルは検索エンジンを無料で提供した。その一方でインターネットをひとつのメディアに仕立て上げ、
課金ではなく広告から収入を得るモデルを構築した。
実は検索エンジンは、日本ではインターネット商用化のはるか前に発明されていた。
しかし、その検索エンジンは、新聞社に売られていたそうだ。新聞社では、過去の記事を含めて検索するという需要があるからだ。
1台数百万円の検索エンジンを大手新聞社に売ると、せいぜい売上高は1000万円だ。
グーグルが検索エンジンを使って創造した新しい広告ビジネスの売上高は、いまや、年間500億ドルに達する。
日本にこのプロデュース力があれば、日本にグーグルが誕生していたかもしれない。
では、日本企業がこのプロデュース力を高めるために、何をしたらいいのだろうか?
私は、ぜひ、経営トップに発想を変えてもらいたいと思っている。
日本企業が業績予測を考えるときには、必ず「製品×販売数」という考え方で、全体は、その積み上げとなる。
ITは、すでに新しい顧客体験をつくりだす「サービス」の時代に突入している。
日本企業は「モノをいくつ売るか」という発想から脱却すべきだ。
[日経産業新聞2013年3月7日付]