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★宗教と暴動―扇動者を喜ばせない
イスラム預言者ムハンマドを侮辱する映像や風刺画への反発がアジアでも高まっている。
抗議デモの暴徒化は経済的に貧しい地域で激しいが、暴力は決して豊かな社会を育てない。
パキスタンでは、鉄道相が米国のビデオ映像の作者を殺害した者に10万ドル(約800万円)の賞金を出すと発言した。
政府は「あくまで個人的な意見」と説明するが、現職の大臣が殺人をけしかけるとは、許されないことだ。
この国のカラチやペシャワルでは、デモ隊の一部が暴徒となって警官隊と衝突し、20人以上が亡くなっている。
イランでは、宗教財団がムハンマドの風刺小説の作者にかけていた殺害懸賞金を増額した。平和と安心をめざす人々がすることだろうか。
フランスの雑誌が載せた風刺画やビデオ映像がイスラム教徒を怒らせたのは当然だろう。
言論の自由があるといっても、特定の宗教に悪意をこめ、はやして喜ぶ商業主義は、品のいいものではない。
しかし、だからといって手段を選ばぬ暴力に訴えては、その宗教が理解できぬものだとの非難を集め、敵意の応酬になる。
すでにエジプトやリビア、イエメンで米大使館が襲撃され、犠牲者が出ている。過激な宗教集団や政党が組織的に人を集めたようだ。
キリスト教や仏教をふくめ、世界各地で宗教や信仰への関心があらためて高まったのは、経済のグローバル化と軌を一にするように見える。
都市化が進む一方で経済格差は広がり、多くの若者が職に就けずに苦しんでいる。不安と不満が、宗教や信仰をよりどころにさせた。
ただ、それで平和や安心が世界に広がったわけではない。他者による批判を自らの尊厳への攻撃と受けとめ、宗教をたてに暴力に訴える。
狭量な信徒が陥りがちな短絡が、今回の暴徒たちにもうかがえる。(>>2-3へ続く)
asahi.com 2012年9月26日(水)付
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