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母親によるわが子の虐待の原因について、正反対の二つの診断が提出されている。
一つは、虐待が母性喪失または母性欠落によるものだという見方であり、
これは小児科医や心理臨床家など多くの専門家によって支持されている。
もう一方は、「母親なら子どもを可愛くてあたりまえ」と、母親に母性本能を要求するのが、
母親の負担になり、母親を追いつめて虐待に走らせるのだという見方である。
こちらは“フェミニズム”系統の心理学者やジャーナリストに支持者が多く、
とくに新聞や雑誌の記事は圧倒的にこの立場から書かれていている。
まさに「犯人は母性神話にあり」と言わんばかりである。
「母性神話」原因説に立つ人々は、そもそも母性本能等というものは存在しない、という前提に立っている。
しかし、それが間違いであり、母性本能は実在し働いているという事はこれまで何度も言ってきたのである。
わが子の虐待という事態は、「母性本能が解体した結果」であり、母性が壊れてしまった母親にとっては、
家の中に子どもと二人だけでいることが、途方もなく辛いことに感じられてしまうのである。
虐待などのへの正しい処方は、「母性本能の修復」でなければならない。
解体された母性本能の修復は「たしかに可能である」というのが、セラピーを通じて、
母性を失った多くの女性が母性を回復する過程を見守ってきた私の結論である。
母性を失った女性は、母性を味わい直すことによって、また自ら母性を体験することによって、
母性を取り戻すことが確実にできるのである。 母性を体験する方法は多様でありうる。
セラピーの中で味わうこともできるし、先輩の母性豊かな女性との交わりで母性を体験する事も可能だし、
同年輩の女性たちの集いの中で味わうことも可能である。
それに対して、母性を失った女性に、「母性など持っていなくてもいい」と言ってあげるという対策は、
その母親は当面救われた様な気持ちになるが、子供は絶対に救われないという意味で全く間違っている。
子供の為には母性が絶対に必要だという事を正しく認識するならば、母性を取り戻す方策をこそ真剣に考えるべきである。
【元東京女子大学文理学部教授 日本ユング研究会会長 林 道義】
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