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ひと:中村紀洋さん 今もトレーニング励む永遠の"野球浪人"
「カーン・・・カーン・・・」
徳島県のとあるバッティングセンター。場内に何度も快音が響き渡る。
「ここまで来たらトコトン待つしかないですよね」
バットを振るのは徳島インディゴソックスのトレーニングに混ざる中村紀洋さん(60)。今ではその雄姿を
知らない世代も増えて来たが、かつては5億円プレイヤーであったこともある大阪が産んだスーパースターだ。
2013年にDeNAから戦力外通告を受け今年で20年。中村さんは今でも
毎日バットを振り続ける。バッティングセンターを貫く打球の鋭さは、とても
還暦のものとは思えない。
「いつオファーがくるかわかりませんからね。近鉄時代と変わらない
身体を作って準備してますよ」
バッティングセンターに通い続けて20年。日本のファンを沸かせた
中村さんのバッティングは、今では地元の子供たちの憧れの存在となっている。
毎日のようにバッティングセンターに現れる中村さんを、野球少年たちは
"強欲ブランドじじい"と呼び、慕っている。プロアマ規定があるため、直接指導する
ことはできないが、それでも中村さんの打球は少年たちに強く影響を与えている。
「夢を追いかけるという意味では、僕も彼らも同じですからね」
そういって笑った中村さんの顔は、野球をはじめた頃の笑顔そのままだ。
永遠の野球浪人は今も3度目の育成枠でのプロ復活の夢を追い続ける。
【略歴】中村紀洋さん(60)は大阪府大阪市淀川区出身の元プロ野球選手。現在は無職。