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(>>1のつづき)
「天然水」は、地上にわき出る水や川から取るのではなく、地中約100メートルからくみ上げられる。
森の柔らかい土に、山に降った雪や雨がしみ込み、土の下の花崗岩に浸透していく。岩に含まれる
マグネシウムやカリウムといったミネラルの成分が溶け込んだ水が地下水脈を作るのだ。まさに山と
森林が水を生んでいる。
地上の空気に触れた水は、水中の成分が腐りやすくなるため塩素消毒が必要となる。そうした水は
水道水と同じ「ボトルドウオーター」に分類される。人工的にミネラルを加えれば、「ナチュラル-」
ではなく、それはただの「ミネラルウオーター」だ。
実はこの水源林と地下水脈は常に荒廃の危機にさらされている。
「法律上、水源林の所有者は際限なく水をくみあげられるし、水源林を保護する義務もない」
サントリーの工場がある山梨県北杜(ほくと)市の担当者は、こう問題点を指摘する。同市では
サントリーを含め、5業者がこうした水を使って飲料水や食品を生産しているが、もし悪質な業者が
過度に水をくみ上げれば地下の空洞化と地盤沈下につながる。水源林が荒廃すれば、水は枯渇する。
「水源林と水を守っているのは、自治体と業者の自主的な努力。しかし、協力しない業者が出てきたら、
どうするべきか」。北杜市の担当者は不安を口にした。市では、独自条例で井戸採掘を許可制に
しているほか、サントリーなど業者側もくみ上げ量を自主規制し、森林保護に取り組むなどしているが、
協力しない業者が現れた場合、対策はいまのところないのが現状だ。「水源林を買い取ろうとする
業者には注意が必要。日本の環境やルールに関心が薄い外国企業が現れることにも目を光らせないと
いけない。ただ、自主努力には限界もある。国の法整備が必要な時期に来ているかもしれない」
北杜市の担当者はこう話した。
地球上には14億立方キロメートルの水があるとされる。だが、その大半は海水や氷河で、人間が
利用できるのはわずか0・3%に過ぎない。人口増大に伴い、いま世界では水需要が飛躍的に
拡大している。昔から水の豊かな国として知られてきた日本。その貴重な資源が狙われている。(以上、抜粋)