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※>>1の続き
そんな惨憺(さんたん)たる状態で、指揮官たる真弓監督はどう対処しようと考えてい
るのか。フロントもこのまま補強せず、指をくわえて見ているだけなのか。トラ番は振
り返る。
「監督も統一球対策として、一発に頼る打線から足を使うチームへの体質改善を考え
ていました。その切り札が俊介だったんです。彼を使いながら育て、8番あたりに据え
る構想を持っていました。俊介が出塁して、9番の投手がつなぎ、1番のマートンで還
す」
つまり、実質的に1番打者の機能を持たせ、そこに平野恵一や鳥谷といった走れる上
位打線の選手を加え、機動力が発揮できる打線をイメージしていた。しかし、マートン
や中軸の相次ぐ不振で打順を組み替えなければいけなくなった。
「これは単に統一球対策のみならず、真弓監督が就任当時から描いていた攻撃スタ
イルなんです。だから、打順の組み替えはあってもブレたような起用はない。“無策監
督”なんて皮肉を言われることもありますが、動かないのは信念の部分もあるからで
す」(トラ番記者)
ただフロントは、金本知憲の代わりとして打てる外野手を探していたことは事実。オー
プン戦開始当初はロッテの大松尚逸などを筆頭に、水面下でかなりの交渉を進めて
いたという。
「大松クラスを取るためには、江草あたりでは釣り合わない。岩田(稔)という噂もあり
ましたが、故障明けで期待されていたので阪神が出すはずもない。そこで久保田(智
之)あたりの放出を覚悟していたようです。ロッテも中継ぎ陣の補強に迫られていまし
たからね」(地元テレビ局関係者)
そこに東日本大震災が起こり、水面下交渉が球界全体で一時ストップとなった。そし
て開幕するや、肝心の大松が極度のスランプに。阪神の外野手補強は振り出しに戻
らざるを得なくなった。
「それでもトレード期限ギリギリまで粘り、補強には動くはずです。打撃より守れない
金本の影響は、投手陣にもかなり負担をかけるようになっていますから」(同テレビ関
係者)。
なんとも頼りない状況にも映るが、トラ番記者の表情は決して暗くはない。
「起爆剤としてひとりが復調すれば、連鎖反応で生き返る打線です。阪神の打者には、
それだけのポテンシャルがありますから。なにより真弓監督の腰が据わっている。とい
うのも85年の日本一を経験した後、阪神の暗黒時代になっていく経過を、監督自身が
選手として見てきたからです。当時のフロントも首脳陣も、目先の勝利にこだわり朝令
暮改の補強、采配に終始した。でも、それではチームが強くならないと言うことを、真弓
監督は身をもって知っているんです」
とはいえ監督は待てても、果たしてファンがどこまで待てるものか。今の阪神はかつて
の暗黒時代とは異なり、下位低迷など許されなくなった。シーズンはまだ100試合以上
残されていると楽観的な考えもできるが、このまま低迷が続けば「退陣論」など関西の
メディアも黙っていないだろう。その意味では、真弓監督に与えられた時間は決して多
いとは言えない。その状況のもと、どんな采配で窮地を脱するのだろうか。
(了)