11/03/14 22:57:40.48
東日本大震災に見舞われた東京電力福島第1原発で14日、2号機の燃料棒が一時、冷却水から完全に露出するという、
前例のない事態が起きた。一時的な「空だき状態」で、最悪の場合は米スリーマイル島原発事故のような非常事態につながり
かねない。同日午前には、3号機の原子炉建屋(たてや)で水素爆発が発生。完璧な管理によって、その安全性を強調してきた
日本の原発は、前代未聞の制御不能状態に陥っている。
2号機では14日午後、原子炉圧力容器内の水位が一気に低下し始めた。このため、原子炉建屋が爆発した1、3号機よりも
優先して注水作業が続けられたが、水位の低下を止められず、約4メートルある燃料棒全体が露出する「空だき」状態が一時的に
発生した。
その後の注水で水位は上昇したが、万が一、水位が回復しなければ、燃料棒が溶ける炉心溶融が進行し、原子炉内の燃料の
大半が溶ける「メルトダウン」と呼ばれる事態になる恐れがあった。
これは原子炉自体が損傷し、放射性物質が外界に拡散しかねない事態だ。
国内では、日本の原発運用は、あらゆる危険性を排除する幾重もの防御策が整備されているため、米国で起きたスリーマイル島
原発事故のような事態は起きないとされてきた。
元原子炉設計技術者で、福島第1原発4号機の設計にも携わったライターの田中三彦さんは「もし空だきが続けば燃料は溶け落ち、
原子炉圧力容器の底に向かうところだった」と指摘する。
炉の床は合金製で、1500~1600度の温度で溶け出すため、「最悪の場合は炉床が抜ける危険性もあった。一時、水が注入
できなかった状態は、(それができた)スリーマイル島原発事故より深刻な事態だった」と危惧する。
(中略)
◇陸への影響「限定的」
14日起きた3号機での水素爆発によって、原子炉建屋の上部外壁が吹き飛んだ。建屋から飛散した放射性物質はどんな影響
を及ぼす可能性があるのか。
東電によると爆発当時、西~北西の風が吹いていた。豊橋技術科学大の北田敏廣教授(大気環境工学)は「今日のような雲の
多い日は海陸風があまり目立たず、大部分は太平洋方向に流れたと考えられる。陸地への影響は少なく、健康に影響が出ることは
ないだろう」と見る。一方「放射性物質が付着した微粒子の大きさにもよるが、1000分の1ミリ以下だと滞空時間はかなり長くなり
100~200キロ運ばれることも珍しくない」と話す。
実際、1号機で水素爆発が起きた12日午後に放出された放射性物質は南風に運ばれ、13日未明、約120キロ北にある東北
電力女川(おながわ)原発で基準値を超える放射線量が観測された。
北田教授は「晴れた日の昼間は海から陸へ風が吹く。それまでに何とか(放出する事態を)終息させてほしい」と話した。
原子炉内の燃料棒は通常水中にあり、水を循環させて水温をコントロールしている。しかし震災で循環が止まったため、熱で水が
蒸発し、水位が下がった。露出した燃料棒は過熱状態となり、燃料棒を覆う管のジルコニウムが水と反応して水素が発生した。
水素は高温になるほど多く発生するため、爆発の危険性も高まる。
3号機の爆発は、1号機より大規模だったとみられる。NPO法人「原子力資料情報室」の上沢千尋さんは「(1号機より)燃料棒
の溶融が進んだため水素が大量発生したか、格納容器内から建屋への水素漏えいが想定以上なのではないか」と話す。
ソース(毎日新聞) URLリンク(mainichi.jp)