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棋聖戦「孤独な営為に深い感動」米ミューズ・アソシエイツ社長 梅田望夫 (2/2ページ)
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また、おそろしく緊迫する対局室の中でさわやかな存在感を示していたのが、記録係の田嶋尉
三段(奨励会)の姿だった。正味9時間以上に及ぶ熱闘の傍らで一度も正座を崩さず、記録と秒
読みの仕事を完璧にこなして立派だった。彼はじっと盤面を見つめて、両対局者と共に静かに考
え続けていた。
対局の翌朝、佐藤棋聖と田嶋君と私の3人が、たまたま一緒になる機会があった。私は田嶋君
に、前日の仕事ぶりを褒めた。しかし彼が私に何か返答する前に間髪入れず、佐藤棋聖が真顔
で厳しくこう言った。
「修業ですから」
「あんなこともできないようでは、その先にプロとしてやっていくことはできませんから。プロの仕事はもっともっと大変ですから」
佐藤棋聖の言葉に、私は震えた。現代日本が忘れてしまった何かが、そこには凝縮されていたからだ。
将棋の世界には、日本文化の素晴らしき部分が深く確かに継承されている。そしてそれゆえに、
現代という厳しい時代を私たちが生きていくうえで学ぶべき要素が無尽蔵に含まれている。2泊3日の
新潟での豊穣な時間は、私にそれを教えてくれたのだった。