10/01/30 17:24:37 7KfKFAI3
◆排外主義と社会階層 排外主義にシンパシーを抱きやすいのはどのような層なのか
・「日本人」以外に何ももたない不安定低所得層
問題になるのは、2000年代になって急増した非正規労働者と低賃金正社員のような不安定低所得層である。
彼らの職場は労働基準法以下であることは当たり前で、上司に不満や要求などを口にできるわけもなく、
地域社会に依存できる人もほとんど珍しくなっている。
さらに悪いことに、国家による社会保障制度の生活上の必要性が極めて高いにも関わらず、
健康保険や年金すら満足に払えていない人が多い上に、
利害関心が人口や投票率の面で選挙結果に反映されにくいことである。
先にも述べたとおり、既存のマスメディアは団塊世代を中心とした旧中間層に配慮したものである。
こうして不安定低所得層は、職場では全く無力であるだけではなく、
自らの苦境について政治からもメディアからも全く無視されているというルサンチマンを潜在的に抱えている。
もちろん、彼らの利害関心を代弁する議論は新書やインターネット上において一定数存在するが、
そうした言説を目にするのは所詮は一握りにすぎず、一般レベルにおいては「自己責任」言説が依然として根強いものがある。
それでは、不安定低所得層が自らの利害関心を代表しようとするためにはどうすればいいのかというと、
それは「自分たちも同じ日本人である」ということになる。
つまり、「日本人」であるという以外に自らの困難を訴えるための正当性の資源を何一つ持たない彼らは、
容易に排外主義的な言説にシンパシーを抱きやすい性質をもっているのである。
そもそも、「新自由主義」を批判する言説はそれなりの知的能力を要求するが、
「日本人」であることには何一つ知識は必要なく、それに賛同するための敷居がきわめて低いという利点がある。
「在日」それ自体は実のところどうでもよく、「日本人」であることの手応えを得るために、あらためて呼び出された仮想敵に過ぎないのだ。