08/02/24 12:50:20 4xyfq0Oo0
「じゃんけん」
「はぁ、だいぶおそくなっちゃったな」
私は、桜岡高校に通う高校2年の藤堂茜。私は、大会に向けた絵画の制作のために授業後遅くまで学校に残って絵を描きつづけていた。
「よし、今日はここまでかな」
私はずっと座ったままの姿勢で固まった体を癒すため、軽く伸びをした。絵のほうはあと1,2割で完成するところまで来ていた。これならなんとか間に合いそうだ。
「さて、美術室の鍵を職員室に届けて帰ろっと」
私は部屋の電気を消し鍵を閉めて職員室に向かった。
「なんか、ひとのいない校舎って寂しくてこわいなぁ」
今日は特に遅くなったから、当直の先生以外ほとんど学校には人がいない。
日はまだ出ている時間だけど、夕方の赤い弱弱しい光はいっそう人のいない建物を
さびしげなものにしていた。
「はやく、帰ろ」
渡り廊下に行くため、美術室のある3階から2階へ降りていったとき、ちょうどそこで私は教室に忘れ物をしたことを思い出した。
「(ああ、しまった。ま、いいや渡り廊下に行くには教室の前を通るし)」
忘れ物をとりに、教室に入ったときまだ教室に誰かが残っていることに気が付いた。
「だ、だれ?」
教室は薄暗く顔がはっきり見えない。ちょっと怖い感じがした。
「・・・ん」
私の存在に気づいた影の主が声を漏らした。その声には持ち主には記憶があった。あんまりいい記憶じゃない。
”奴”だ。”岡嶋博”― いつも机の上で女の子人形(いわゆるフィギュアってやつかな)をいじってていかにもオタクタイプの人間で何かの雑誌を読んでいる時は気持ち悪い笑い方をしている。たぶん、トモダチもいないんじゃないかな?
「どうしたんだ?」
「えっーと、美術室の鍵を職員室に届けようと思って、途中で教室に忘れ物があったのを思い出してここにきたの・・・」
「ふーん」
私が、しどろもどろに奴の質問に答えるとめんどくさそうに返事をしてきた。なんかむかつくなぁ。
私は忘れ物を持っていくために自分の机に向かった。
「そういえばさあ」
「・・・?」