08/02/23 07:14:41
>>248
たすけて、たすけて。
少年は、おぼつかない手で、マッチをすりました。
ぽっともえあがる炎の向こうに、なつかしい面影が踊っています。
『おとうさん、おかあさん…』
しかし、マッチはすぐにもえつき、カスはゆっくりと雪に落ちて消えました。
少年は泣きながら雪にすがりつきました。
寒さも冷たさも、もう少年にはわかりません。
やがて、少年の意識も、白く遠くなっていきました。
あたらしい年の朝、きっとまちのひとびとは、きづくでしょう。
マッチのもえかすを抱えてほほえむ、少年のちいさなむくろを。
よいこのアンデルセン童話『マッチ売りの少年』
おしまい