09/02/04 22:01:30 Mwl4RS1T
10.
母さんの明るい笑顔には、何の憂いもない。
でも、夕方、窓越しに覗き見た母さんは、違っていた。
男の目の前で大きく足を開き、股間に顔を埋められ、指を噛み快感に耐えていた。
身体をブルブルと震わせ、腰を痙攣させ、いく、とよがり声を上げていた。
すべては幻だったのか…そう思うほど、母さんは普段のままの母さんだった。
「…あ。母さん、先にお風呂もらっちゃったけど」
着替えにリビングを出る俺の背中に、母さんはそう言った。
どくん、とその言葉に俺の心臓は波打った。
母さんは普段は、寝る前に風呂をつかう。
…先にシャワーを使い、身体を清めたかったのか。
男に抱かれ、男の唾液や、精液、そして自らの愛液にまみれた汚れた身体を
俺が帰る前に清めたかった…そういうことなのか?
母さんの言葉に返事を返さず、俺は階段をのぼる。
自分の部屋に入り、呼吸を落ち着かせる。
母さんが隠そうとしている限り、どうにもなりはしない。
俺からそのことを持ち出す勇気はない。
制服を脱ぐと、ジャージに着替え、俺はまた階段を下りる。
母さんの声が掛かる前に脱衣所に入り、扉を閉めた。
ふうっ…と俺は脱衣所で息を衝く。
自室で呼吸を落ち着かせたはずが、動悸は収まっていない。
(熱いシャワーを浴びて、落ち着こう)
だが、不意に、さっきまで気付かなかった思いが俺を捉える。
母は、俺より先に風呂をつかった、と言った。
だが、それは…一人で、だったのだろうか?