09/12/08 00:09:19 ovW3Ts3c0
「クリスティーナか?」
バサッ。
「うわっ! おおおお岡部!? 入ってくるならドアくらいノックしなさいよ!」
「ここは俺のラボなのだが……」
「私だってラボメンでしょーが! ……まったく、驚かせないでよね」
「ノックして欲しいなら鍵をかけていればいいだろうに……まったく、間の抜けている……」
「何か言った?」
「いえ別に。ところで、何を印刷していたのだ?」
「! み、見るな! あんたが見たって何も面白くないんだから! そ、そう! これは論文なの」
「論文?」
「そう、論文。全部英語で書かれてて、とても貴重な文献だから印刷してじっくり読みたいなって―」
「そうか。そんなに貴重ならさわりだけでも読ませてもらおうか」
「いーから見るな! バカ!」
「……何故そこで怒る。さて、PCを使わせてもらうが、いいか?」
「いいわよ。用事は済んだしね」
「@ちゃんは見ないのか?」
「見・ま・せ・ん!」
(まったく……どれどれ、どこのサイトを見ていたのか、覗いてみるとするか)
(Excelを開いて……適当なセルで右クリックして……ハイパーリンクを選んで……ブラウズしたページは、っと……)
「んん?」
「ど、どうかした? 岡部」
「いや……何でも、ない」
「そ、そう。突然変な声出さないでよね。こっちは論文に集中してるんだから」
(『ドリー夢☆ノベルズ』……だと? なんだ……これは……?)
カチッ、カチッ。
「うわっ!」
「きゃっ……だ、だから変な声だすなと言っとろーが! 集中して読めないじゃない!」
(こ、こいつ……もしかして……これを? よ、よし。試しに―)
「―そして、男はその手をゆっくりと、女の肩に回した」
「?」
「女の震える肩は一瞬、びくっとなったが、男の手のぬくもりに安心したのか、次第にその震えは収まり―」
「? ?」
「男はゆっくりと、女の方に向き直り、そして、その名を呼んだ―『紅莉栖』と」
「!!!!!!!!」
「『倫太郎さん』―女はゆっくりと目をつぶり、口をつきだ―」
「それ以上、音読するなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「ごほぉっ!」