07/09/24 16:20:26 ee4u+TO4
放課後・・・。
人気もなくなった校舎の中、茶道部の部室で木津は一人備品の点検や整理を続けていた。
「もう、勝手なことされちゃ困るのよね」
備品の畳の位置が変わっていたり、什器が使われている跡があったり、最初は誰の仕業
かわからなかったのだが、最近になってやっと小森が使っていることに思い当たったのだ
が、印象と違い気の優しいところもある木津は、どう注意したものか言いあぐねていた。
「きっちり貸出票でも記入してもらおうかしら」
今日は部活動は休みの日である。他に何も予定はないし、木津にとっては心の休まる瞬
間でもあった。
コンコン、ノックの音がした。
「どうぞ」一体誰かしら? 木津は考えた。
「おじゃましまーす」
引き戸をがらりとあけて、ちょっと能天気とさえいえそうな明るい声を上げて入って
きたのは風浦可符香であった。
「明かりがついていたらと思ったら、やっぱり千里ちゃんだ。熱心ねえ」
「整理整頓していないとすぐに汚くなっちゃうから」
「きっちり粘着質だね、千里ちゃん」
普通ならかなり嫌味な言い方なのだが、可符香の場合あまりに自然にそれをいうので、
どうにも反論のしようがない。
「そうね」木津は怒るのをあきらめてそう答えた。