みつどもえで百合 【2卵性】at LESBIAN
みつどもえで百合 【2卵性】 - 暇つぶし2ch50:名無しさん@秘密の花園
11/06/01 02:03:41.37 jp3CAqwX
乙!
いい百合だった

51:名無しさん@秘密の花園
11/06/02 10:30:59.12 noqI677V
素晴らしい
こんな短編でいいから皆でもっと松ひと妄想垂れ流そうぜ

52:名無しさん@秘密の花園
11/06/02 19:34:47.31 bH662MN6
松ひとの流れで申し分けないが今更ながら、ひとみつ・バレンタイン書けました。
いつもの如く非常に長い(テキスト34KBほど)ので事前告知。
確実に規制に引っかかるのでまとめて投下出来ない恐れ有り。

また、いつものようにひとみつ以外にもいろんな成分含まれてます。
今日のリアル夕飯終わり次第投下予定です。

53:名無しさん@秘密の花園
11/06/02 20:42:04.13 08Hr2Gei
期待age

54:バレンタインに如何して嫉妬? 前編-①
11/06/02 22:01:13.31 bH662MN6
>>53
ちょ、上げるとか公開処刑じゃないか!
と言うわけで投下という名の処刑。

~~~以下本編~~~

タイトル:バレンタインに如何して嫉妬?

~ 約束(ひとは視点) ~

“ひとは! あんた私にバレンタインチョコ寄越しなさいよ!”

<トントントン>

2月13日。今はみんなが寝静まった夜。

<トントントン>

板チョコを細かく包丁で切り、湯煎で溶け易いようにする。

ひとは「はぁー」

大きく嘆息する私。

みっちゃんに言われてチョコレートを作るなんて馬鹿みたいだ。

55:バレンタインに如何して嫉妬? 前編-②
11/06/02 22:07:49.94 bH662MN6
どうして私が……それに私にチョコレートを作らせる理由が酷いのだ。
女が男にチョコレートを上げるイベントって言うことが気に食わないらしい。
用は自分が食べたいのにもらえないって言うのが嫌ってことだ。
そんなの知ったことじゃない。

…………。

ひとは「はぁー」

もう一度、大きく嘆息する。

知ったことじゃない……はずなのに、今作ってるのは紛れもないみっちゃん用のチョコレート……。
実際のところ、言われたときに断ったのだから作る必要なんて無いし、作らないつもりだった。
でも、断ったときに文句を言いながらも一瞬見せた悲しそうな表情が目に焼きついてしまって……。

56:バレンタインに如何して嫉妬? 前編-③
11/06/02 22:12:05.92 bH662MN6
私にチョコレートをもらえない事じゃなく、食べられないことに悲しんだ可能性もあるけど。
って言うか後者に決まってる! 何を期待……い、いや、期待なんて最初からしてない!
そんなことに期待するなんて無意味だし不必要だ!

頭を横に振り、意味不明な考えを否定している時、湯煎用のお湯が沸いた。
それと同時に思考が中断されチョコレートを作っている現実に戻る。

細かく刻んだチョコレートをボウルに入れ湯煎を始める。

ひとは「はぁー」

……さっきから何度目になるだろうか?
そんな自分に呆れて心の中でまた嘆息していた。

私は解けていくチョコレートを見ながら、また、なんとなしに考え事をする。

57:バレンタインに如何して嫉妬? 前編-④
11/06/02 22:14:23.42 bH662MN6
こんなことしてるからみっちゃんは太るんだ。……間食が多いのも原因だと思うけど。
甘やかしすぎなのだろう。いつも口では憎まれ口をたたいてはいるが、実際夕飯抜きとか滅多なことじゃしないし。
もっと厳しくしないといけないのかも知れない。このチョコレートだって―

―いや、そんなことよりも考えなければいけない事があるんだ。
明日、絶対悩む。確実に悩む。今考えたところで結局は悩むだろうけど。
作っているチョコレート菓子を見ながら呟く。

ひとは「コレ、どうやって渡せばいいんだろう……」

そう言ってまた嘆息する私だった。

58:名無しさん@秘密の花園
11/06/02 22:21:20.32 bH662MN6
~~~以上本編~~~

ちょ、ちょっと待ってくれ……忍法帳…いつ完全適応されたの?
最近色々あって忍法帳今日作ったばかりなのに……
800文字ずつ程度しか投下出来ないって……最悪じゃないか。

ここまで書いてアレだけど、このまま細々続けるか、Lv上げ直すべきか……迷ってます。
どうしたらいいでしょう? orz

59:バレンタインに如何して嫉妬? 前編-⑤
11/06/02 22:34:57.25 bH662MN6
質問しておいてなんですが、とりあえず、次のキリのいいところまで続けようかと思います。

~~~以下本編~~~

~ 学校(みつば視点) ~

みつば「ふー…何とか…間に合った…わね! ふたばが…いなかったら…危なかったわ」

私は息を切らしながら、授業開始の5分前に昇降口にたどりついたことに安堵し呟く。

ひとは「ふたばがいると…事故率は…上がるけどね」

同じく息を切らしているひとは。文句を言いつつ、自分の腕に出来た擦り傷から出た血をポケットティッシュで拭き取っている。
さっきのひとはの意見には正直、同意できる。でも、今回は遅刻しそうになった原因がわかっている。
呼吸も整ってきたので、唾を飲み込んでから言葉を出す。

60:バレンタインに如何して嫉妬? 前編-⑥
11/06/02 22:40:00.78 bH662MN6
みつば「っていうか、あんたが寝坊したからこんな事になってるのよ! あんたもちょっとは反省しなさいよ!」

言ったとおり、珍しくひとはが寝坊して……結果、皆起きれずに急いで学校に走ってきたと言うわけ。
もちろん朝御飯も食べれずに出てきたから私の機嫌は最悪――腹の虫の機嫌も悪いのは言うまでもないわね――なのだ。
だからと言って、ひとはだって好きで寝坊したわけじゃないし、怪我している相手に言うことでもないのだけど……。

ひとははそんな私に一瞬怒ったような表情と悲しんだような表情が混ざったような微妙な顔を向けた。

その表情を見て、先ほど言った台詞が言い過ぎた様な気がして後悔していると、ひとはは呆れた表情に変えて嘆息した後言葉を続けた。

ひとは「……みっちゃんも足から血が出てるよ」

そう言われ足を見ると確かに少し膝から血が出ていた。

61:バレンタインに如何して嫉妬? 前編-⑦
11/06/02 22:44:28.42 bH662MN6
ふたば「二人ともごめんッス! 小生が近道のために生垣を突き抜けたからいけなかったんッス!」

そう、ふたばがいることで間に合った代償として、どこの家か分からないが生垣を貫通してきたのだ。
私とひとはは手を繋がれ引っ張られていたので共に擦り傷を負ったというわけだ。
漫画みたいな話だが事実。正直フィクションであってほしかったんだけど。

ひとは「うん、擦り傷で済んで奇跡だよ」

私とひとはは擦り傷だが、ふたばが無傷なのは納得いかない。まったく不公平な世の中よ!

62:バレンタインに如何して嫉妬? 前編-⑧
11/06/02 22:46:49.65 bH662MN6
とりあえず教室に行かないと遅刻になってしまう。それだと“生垣を貫通”損なので、私は血を拭かず校舎に足を踏み入れたのだが―

栗山「っ! 怪我人! 『ヒーリング・ローリング』!」

―その選択は間違いであること知らせる、後ろからの栗山っちの声。
時既に遅し……授業間に合わないだろう。
そう諦めていたのだけど―

宮下「お、三女じゃな、っ!」

―突然の鬱陶しい介入により救われた。

私めがけて飛んできていた包帯は宮下の顔、腕、足―全身に巻きつき一瞬にして身動きを封じた。

宮下「むぅ! ううぅ~~!」

包帯で身動きを取れなくなった宮下が芋虫の如く暴れている。
口にも巻きついているため、うまく声も出せないようだ。
それが、少し前の私の未来だった状況だ……鳥肌ものだ。

63:バレンタインに如何して嫉妬? 前編-⑨
11/06/02 22:50:45.81 bH662MN6
栗山「外した!?」

っ!

安心してたけどよく考えたら、まだ私は怪我人だった。
追撃が私に来るかと思ったが、いつの間にかひとはが音も無く栗山先生に近づいていた。
そして廊下に放置されていた箒の柄を使いメガネを頭の上にずらした。

ひとは「大丈夫ですよ先生。命中してます。早く保健室へ」

栗山「え? あ、そうね急いで保健室で治療しないと!」

そういうと、宮下を引きずり保健室があるほうに走っていった。

流石はひとは……。
助けて貰えたことへの感謝と同時に、さっきひとはに酷い言葉を掛けてしまったことに罪悪感を感じる。

ひとは「……宮ローリングさん。たまには鬱陶しさが役に立つね」

みつば「せめて人間らしい苗字で呼んであげなさいよ」

前言撤回。
一応感謝はしておくが罪悪感を感じるほどこいつはいい奴じゃない!

64:バレンタインに如何して嫉妬? 前編-⑩
11/06/02 22:54:09.03 bH662MN6
教室に入ると微かだが美味しそうな香りがすることに気が付いた。

嗅覚に全身系を集中させる。……これは、甘い……香り……!
チョコレートの香りだ!

でもなんでチョコレート?

ひとは「みっちゃん、どうかした?」

教室を入ったところで立ち止まっている私を気にしたのかひとはが話しかけてくる。

みつば「何だかチョコレートの香りがするのよ」

私の感じた事実を言ってやると、ひとははスンスンと鼻で空気を吸い込む。

ひとは「……全然そんな香りしないんだけど……」

みつば「するわよ! 私をなめないでね!」

胸を張って言ってやる。

ひとは「舐めると塩キャラメルの味がするらしいね」

そういうと“すぃ~”と音も無く自分の席へ向かっていく。
悔しいが、否定できないので反論できない。とりあえず、適当な悪態をつくことにした。

65:バレンタインに如何して嫉妬? 前編-⑪
11/06/02 22:56:49.14 bH662MN6
みつば「ぱっとお手軽に死ね!」<キーンコーンカーン……>

私の台詞とチャイムが重なり、同時に背後の教室の扉が開く。

矢部っち「はい、皆席についてー。今日はバレンタインだけどチョコ貰った男子は廊下に立たせるからそのつもりでね」

あ!

なるほど、今日は2月14日。バレンタインデーだった。通りでチョコレートの香りがするわけだ。

…………。

結局ひとはは私にチョコを作ってくれなかった見たいね。
ま、まぁ別にいいんだけど。

もともと期待薄で頼んだことだし、断られたし作ってくれるわけ無いんだけど。

朝御飯が食べれなかったことに加え、この香りでお腹が空いて仕方が無い。
次の休み時間にでも杉崎が持ってきているであろう高級チョコでも奪おう。
ホワイトデー何か返さないといけないのは少し面倒だが背に腹はかえれない。



66:名無しさん@秘密の花園
11/06/02 23:03:14.39 bH662MN6
~~~以上本編~~~

とりあえず、もう1LV上げないと厳しいので今日はここまで。許してください。
あと、作品途中だからってレス、SS投下を自重しないでくださいね。過疎だし……

67:名無しさん@秘密の花園
11/06/03 00:11:55.61 Cbg0lFXM
長編投下乙です
面白かった

68:名無しさん@秘密の花園
11/06/03 01:36:10.00 rzcWbyeQ
乙!
忍法帖とかマジでいらない

69:名無しさん@秘密の花園
11/06/03 03:34:35.23 hV+L7cbk
>>66
いつもながら素晴らしい乙&期待

70: 忍法帖【Lv=2,xxxP】
11/06/03 18:43:01.99 0itU9PDa
>>67-69
感想とか色々ありがとう御座います。

お礼のついでにLv確認……したかったんだけどなぜかさっき忍法帖作成って言われた……
Cookie消してないのにorz
そういうことなので沢山レス使うことになると思うけどLv1で頑張ってみるよ!

71:バレンタインに如何して嫉妬? 中編-①
11/06/03 18:47:01.63 0itU9PDa
あれ? Lvあがってる???
意味がわからないが……結果オーライってことで

~~~以下本編~~~

~ 悪戯(杉崎視点) ~

一限目と二限目の間の休み時間。

朝はみつばが来るのが遅かったし、宮下もいなかったので用意してきた友チョコ――1個千円する高級チョコよ!――
を皆に食べてもらうことができなかったが、今は全員いるみたいだ。

声を掛けて皆を集めようかと思っていると―

みつば「杉崎ー、あんたチョコ持ってきてるわよね! 私に献上しなさい!」

―みつばのほうから催促しに来た。
なんて図々しい奴だろう。
……まぁ、対みつば悪戯用チョコレートがあるし今回は目をつぶっておこう。

吉岡「杉ちゃん、今年もチョコ持ってきたの?」

私がみつばに言葉を返す前に吉岡がやつれた宮下をつれて私のところまで来た。
なぜ宮下がやつれているのか……敢えて聞かないことにする。

杉崎「ええ、もちろん持ってきたわよ。皆で食べましょう」

そういってチョコレートの入った箱を取り出し、蓋を開け机の上に置いた。

みつば「さすがね、変体金持ち女!」

早速手を伸ばす雌豚。だけどコレはみつばのためのものじゃない。
さっきも言ったように対みつば用チョコレートを用意したのだ。
それを食べてもらわないと話にならない。

72:バレンタインに如何して嫉妬? 中編-②
11/06/03 18:51:21.59 0itU9PDa
杉崎「コレは、あんたのじゃないわ!」<バシッ>

みつばの手を叩きチョコの強奪を阻止する。

みつば「さ、さっきのは、嘘。変体“お”金持ち女」

宮下「たいして変わってないぞ……」

みつばの発言に徐々にイライラしつつも、作戦実行のため今は我慢しておく。

杉崎「そうじゃなくて、あんたにはこっちを食べてもらうわ」

そう言って私は、バックの中から大き目の箱を取り出しみつばに渡す。

みつば「な、なによこれ?」

怪訝な顔をこちらに向け聞いてくる。あからさまに怪しまれているわね。
うまい誤魔化し方が浮かばないのでとりあえず大事な部分だけ隠して事実を言っておく。

杉崎「なにって、あんた用のチョコレートよ!」

みつば「……え?」

宮下「お、おい杉崎それって……」

あれ? 何だか空気が変わった。

杉崎「え? なに? 私へんなこと言った?」

私の問いには答えず皆別々の反応を見せる。

吉岡は悶え、宮下はありえないものを見るような目で私を見る。
そして、みつばは真っ赤な顔で箱を眺めている。

私は言った内容を思い出そうと思っているとみつばが口を開いた。

みつば「と、と、とりあえず、あけるわよ!」

そう言いながら箱に手を伸ばして―

<パーン!>

みつば「―っ!」

渇いた破裂音と共にみつばが後ろにこけて尻餅をつく。

対みつばびっくり箱作戦は見事成功!

何だか混乱していた様だったけど……まぁ作戦は成功したし結果オーライって事で。

73:バレンタインに如何して嫉妬? 中編-③
11/06/03 18:58:54.19 0itU9PDa
<ピロリロリン♪ ピロリロリン♪ ピロリロリン♪>

すぐさま携帯を取り出し、捲れあがったスカートの中を映すために連続でシャッターを切る。

ここで注意しなければいけないのは、子供パンツのズーム写真を撮ることはもちろん、
みつばの驚いている顔を撮ること、またその全体像を撮るこ―

みつば「な、何なのよ……っ! ちょっと何撮ってんのよ!」

<ピロリロリン♪>

もちろん、今の子供パンツを隠すためにスカートを押さえて、真っ赤な顔をしているところも逃してはいけない。

吉岡「ああ! 杉ちゃんが千葉くんとの三角関係を有利に進めるためにみっちゃんの弱みを―」><

宮下「いや、どう考えても違うだろ……」

さらにもう一枚写真を撮ろうとした時、みつばが立ち上がった。

みつば「いいかげんに……って、チョコ入ってるじゃない!」

怒りを爆発させるのかと思ったが、びっくり箱の中のチョコに気がついたようだ。

杉崎「せっかくだし入れておいてあげたわ。高級チョコを溶かして雌豚の型を取ったチョコよ、有難く頂きなさい」

私は満面の笑みで、かつ威圧的な態度で言う。みつばのことだ、チョコが食べたくて食べたくてどうしようもないだろう。
こんな嫌がらせをしても食べてくれるだろうと言う算段だ。どんな顔をして食べてくれるのか楽しみで仕方が無い。
まぁ、食べないなら食べないでも構わない……少し残念ではあるけど……作戦自体は成功したわけだし。

それに、うまくみつばの注意がチョコに向いたおかげで携帯を奪われることもないのだ。

みつば「くっ……わざわざ雌豚型にするなんて……」

文句を出しているが、涎も出している。さぁ、何て言って食べるの?

74:バレンタインに如何して嫉妬? 中編-④
11/06/03 19:02:35.18 0itU9PDa
~ 嫉妬(ひとは視点) ~

杉崎「なにって、あんた用のチョコレートよ!」

!?

ちょ、え? なに???
何がどうなっていきなりそんな展開に?

急な出来事で状況がうまく理解できない。

さっきまで遠目で見ていたが、杉ちゃんが友チョコを皆に上げようとしていただけのはずだった。
それが一転してこの状況。意味不明だ。

みつば「と、と、とりあえず、あけるわよ!」

動揺しすぎ……って言うか、受け取っちゃうの?
受け取るって事は……あれだよね、両思―

<パーン!>

―……混乱してるところにこの破裂音は心臓に悪い。
だけど、何とか状況が理解できた。

<ピロリロリン♪ ピロリロリン♪ ピロリロリン♪>

杉ちゃんが尻餅をついたみっちゃんを激写……つまり、悪戯ってこと。

ひとは「はぁー」

安心した。……何に?

そんなことより、朝、寝坊したおかげで忘れていたがみっちゃんに上げるチョコを持ってきていない。
渡すとしたら帰ってからってことになる。
結局どうやって渡すか決まらなかったし、今のうちにシミュレーションしておくのもいいだろう。

えっと―

みつば「いいかげんに……って、チョコ入ってるじゃない!」

杉崎「せっかくだし入れておいてあげたわ。高級チョコを溶かして雌豚の型を取ったチョコよ、有難く頂きなさい」

みつば「くっ……わざわざ雌豚型にするなんて……」

―とりあえずシミュレーションは後回しだね。

……杉ちゃんそれって一応手作りチョコって事だけど気がついてる?
みっちゃんも馬鹿だから理解出来てないみたいだけど……。


75:バレンタインに如何して嫉妬? 中編-⑤
11/06/03 19:08:20.31 0itU9PDa
みつば「し、仕方が無いわね、貰ってあげるわ!」

杉崎「え? 何その上からの態度。上げないわよ?」

杉ちゃん随分楽しそうだ。手作りって自覚がないとあそこまで自然に振舞えてしまうのか。
みっちゃんもみっちゃんだ。何普通に貰おうとしてるの? こういう時こそプライドってものをもう少しもって欲しい。

……そこまで考えてから気がついた。今日遅刻しそうだったから朝御飯食べてないんだ。
だとすると、プライドを捨ててまで腹を満たしたいと……。
朝抜くだけで倒れるくらいなのに朝から走ってきたのだ。昼間で何も食べないのはみっちゃんには無理な話だろう。

みつば「っ……その…チョコレート私に…下…さい」

杉崎「ふふふ、いいわよ、この躾のなってない雌豚にくれてあげるわ」

と言うわけで杉ちゃんの完全勝利。そしてみっちゃんは悔しそうな顔をしてチョコを食べる。
そして、二口目からは満面の笑みでおいしそうに食べ始めた。……とんでもない雌豚だよ。

何だか見るのが辛くて……私は視線をみっちゃん達から外す。

あー、色々と失敗したな……チョコなんて作ってたから寝坊して迷惑掛けて、それに……杉ちゃんのチョコだって……。

松岡「三女さん? どうしたの元気なさそうだけど」

ひとは「……別に普通だよ」

そういうと、納得してなさそうな顔をしならが「そう?」と呟く。
何もリアクションなしに返事したけどもう少し存在感を出してから登場して欲しい。

しばらく沈黙が続いてしまう。これ以上沈黙が続くとあちらから詮索される気がしたので私から話しかけることにした。

ひとは「松岡さんは杉ちゃんにチョコ貰いに行かないの?」

松岡「んー、まだお腹空いてないしね。食べないのに貰いに行くのって失礼かなって」


76:バレンタインに如何して嫉妬? 中編-⑥
11/06/03 19:10:53.19 0itU9PDa
視線をみっちゃんたちのほうに向けながらさらに続ける。

松岡「まぁ、お昼のデザートとして貰いに行くよ」

松岡さんなりにちゃんと考えてるんだ。失礼な言い方になるけど意外にまともだった。
でもチョコレートはお菓子でありデザートにはならないと思うんだけど……まぁ、気にしないでおこう。

そして松岡さんの視線の先を私も辿ると、みっちゃんと杉ちゃんが馬鹿やってる姿が写る。
それを見たまま、松岡さんがなんでもないように呟く。

松岡「それにしても、あの二人仲いいよね」

ひとは「だね……」

私も正直にそう思う。だけど……松岡さんの言葉がなぜか心を重くした。

松岡「…………もしかして、みっちゃんと杉ちゃんが仲良くしてるのが面白くない?」

ひとは「ゴッ、ゴホゴホッ!」

完全に不意打ちだ。予想外の台詞に、咳き込んだ。
そうやって咳き込んでいると、松岡さんが「大丈夫?」と心配そうに覗き込んでくる。

ひとは「ど、どうしてそう思ったの?」

否定すればいいものを、何でこんな答え方……。
どうやら私は、動揺しすぎてうまく頭が回ってないらしい。

松岡「えっとね……私も三女さんが他の人と仲良くしてたら…少しくらい嫉妬しちゃうしね」

照れ隠しをするように頬をかいて、私が何も喋れないでいると続けて喋る。

松岡「何となく気持ちは分かるって言うか……」

…………。

まぁ、いいや。否定しようと思ったが止めた。
別に茶化したりするつもりもなさそうだし。

77:バレンタインに如何して嫉妬? 中編-⑦
11/06/03 19:13:07.98 0itU9PDa
ひとは「嫉妬…なのかな……」

頬杖を付いて考える。確かにあの二人見てて面白くない。
それじゃ、宮下さんと吉岡さんを見てると……違う意味で面白く無いか。何というか鬱陶しそうだ。
他の人に例えるのは難しいので止めよう。

二人を見てて面白くないって、いつもそんな風に思ってるわけじゃない。
今日が顕著にそう感じるだけで……それは今日がバレンタインデーだから?
私もみっちゃんにチョコを作った。なのに杉ちゃんに先に渡された。
そして、みっちゃんは貰ったチョコをすごくおいしそうに食べていて……何だか杉ちゃんに負けた気がして。
だから、面白くない。コレが嫉妬と言うものなのだろうか。

私は嫉妬するほどみっちゃんを好いているのだろうか?

隣から「ねぇ?」と松岡さんが言葉を挟み、私は思考を中断することにした。

松岡「さ、三女さん……その腕の怪我!」

頬杖していたので朝出来た腕の傷が見えたらしい。

ひとは「あ、コレは朝ふたばが―」

松岡「霊との激戦があったのね!」

…………。

今までまともに会話できてただけあっていきなりの変貌にイラっと来た。

ひとは「そうだよ、怪我をした状態で保健室に行くとその霊に会えるよ! さぁ松岡さんも早く怪我をして保健室へ!」

松岡「やだなー三女さん。怪我をした状態で保健室だなんて、会えるのは暴走した栗山っちだけだよ~」

…………。

もうやだこの人……。




78:バレンタインに如何して嫉妬? 中編-⑧
11/06/03 19:16:14.30 0itU9PDa
~ 下校(みつば視点) ~

みつば「はぁ、……今年もまた杉崎に何か返さないといけないわけね……」

下校時間、校門前でお手洗いに行っている杉崎を待ってるときに一緒にいるふたば、宮下、吉岡に言う。

宮下「まぁ、いいんじゃないか? それなりに旨かったし。またみんなでクッキー作ってやろうぜ?」

吉岡「そうだね、それがいいよー」

ふたばは……一人で走り回っていたためか聞いていなかったようだ。
まぁ、クッキー作りのときに役に立つのはふたばじゃなくひとはだし問題ないけど。

―そこまで考えて気がつく。宮下の奴、ひとはと料理したいだけじゃない?
いつも何かとひとはに粘着してるし……。

あれ? そういえば……ひとはは?

杉崎「お待たせ。……あれ? 三女っていなかったんだっけ?」

杉崎が戻ってきて、丁度私が疑問に思ったことを言ってくれた。

ふたば「何か用事があるから先に帰るって言ってたっスよ」

用事ね……買い物でもしにいったのだろうか?
特にそんな話聞いてないし、わからないものはわからない。考えるのを止めようと思ったが―

ふたば「今日のひと、元気なかったっスけどだいじょうぶっスかねー」

―ふたばの言葉に少しだけ考えることにした。
確かに元気なかったかも……朝はそんなに引っ掛かっていなかったのだが、午後あたりは無口になったというか、不機嫌というか。
何度か憎まれ口を叩かれたのだが、とにかく少し違和感を感じていた。

79:バレンタインに如何して嫉妬? 中編-⑨
11/06/03 19:18:52.38 0itU9PDa
宮下「そんなことなかったろ? 私にはいつもと一緒に見えたぞ」

まぁ、ひとはも気が付かれないように取り繕ってたみたいだし、正直私も言われるまで気に留めてなかった。

みつば「まぁ、空気読めない宮下じゃわからなくて当然ね」

宮下「なんだと! だったら何が原因で元気なかったんだよ!」

みつば「しっ…知らないわよそんなこと! あんたに何かされたんじゃないの! 前科もあるし!」

宮下「何もしてねーって! ていうか、朝迷惑掛けられたの私のほうだし! あと前科とか言うな、完全に誤解だ!」

吉岡「だ、大丈夫だよ宮ちゃん! 私達、前科があっても友達だよ!」><

宮下「だぁー、吉岡おまえもフォローになってないんだよ!」

ふたば「突如理由無くキレる若者……かっこいいっスね!」

宮下「理由、ありすぎて困るくらいだ!」

杉崎「……」プイ

宮下「ちょ! なんで視線逸らしたんだよ!」

あ、宮下のやつ、泣きそうになってるし。皆、流石に言いすぎ……って私から言ったんだっけ?
まぁ、杉崎はフォローしてあげようと思ったがフォローする言葉が見当たらなかったってところだろう。
……ある意味一番ひどいかもしれないけど。

杉崎「そういえば、三女に友チョコ渡して無かったわね……」

話題を逸らすように杉崎が言い、カバンの中から残っていた高級チョコを取り出す。

杉崎「みつばあんたに渡して置くから……いや、ふたばのほうが―」

みつば「べ、別に食べないわよ! 私が渡すわ!」バシッ

そういってふたばに渡そうとしたチョコを奪ってやった。

80:バレンタインに如何して嫉妬? 中編-⑩
11/06/03 19:24:42.08 0itU9PDa
…………。

杉崎のチョコを眺めていて思いついた。

みつば「ちょっと、用事思い出したわ。ふたば、先に帰ってなさい」

杉崎「え、ちょ、どこ行くのよ?」

みつば「別に何処だっていいでしょ!」

ふたば「みっちゃん! 小生もいくっスよ!」

みつば「あんた、ばかなの? ひとは元気なかったと思うんだったらさっさと帰ってあげなさいよ!」

ふたば「あ、そっか~、了解したっス!」

そういって私は皆から別れ、デパートに向かった。



~~~以上本編~~~

そろそろ何かしらの規制くるかと思うので、夕飯の後に後編投下します。
あと後編は長いです。今が丁度折り返しくらいです。

81:バレンタインに如何して嫉妬? 後編-①
11/06/03 21:43:28.60 0itU9PDa
再開します。

~~~以下本編~~~

~ 買物(松岡視点) ~

松岡「んー、姉妹でも嫉妬ってしちゃうものなんだ……」

学校で三女さんが嫉妬してたのを見て思った。
いつも一緒に居る事の出来る家族であってもそういう感情ってあるんだと。

松岡「みっちゃんって意外に慕われてるいい姉なのかな……」

そう考えてみたが―

松岡「いや、あんな性格なのにいい姉って事はないよね」

???「ちょっと! なに私の陰口言ってるのよ!」

突然後ろから声を掛けられる。驚いて振り向くと―

松岡「あっ! みっ…みっちゃん! き、聞いてた?」

―みっちゃんだ。しまった三女さんが嫉妬してるって事、一番知られたくない相手だったんじゃないかな……。

みつば「聞こえたわよ! 『あんな性格でいい姉なんて事はない』ですって、悪かったわね!」

松岡「そ、そこだけ?」

みつば「へ……あ、あんた、それ以外も陰口言ってたわけ!?」

松岡「そ、そういう意味じゃなくて……」

どうやら途中から聞いてたみたいだ。危うく三女さんを辱めてしまうところだった。
とりあえず、話題を逸らそう。

松岡「そ、それでみっちゃん何しにデパートまで来たの?」

たしか杉ちゃんたちと一緒に帰ってたような気がしたんだけど。

みつば「えっと…、ちょっと買い物を……ってあんたに関係ないし!」

何このあからさまな動揺。何か隠してるみたい。だったら……。

松岡「そうなんだ。私はもう買い物終わったから先に帰るね」

みつば「そ、そう? それじゃ、また明日」

82:バレンタインに如何して嫉妬? 後編-②
11/06/03 21:46:53.16 0itU9PDa
なんてね。
そういって別れて、私は気が付かれないようにみっちゃんの後をつけることにした。
別れた後、みっちゃんは周囲を気にしながら、食品店売り場に向かった。

松岡「なーんだ、お菓子か何かかな……」

言ってるそばからチョコレート菓子を……ってあれ、バレンタイン用に包装されたチョコじゃない!
え、何? 誰かに上げるの? ま、まさか自分で食べるように綺麗に包装されたものなんて買わないわよね?
でももう夕方だし、上げるとしても親しい友達か家族とかしか―もしかして三女さんに?
あ、二つ持った。財布見ながら迷ってたみたいだけど、どうやらふたばちゃんの分だと思われるチョコも買うようだ。

なんだかんだ言って易しい良い姉なのかもしれない。

……うん。面白そうだし声掛けよう!

松岡「みっちゃん!」

みつば「!! まっ…松岡! あんた帰ったんじゃ……」

松岡「みっちゃんが何買うのか知りたくて……で、そのチョコは三女さんとふたばちゃんに?」

みつば「ち、違うわよ! 私のよ! 私用のチョコよ!」

松岡「包装してあるチョコなんて自分用に買わないと思うけど」

ニヤニヤしながらみっちゃんを攻める。
コレ意外に楽しい。三女さんや杉ちゃんがみっちゃんを虐めてる理由、ちょっとわかる気がする。

みっちゃんは「ぐぬぬ……」といいながら観念したのか嘆息した後続けた。

みつば「そうよ……ひとはの奴が元気なかった気がしたから相談にのってやろうかと思って」

松岡「相談? チョコいらなくない?」

みつば「……チョコは布石。コレがないと相談持ちかけたとき、はぐらかされると思うから」

83:バレンタインに如何して嫉妬? 後編-③
11/06/03 21:53:40.15 0itU9PDa
えっとどういう意味だろう? チョコがあるとはぐらかされない?
私が理解できていないのがわかったのかみっちゃんが面倒臭そうに説明を始めた。

みつば「もし仮に、私がひとはに『悩みでもあるなら相談してみなさい』って言うとするわよ?
ひとはが返す言葉はむかつくけどたぶん『た、大変! 頭まで脂肪にやられ始めてる!』ってな具合になるのよ。
それを防ぐには、あらかじめ嫌味を言いにくい空気を作る必要があって……」

松岡「あ、なるほど。感謝させてからその台詞を言えば、嫌味を言われないって事ね」

みつば「そういうこと」

意外に頭使ってるんだ。杉ちゃんのチョコのおかげで頭に糖分が回ってるんだろうか?
ちょっと単純に考えすぎだとも思う――チョコ渡した時点で嫌味を言われることを想定していない点とか――けど、何とかなるだろう。
私は三女さんが元気の無い理由を知っている。だからその作戦がきっと成功することもわかる。

でも、頭を使って考えてる割にみっちゃんの顔は若干不安な顔をしていて……きっと成功する自信は余り無いのだろう。
だから、私は―

松岡「うん、みっちゃんその作戦絶対成功すると思うよ」

―励ました。三女さんに元気になってもらうため、もちろんみっちゃんにも……。

みつば「何であんたにわかるのよ? また霊の仕―」
松岡「違うわよ、私がそう思うの!」

みっちゃんが言い切る前に言ってやった。これは紛れもない私の意志だったから。

84:バレンタインに如何して嫉妬? 後編-④
11/06/03 21:56:12.38 0itU9PDa
みつば「へ? そ、そう…一応、その……ありが…と」

松岡「う、うそ! みっちゃんがお礼だなんて……これは霊―」
みつば「ちょ! 私がお礼しちゃいけないわけ! っていうかあんた―……」

みっちゃんがベラベラ喋りだした。ああ、コレいつものみっちゃんだ。幽霊の仕業だと思ったのに残念。



デパートの出口に向かっているとき、買ったチョコを片手にブラブラさせながら、みっちゃんが話しかけてきた。

みつば「そーいや、あんたと二人で買い物なんて、ブラ買ったとき以来ね」

そういえばそうかも。というより私基本ひとりで行動してるから、みっちゃんに限らず複数人で買い物なんてことが珍しい。
っていうかチョコを“ブラブラ”させてたから“ブラ”の件思い出したとか? そんなわけないか。

松岡「あ、あの時のブラ、結局私が貰っちゃったんだっけ? ……今から買いに行く?」

みつば「いいわね! ―と思ったけど、お金がもう無いから今回は諦めるわ。バレンタインデーのチョコってあんなに高いだなんて驚きよ」

たしかに、綺麗に包装されたチョコだったのでそこそこ値が張ってたようだ。改めて思うとやっぱり良い姉だ。

みつば「じゃ、私帰るけどあんたは?」

松岡「んー、……もうちょっとデパートにいるかな」

みつば「ふーん、じゃ先に帰るわね」

松岡「うん、また明日ー」

そういって別れた後、私はみっちゃんが買っていたバレンタインチョコ売り場に来ていた。

松岡「う~ん。今年はもう無理だけど……来年は友チョコとか学校に持っていこうかな……」

85:バレンタインに如何して嫉妬? 後編-⑤
11/06/03 21:58:27.52 0itU9PDa
~ 本命?(ひとは視点) ~

……遅い。

いったいどこほっつき歩いてるんだか……。

ふたば「ひと! 悩みごとっスか! 小生が相談に乗ってあげるっスよ!」

ふたばは、さっきからこの調子だ。
悩みがあるって知られた以上は話したほうがいいかと思ったんだけど……。
ふたばは口が軽い……って訳じゃないけど、なんと言うか純粋すぎると言うべきか。
学校の皆には、みっちゃんにチョコを用意したなんてこと知られたくない。
だから、知られてしまうリスクは出来る限り減らしたい。

ひとは「なんでも無いから。勘違いだよ」

何度目になるかわからない誤魔化し。酷く良心が痛む。
みっちゃん、早く帰ってきて…………帰ってきたところで解決するかどうかわからないし、チョコだってどう渡すか決まってない。

いっその事もう渡さないで置こうか?

……うん。だったら悩まなくて……済むしね。
もともと作らないつもりだったんだし……。

ふたば「ひと! 勘違いじゃないっス! 元気ないっス! 今だって辛そうな顔してたっス!」

ふたばが炬燵から乗り出して、対面にいる私に言う。

辛そうな顔? 私が?

その時、玄関から物音がした。

86:バレンタインに如何して嫉妬? 後編-⑥
11/06/03 22:05:23.32 0itU9PDa
みつば「ただいまー……ってふたば何やってんのよ?」

……良いタイミングだ。正直、ふたばへの返答に困っていたから。

ふたば「みっちゃん! ひとが悩みを相談してくれないんっスよ」

ひとは「べ、別に、悩みなんて無いよ」

そっけなく言ったつもりだが、悩みの元凶であるみっちゃんがいる前ではうまくいかない。
コレじゃ、二人から攻めたれるかも……。

みっちゃんとは目を合わせず視界の隅だけで反応を確認する。
みっちゃんは私を一瞥した後、少し考えるような素振りをしてから口を開いた。

みつば「……あ、そういえばパパがまた職質で交番に連れてかれたらしいのよ、ふたば悪いけど迎えにいってくれる?」

……あからさまに嘘だ。職質されたなんて電話着てないし、携帯持ってないみっちゃんがそれを知るには家で電話を取る必要がある。
でも、どうして?

ふたば「ホントっスか! あ、でもひとが……」

みつば「ひとはは私に任しておきなさい! それに悩みなんて後でも聞けるでしょ?」

ふたば「! みっちゃん……かたじけないっス!」

みっちゃんの嘘を信じたふたばが家から出て行く。みっちゃんはそれを見て軽く嘆息した。

ひとは「…………みっちゃん、どういうつもり?」

みつば「何がよ?」

しらばくれるつもりだろうか?

なんだか、みっちゃんを見てると腹が立ってきた。
……惚けたのも理由のひとつだろうけど、今日の休み時間のアレと同じ……。

ひとは「あんな嘘ついて……みっちゃんも私に何か言いたいの?」

87:バレンタインに如何して嫉妬? 後編-⑦
11/06/03 22:13:53.45 0itU9PDa
動揺を隠すため可能な限り冷たく言い放つ。
ついでにこれ以上追求されなければ言うことないんだけど―

みつば「……え、ええ、ふたばがいるよりやり易いしね」

―そううまくはいかない。若干怯みはしたものの、引き下がる気は無いらしい。

みつば「……はい」

みっちゃんがポケットから何かを取り出して炬燵の上に置いた。

ひとは「え、チョコレート?」

……まさかバレンタインだから?

みつば「杉崎からの友チョコよ、ちゃんと貰いなさいよね」

き、期待なんてしてなかったけどね!

みつば「……こ、これも、受け取りなさい」

そういって手に持っていた袋から綺麗に包装されたチョコレートを取り出し炬燵の上に置いた。
……これは誰からのチョコレートだろう?
考えても答えは出てこない。みっちゃんもなぜか黙ってしまったので仕方なく聞き返すことにした。

ひとは「こっちは、誰からの?」

みつば「……私…からのよ」

ひとは「ふーん……みっちゃんから………………え゛?」

みっちゃんから?

みつば「な、何よその反応……」

ひとは「いやいや、なんでさ!? むしろ自分が欲しいって言ってなかった?」

言った。確かに言ってた。だから、私はチョコレート作ったんだし……。

88:バレンタインに如何して嫉妬? 後編-⑧
11/06/03 22:58:29.52 0itU9PDa
みつば「い、言ってたけど……べ、別にそれであんたにチョコ上げない理由はならないじゃない」

それはそうなんだけど……。

ひとは「だ、だけど―」
みつば「いいから、受け取んなさいよ!」

私は納得できず言葉を続けようとしたが、チョコを胸元押し付けられた。

みつば「か、勘違いしないでよね! べ、別に深い意味なんて無いわよ!」

よく見るとみっちゃんの顔は真っ赤で……視線を胸元に移すと、チョコを貰ったって実感が沸いてきて……。

ひとは「……あ…ありがと……」

結果、私も恥ずかしくなって……きっと私の顔も真っ赤なのだろう。

みつば「そ、それで、ふたばも言ってたけど悩みって何よ?」

仕切り直すように、しかし視線は私から外したまま話しかけてくる。

ひとは「あ……えっと……」

チョコ買って来たのは私が元気なさそうに見えたからだろうか?
どういうつもりでチョコをくれたのかと思ったがそういうことか。
……冷静に考えてみれば、みっちゃんがチョコを渡すなんて発想しないだろう。
私の態度に違和感を感じ、みっちゃんなりに気を使ってくれたのかも知れない。

89:バレンタインに如何して嫉妬? 後編-⑨
11/06/03 23:14:43.78 0itU9PDa
…………。

ひとは「……ちょっと待って」

私は立ち上がって、冷蔵庫を開ける。
渡さないでおこうと思っていたが、ふたばに心配掛けて、みっちゃんに心配掛けて、そしてチョコまで渡され……。
このまま、白を切り通すなんて選択肢、ありえない。
みっちゃんもチョコを渡してきたんだし、この勢いで渡してしまおう。

冷蔵庫の奥に隠すようにおかれた目当てのものを取り出す。

ひとは「こ、これ……」

みつば「へ? なによコレ?」

炬燵の上に置いたのは白い箱。昨日の夜私が作ったチョコが入った箱。

ひとは「……チョコレート…トリュフ…何だけど……」

みつば「えっと……いつ買ってきたの?」

ひとは「買ったんじゃなくて……作ったん…だけど」

みつば「……私に?」

ひとは「っ! ……う、うん」

みつば「……なんで私に?」

……キレていいかな?

ひとは「な、なんでって……チョコ寄越しなさいって言ってたよ!」

みつば「そういう意味じゃなくて! ……って言うか、あんたそんとき、すぐ断ったじゃない!」

ひとは「そ、そうだけど……」

みつば「それにコレが悩みと何の関係があるのよ?」

ひとは「だ、だから……断ったのに作ったから……なんて言って渡せばいいのか…わからなくて」

みつば「……」

ひとは「……」

ああ、なにこれ……気不味い。
やっぱり渡すのやめた方が良かったのかな……。

90:バレンタインに如何して嫉妬? 後編-⑩
11/06/03 23:16:12.68 0itU9PDa
みつば「ああぁあ! もういいや!」

何だか知らないが、頭を掻き毟って炬燵に突っ伏した。
意味がわからない。

みつば「……ねぇ、コレ、今から食べていい?」

炬燵に突っ伏したまま問いかけるみっちゃん。何その上目遣い……。

ひとは「あ……うん」

みつば「そっ、それじゃ、いただ……貰ってあげる!」

いや、言い直さなくても……それにしてもみっちゃん、一気に機嫌が良くなった……さすが雌豚ってところだろうか。
そんなことより、みっちゃんがチョコ食べてくれた。

ひとは「ど、どう? す、杉崎さんのより美味しい?」

つい、感想が聞きたくなり、しかも杉ちゃんと比べて聞いた。
どんだけ嫉妬してるんだろ……私。

みつば「え? 杉崎? ……」

みっちゃんがなにやら考え込んでいる。……やはり市販のチョコじゃ高級チョコに勝てなかったのだろうか……。

みつば「……あんたのが…美味しい…………と思う」

……えっと?

ひとは「今、気を使った?」

みつば「使ってないわよ!」

ひとは「目、逸らしていったよ?」

みつば「そ、それは……」

ひとは「杉崎さんのチョコのが美味しかったんでしょ?」

みつば「ち、違うわよ! 杉崎のも美味しかったけど高級過ぎて口に合わなかったのよ!」

91:バレンタインに如何して嫉妬? 後編-⑪
11/06/03 23:19:13.62 0itU9PDa
ひとは「……」

私が納得のいかない顔で見つめてやると、しょうがなくといった具合に続ける。

みつば「きょ、去年食べたのと、違う種類みたいで香りが強いというか何というか―」

ひとは「庶民であるみっちゃんには美味しさがわからない味って事?」

みつば「くっ、悔しいけど、そういうことよ! ……まぁそれなりには美味しかったけど」

ひとは「その台詞、杉崎さんに言って上げればとてつもなく喜んだと思うよ」

みつば「だから、杉崎に言わないでおいたって……あれ? ひとはって杉崎のこと杉ちゃんって呼んでなかったっけ?」

! 本当だ。杉崎さんって呼んでた。
えっと、やっぱりコレって嫉妬……が原因だよね。
とりあえず誤魔化さないと……。

ひとは「……杉崎さんの“崎”が丁度思い出せたんだよ」

コレはひどい。
杉ちゃんって呼んでる所を宮下さんに指摘されたときと同じ様な返しをしてしまった。

みつば「……よくわかんないけど、喧嘩してるんなら仲直りしておきなさいよ」

えー……みっちゃんにそんなこと言われる日が来るなんて……。
でも、まぁ、杉ちゃんには何だか悪い気がするし、恐らくホワイトデーのお返しを皆ですることになるだろう。
その時は嫉妬とか置いといて、しっかりしないと。

みつば「……そういや、コレふたばの分は? まだ冷蔵庫の中?」

ひとは「え? みっちゃんの分だけ…だけど……」

……途中まで言って気がついたが、そっか。ふたばの分も一緒に作っておくべきだった。
そうしたら、こんな悩まずに済んだだろうし……それにこれじゃ、ふたばがかわいそうな気もしてきた。

みつば「……知らぬが仏ね。さっさと食べて証拠隠滅。まぁ、私がふたばのチョコ買ってきてあるし……」

92:バレンタインに如何して嫉妬? 後編-⑫
11/06/03 23:21:42.55 0itU9PDa
あ……そうなんだ。
いや、まぁ、それが普通……だよね。

…………。

不意に嫌な汗が流れる。
みっちゃんにだけに……チョコを作ったんだ……私。
杉ちゃんは友チョコとしてたくさんの人に上げたのに。
みっちゃんだって姉として妹二人にチョコ用意してるのに。
だったら、私のチョコは?
たった一人のために作った……たった一人に渡すチョコ。

……本命?

いやいやいや! 違う、断じて違う!
みっちゃんにチョコを寄こせって言われたからで……。

確かにその通りなのだけど……でも……断ったし、作る必要なんて……無かったのに。
みっちゃんの台詞は、ただの切っ掛けに過ぎないってことで……。
結局は私の意志で……みっちゃんにだけチョコを作った……。

顔が熱い。しかも思考がうまく纏まらない。

みつば「……―ひと…? ……ひとは!」

ひとは「え! あ、な、なに?」

みっちゃんの言葉が聞こえ現実に戻される。

みつば「何じゃないわよ! いきなり呆けちゃって……熱でもあるの?」

ひとは「だ、大丈夫だよ。気にしないで」

みつば「本当でしょうね? ……まぁいいわ。とりあえず、えっと…チョコ……ありがと」

ひとは「あ…わ、私夕飯の準備しないと……」

……動揺しすぎ私……照れ隠しの下手さにも程がある。

93:バレンタインに如何して嫉妬? 後編-⑬
11/06/03 23:28:49.78 0itU9PDa
まぁ、でもとりあえず夕飯の準備だ。時間的にも間違ってないし、顔を隠すのには丁度いい。
……視線を感じる……。いや、気のせいかもしれないけど。

えっと、結局私は何でみっちゃんにだけチョコを作ったのか……。
さっきも考えたが、切っ掛けはみっちゃんの一言だった……だけど。
……認めたくないけど私は、私の作ったチョコをみっちゃんに食べて貰いたかった。
私のチョコを貰って美味しいって……笑顔で答え、満足してもらいたかった。

……。

だけど……本命チョコじゃない。絶対に。そんなつもりで作ったんじゃない。

自分の中で出した答えは、“本命じゃないチョコ”。
だけど、その答えを何故だがひどく空しく感じた。
私がみっちゃんのために一生懸命に作ったチョコが、ありもしない本命チョコに劣っている気がして……。

自分の考えてることがわからなくなる。

私はみっちゃんが嫌いだ。わがままで、ドSで、雌豚だし、ガチレン馬鹿にする……。
でも、違う。……この想いは矛盾しているのだろうか?

嫌いなはずなのに……私はみっちゃんが好きなのだと思う。

……意味がわからない。
しかもその“好き”が姉としてなのか、家族愛なのか、それとも―

―そこまで考えて、考えるのをやめた。
きっと答えなんて出ない……出さない方がいいのかも知れない。
答えが出ていない方が……みっちゃんとの関係を自然に感じることが出来る気がして。

94:バレンタインに如何して嫉妬? 後編-⑭
11/06/03 23:33:44.25 0itU9PDa
気持ちの整理は完全ではないが、頭は回るようになってきた気がする。
ふっと沈黙が続いていたのが今更気になり、夕飯の準備をしながらみっちゃんに声を掛けた。

ひとは「ねぇ……みっちゃん?」

みつば「な、なによ?」

ひとは「ホワイトデーのお返しは……くれるの?」

普通、見返りは求めないものだとは思う。でも私達のよくわからない関係性だからこそいえる言葉。

みつば「……いいわよ、上げるわ。その代わりあんたも私に寄こしなさいよね」

断るかと思ったが、自分もお返しがもらえるチャンスだとでも思ったのか、条件付で了承してくれた。
そっちがそのつもりなら、こっちも条件をさらにつけ加えてやる。

ひとは「私が作り方教えるから……今度は手作りね」

みつば「はぁ? 何よそれ! あんたに教わってあんたに渡すって変じゃない?」

ひとは「……気にしすぎだよ」

<バタン>

玄関が開いた音。ふたばか、お父さんか……

ふたば「ただいまっス!」
草次郎「ただいま……なぁ、連絡してないのにどうしてパパが交番に居るってわかったんだ?」

……へー、本当に職質されてたんだ。そんなオチだと思ったよ。



さて、ホワイトデーは何作って、何作らそうか考えておこう。

おわり

95:バレンタインに如何して嫉妬? あとがき
11/06/03 23:35:06.68 0itU9PDa
~~~以上本編~~~

此処まで読んでくれた人居ますか?
毎度長くてすいません。

ちなみにホワイトデー編ですが……今のところ予定しておりません。
要望があれば時間は掛かるかとは思いますが、作れるかと思います(読みたい人いるか怪しいですが)。
その時は、もう少し松岡さんを輝かせたいなーとか思ってます。

感想とか書いていただけると助かります。


96:名無しさん@秘密の花園
11/06/03 23:40:26.08 GJGCZySW
乙!

97:名無しさん@秘密の花園
11/06/03 23:55:54.14 LG6pYn+r
>>95
毎度良いSSだな~
ホワイトデー編も楽しみにしとりますよ


98:名無しさん@秘密の花園
11/06/04 02:39:57.33 lxAAdEed
マジ長すぎて見る気が起きない
もっとコンパクトに纏めろよ

99:名無しさん@秘密の花園
11/06/04 06:54:05.25 GgmgRffY
>>98
だまれよ能無し

100:名無しさん@秘密の花園
11/06/04 18:21:29.00 mF4g7q8D
>>95
ひとはの心の動きにドキドキしました
そして松岡さんがいい味出してますw

101:名無しさん@秘密の花園
11/06/04 18:58:01.48 NAsofV9M
ひとみつ補給させていただきました

松岡さんが地味にいい味出してたねw
松岡さんの巻き返し期待だなw

はやくみつどもえ再開してー

102:名無しさん@秘密の花園
11/06/04 19:58:47.02 lxAAdEed
>>99
少しでも否定的な意見があるとキレルお前が能無し
俺は率直な感想を述べただけ


103:名無しさん@秘密の花園
11/06/04 20:12:13.18 rKwEvS+D
>>96-102
沢山の感想ありがとうございます。
ホワイトデー編製作に取り掛かります。

今回まともな松岡さんを上手く、みっちゃん、ひとはに絡ませたかったので……
松岡さんが好評なようで良かったです。

>>98,102
長すぎてすいませんorz
どうも書き出すと書きたいことが一杯で……今後も長くなってしまいそうです。
感想求めておいてなんですがスレが荒れちゃうのは不本意なので
今後は読まずに、書き込まずスルーしちゃって下さいね。

>>99
こちらの方もフォローしていただいて感謝しています。
ただ、もう少し穏便に……もしくはスルーして感想など書いていただけると嬉しいです。

>はやくみつどもえ再開してー
超絶同意!

104:名無しさん@秘密の花園
11/06/04 23:15:00.62 H5+LbWw/
>>103乙おつー
ひとはがすごく可愛かった!
長編SSならうpろだを使ってあげるのもアリだよ
字数制限かからないしね

105:名無しさん@秘密の花園
11/06/05 21:44:31.69 aPRjMuFg
アニメの三期がやれば連載再開するかなー

106:名無しさん@秘密の花園
11/06/06 17:44:10.11 IKCxfyU2
>>104
感想、提案ありがとうございます。
うpろだに上げる弊害として、
検索に引っかからない、気軽に冒頭だけ読んで続きを読むか決める時面倒、
携帯で見えない、などがあります。

今のところうpろだよりこちらの方が良いかなっと。
こちらの負担(規制対策とか)なんて知れてますしね。

107:名無しさん@秘密の花園
11/06/06 23:29:16.15 /tD72vrG
>>106
なるほど、いろいろ考えてるんだな
読む側としても直接投下してくれた方が手軽に読めるもんな
って訳で続編も期待してるよー

108:名無しさん@秘密の花園
11/06/07 00:39:46.45 Iw3ZMwbU
個人的にはスレに直接投下してくれた方が嬉しい
どうせ過疎だし問題なかろうよ


109:名無しさん@秘密の花園
11/06/07 18:07:21.01 I4Uw/6fz
>>106
次回も期待しておりますm(--)m

空気読まずに松ひと妄想垂れ流します


中学生になったという設定でお願いします

昼休み

宮下「三女はいつも読書ばっかだな」

三女「ほっといてよ」

宮下「たまには体を動かそう!バスケでもやろう」

三女(こういうとこは小学校から変わってないな…)

宮下「ほら、行くぞ!」グイッ

三女「だから別に私は…」


松岡(何か知らないけど…腹立つな…)

110:名無しさん@秘密の花園
11/06/07 18:13:33.42 I4Uw/6fz
松岡「おはよー三女さん」

三女「おはよう」

松岡「昨日ね携帯買ってもらったんだ~♪」

三女「良かったね」

松岡「うん、それでね、三女さんの番号教えて欲しいの」

三女「わ、私の、番号?」

松岡「うん、携帯買ったら三女さんの番号を一番に登録したいと思ってたの」

三女「わ、私のでいいなら…良いよ」

松岡「ありがとう三女さん!!じゃあ赤外線でry」

三女「赤外線?」


宮下「三女、私とも番号を交換しようじゃないか」

三女「やだ」

111:名無しさん@秘密の花園
11/06/07 18:21:13.13 I4Uw/6fz
昼休み

クラスメート「丸井さんと松岡さんってホント仲良いよね~」

三女「いや、別にそういう訳じゃ…」←照れ隠し

松岡「やっぱりそう見える?」←得意げ

三女「松岡さんとは小学校からの付き合いで、その」

松岡「そうそう私達小学校からの付き合いなんだよねー」

クラスメート「そうなんだ」

松岡「うん、私と三女さんはね…」

三女(ゴクッ)

松岡「仲の良い友達なの♪」



三女(私は何で少し残念がってるんだろう…)

112:名無しさん@秘密の花園
11/06/07 18:23:43.32 I4Uw/6fz
中学生になってもこの二人は仲良しだと思うんだ
そして松岡さんは霊関係のことは少し自重するようになってると思うんだ

113:名無しさん@秘密の花園
11/06/07 18:35:15.11 9/34wkrV
乙です
宮鹿さんは安定してるなぁ

114:名無しさん@秘密の花園
11/06/07 18:41:23.56 PWfARUUG
>>112
乙!
いいねー、私も松岡とひとはは、仲良しのままだと思うよ

宮下さんの場合誰からか携帯番号入手して、いきなり掛けてくると予想
そして着拒されるという流れ
細かいことだが、松岡って既に携帯もってなかったけ?
記憶が確かなら携帯の回でチーム杉崎内で宮下以外が携帯持ってたはず

115:名無しさん@秘密の花園
11/06/08 04:01:33.89 9hkkXEMB
「赤外線?使い方わからない」

116:名無しさん@秘密の花園
11/06/08 18:13:13.28 nSbGX0Ce
>>112
GJ
三女さんにほっこりしつつ報われないM下さんにもキュンときた

117:名無しさん@秘密の花園
11/06/09 23:11:09.68 tTPboNNZ
またまた妄想垂れ流しますー
例によって中学生と言う設定です、すみません


放課後

松岡「三女さん一緒に帰ろう」

三女「ゴメン私今日は委員会あるから、先に帰ってていいよ」

松岡「じゃあ終わるまで待ってるよ」

三女「…結構かかるかもしれないよ?」

松岡「大丈夫大丈夫、待ってるよ」ニコッ

三女「…じゃあ、後でね」

松岡「うん、頑張ってね~」


三女(どうしてあそこで”ありがとう”って言えないんだろう…)



118:名無しさん@秘密の花園
11/06/09 23:23:11.54 tTPboNNZ
放課後

みつば「さあ、さっさっと帰るわよ」

杉崎「あー、私今日委員会あるから、先に帰ってて」

みつば「…仕方ないわね、待っててやるわよ。待ってて欲しいんでしょ?」

杉崎「な…だ、誰があんたなんかにっ!!あ、あんたこそ私と帰りたいだけじゃないの?」

みつば「はあああ!?わ、私はアンタと帰れば何か奢ってもらえるかもしれないから待つだけで別にry」


三女「委員会始まるんだけど」

119:名無しさん@秘密の花園
11/06/09 23:28:14.17 tTPboNNZ
放課後

吉岡「宮ちゃん帰ろう」

宮下「悪い、今日は委員会あるから先に帰っててくれ」

吉岡「じゃあ待つよ」

宮下「いつ終わるか分からないぞ?」

吉岡「大丈夫だよ、だって私宮ちゃんと一緒に帰りたいもん」

宮下「しょ、しょうがないな、コイツめコイツ」こつこつ

吉岡「もう宮ちゃんったら~」



三女「こんなのばっか」

120:名無しさん@秘密の花園
11/06/09 23:29:17.09 tTPboNNZ
まあ、こんな感じで皆イチャコラしてれば良いと思うよ
読んでくれた人ありがとー

121:名無しさん@秘密の花園
11/06/09 23:33:49.06 NQQT484A
乙です
三者三様でニヤニヤしますw

122:名無しさん@秘密の花園
11/06/09 23:58:12.59 zmeEoMo/
GJです。
宮藤さん報われてるじゃないか!

123:名無しさん@秘密の花園
11/06/10 03:08:14.87 n234P7bW
いいなぁ、中学生編いいなぁ!

124: 忍法帖【Lv=3,xxxP】
11/06/11 04:46:16.35 +2mLS/yW
中学もいいな

125:名無しさん@秘密の花園
11/06/11 23:20:48.74 dgHtLI5s
このまま高校生に突入してもアリ

126:名無しさん@秘密の花園
11/06/12 14:43:22.75 XNpfE5Jy
むふぅ
URLリンク(www.dotup.org)

127:名無しさん@秘密の花園
11/06/12 14:50:58.19 o3XcaRd4
おっぱいって姉妹間でもさわりあうものなのか・・・

128:名無しさん@秘密の花園
11/06/12 15:25:38.50 CY0DmLNy
ひとみつだー!
>>127
他人なら宮野さんみたいに犯罪になる

129:名無しさん@秘密の花園
11/06/12 17:11:07.17 0txklJ7Q
>>128
女であの発想ができるのりおは凄まじいと思う

130:名無しさん@秘密の花園
11/06/13 13:00:56.61 ehRyFyyR
みっちゃんは三女さんの乳揉まないの?

131:名無しさん@秘密の花園
11/06/13 15:43:55.57 +m4LMQtY
>>130
そりゃおめぇ無いものは揉めねえだr
お?誰か来たようだ

132:名無しさん@秘密の花園
11/06/14 20:05:06.88 yYC8QFjJ
>>131
宮森「おい! 事実だったとしても三女の悪口言うなよな!」そよっ☆

133:名無しさん@秘密の花園
11/06/14 20:38:13.75 yt0wnwTS
ボフッ
すい~

134:名無しさん@秘密の花園
11/06/14 22:49:00.15 +MAVRAEC
なんか妄想しかすることないこの頃
例によって中学生設定でお願いしますm(--)m

4月×日

今日は中学校の入学式でした。
みっちゃん達とクラスが別だったのでとても緊張しました。
でも、松岡さんと同じクラスだったので(しかも前の席)少し安心しました。
彼女は私と同じクラスだったことに驚きつつも喜んでいました。
なんとか中学でもやっていけそうです。


4月×日

今日は中学の入学式で、少し緊張しました。
杉ちゃん達とはクラスが別だったので残念だったけど三女さんと同じクラスに
なれたのでとても嬉しかったです。
三女さんは「…よろしく」と素っ気無かったけど三女さんらしいと思いました。
明日が楽しみです♪

135:名無しさん@秘密の花園
11/06/14 23:02:45.69 +MAVRAEC
5月○日

今日は松岡さんに携帯の番号を聞かれました。
何でも故障してたのが直ったみたいでとても喜んでいました。
誰かに聞かれるなんてことは初めてだったので戸惑っていると松岡さんが
赤外通信?とかで送ってくれました。アドレスはとても彼女らしいものでした。
私も送るととても喜んでいました。


5月○日

今日は故障中だった携帯が直ったので早速三女さんに番号を聞いちゃいました!
始めは戸惑ってたけど、「わ、私ので良ければ…」と了承してくれました。
その時に顔が少し赤くなっていてとても可愛いかったです。
三女さんのアドレスにはtikubiという単語が入っていました。
お互いに番号交換が出来てとても嬉しかったです♪

136:名無しさん@秘密の花園
11/06/14 23:12:17.52 +MAVRAEC
6月×日

今日はさっちゃんの家に招待されました。
誰かの家へ正式に招待されるのは初めてだったので少し緊張しました。
さっちゃんの部屋は私の予想とは反しとても女の子らしく可愛い部屋でした。
それからしばらく雑談して18時には帰りました。
まあまあ楽しかったです。


6月×日

今日は三女さんがうちに遊びにきました!
なんだか最初は緊張してたみたいでぎこちなかったです。
私の部屋に入るや否や「わあ…以外だね」と言われちゃいましたorz酷いよ三女さん!
それから色々な話をして18時くらいには帰っちゃいました。
とても楽しかったです!!!また誘いたいです。

137:名無しさん@秘密の花園
11/06/14 23:14:23.21 +MAVRAEC
以上…両者日記より抜粋でした。

この二人はもっといちゃいちゃするべきですよね!

読んでくださった方々ありがとです。

138:名無しさん@秘密の花園
11/06/14 23:21:03.69 Q/JJAh1W
乙ですー!
もう結婚しちゃえばいいのに

139:名無しさん@秘密の花園
11/06/15 00:37:45.13 x4GngGd/
途中からさっちゃんになってるね。素晴らしい。


140:名無しさん@秘密の花園
11/06/17 16:43:10.85 12P1gT4D
ゴミばっか

141:名無しさん@秘密の花園
11/06/17 23:31:53.45 1wDTPLB6
過疎だなあ…
やっぱ連載してくれないとネタがないよな

142:名無しさん@秘密の花園
11/06/19 04:18:02.56 xjh8SkqJ
酔った勢いで書いた…今は反省してますorz
中学生設定でお願いいたしますm(--)m

昼休み

みつば(ひとははうまくやってるかしら…べ、別に心配ってわけじゃry)


三女「そういえば松岡さんって口寄せ出来るんだよね、ちょっとやってみて」

松岡「勘弁してよ三女さーん」←涙目

三女「あれ?小学校の時出来るって言ってなかった?」

松岡「あれは、その…わ、若さゆえの過ちというか…」

三女「フフッ何それ」

松岡「あ!三女さん今笑った!!」

三女「わ、笑ってないよ、気のせいだよ気のせい…」←真っ赤

松岡「へえ~何か得しちゃったかも♪」

三女「だから笑ってなんかry」


みつば(ひとはのあんな笑顔初めて見るわね…嬉しいけど…何か…)

143:名無しさん@秘密の花園
11/06/19 04:20:07.94 xjh8SkqJ
松ひとと見せかけてのみつひとでした
うまく言えませんが何かこういうの良いですよね!

読んで頂ければ幸いでございますm(--)m

144:名無しさん@秘密の花園
11/06/19 10:26:01.89 2jSw8vU2
GJ

145:名無しさん@秘密の花園
11/06/19 21:51:38.68 SMMXVqud
俺の中では松ひとだなGJ
ひとみつも好きだけどねw

146:名無しさん@秘密の花園
11/06/19 22:06:45.37 g4U7cfVk
乙です
最近は松ひとが熱いな

147:名無しさん@秘密の花園
11/06/20 23:27:36.01 sNtow2F8
>>143
俺得だわーGJ!
どんどんお酒飲んで書いてください

148:名無しさん@秘密の花園
11/06/24 03:53:08.62 KxZRw59J
なんでひとはの日記はみっちゃんのことばかり書いてあるの?

149:名無しさん@秘密の花園
11/06/24 04:09:11.56 MPkMsL5j
それはね

150:名無しさん@秘密の花園
11/06/24 09:36:19.51 bKwXShxo
>>148
言わせんな恥ずかしい

151:名無しさん@秘密の花園
11/06/25 17:27:44.61 lRAYDmIA
杉みつは公式だな!
とかよく言われるが
ひとみつも公式だよねー

152:名無しさん@秘密の花園
11/06/28 23:45:42.43 AwRj3sgW
ふと思いついたので妄想垂れ流します
中学設定でお願いします

放課後

松岡「三女さん一緒に帰ろう!」

三女「ゴメン、今日は委員会があるk」

松岡「じゃあ終わるまで待ってるね」

三女「…うん、じゃ後で」

松岡「頑張ってね~♪」

待つこと10分

宮下「あれ、松岡?」

松岡「宮ちゃん、どうしたの?」

宮下「ああ、委員会の様子を見にきたんだ。」

松岡「どうして?」

宮下「一緒に帰りたい奴が委員会に参加しててな、それでry」

松岡(まさか…三女さんじゃ…)

153:名無しさん@秘密の花園
11/06/28 23:55:37.25 AwRj3sgW
宮下「お前も誰か待ってるのか?」

松岡「う、うん…まあ、そんなとこかな…ハハッ」

宮下(まさか…吉岡じゃないよな…)

松岡「ねえ宮ちゃんが待ってるのって…」

少女説明中

松岡「宮ちゃんが待ってたのってゆきちゃんだったんだ」

宮下「お前が待ってたのは三女だったのか」

松岡&宮下(良かった~)

吉岡「どうしたの二人とも?」

三女「あ、宮坂さんだ」

宮下「宮下だよ!相変わらずだなお前は…」

松岡「三女さんおつかれ~帰ろう」

吉岡「どうせだし皆で帰ろうよ」

松岡&宮下「!!!!!!」

三女「まあ…いいけど」

松岡&宮下(そ、そんな…)

154:名無しさん@秘密の花園
11/06/28 23:56:29.79 AwRj3sgW
きっとこんなやり取りをやっているに違いない!!!
読んでくれた人ありがとです

155:名無しさん@秘密の花園
11/06/29 18:16:52.55 5m/bTvDc
乙!
宮下は浮気癖なくなったのかな?
嫁(吉岡)一本とは丸くなったね。

それにしても過疎如何にかならないかな……。
ホワイトデーの話書いてる者何だけど、投下にはもうしばらく掛かりそうです。


156:名無しさん@秘密の花園
11/06/29 18:33:12.84 0sR5DDJ4
乙です!あとで二人っきりでいちゃいちゃすればいいじゃない!

157: 忍法帖【Lv=15,xxxPT】
11/07/13 21:21:53.66 NvbRGKgI
過疎ですね。
SSとその感想しかない何て……
近々投下予定なのでLV確認しておきます。

158:名無しさん@秘密の花園
11/07/14 00:03:57.76 IXd+OQ5O
スレ位置確認のため挙げさせていただきます

159:名無しさん@秘密の花園
11/07/14 00:12:12.63 IXd+OQ5O
規制も解けたので小ネタを少し投下させていただきます
例によって中学生編で・・・

三女「次はこの調味料を入れて、うん次はry」

宮下「にしても三女はホント料理上手だな!」

三女「・・・どうも」

宮下「三女は将来いい嫁になるぞ、私のな」

三女「な、なに言ってるのさ・・・」

宮下「冗談だよ冗談、ハハハ」


杉崎「どうしたのよ松岡?」

松岡「ちょっと藁人形買ってくる」

160:名無しさん@秘密の花園
11/07/14 00:18:30.46 IXd+OQ5O
みつば「麦茶おかわりいる?」

杉崎「じゃあお願い」

みつば「ちょっと待ってなさい」


杉崎(みつばの飲みかけ・・・)


みつば「おまたせ」

杉崎「ありがと」

みつば(私の麦茶こんな少なかったかしら・・・)

161:名無しさん@秘密の花園
11/07/14 00:22:34.20 IXd+OQ5O
にしても過疎ですね
みつどもえの連載が復帰するのを願うばかりです
今回はサラッとしたネタになっております
読んでくれた人ありがとです

162:名無しさん@秘密の花園
11/07/14 05:09:06.33 8MA6pCBP
>>161
俺にはお前が英雄に見えるよ


163:名無しさん@秘密の花園
11/07/14 06:18:05.31 TwZWKLHL
>>161
乙!

164:名無しさん@秘密の花園
11/07/14 07:59:51.13 ovz77Sqk
乙!松岡さんのヤンデレとか新たな可能性だなww
まぁ既にだいぶヤンデレ入ってるがw


どんなに過疎っても少しでもSSが投下されると即座に感想
やっぱ皆チェックしてんのなw
やっぱ連載再開されるまで自家発電するしかないよなぁ…

165:名無しさん@秘密の花園
11/07/15 23:23:59.06 LQdj6Snp
杉崎「みつばってホント素直じゃないのよね~」

松岡(それは杉ちゃんも・・・)

杉崎「でも二人になると結構甘えてくるのよ」

松岡「三女さんもそうだよ」

杉崎「さすが姉妹、やっぱり似てる部分もあるのね」

松岡「だね♪」

杉崎「まあ・・・みつばのが可愛いけど」

松岡「」

166:名無しさん@秘密の花園
11/07/15 23:29:13.69 LQdj6Snp
杉崎「どうしたのよ?」

松岡「べ、別に何でもないよ」ニコッ

杉崎(なんか悪寒が・・・)

松岡「三女さんてとっても料理上手なんだよ」

杉崎「知ってるわ」

松岡「みっちゃんじゃ料理できないよね?」

杉崎「・・・でしょうね」

松岡「成績もクラスでトップだし」

杉崎「グヌヌ・・・」

松岡「それに・・・髪下ろした三女さんはとっても可愛いの!」

杉崎「でも三女って背低いわよね」

松岡「!!」

167:名無しさん@秘密の花園
11/07/15 23:33:40.21 LQdj6Snp
杉崎「それに運動はできないし」

松岡「」

杉崎「みつば程社交性もないみたいだし」

松岡「わ、私が三女さんの友達100人分だから問題ないよ!」

杉崎「へえ~凄いわね~」

松岡「グヌヌ・・・絶対わたしの三女さんのが可愛いよ!」

杉崎「みつばに決まってるわよ!」



三女「・・・なんか入りづらいね」

みつば「そうね・・・」

168:名無しさん@秘密の花園
11/07/15 23:34:56.11 LQdj6Snp
こんな形の百合もありだと思い突発的に書いてしまいました・・・
反省はまったくしておりません。
読んでいただければ幸いです。

169:名無しさん@秘密の花園
11/07/16 00:25:20.07 zukOPN3w
乙です!
相変わらず素晴らしい百合だわ……見ててニヤニヤが止まらず3回読んだよ(ぁ

さて最近まで作品投下なかったからまさか被るとは……。
というわけで前回のバレンタイン編の続きのホワイトデー編投下しようかと思います。
今回、纏まった時間が取れずに書いたのでどこか変なところあるかも?(読み返し回数も少ないです。スイマセン)

170:青天白日の贈り物-①
11/07/16 00:28:56.08 zukOPN3w
~~~以下本編~~~

タイトル:青天白日の贈り物

~ 調理(ひとは視点) ~

今日は3月13日。所謂ホワイトデー前日だ。

日曜だし私達三姉妹の家で杉ちゃんを呼ばずクッキー作りをする事となった。
もちろん、杉ちゃんを呼ばないのは友チョコのお返しをする当人だし、どうせならサプライズのが良いだろうと言う事だ。
メンバーはみっちゃん、ふたば、松岡さん、吉岡さん、宮下さん、そして私の6人。
私達の狭い家じゃ結構辛い。台所も2,3人までしか立てないし、テーブルも活用して作業を行うこととなる。
っていうか、6人も要らない……宮下さんあたりが要らないかな? ……帰れとまでは言わないけど。

クッキー作りの発案者は宮下さん。実に鬱陶しい。……いや、まぁ、本当に鬱陶しいわけじゃなく言ったみたかっただけだけど。
でも、言い出しっぺの法則って奴だ、材料費は全て宮下さん持ちとなった。

何とかさん達「「「ごめんくださーい」」」

とか考えてると皆が家に着いたようだ。

みつば「ふたばー、玄関開けて来なさい」

ふたば「了解っス!」

寝っ転がりながらふたばに指示を出す。なんて雌豚だ。昼食食べたばかりなのにポテチまで抓んでる……そんな事してるから太るんだよ。

みつば「……ねぇ、ひとは。私達の分はいつ作るのよ!」

そのままの姿勢で、でも、視線は私に合わせずに聞いてくる。
……ふたばに行かせたのはそれを言うためだったのか。

ひとは「み、皆が帰ってからでいいんじゃない? ふたばにはみっちゃんへのお返し作らせればいいし」

みつば「そ、そうね」

何だか微妙な空気だが、別に嫌じゃない。何というか……こう…………と、とりあえず、よくわからないけど嫌じゃない。

言い忘れていたけど、お父さんには出かけてもらった。皆が来るから出かけてって言ったら泣きながら出て行った。

宮下「まったく、何で私が材料買い込まなきゃいけないんだよ……」

愚痴を溢しながら家に上がる宮下さん。うん、清々しいくらい鬱陶しいが今回は大目に見てもいいかな。

吉岡「まぁまぁ、コレも全部杉ちゃんラブラブ大作戦の為だから」><

そして変な妄想をしてるのが後に続いて家に上がる。……ラブラブ大作戦って杉ちゃんと誰をくっ付けるつもりだろう?

松岡「宮ちゃんだけに買わすのは流石にかわいそうだと思ったから、清めの塩は私が用意したわ!」

……いや、塩とかそんな大量に使わないから……家にある分で十分だし。……でもまぁ、頂いておこう。

171:青天白日の贈り物-②
11/07/16 00:32:20.60 zukOPN3w
みつば「んじゃ、さっさと初めて終わらせるわよ! ったく何で私まで杉崎なんかに……」

みっちゃん……杉ちゃんの唯一の手作りチョコを食べておいてそれは言えないよ。
しかも、高級チョコを6つ分くらい使ってた大きさだったよ!

……なんだか考えてみると、杉ちゃんのみっちゃんへの愛――愛と書いて執念って読んでもいいかも――を凄まじく感じる。

ひとは「じゃあ、お父さんと同じようにしばらく家から出て行けばいいよ」

吉岡「さ、三女さん? みっちゃんも一緒に作らないと駄目だよ」><

いや、うん、わかってるんだけどつい……。

言ってしまったことを後悔しつつみっちゃんを横目で見る。

みつば「……」

バツの悪そうな顔をして私から視線を逸らす。

……いやいや、なんでみっちゃんがそんな顔してるの?
みっちゃんはいつもの様に反応しただけ出し……それがまぁ、ちょっとだけ気に障ったんだけど。
でも、まぁ普段なら私だって気にしないはずだったし、今回は流石に私が悪い気がする。

ひとは「……みっちゃん、宮村さんからバターと砂糖貰ってボールで混ぜておいてくれる?」

まぁ、素直に謝ったり出来ないので、とりあえず指示を出しておく。
……本当、みっちゃんに引けを取らないくらい、私も素直じゃないかも……。

横で宮下さんが「宮下だからな!」と言っているが無視しておく。

みつば「わ、わかったわ……分量はどうするのよ?」

ひとは「えっと、テーブルの上にメモ置いてあるからそれに書いてあるよ」

吉岡「あ、みっちゃん、私も手伝うよ」

松岡「それじゃ私は三女さんと―」宮下「それじゃ私は三女と―」

松岡&宮下「え?」

ひとは「……ふたば私の手伝いお願い」

ふたば「了解っス!」

そんな感じでクッキー作りを開始した。




172:青天白日の贈り物-③
11/07/16 00:37:18.00 zukOPN3w
~ 完成(みつば視点) ~

吉岡「わー、すごいよー。おいしそー」><

ふたば「ホントっスね!」

目の前のテーブルには焼きたての様々な形をしたクッキーが沢山ある。

みつば「こんなに杉崎に上げる必要ないし、皆で1個……2個ずつ食べるわよ」

ひとは「1個だよ! 2個ずつ食べたら、杉ちゃんの分3個しか残らないよ!」

やっぱり2個は欲張りすぎか。

宮下「まぁ1個だよな。厭くまでお返しのクッキー何だし」

わかってるわよ! 被せて来るなんて流石宮下ってところね。

ひとは「ちょっとまって、紅茶入れ―」
松岡「三女さん手伝うわ!」

脅威の反応速度。宮下は私に忠告しているから出遅れたようだ。
隣で「しまった!」とか言ってるし……。

しばらくすると、ひとはと松岡が紅茶を持ってきた。

松岡「お待たせー…って私は運んだだけなんだけどね」

そして、皆に紅茶が行き渡り、クッキーを食べながら適当な話をした。
怪談話や恋愛話が始まったのは言うまでもない。



吉岡「それじゃ。明日、クッキーみっちゃんが持ってくるって事で」

みつば「くっ、なんで私が……」

松岡「まぁ、ジャンケンで勝ったんだしね」

みつば「普通、負けた人じゃないの!」

宮下「おいおい、負けた人が持って行くって杉崎に失礼じゃないか!」

確かにそうなんだけど……負けた人だったら宮下の奴が一人負けだったのに……。
カバンの中に入れられるようにカバンを後で整理しておかないと。
とりあえず、嵩張るスナック菓子は持っていけないわね。

173:青天白日の贈り物-④
11/07/16 00:38:25.54 zukOPN3w
吉岡「じゃ、そろそろ私達帰るよ」

宮下「じゃ、また明日な」

松岡「また明日ー」

<ガチャ>

皆が家から出て行く。

ひとは「それじゃ、私達の分も作ろうか」

ふたば「私達っスか?」

みつば「私があんたらにチョコ上げた―」

……あれ? コレって私がひとはに返すこと出来ないんじゃないの?

みつば「(ちょっとひとは! 私はどうするのよ!)」

ひとは「(……考えて無かったよ)」

みつば「(……作らなくてもいい?)」

ひとは「……」

無言で表情一つ変えずこちらに視線を向け続けられた。
怒ってる? どうしろってのよ……。

しばらくすると、ひとはは視線をふたばに向け声を掛けた。

ひとは「それじゃ、ふたば、クッキー作るから手伝って」

ふたば「了解っス!」

…………。

二人は私のために作ってくれているのに……。
それでも何だか意地と言うか何というか……私も作るとは言い出せない。

ひとは「あ……夕飯の材料買いに行くの忘れてた」

みつば「……私が買いに行ってくるわ……何が必要なのか言いなさいよ」

この場に何もせずに居る方が居心地が悪くて、夕飯の買出し役を買って出ることにした。




174:青天白日の贈り物-⑤
11/07/16 00:42:54.38 2JsTocfO
~ 相談(松岡視点) ~

家に帰った私は自分のベットに仰向けになり、ポケットから1枚の紙を取り出す。

松岡「はぁー、持ってきたのはいいけど……これどうしようかな……」

大きく嘆息して独り言。

三女さんはきっとあの後みっちゃんに何か作ったんだろうな。バレンタインにチョコ貰ったはずだし……。
あ、でもふたばちゃんも貰ってるから一緒に作ってるのかな?

腕を上げて持っていた紙を、腕ごと<パタン>と横に下ろす。

……本当はそんなことで悩んでるんじゃない。私が悩んでるのはこれからどうするか。
別のことを考えたのは、答えを出すのを先延ばしにするため……だと思う。

でも、やっぱり実際実行するとなると……なんて言って渡せばいいのかわからない。
だって私はバレンタインで、三女さんからチョコなんて貰っていないのだから……。

……とりあえずだ! 行動しないと始まらない。
後のことは後で考えられるんだし、今しなければいけないことしなくちゃ!
起き上がりもう一度紙を見る。紙に記された“クッキーのレシピ”……三女さんが書いたであろう丁寧な文字だ。
その紙に書かれた通りのものを準備するため私はデパートに向かうことにした。



松岡「えっと……後はコレと…コレかな?」

材料を買い物籠に入れていく。
バターひとつでも無塩バターとかケーキ用バターとかあってよくわからないので、一番普通そうで安い奴を入れておく。
……安いのを買う理由は、先月オカルトグッツとか墓地に張るテント――親に没収されたのよ!――を買ってしまったのでお金が無いから。
上げるものだし、本当はもう少しお金掛けたかったんだけど、仕方が無い。

???「あ、松岡じゃない? 何してんのよ」

背後から声を掛けられ振り返ると、そこにはみっちゃんが……何だか先月も同じようなことがあった気がする。

松岡「え、あ、みっちゃん? 別にただの買い物だけど……」

みつば「……その紙ってクッキーのレシピが書いてあった奴じゃないの?」

あ! しまった!

みつば「籠の中もクッキーの材料っぽいわね……誰かに作るの?」

松岡「そ、そんなの……誰だって……。そ、そんなことよりみっちゃん、三女さんからバレンタインのお返し貰えた?」

誤魔化すための無理な返し。だけど、言ってみてから気がついたが動揺もさせられるし、最高の返しかも。
そして、案の定、動揺してくれた。

175:青天白日の贈り物-⑥
11/07/16 00:45:26.87 2JsTocfO
みつば「! ど、どうして知ってるのよ!」

松岡「どうしてもなにも、みっちゃんが三女さんにチョコ渡したの私知ってるし」

みつば「……そうだったわね、……明日貰えるんじゃないかしら?」

視線を逸らし不機嫌そうに言う。
うん、不機嫌にはなっちゃったけどうまく話を逸らせ―

みつば「で、話し戻すけど、それ誰に作るのよ!」

―なかったみたい。むしろイライラした口調で食いついてきた。

みつば「私の妹のレシピ勝手に盗んでおいてダンマリなんて許さないわよ!」

嘘だ。さっきまで全然怒ってる感じじゃなかったのに……どうやら私の質問が相当気に食わなかったのだろう……。



それから、余りにしつこく聞いてくるので教えてしまった。

みつば「ふーん、ひとはにクッキーを渡すって事は、あんたもチョコ貰ってたのね」

松岡「え、いや……それなんだけど私は貰って…ない……あれ? 『あんたも』?」

みつば「……あ」

さっきから私達なんで秘密の暴露大会開いてるんだろう。さっきのみっちゃんに到っては自爆だし。

松岡「なるほど、みっちゃんは三女さんからチョコ貰ったんだね」

みつば「う、うっさいわね! 姉妹なんだし別にいいでしょ!」

別に悪いなんて言ってないんだけど……。

みつば「それであんた、何でチョコ貰ってないのにクッキー渡すのよ?」

松岡「えっと、三女さんにはいつもお世話になってるし……なにかお返しがしたいと思って
それで、杉ちゃんの友チョコや、みっちゃんが三女さんやふたばちゃんにチョコ買ってるの見て
私もチョコ渡しておけばよかったなって後悔してて……」

みつば「それで、ホワイトデーにクッキーって訳ね」

みっちゃんは馬鹿にする訳でもなく、ただ普通に納得してくれた。
ちょっと……相談……してみようかな。

松岡「でね……やっぱりチョコ貰ってないのにクッキー渡すのって変かな……」

私の台詞を聞いてるのか無視してるのかわからないが、みっちゃんは何も喋ってくれない。
それでも私は構わず続けた。

松岡「作ってみようと思ったのはいいんだけど……なんて言って渡せばいいのかわからなくて……」

176:青天白日の贈り物-⑦
11/07/16 00:47:19.95 2JsTocfO
どうしてみっちゃんに相談なんて発想になったのだろう……。
私はこの時、何だかみっちゃんが頼れる存在に見えていたのかも知れない。
そして、その選択は間違っていなかった。

みつば「……変かもしれないけど……正直な気持ちを言えばちゃんと受け取ってくれるわよ」

正直な気持ち……。

さらにみっちゃんは視線を逸らしながら続けた。

みつば「ど、どーせ、ひとはなんてそんな状況になれば断る勇気なんてありゃしないわよ!」

コレはさっきのまともなアドバイスの照れ隠しだろう。

みつば「それじゃ、借りは返したわよ!」

松岡「え、借り?」

みつば「バレンタインの時の借りよ! あの時は正直あんたの言葉は……その……ちょっとだけ…励みになったというか……」

松岡「あぁ、あの時のこと……。別に大したこと言ってないよ?」

みつば「そんなこと…あっ、そうだった、ひとはに買い物頼まれてたのにこんなことしてる場合じゃなかったわ!」

そう言ったみっちゃんのカゴの中を覗いてみると、野菜やお肉がいくつか入っている。
昼間のことを考えると忙しくて、買い物しなくちゃいけないこと忘れていたのだろう。

松岡「あ、ごめん邪魔しちゃったみたい?」

みつば「本当よ! まったく!」

松岡「そういえば、みっちゃんは三女さんにお返し作った?」

みつば「っ! ……悪かったわね、作ってなくて」

松岡「駄目だよ! 杉ちゃんには作って、三女さんには作らないなんて三女さんが可哀想だよ!」

みつば「わ、わかってるわよ……あ!」

松岡「へ? なに?」

みつば「明日はひとはの奴帰りにデパートに寄るはずなのよ。そしてふたばも変態パンツと川辺でサッカー……コレしかないわ」

松岡「え? どういうこと??」

みつば「いいから、あんたは明日学校終わったらその材料持って急いで家に来なさい!」




177:青天白日の贈り物-⑧
11/07/16 00:51:22.58 2JsTocfO
~ 晴天(ひとは視点) ~

今日の天気は私の心と違って晴天だ。

今は学校の給食中。私は誰の席に移動するわけでもなく一人黙々と食べていた。
いつもなら松岡さんとか来るんだけど……今日は来ない様だ。

昨日は失敗した。
意地を張らずに一緒に作って貰うよう誘えばみっちゃんだって……。

結構楽しみにしてたのに……。
それどころか、昨日みっちゃんが帰ってきてからまともに話すらしてない。
定型的な挨拶とかはしたんだけど、本当にそれだけだ。

そのまま給食が終わり、昼休みに入りみっちゃんがこっちに来た。

みつば「ちょっとひとは、皆で杉崎にクッキー渡すんだからこっち来なさいよ」

ひとは「あ、うん」

あれから初めてのまともな会話だが、内容が内容だけに素直に喜べない。
でも、一人で、しかも憂鬱な時間が少しでも減ることは関しては有難い。

杉崎「な、なによ? みんな集まってきて……」

杉ちゃんの席の周りに不自然に皆が集まったことで何だか警戒された。

吉岡「杉ちゃんに渡したいものがあるの」

ふたば「受け取って貰いたいっス」

杉崎「???」

何がなにやらわかってない様子。以前にもホワイトデーのお返ししたんだから察することも出来そうなものだけど……。
まぁ、杉ちゃんもこういうところで地味に鈍感だから仕方がないのかも知れない。

みつば「……はい、有難く受け取りなさい……そ、そして私を敬うことね!」

そういいって後ろ手に隠していたクッキーの入った袋を渡す。

宮下「余計な台詞付け足すなよ」

まったくだ。でも、みっちゃんらしいかな。

杉崎「えっ……と? もしかしてホワイトデーのクッキー?」

178:青天白日の贈り物-⑨
11/07/16 00:53:07.89 2JsTocfO
みつば「勘違いしないでよ! 宮下が皆で作ろうって言ったから作っただけよ!」

なにその反応。俗に言うツン……なんだっけ? まぁいいや。
隣で宮下が「ぷっ、どこをどう勘違いなんだろうな」とか言ってニヤニヤしてる。気持ち悪い。
と言うかいつの間に隣に居たんだろう。

松岡「レシピは三女さんが用意してくれたの」

宮下「ざ、材料費は私負担なんだぞ!」

宮下さんの地味なアピール。さっきから鬱陶しいね。

杉崎「み、みんな……ありがとう。どうせみつばは沢山つまみ食いしてただろうけど―」
みつば「失礼ね! 1個だけよ!」

杉崎「結局は食べたのね、1個」

呆れた顔で突っ込みを入れる杉崎。
流石にアレなのでフォロー入れておく。

ひとは「杉ちゃん、皆で1個ずつ食べたから、みっちゃんだけじゃないよ」

杉崎「へ? そ、そうなの?」

みつば「……ふん!」

ふたば「杉ちゃん酷いっス! みっちゃんが拗ねちゃったっス」

杉崎「え…何、私が悪いの?」

みつば「あんたが悪いに決まってるでしょーが! こぉの、勘違い女~!」

指で杉ちゃんの髪の毛のバネを弄るみっちゃん。全然拗ねてないし。

杉崎「な! も、元はと言えばあんたがいつも勘違いするようなことしてるのが悪いのよ!」

バネを弄る手を払いのけて言う。いつものように仲良く喧嘩。
ちなみに私は杉ちゃんと同じくみっちゃんが悪いと思う。
狼少年じゃないが、日頃の行いが悪いからこういうことになる。

反省して欲しいところなんだけど。それどころか他人の間違いに調子に乗る。
私の姉はこんな姉なのだ……。




179:青天白日の贈り物-⑩
11/07/16 00:55:18.45 2JsTocfO
~ 白日(みつば視点) ~

佐藤「おーい、ふたば、今日は川原でサッカーするぞ。覚えてるか?」

ふたば「覚えてるっスよ!」

ひとは「私もデパートに寄ってくから先に行くよ」

下校時間になり予定通り、ふたばはサッカーへ、ひとははデパートに向かった。
二人が教室から出て行ったのを確認して松岡に声を掛けようかと思ったが、どうやらいつの間にか帰っていたようだ。
まぁ、昨日の今日だし覚えているだろう。

みつば「私もちょっと用事あるから先に帰るわ」

私も早く帰ろう。そうしないとひとはが帰ってくるまで間に合わないかもしれない。
そして、そういうときに限って声を掛けてくる奴。

杉崎「途中まで一緒なんだし、先に帰る必要ないじゃない」

みつば「うっさいわね! 急いで帰るのよ、一緒に走って付いて来るって言うの?」

流石に此処まで言えば付いてこないだろう。

杉崎「みつばの走る速度なんて、精々私達の早足くらいじゃない」

自分がクラスでも足が速いほうだからって……まったくイライラする!

吉岡「え~、わ、私、みっちゃんより走るの遅いよ~」><

ナイスよ、吉岡! 忘れてたけど吉岡はクラスでもひとはと争えるくらい足が遅かったんだ。

杉崎「……まぁ、いいわ。急いでるんでしょ? さっさと行きなさいよ」

なんだかいきなりキレ気味に言われる。意味がわからない。引き止められてイライラしてるのは私なのに!
口に出してるとさらに遅くなる恐れもあるしここは我慢しておく。

みつば「……」

無言で睨み付けてから教室を出る。今出来る精一杯の抵抗だ。
でも、その時の杉崎の目は少し残念そうに見えたけど……気のせいかな?



急いで家に帰ると誰も居なかった。当たり前だそういう計画なのだから、そうでなければ困る。

帰ってきてすぐ、玄関のチャイムが鳴った。

玄関を開けて開口一番。

みつば「やっと来たわね!」

180:青天白日の贈り物-⑪
11/07/16 00:57:53.65 2JsTocfO
松岡「さっき家に入るとこ見えたのに、やっとってことはないよ」

みつば「こ、言葉の誤よ!」

ぐぬぬ……急いで帰ったのに、一度家に帰った松岡とほぼ同時に着くなんて……全部杉崎が悪いのよ!

松岡「それで……クッキー作るんだよね?」

みつば「ええ、そうよ。ひとりで作るのなんて簡単だけど、せっかくだから松岡の分も手伝ってあげるって言ってんのよ」

実際のところ一人じゃ作れる気がしない。昨日皆で作ったけど……作業分担してたし松岡がレシピ持って―

松岡「よかったー、材料は持ってきたけどレシピ忘れたからどうしようかと思ってたのよ」

―ないし!

みつば「ちょ、ちょっとレシピ無いってマジなの!?」

松岡「え…うん、忘れたよ」

みつば「……」

松岡「……?」

……終った。少なくともおいしいクッキー作れないだろう。
でも……今更どうこうする時間もないし……。

みつば「と、とりあえず、作るわよ! 」

確か最初は……。

“宮村さんからバターと砂糖貰ってボールで混ぜておいてくれる”

ひとはの言った台詞が脳裏に蘇る。
そうだ、バターと砂糖だ。

みつば「バターと砂糖よ! ボールで混ぜなさい!」

松岡「うん、えっと分量は?」

181:青天白日の贈り物-⑫
11/07/16 00:59:01.04 2JsTocfO
……。

みつば「……適量よ」

無理だ……そんなことまで覚えてない。

松岡「適量って……みっちゃんまさか……」

みつば「っ! 作り方なんて知らないわよ! レシピないんだから適当に作るしかないじゃない!」

………………。

…………。

……。



みつば「出来……た?」

松岡「う、うん……出来たんじゃない…かな?」

とりあえずお互いに“出来た”と言うが……。
明らかに昨日の物とは違う何かが出来てしまった。

見た目としては……えっと、ホットケーキとクッキーの間のような感じ。
味はまだ確認していない。
何となく食べるべきじゃないと、頭の中で誰かが警告してる気がして……。

松岡「これを、三女さんに渡すん……だよね?」

みつば「え、えぇ、そうなるんじゃない?」

……味見すべきだ…そのままひとはに渡すとか酷すぎる。
判ってるんだけど……うん。無理だ。

それは松岡も同じだったようで何も言わない。

でも……やっぱり……流石に……。
うん、だめだ。

みつば「……捨てようか?」

182:青天白日の贈り物-⑬
11/07/16 01:00:03.15 2JsTocfO
ひとは「何を捨てるの?」

松岡「何って、このクッキーを作ったつもりの何か―」

松岡の台詞が途中で途切れる。なに? どうしたのよ?

ふと、となりを見ると、ひとはが居た。
そう、ひとは。
……。

みつば「な、な何であんたっ! …っ!?」

後半は声にならない声を上げて、口をパクパクって感じで驚いた。
いや、だって、玄関開くような音聞こえなかったし、今一番着て欲しくないタイミングで現れるから。

ひとは「……クッキー? どれが?」

ひどい! いや、私から見てもクッキーみたいな何かだけど。

松岡「えっと、ね? 三女さんコレは、その……」

松岡も言い淀む……。

…………。

ひとは「これ、もしかして―」
みつば「わ、私からのホワイトデーのお返しと、松岡からの気持ちよ!」

勢いに任せてとりあえず言ったはいいがコレを食べさすのは酷だし……私はさらに付け加えて言った。

みつば「こ、今回は失敗したから後日改めて作り直すわ! わっ、わかったわね!」

ひとは「べ、別にいいよ……コレで」




183:青天白日の贈り物-⑭
11/07/16 01:06:50.80 2JsTocfO
~ 正直(松岡視点) ~

松岡「で、でもそれ美味しくないと思うし……」

ひとは「というか松岡さんはどうしてここに居るの?」

……当然の疑問だろうが正直凹んだ。

隣でみっちゃんが「(正直なあんたの気持ちを言えばいいのよ!)」と囁く。
ありがとう。みっちゃん。
勇気を出して、私は一歩三女さんの前に近づく。

すると半歩下がられた。またしてもちょっと凹んだ……でも!

松岡「三女さん、私ね! その……いつも幽霊関連で助けられて……学ぶことばかりですごく感謝してて……」

何を言うかなんて全然準備してなかった。思いついた言葉を正直に、詰まりながらも紡いでいく。

松岡「だ、だけどそれだけじゃなくて……普通に…普通の友達としてもずっと居られたらって……だから!
三女さんにバレンタインデーの時チョコレート渡さなかったこと後悔してて、それで……今日! ホワイトデーのクッキー作ったの!
だから……感謝の印と、友達の証として……」

顔が熱い。どうしてか判らないけど……すごく恥ずかしい。そして最後に……。

松岡「…あ、あんな失敗作でも受け取ってくれないかな?」

三女さんを見るとあからさまに同様してる……当たり前だよね。いきなり意味不明な事いって意味不明なもの渡そうとしてるんだから。

ひとは「え、えっと、……あ、ありがとう。受け…取るよ」

う、受け取ってくれた……。

へ、変に思われなかったかな?
いや、みっちゃんが言ってた通り変には思われたんだろうな…。
でも、良かった。

ひとは「……ら、来年のバレンタインデーの時お返しとして、私からもチョコ……渡すよ」

松岡「! 本当! 三女さんのチョコ食べれるのね! みっちゃんが羨ましかったのよね!」

ひとは「……ちょっと待って、さっきから気になってるけど……みっちゃん、なんで松岡さんは私がみっちゃんにチョコ渡したこと知ってるの?」

そういえば、内緒にしてたんだっけ? 口を滑らしちゃった?
口を押さえてそんなこと思ってると三女さんにフォローを入れられた。

ひとは「さっきの台詞の前から気が付いてるよ。まず二人でクッキー作ってる点とか、
みっちゃんの“ホワイトデーのお返し”って台詞に何も反応しなかった松岡さんとか……」

そういいながらみっちゃんを睨む三女さん。……なんか黒いオーラ出てるし……これが三女さんの力なのね!

184:青天白日の贈り物-⑮
11/07/16 01:08:11.85 2JsTocfO
みつば「ちょ、違うのよ! ワザとじゃないのよ! っていうか別にいいじゃないそのくらい!」

ひとは「っ! そ、そのくら……いいよ! 来年は松岡さんの分だけ作るから!」

みつば「え……あ、いいわよ別に! あんたなんかにチョコなんて貰わないわないし、受け取らないわよ!」

……あれ? 何だか喧嘩しちゃった?
そしてさっきまで重要な役回りだった気がする私が蚊帳の外になってないかな?



それから私が何も喋れないまま数分、二人は喧嘩してた。
いや、ちょっとは「喧嘩やめよ?」とか言ったけど悉くスルーされた。今日はやたらと凹む日だな。
それでも……それ以上に良いこと合ったと思う。

喧嘩の後半になってからはちょっとした取っ組み合いが始まったので流石に止めに入ったんだけど収まらない。

ふたば「ただいまー、あ、プロレスごっこっスね!」

ひとは&みつば「してない! してない!」

ああ、この二人も……いや、三人かな? 本当仲良いな……。



みつば「それじゃあまた明日」

ひとは「松岡さんまた明日」

ふたば「バイバイーっス!」

皆が見送ってくれた。
そのまま分かれようかと思ったけど、危うく忘れるところだった。

185:青天白日の贈り物-⑯
11/07/16 01:10:58.68 2JsTocfO
玄関を閉めようとしてるみっちゃんを呼び止める。

みつば「? なに?」

鞄からお菓子売り場で買ったクッキーのお菓子を取り出す。

松岡「これ。昨日と今日のお礼にって思って」

みつば「え……私に?」

松岡「クッキー作るの、私のせいで失敗しちゃったしお詫びとしてになっちゃったけどね」

みつば「ま、まぁそういうことなら、って言うかあんな失敗作よりこっちをひとはに渡せばよかったんじゃないの?」

みっちゃんの言うことは尤もかもしれない。でも。

松岡「コレはみっちゃんにって買ったものなの! それを三女さんに渡すのは二人に失礼だよ!」

みつば「……そう。わかったわよ。有難く貰って置いてあげる」

そういって、私の差し出したクッキーを受け取ってくれた。

松岡「それじゃ、今度こそまた明日」

みつば「はいはい、また明日」

そうして私は帰路に着く。

何となくふたばちゃんが帰ってきたときのことを思い出す。
あの時、みっちゃんが注意を引き付けてる間に三女さんがクッキー(?)を隠していた。
ちょっと前まで喧嘩してたのに、あの完璧な連携プレーには驚いた。
やっぱり、チョコの件だけでなく、三女さんのことを良くわかっているみっちゃんが羨ましく思う。

その後、三女さんとふたばちゃんもみっちゃんにクッキーを渡してた。
三女さんはさっきまで喧嘩してたこともあって、若干渡すのに抵抗があったようだし、みっちゃんはみっちゃんで受け取る側にも抵抗があるようだった。
でも、まぁ、ふたばちゃんの手前、喧嘩再開するのもアレだしで、とりあえず何事もなく事は済んだ。



……そういえば三女さんに渡したクッキー(?)は結局のところ、食べれるのだろうか?
ちょっと心配になったけど、明日みっちゃんに聞いてみようかな。




186:青天白日の贈り物-⑰
11/07/16 01:16:41.01 2JsTocfO
~ 蛇足(ひとは視点) ~

お父さんとふたばが風呂に入ってる今しかない。

隠してあったクッキーらしきものを取り出して、一口食べてみる。

ひとは「ぶっ!」

……塩辛い。絶対清めの塩だよ、コレ……。

みつば「ああ、松岡が砂糖足してるのかと思ってたけど、アレ、塩だったのね」

おわり

~~~以上本編~~~

言い忘れてました。長くてすいませんorz
それとコレ、何がメインなんでしょう? ひとみつ? 松ひと? まさかの松みつ?
書いた私も良くわかりません。
そして、今になって松岡さんっぽさに些か問題ありな気がしてきましたが……細かいことは(ry

こんな駄文ですが感想とか書いていただけると助かります。

187:名無しさん@秘密の花園
11/07/16 09:47:10.68 fP+CyoT9
何このSSラッシュ久々にみつどもえ成分が補給されてテカテカなんですけど


188:名無しさん@秘密の花園
11/07/17 04:20:19.66 8fdcu59y
>>168
なんという嫁自慢wwwwwwwwww
可愛いすぎるだろこの二人wwwwwww
乙でした

>>186
いつもながら長い・・・・だが、それがいい!
駄文なんてとんでもない!
いままででないパターンで面白かったです
乙でした

189:名無しさん@秘密の花園
11/07/17 05:02:28.80 Bn7h2DMu
ホワイトデーSSキテター?
毎度乙です!

190:名無しさん@秘密の花園
11/07/17 06:27:27.10 1Gd2nLMl
2作とも最高だ


191:名無しさん@秘密の花園
11/07/21 10:09:17.12 chPnUdmE
最近アニメ化したゆるゆりの櫻子と向日葵のツンツンカップルは杉みつに通じる所がある
あの二人の喧嘩ップルっぷりを見てると杉みつを思い出すよ…

192:名無しさん@秘密の花園
11/07/21 20:47:36.41 ldSiJGu7
一気に過疎ったな

193:名無しさん@秘密の花園
11/07/21 21:14:44.56 fqF8sNVO
>過疎
悲しいけどいつもの事ですね。

186です。感想ありがとう御座います。
まとめwiki編集者様にお願いなのですが、どこかに
「バレンタインに如何して嫉妬?」の続き的な記述書いていただけると助かります。

ところで、ショートショートくらいの書いてみたんだけど
誰得のメグみつ、メグちゃん視点で未来話です。
需要あれば投下しますが……みつどもえっぽさが薄いです。百合も薄いです。
需要ありますか?


194:名無しさん@秘密の花園
11/07/21 21:19:27.30 ldSiJGu7
無いワケが無いだろ
さぁどうぞ

195:名無しさん@秘密の花園
11/07/21 22:16:50.86 Y/P+RX5Q
メグちゃんって誰だ?って思ったら下級生の娘なのね

196:憧れる少女-①
11/07/21 23:11:50.02 fqF8sNVO
反応早すぎるw
とりあえず注意事項まとめ
・誰得カップリング、メグみつ
・メグちゃんがキャラ変わりすぎ
・7年くらい未来の話
・地の文多めで、台本書き部分を今回に限り撤廃
・みつどもえ成分補給には不向き
・百合スレなのに百合濃度が低い
・軽い鬱展開から始まる
ひとつでも不快感あるようならスルーしちゃって下さいね!

~~~以下本編~~~

タイトル:憧れる少女

“気品ただよう高貴な身分のことよ!! 私みたいにね!!”

ん……もう朝だ。
まだ覚醒できずに目を寝巻きの袖で擦る。

今のは……みつば先輩の夢―
痴女の意味を中学上がるまであの台詞通りの意味だと思ってた私はきっと馬鹿なのだろう。

みつば先輩にあの時厳しく突き放された意味を理解してから、私は自分の馬鹿さ加減に呆れも通り越してしまっている。

一度ベットから体を起こした私だったのだが、そのまま<バタン>とベットに倒れる。

あの言葉は、私達を思っての言葉だった。私達が嫌いになったわけではなかった。
私達を避けるためではなかった。……みつば先輩の優しさ…だった。

今は大学生、もしくは社会人だろうか?
行動力のない私は何も知らない。
小学校の時から一緒だった杉崎君には確か姉が居て、みつば先輩と仲が良かったのを覚えているが、
杉崎君の連絡先は愚か、小学高学年あたりからまともに会話することもなくなった。
今更、話掛けることなんて出来るわけがなかった。

そんな自分が嫌いだ。自己嫌悪して、そして自己嫌悪してる自分にも嫌悪感があって……憂鬱なのだ。
今は梅雨時であり空気はジメジメしていて……元気に振舞うって言うのが無理な話なのかもしれない。
違う……それはただの言い訳でしかない。

197:憧れる少女-②
11/07/21 23:13:33.52 fqF8sNVO
……。

……。

綺麗な金髪……元気が良くて…大胆で……とってもお洒落で……。

……。

「ん……あれ?」

いつの間にか二度寝してしまっていた様だ。
蘇ってきたみつば先輩の姿。
私の憧れだった。私は彼女のようになりたかった。

時計を見る。短い針は10を指している。
今日は日曜日―なのだが、友達と近所のデパートで待ち合わせしていたのを思い出した。

約束の時間は10時半……そう思い出した時にはベットから跳ね起きて着替え始めていた。



「ごめん! 待った?」

「遅いよメグ! 3分遅刻!」

30分で着替えから用意まですべて終わらせてここまで来るのに3分しか遅れなかったことを褒めてくれてもいいのに……。
そんなこと相手は理解してくれない。当たり前だ。私から言わなきゃそんな事伝わらないに決まってる。

でも、説明しようにも、ただの寝坊と言うべきか、本当のことを言うべきか。
当然、夢の内容とか考えてたこととか言えるわけが無い。
結果、ただの寝坊として「ごめん、ごめん」とだけ言って置く。

「そんじゃ、服買いにに行こうよ」

「うん」

彼女は中学で出来た友達。今のところ一番の仲良しなのだが、彼女には沢山友達が居て、私より仲の良い人だって居るだろう。
それでも一応、ちょっとした憂鬱な人生を歩んでる私が今一番楽しんで過ごせる友達だ。



デパートの洋服売り場に移動している時だった。

198:憧れる少女-③
11/07/21 23:14:49.63 fqF8sNVO
……。

今、綺麗な金髪の、お洒落な人とすれ違った。
そして、聞き覚えのある声……今日も夢で聞いたことのある声だった。

振り向くとそこには昔と変わらない私の憧れの人の後姿があった。

「み、みつば先輩!」

振り向いた金髪の女性は驚いていた。でも、驚いたのは彼女だけでなく、私の友達も、そして私も驚いた。
行動力なんてない私が……考えるよりも早く行動していた。

そして私の声で振り向いたことで金髪の女性が本当にみつば先輩であることがわかった。

でも、先輩は私のことを憶えていない……そんな顔をしていた。

「え、ちょっとメグ? 知り合い?」

友達が話しかけてくる。でもその言葉は右耳を通り左耳から抜けていく。私は初めて彼女の言葉を無視した。
今の私の居場所よりも、大切なものに出会ってしまったから。

「メグ? ……もしかして、杉崎弟と同じクラスだった……」



憶えていないと思っていた。私のことなんてもう、記憶の彼方にすら残っていないと思っていた。
でも、名前を聞いて、たったそれだけで、数日間しかまともに言葉を交わさなかった私を覚えていてくれた。

「……わ、私は今でも、貴方に憧れて居ます! あんな突き放され方されたけど……アレが優しさだったって知ってから、もっと…もっと憧れました」

もう、こんなチャンスはないかも知れない。そう思ったら口が勝手に動いてた。

「こ、これからも憧れ続けます! 先輩! 貴方を目標にしてもいいですか?」

しばらく呆気に取られていたのだろうけど―

「いいわよ! 気品ただよう高貴な身分に惹かれるのは当然よ!」

そういって、まぶしい笑顔を見せてくれた。
すぐに隣に居た黒髪を後頭部あたりで束ねている子に脛を蹴られて引っ張っていかれたけど……。

今まで憂鬱な感情が光が差した。
ただ、一言、言葉を交わしただけなのに……蟠りと言うのだろうか? それが消えて行くのが感じられた。

私の心は梅雨時だというのに雲ひとつ無い快晴になれた。
違う……これからは嵐が来ても雲なんて作らない。そうなれる、信じる目標に再開できたから。

おわり。

~~~以上本編~~~

続きません。
仕事の気晴らしに、思いついたこと書き殴った物なので微妙かと思います。
色々破綻してるかも。脳内行間補間推薦です。スイマセンorz

199:名無しさん@秘密の花園
11/07/21 23:47:09.34 YjA64TzS
>>198
乙!
ちじょ回の子か~。これからも何か思い付いたら書き込んでくれよ!宮下さんとの約束だぞ☆

200:名無しさん@秘密の花園
11/07/22 00:55:46.34 DcIS5kGO
>>199
感想ありがとー。私の短編は大抵宮野さんの扱い酷いですが、みつどもえには無くてはならない存在です。
キャラ単体としては結構好きなほうに入ります。
これからも弄らせてもらうからな☆
それと、基本的に思いついたネタは長いのにに入れちゃってます。今回のようなケースは除きますけどね。

まとめwiki編集者様、いつもながら早い反応感謝です。先の件有難う御座います。

201:名無しさん@秘密の花園
11/07/22 02:19:05.63 9a9JgHw1
いつもの小ネタ垂れ流しです

放課後 教室

松岡「三女さーん」ガラッ

三女「スースー」

松岡「なんだ寝てるんだ」

三女「スースー」

松岡「・・・・・・三女さん」

松岡(教室には私と三女さんだけ・・・か)

松岡「フフ、可愛い寝顔だなあ」

三女「・・・・スースー」

松岡「って何言ってるんだろ私、起こしちゃ悪いしry」


みつば「ひとはー帰るわよー」ガラッ

三女「ああ、みっちゃん」

みつば「あれ、何でアンタそんなに顔赤いのよ」


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