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・OECD「国際学習到達度調査(PISA)」で、日本の高1の学力が、03年調査に比べ軒並み
下がり、教育関係者を愕然とさせた。一方で、初参加の台湾が科学的活用力で4位、数学的
活用力では首位に立った。ゆとり教育で「うさぎさん」状態に陥っていた日本を横目に、台湾は
苛烈な受験戦争のあおりを受けて一気に教育先進国に躍り出たのだ。
日本台湾学会の台湾人研究員、康英哲氏は、日本を除くアジア全体に広がる、理数系
重視の傾向を指摘する。
「台湾の受験戦争も、日本や韓国と同じくし烈。中でも理数系は人気、レベルとも高く、
世界最高といわれるインドにも負けません」
韓国、香港も同様だが、理数系は就職が圧倒的に有利なうえ、給与も高水準だという。
「理数を制すれば将来も制する」という発想だが、康さんは「両親は、子どもが幼いころから
理数系進学に力を注ぎ、子どもも理解しているのです」と説明。
00年の調査で科学が2位、数学1位と、技術大国を誇った日本には何が起きているのか。
今回の急落を、日本教育工学振興会専門委員、立命館大教授の沖裕貴氏は次のようにみる。
「日本の学力低下、特に理数系の急落は初めから分かっていた。10年以上続く傾向で、
先進国中、日本の高校生の勉強意欲や時間数は最下位です。にもかかわらず、ゲームや
携帯にかかわる時間や、就寝時間の遅さはダントツのありさま。いまの高校生には、
必死に勉強した先に見えてくるはずの、希望の持てる未来がまったく見えないのです」
実際に教べんを執る理数系教師も、「深刻な事態は今に始まったことではない」という認識で
一致する。理数系の面白さや奥深さを伝えきれない教師たちのジレンマ。私立千葉明徳高の
生物化学教諭、横山靖氏は「02年のゆとり教育以降、理数系科目は授業数も内容も
大きく削減され、教科書の4分の3を教えれば十分とされました。生徒が非常に興味を示す、
中身の濃い実験時間がとれません」と話す。
地方では、実験器具が全然そろわない公立校もある。ここまで理数系が軽視されるのは
日本ぐらいだ。(一部略)
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