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(>>1のつづき)
ここで難しいのは、「権利侵害の明白性」をプロバイダーが判断できるかどうかだ。特に
名誉毀損にあたるかどうかは、裁判所によって判例も違い判断基準もはっきり定まって
いない。そこでガイドラインでは、「判断に疑義がある場合においては、裁判所の判断に
基き開示を行うことを原則とする」と規定している。
ガイドラインは参考として判例を何点か挙げており、中には「DQN」や「バカ息子」などの
言葉を含む書き込みにより原告の社会的評価が低下した、と判断し情報の開示を認めた
判例もある。ただ、名誉毀損にあたるかどうかは、単なる書き込みの内容だけでなく、
ほかにもいくつかの要件を基に判断される。プロバイダーが判例をそのまま当てはめて
正当な理由があると判断できるようなケースはごく少ないといえそうだ。
テレコムサービス協会などISP業界4団体が06年11月に策定した「インターネット上の
違法な情報への対応に関するガイドライン」では、「『お小遣いくれればお茶してもいいよ
byあけみ(16歳)』のような書き込みは削除してもいい」などの具体例を挙げ、プロバイダーが
判断しやすいようにしていた。しかし、今回の発信者情報開示ガイドラインでは、著作権・
商標権侵害の基準は明確に示しているものの、名誉毀損の判断基準は抽象的な表現に
留まり、どのような場合に情報が開示されるかわかりにくい。
「違法情報の削除は、できるだけ速やかに行われるのが望ましく、プロバイダーがこの
書き込みは削除できると判断できるケースをかなり具体化して例示した。しかし、削除した
情報はまた復元できるが、一度開示された情報はもう戻すことはできず、開示するにあたるか
どうかはより慎重な判断が求められる」と桑子氏は説明する。
結局、裁判所の判断に委ねる点が多いなら、ガイドラインを策定するインパクトはあるの
だろうか。桑子氏は、「このガイドラインを通して、悪質な書き込みをしたら同意無しでも
自分の情報が開示されることがあるということを認識してもらいたい」と、ユーザーへの
啓発効果を望んでいる。(抜粋)