09/06/06 10:09:40 u9aMou9H
藤本義一「鬼の詩」を読んだ。
義一ちゃん、フジモンの呼称で関西人(俺は嫌いだが)にはおなじみの作者の出世作。
食わず嫌いもあろうがミスオタには文学を苦手とする輩多過ぎ。
ゆえに「ナゾナゾまがいなミステリなど読書にあらず」とか断言されてまうのである。
そんなミスオタにも強く推せる迫力、面白さ、読み易い短編というボリューム、
しかも直木賞受賞作品という定評も備えたのが表題作である。各人、心して読め!!
では、約束どおり、全話講評逝ってみようか!
・「鬼の詩」
読書人である俺が近年読んだ短編小説(ミステリは除く)では屈指の出来栄え、
さすがに直木賞受賞作品である。
明治末の噺家桂馬喬の芸に賭けた壮絶な生き様そして死に様・・・
お笑い芸人を目指してミステリ板に入り浸っているようなアホなねらーに突き付けて読ませたい作、
しかし、自己の天然痘で変貌した肉体まで「ねた」にした芸、凄過ぎる・・・
・「泣尼」
三味線一代女の屈折した母恋記とでも称すべき作。
「鬼の詩」ほどの異様な迫力は無いものの、巧みなストーリーテリングで一気読みさせる。