07/08/18 23:18:33
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オレは目を覚ました。あたり一面真っ白。なにもない。何も感じない。寒さも熱さも感じない。
ほほに風のあたる感覚が懐かしくなる。ここでは風がないというか、空気すらない感じがする。
「やぁ、ようこそ死後の世界へ。」
オレの目の前に白ひげをはやした、爺さんが現れた。爺さんはほほの筋肉がないかのような、無表情さだ。
「お前さん、これからどうするのだ。」
どうするもこうするも、状況がつかめない。ここはいったいどこで、なんでオレはここにいるのだ。
「だからいったろうに、ここは死後の世界じゃ。お前さんは死んだんだよ」
オレの心を見透かしたように、爺さんは語る。たんたんとしているのが、妙に気が触る。
「爺さん、ここは癌申告みたいに、恐る恐る言ったほうがいいよ」
オレは口を開いてみた。
「お前さん、ここには癌で死んでここにいる人もおるのだから、言葉に気をつけたほうがいい。さもないと、殺されるよ」
面白い爺さんだ。なんで死後の世界まできてしななきゃならんのだ。
「爺さん、悪いけど死んでる自分がもう一回死ぬなんて、おかしいよ」
「お前さん、生前お前さんの部下が、ヘマをやらかしたときに、部下さんに殺すぞっていうたやないかい」
そっか。とりあえず大変な目に遭わされるということなのか。
「ここでのルールはきまっちょる。よからぬことをして、みんなから殺意を抱かれたら、次は人間に生まれてしまう」
人間?結構じゃんかよ。人間の生き方は経験済みだ。もし台所の覇者、ゴキブリになるなんてことになったらオレは死んでもやだ。
オレは今は、死んでるらしいから、可笑しな言葉ではあるけど。
「最悪だ人間なんて、オレは死んでもなりたくないぞ」
俺の周りに亡霊が集まってくる。