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韓国の大学で日本事情を教えていたとき、期末試験に困った。ハングル文字だけで書かれた学生たちの答案を読むのが大変だったからだ。一計を案じ、文章に漢字を使えば点数を増やすといったところ漢字交じりの答案が出るようになった。
ところがその漢字が「日本」は「一本」に、「学校」は「学教」になっていた。韓国語(ハングル)の発音では前者が「イルボン」、後者は「ハッキョ」でまったく同じだからだ。
この同音異義語の深刻(?)な例として「放火」と「防火」はいずれもハングルでは「バンファ」だから困る。このことを皮肉ると多くの韓国人は「いや、文脈で判断できるから大丈夫」というが、それでも知人の記者は「スポーツ記事の見出しの〝ヨンペ〟には迷う」という。「連覇」も「連敗」もハングルでは区別がつかないからだ。
本紙ソウル駐在客員論説委員 黒田勝弘
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