10/10/04 12:03:19 ErvOlngQ0
何故か星新一の作品を思い出した
幼い頃から宇宙を目指す若者が二人いた。
一人は上昇志向で体力じゅうぶん、当然宇宙飛行士を目指した。
もう一人は宇宙飛行士になる体力もなく教室の隅で本を読んでるようなさえない奴。
いよいよ学業も終わり、現場へ進む時期になった。
宇宙飛行士の試験をパスした若者は卒業式で自分の成長を振り返る。
「子供の頃、運動会で一番になった。そのとき俺は選ばれた人間と自覚した。
そのためにすべてを犠牲にして血の滲むような努力もした。
そういえばあのレースでビリになった、あいつも宇宙が好きだったな。
あいつはロケット開発か・・・宇宙にいける者といけない者、レース以上の差がついたもんだ」
感慨にふけりながら壇上の卒業記念の研究発表を聞いている。
すると例のさえない男の発表の番がきた。
「人生を決めたレース。そのメンバーのよしみで聞いてやるか」
さえない男がぼそぼそと発表する。
「・・・つまり私の新型宇宙船ならば、特別な訓練なしに誰でも宇宙へと行けるのです」