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(>>2の続き)
しかし、だからといって、年収格差が100倍以上になるのは異常だといえるだろう。『匠の時代』で有名な経済評論家の内橋克人氏は、次のように語っている。
「今回の開示は衝撃的でした。役員の報酬がいかに「浮世離れ」したものであるか、あきらかになったからです。
福利厚生費を含めた一般社員の年収の50倍、100倍という金額の役員すら何人もいます。連続で赤字が続いていても、
役員というだけでは百万の富を「独り占め」できる。従業員、投資家から課せられた重い責任を考えても、
常識で許容されるのはせいぜい10倍まででしょう。(中略)「年収格差」に対して、
「なぜ赤字が続いても役員報酬は高額なのか」という疑問すら投げかけられなくなり、
「世の中はこんなものだ。経営者は『特権階級』だから」と無力感を抱く人が多くなっています。
これがひいては格差社会へのあきらめになっているのではないでしょうか」(『週刊朝日』(2010年7月23日号より)
役員の報酬開示もグローバルスタンダードのひとつ
もともと日本企業では、従業員からたたき上げで出世して役員になった人がほとんどで、外部出身の経営者としては、
取引先の金融機関から派遣されて財務担当の役員として迎え入れられたケースが、まれにあったくらいだ。
従業員と延長線上に役員があるということは、もしそこで年収格差が顕著になったとしたら、社員のモチベーションにも悪影響を与えることになる。
社員も経営者も企業の一員であるという一体感が、日本企業の強さを生み高度経済成長を支え続けてきたのであるから、
それをいまさら180度変えようとすることは大きな軋轢を生じて、企業社会全体が崩壊することにもなりかねないだろう。
今回の1億円以上の役員報酬の公表には賛否両論あるようだが、これを機会にもう一度日本社会に適した企業文化とは何か、
適切な情報開示はどこまですべきかなどを考えてみる必要があるだろう。
続く