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いびつな野球の世界地図 豊田泰光
同じアジアでも、野球とサッカーでこんなに広さが違うものだろうか。サッカーのアジアカップ、
日本の決勝トーナメントの相手をたどるだけでもカタール、韓国、オーストラリアと、地球を
半分くらい回った気分になった。それに引き換え、野球の「アジア」は日本、韓国、台湾、
そこに中国がからむかどうかというところ。世界が狭い。
盛りあがるサッカーを見つつ、はて野球は今年何で食っていくのだろうと思った。
ワールドカップやその予選を含め、毎年なにがしか代表チームの行事があるサッカーと、
ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)しか、トップによる国際大会がなくなった野球との
違いが、いよいよはっきりしてきた。野球の広がりのなさはこの先、致命的なマイナー化を
もたらす恐れがある。
野球はスポーツのなかでも、とっつきにくいものの一つだろう。道具が要るし、ルールも
少し面倒だ。初めてバットを持ったときに空振りばかりで、それが最初で最後の体験に
なってしまった人もいるはずだ。
そんな野球を広めるのはそれだけ大変なわけで、日本がアジアの普及役を務めるにしても、
相当の工夫が必要だ。王の一本足打法を指導したことで知られる荒川博さんらが
「ティーボール」といって、台に載せた球を打つ簡易版の野球を推進している。それくらい
かみ砕いて教えないと、野球に縁のなかった国で興味はもってもらえないだろう。
事は急を要する。プロ野球は時間とお金をむさぼっていては駄目だ。選手一人に何億円と
いう年俸を払う余裕があるなら、その1割でも普及に向けてほしい。ペナントレースの価値を
犠牲にして行っているクライマックスシリーズの収益なども、本来は未来への投資にあてる
べきだろう。アジア諸国に道具を配り、OBを活用してコーチも派遣する。海外からの留学生の
チーム結成を促して、野球の使徒になってもらうのもいい。
>>2-5へ続く
URLリンク(www.nikkei.com)
★1:2011/02/03(木) 15:08:40
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