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産経抄 8月27日
9月の民主党代表選は「赤と黒」の戦いだと、先日書いた。小沢一郎前幹事長出馬の
ニュースを聞いて、とうとう小沢氏は「青おに」になれなかったな、との思いも強くする。
▼浜田廣介の名作童話『泣いた赤おに』に出てくるあの「青おに」である。村人と友達
になりたいという「赤おに」に、親友の「青おに」が知恵を授ける。村で大暴れするぼくを
殴れ。そうすれば、きみは村人の信頼を得られる、と。
▼「きみにすまない」という「赤おに」を諭す、「青おに」のセリフがすばらしい。「なにか、
ひとつの、めぼしいことをやりとげるには…だれかが、ぎせいに、身がわりに、なるので
なくちゃ、できないさ。」。今でもこの童話が、道徳の授業で使われる所以(ゆえん)だ。
▼6月の政変で勝利した菅直人首相は、「脱小沢」を打ち出し、世論の支持を得た。小
沢氏が今回の代表選でもそれを受け入れ、敵役を演じれば、民主党政権は安泰だっ
たはずだ。もっともそれが、日本にとって望ましいかどうかは別問題。首相は就任以来、
日韓併合をめぐる「菅談話」などろくなことをしていない。
▼そもそも「ぎせい」という言葉が、小沢氏の辞書になかった。今の政治経済のありよ
うにご不満のようだが、出馬の本当の理由は、自らの政治生命を守るため、との見方が
もっぱらだ。首相になれば、政治とカネの問題での訴追がなくなるとの指摘もある。とす
れば、まったくの「私闘」といえる。
▼ともかく「赤おに」と「青おに」の血みどろの戦いは、村人=国民にとっては大迷惑だ。
この間に円高株安が進み、日本の国際的な地位の低下も続く。どちらが勝っても、もう
「おに」はこりごりということではないか。