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共同通信(中国新聞のサイトから)
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事実上の指揮権発動 中国漁船衝突事件
低迷する内閣支持率、いっこうに進まない野党との連携。明るい展望を見いだせないま
ま来年の通常国会が迫る菅政権。失速のきっかけは9月に起きた中国漁船衝突事件だった。
政府は船長釈放の判断や対中国外交をめぐり迷走。水面下の動きを検証すると、中国の強
硬姿勢に浮足立った首相菅直人が日中関係の極度の悪化を恐れ、事実上の指揮権発動で中
国人船長を釈放した経緯が判明。主導権を握っていたのは終始、中国だった。(敬称略、
肩書は当時)
「中国と戦争する気か。このままではアジア太平洋経済協力会議(APEC)を開けな
くなる。すぐに船長を帰せ」
国連総会が開催される米ニューヨークへの出発を目前に控えた9月19日。船長の即時
釈放を要求する中国の強硬姿勢に、菅は冷静さを失い、周囲に怒声を浴びせた。
「首相は一体どうしてしまったのだろう」。取り乱した菅の姿に、官邸スタッフは頭を
抱えた。船長の刑事処分について、官房長官仙谷由人は「国内法で粛々と処理」と明言。
検察当局も「証拠はそろっている」として起訴する方針だった。菅も了解している―。官
邸内ではほぼ共通認識だった。
中国は対日圧力レベルを引き上げる。国連総会に合わせた日中首脳会談見送りも表明。
11月に横浜で開かれたAPECに、中国首脳が欠席するという菅にとって「最悪の事態」
をちらつかせた。
菅のけんまくに、政府の判断は「釈放」に大きく傾いた。この間、政府内では「法相に
指揮権を正式に発動させ、船長を釈放するしかない」との意見も挙がった。仙谷は指揮権
発動による政治的混乱を懸念、この手法には二の足を踏んだものの、実態は“首相による
指揮権発動”と変わらなかった。【以下略】
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