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病院到着まで50分近く経過…
県内トップの医療機関なら安心というのも、“常識”を踏まえての判断だろう。だが、救急車到着から、途中ドクターヘリを使い、病院到着まで50分近くが経過していた。
安倍元総理の容体は、「病院に搬送された時にはすでに心肺停止だった」。事件当日夕方の記者会見で県立医科大の福島英賢教授らはこのように話し、止血や大量の輸血など手を尽くしたことも明らかにした。
ドクターヘリを出動させ、トップの医療機関に運び、医療関係者たちの懸命な努力にもかかわらず、救命はかなわなかった。
「医療的な勝負は、ドクターヘリの前にあった」
「安倍氏はおそらく、銃弾を体に受けて心タンポナーデの症状になっていたと思われる。これは、心臓の中に血液が入ってこなくなる重篤な症状。この状態だと、目の瞳孔は散大し、脳にも血液が行かなくなる」と先の熟練救急医は推測する。
そして「医療的な勝負は、ドクターヘリで運ぶ前にあった」と続ける。
県立医科大は死因を「失血死」とし、県警は司法解剖の結果、「上腕部から体内に入った銃弾が鎖骨下の動脈を損傷したことが致命傷になった」と発表した。銃弾は体の中に入ってから動くため、体のどこから出血しているのかを見極めるのは難しいとされる。
「撃たれた後、10分以内に止血をする必要があった。経験が豊富な医師なら適切な止血ができたはず。止血によって大量の出血を防ぎ、脳の血流を途絶えさせず、脳を麻痺させない措置ができていれば、一命を取り留めた可能性があった」(同熟練救急医)
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