10/07/02 17:16:56
参院のドン、戦い厳しく＝世代交代に政治とカネ－山梨・参院選
「民主党が、輿石東が真価を問われている。勝利の日まで背中を押していただきたい」。雨上がりの蒸し暑さが残る６月３０日夜、
民主党現職の輿石は、山梨県大月市での個人演説会で厳しい戦いを認め、懸命に支持を訴えた。
党参院議員会長として参院を取り仕切る輿石は盟友の前幹事長小沢一郎と共に、鳩山前政権で絶大な影響力を誇った。その輿石は、
政治資金問題を抱える小沢を擁護し、一時は激しい逆風にさらされた。さらに、北海道教職員組合の違法献金事件の影響で、いつもは
フル回転する出身の山梨県教職員組合にも勢いが見られない。菅内閣の発足で民主党支持が急回復したが、楽観できる情勢にはない。
もともとは、衆院選２回、参院選２回を勝ち抜いた輿石の選挙基盤は強固だ。参院では国土交通委員会に所属し、野党時代から郷里の
道路整備に尽力。地元の保守系議員との付き合いも深い。県内では「昔から地元の面倒を見てくれたのは（元自民党副総裁の）
金丸信先生と輿石先生だ」との声が聞かれるほどだ。昨年の政権交代後は、国政報告会に県知事以下、ほとんどの首長が顔を
そろえるようになった。
「どうか大事な役割を担う輿石先生を国会に送ってください」。公示日の６月２４日には、小沢も応援に駆け付け、絞るような声で聴衆に
語り掛けた。小沢にとっては復権を目指す上で、輿石の当選はきわめて重要だ。
対する自民党の新人、宮川典子。県内の私立高で５年間、英語を教え、「教育で日本を立て直したい」との思いから、党の候補者公募に
応募した。「『可能性』を選ぶ」をスローガンに世代交代と教育改革を訴える。公示目前の６月２２日の夕刻。甲府駅前で懸命に訴えていた
宮川が突然、涙声になったのは、教え子から届いた「絶対に勝って」という激励メールを披露したときだった。
典子の石落とし作戦－。陣営は宮川の挑戦をこう呼ぶ。前回２００７年の参院選岡山選挙区で、当時、無名の新人だった民主党の
姫井由美子が自民党参院幹事長の片山虎之助に挑み、「姫の虎退治」に例え、勝利したのをもじったものだ。
自民党は今回、山梨でリベンジし、党勢回復の象徴としたい考え。甲府市出身で前巨人監督の堀内恒夫を比例代表に擁立したのは、
相乗効果も期待してのことだ。総裁谷垣禎一は公示の第一声を甲府で行い、「ここは絶対に勝ちたい、象徴的な選挙区だ」と檄（げき）を
飛ばし、堀内も駆け付けた。「民主党政権打倒」で一致する、たちあがれ日本や日本創新党とも共同戦線を組んだ。
輿石、宮川両陣営とも、大票田の甲府市などの行方が勝敗のカギを握ると分析する。３日には首相菅直人が輿石の応援で甲府に入る
予定。自民県連幹部は「相手の票はもう伸びない。何とか追い付き、抜き去りたい」と、大票田を制し小差での勝利に期待を掛ける。
▽山梨（改選数１）
花田 仁 ４９ 党県常任委員 共 新
宮川 典子 ３１ 元高校教諭 自 新
推（た）
木川 貴志 ３６ 元警察官 無 新
根本 直幸 ４４ 医師 無 新
輿石 東 ７４ 党参院会長 民 現
推（国）
（敬称略。名簿は届け出順。年齢は７月１１日の投票日時点）
（2010/07/02-15:18）
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