08/05/31 23:53:41 ueK90Cr90
最近は事務所の窓の外を眺めても、雨・雨・雨・・・
こういった光景は雨雲が一年で一番仕事熱心なこの時期では珍しいことではないのだが、やはり気分のいいものではない。
彼は窓から視線を戻すと、隣に座っている少女へと目を向けた。
少女はなにが楽しいのか鼻歌混じりに飽きもせず、窓の外をぼ~っと眺めている。
「意外だな、美希って梅雨は嫌いじゃないのか?」
彼の言葉に少女は振り返ると、ん~っと考えて答える。
「昔は嫌いだったよ?ジメジメしてるし、どこ行くにも面倒でミキ的にはもう最悪って感じ・・・でも!」
そこで一度言葉を区切るとにぱっと笑って・・・
「今はわりと好きかも、だってハニーとこうやって長く一緒にいられるもん♪」
少女はそう付け加えた。
「そ、そうか・・・」
その言葉に真っ赤になりながらも彼はそれを悟られまいと、パソコンのモニターで死角になるように表情を隠す。
もちろんそれは少女にはバレバレなのだが。
「ね、ね、ハニー、ミキそろそろ帰る時間なの。送って行ってくれる?」
「・・・あ~、今は雨が強いし、もう少し小雨になってからでいいか?」
「あはっ、さんせ~なの!」
少女は彼がそう答えるとわかっていたかのように満足すると、さっきより少し彼に寄って鼻歌を再開した。
そんな少女の横顔を眺めながら、彼はこんな陰鬱な梅雨の季節も美希と一緒なら少し好きになれる・・・そんな気がした。