【空気の読めない】高木順一朗part1【高木社長】at GAMECHARA
【空気の読めない】高木順一朗part1【高木社長】 - 暇つぶし2ch208:名無したんはエロカワイイ
08/01/13 01:16:47 s7Q5Z0ue0
「ここか……」
 八月のある日。私は、とある市民会館を訪れていた。
 そこで開かれる素人のど自慢大会を見るためだ。
 といっても、勿論、ただ見物に来たわけではない。有望そうな人材を見つけ、スカウトすること。
それが目的だった。新人発掘のために自社でオーディションも行っているのだが、如何せん我が社は
知名度が低く、なかなか人が集まらない。広告に使える予算も多くはない。そこで、社長である私が
スカウトを兼務していたりするわけだ。涙ぐましい経営努力とは思わんかね?

 ……あ、いや、話が逸れてしまったな。オホン。
 話を戻そうか。

 私はホールの客席に座り、参加者の歌を聴くことに専念した。
 素人とはいえ、のど自慢大会に出ようかというだけあって、なかなか歌の上手い参加者が多い。
 だが、それだけだ。
 カラオケで少々上手い程度では、プロとしてやっていくには足りない。
 何か人を惹きつける魅力が必要だ。
 そう思いながら歌を聴き続け、そして何人目の参加者だっただろうか。
 一人の少女がステージに立った。
 幼いな……というのが、正直な第一印象だった。
 中学三年生というアナウンスに、私は納得した。この大会における、最年少の参加者だった。
 それだけでも私の興味を引いたが、彼女が歌い出して、更に驚かされることになった。
「これは……」
 華奢な体格からは想像もできない、伸びやかで、澄み切った歌声。
 それまでの参加者とは一線を画する圧倒的な歌唱力。
 一言でいえば、ピンと来たのである。
 是非とも彼女を765プロに迎えたいと思った。
 だが、何の心配もなかったかというと、そうでもない。
 歌っている時の生き生きとした表情に比べ、歌い終えてステージから去る時の横顔があまりにも
無表情すぎた。まるで、歌うこと以外には興味ありませんといった顔。あのままでは、プロとして
やっていく上では問題がありすぎる。けれど、それを理由に声をかけないのは、戦わずして負けた
も同然。私は、あの如月千早という少女をスカウトすることを決めた。
 予想にたがわず、如月千早は大会に優勝した。
 しかし、私は授賞式を最後まで見ることなく、席を立った。


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