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消費税増税なしで財政は再建できるのか?
11月19日(水)13時0分
安倍首相はとうとう消費増税の延期と衆議院の解散を決断しました。
政治的にはともかく、消費増税を延期した最大の理由は、7~9月期の実質GDP(国内総生産)が年率換算でマイナス1.6%と極めて悪い数字だったからです。
ただ消費増税の延期ということになると、やはり財政再建の動向が気になります。消費増税なしで財政再建はできるものなのでしょうか。
日本の中長期的な財政収支については、毎年2回、内閣府がその試算を行っており、前回は今年の7月に結果が公表されました。日本政府は財政収支について2つの国際公約を掲げています。ひとつは、2015年度に基礎的財政収支(プライマリー・バランス)の赤字を2010年度からGDP比で半減するというもの、もうひとつは、2020年度における基礎的財政収支を黒字化するというものです。
2015年はすぐそこですので、かなり具体的に予想できる段階に来ています。
2015年の赤字半減という目標については、消費税を10%に増税すればほぼ確実に達成が可能でしたが、今回の増税延期で微妙な状況となりました。
今年の税収がどの程度になるのかで結果は多少変わってきますが、おおむね合格点といってよいでしょう。
問題は2020年の黒字化です。2020年はまだ少し先ですから、こうした試算を行うためには、いくつかの前提条件を設定する必要があります。
試算では、今後10年間にわたって実質で平均2%程度の経済成長があること、消費者物価指数の上昇率も2%程度であること、消費税は10%に増税すること、社会保障費は高齢化によって自然増となること、などが前提条件となっています。
試算における2020年の基礎的財政収支は11兆円の赤字となっており、この段階での黒字化は今のところ難しいという結論が得られています。
消費税の10%増税を2017年4月まで見送った場合には、さらに達成が困難となるでしょう。政府が財政再建の必要性を力説してきた根拠はここにあるわけです。
ただ、この結果は前提条件によって大きく変わってきます。
もっとも大きな影響を及ぼすのが経済成長による税収増です。実質で3%~4%という高い成長を連続して実現することができれば、税収は大幅に増加します。
またGDPの増加に対して税収がどのくらい増えるのかという指標(税収弾性値)をどの程度に見積もるのかによっても税収見込みは大きく変化します。
財務省は保守的ですので、税収弾性値を小さく見積もる傾向があり、専門家の一部からは予測が厳しすぎるとの指摘も出ています。
しかし、現在の日本では、継続して高い経済成長を実現するのはかなり困難な状況です。また、年金や医療といった社会保障費の大幅な削減は政治的に決断が難しく、支出削減で財政再建を実施するのは容易ではありません。
極端なインフレにしてしまうといった非常手段を除くと、消費税の10%増税なしに財政再建目標を達成することは難しいと考えた方がよさそうです。
さらにいえば、この試算は、あくまで国債の利払いを除いた基礎的財政収支であることを忘れてはなりません。
実際には国債の利払いがあり、もし金利が数%に上昇してしまえば、たちまち財政の維持が不可能になってしまうという厳しい現実があります。
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