06/02/03 23:51:48 mnby8KHt
「恋愛極刑ハイスクール1 ソレデモ僕ラハ恋ヲスル」 新井輝(ファミ通文庫)
タイトルを見ただけで何もかも分かった気になってしまう方もおられるだろうが、
さすがにそれは早計というものなのであと少しだけ私の話に耳を傾けて欲しい。
さて、2巻以降がサッパリ出ていないせいか作者のファンもタイトルを聞いただけで
「ああ、そんな作品もあったなぁ……」と遠い目をしてノスタルジーに浸る当シリーズ。
題名に違わず、「恋愛禁止。違反者は即死刑」という学園が舞台になっている。
ゲーム版の「舞-HiME」よりも3年早く発表されているところを考えれば先見性の確かさに驚かされる。
ここで「ハイハイ、極刑なんて言ったってどうせヌルいラブコメでしょ」と肩を竦めるようなら
残念ながらあなたの見識はそれほど高くないと言わざるをえないかもしれない。
某エルフ狩りを高度にインスパイヤしたルーンウルフで「神様はヒッキー」という
驚天動地の設定を取り入れた作者が、易々とLOVE寄せを応じるものだろうか?
No, sir! ありえません! 新井輝は予想と期待を裏切って当然の作家なのだ。
……え? ROOM? いや、あれは後年の作品だから脇に措かせてもらう。
ともあれアライズム溢れるストーリーはポルナレフAAのテンプレを借りれば
あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
『ラブコメだと思っていたのに
気がついたらスタンドバトルが始まっていた』
な… 何を言ってるのか わからねーと思うが
おれも何を書かれたのかわからなかった…
とでもなるだろうか。寝耳に水方式でバイオホラー的な説明を入れる件といい、
唐突なTS展開といい、読み終わった後に奇抜さの印象しか残さない手法は
小説をエンターテインメントとして徹底的に割り切ってみせる美意識が感じられる。