04/02/26 13:41
娘どもはゆっくりと目を開けると、木々に囲まれ普段訪れる者も稀なこの奥まった
古びた家屋の裏手に広がる不浄な庭を凝視した。にわかに東洋人特有ののっぺりとした
表情を読み取ることが困難なその顔面、寝起きで胡乱だった瞳を大きく見開き、
素足であることも厭わずに庭の中央へと駆け寄った。
「夢なれど!」「夢にあらずや!」
「夢なれど!」「夢にあらずや!」
此の世のすべての善なるものを駆逐せんほどの呪詛を吐きながら、奇妙にくねり、踊りながら
けたたましく狂気をはらんだ笑い声をあげた。
カンター『幼種の秘密』