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バディウとアリストテレスの「空の空(ケノウ...ケノン)」
メイヤスーの師アラン・バディウは、アリストテレスが『自然学』第4巻で論じている空論について触れている。
“空はそれ自身の自然な場 ―例えば上方として仮定される場― へとみずからを運ぶわけである。そうすると、空の重複があることに、すなわち、自分の方へ向かう自分自身の可動性を引き起こす、自分自身に対する空の超過が、「空の空」(kenou...kenon、void of a void)とアリストテレスの呼ぶものが、あることになるだろう。”
― アラン・バディウ 『存在と出来事』 藤本一勇 訳、藤原書店 (2019) p107
アリストテレスの該当箇所は以下。
“しかしならが、いかにして空虚の移動とか空虚の場所とかいうものがありうるのだろうか。その場合、空虚がそこへと移動していく先としての、空虚の空虚があることになるからである。”(第4巻 第9章、217a)
― アリストテレス 「自然学」 『アリストテレス全集 第4巻』 内山勝利、神崎繁、中畑正志 編、岩波書店 (2017) p213
"καίτοι πῶς οἷόν τε φορὰν εἶναι κενοῦ ἢ τόπον κενοῦ; κενοῦ γὰρ γίγνεται κενόν, εἰς ὃ φέρεται." (4:9, 217a4-5)
― Aristotle, The physics, Books 1-4, Wicksteed and Cornford, Loeb classical library, Harvard University Press (1957) p364-365