種・種死の世界にWキャラがやってきたら MISSION-10at SHAR
種・種死の世界にWキャラがやってきたら MISSION-10 - 暇つぶし2ch36:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
07/11/01 22:20:09
 ネオが予想外だったのは、ザフトが陸上戦力も投入してきたことである。海
上艦隊だけなら、今言ったような時間差攻撃で対処が可能だが、あまり海上だ
けに気を取られていると、陸地から攻め込む敵に基地を落とされてしまう。
「スエズの陸上部隊は基地の堅守を絶対とし、防戦に努めます。敵の攻撃を防
ぎつつ、味方艦隊の帰還を待てば……」
「ザフト軍は全滅する、というわけか」
 ネオの作戦を理解する辺り、ジブリールは決して用兵に無知ではない。だが、
その声はネオに対して甚だ非好意的だった。
「いえ、もっと有効な作戦がありますぞ」
 ネオの作戦案を聴き終わった直後、そう発言したものがいる。
 ホアキン隊隊長の、ホアキン中佐だった。近頃、この男はネオへの対立意識
を剥き出しにしている。
「ほぅ、それはどういうものか」
 興味深そうにジブリールが尋ねる。彼もまた、ネオに良い感情を持っていな
いので、ネオの作戦より良い作戦があるのなら、そっちを採用するつもりだっ
た。このままネオの作戦を採用したとして、失敗したときは今度こそネオを処
罰すればいいが、成功すれば評価し昇進させねばならないだろう。
「ロアノーク大佐の作戦よりも、簡単で、こちらが指したる苦労を強いること
なく、敵を倒すことが出来る作戦です」
 ホアキンの自信ありげな顔に、ネオは彼が何を言い出すのか、全く予想が付
かなかった。ネオはホアキンより確実に優れた戦略家で、戦術家であったが、
この時は明確なまでに感性の違いが出たと言える。
「多少、時間は掛かるやもしれませんが……」
 そのように前置きをして、ホアキンは作戦内容を語りはじめた。やがて、そ
れを聞くファントムペインの幹部たちの間に驚愕が走り始める。

「馬鹿な、そんな作戦出来るわけがない!」
 説明後、真っ先に異を唱えたのはネオだった。彼に珍しい大声は、ホアキン
の作戦への嫌悪感に染まっていた。
「こんなものは、まともな戦闘じゃない。どうかしている」
「おや、まともな戦闘を避け、テロ行為を実行なさったロアノーク大佐の物言
いとは、とても思えませんな」
 怒声の混じった激しい口論が十分ほど続き、要領の得ないままに終わるのか
と思われたとき、ジブリールが口を開いた。
「良いだろう。ここはホアキン中佐の作戦を採用する」
「盟主、お考え直し下さい! この作戦は、自分で自分の首を絞めるようなも
の。よしんば敵を倒すことが出来たとしても、我々ファントムペインは……」
「ロアノーク大佐、名より実を取る、という言葉があるだろう? 今回は正に
それだ」
 それは、詭弁だ! ネオは叫びたかったが、今の自分にはどうしようもない
ことを悟っていた。元々、ジブリールは、ブルーコスモスの一員であるホアキ
ンを重用する傾向があるし、テロ事件で彼の不孝を被ったネオでは説得の使用
もなかった。
 会議が終わり、官舎へと戻る最中、ネオは苛立たしげに呟いた。
「俺も、そろそろ考えるべきかも知れないな」

37:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
07/11/01 22:22:22


 場所を戻してプラントでは、議長よりも幾日か早くに帰国したロッシェ・ナ
トゥーノが官舎にて休養を貪っていた。ミーアの護衛官としての任務を十分に
果たしたロッシェは、国防委員会より勲章を授与された。さして価値のあるも
のではないらしいが、騎士の誉れとして恭しくそれを受け取った。半分以上、
社交辞令であったが。
 ミーアとは、帰国後はほとんど会っていない。2,3連絡を取ったぐらいで、
彼女はマスコミ対策などに追われる毎日だった。会見は既に何度も開かれ、彼
女は始終犠牲になった人々への哀悼の念を語っていた。ロッシェには、その気
持ちが痛いほど伝わってきた。
「私は、武器を持つ全ての人に問いかけたいと思います。手にした武器で、一
体何をするのかと。銃口の先にいるのは、同じ人間のはずなのに、何故引き金
が引けるのかと」
 会見でミーアが行った発言は、マスコミと視聴者、そして最高評議会を驚か
せた。特にデュランダルが受けた衝撃は大きく、すぐに政府広報に「あの発言
は何だ。誰があんなものを書いた」と問い合わせた。やがて、あれがミーアの
アドリブだったことを知ると、勝手なことを言ってくれると憤ったという。
 ナチュラルとコーディネイターは、どちらも互いに同じ人間だとは思ってい
ない節がある。一方は劣等感、もう一方は優越感に抱き続け、ここまで来た。
ミーアは武器を、しいては武力を否定した。確かに、平和論者としては正しい
意見だろう。テロに倒れた者を悼み、あのような発言をしたのかも知れない。
彼女は積極的に遺族の元を訪れ、謝罪を繰り返しているという。大半は好意的
で彼女に対して感謝しているという。
 デュランダルとしては、面白くない。
 彼にとってラクス・クラインとは、自分の政権においてある種の広告塔の役
割をしている。つまり、あまり彼女の方に人気が出すぎると、かえって困るの
である。デュランダルはすぐにミーアに対し積極的な行動を控えるようにと広
報を通じて打診したが、彼女はそれを無視した。遺族の元を周り、謝罪する行
為を何故辞めねばならないのか? 言い返されるとデュランダルも返答に詰ま
ったが、明らかに両者の間に亀裂が発生しつつあった。
「小娘が……まあ、勝手にするが良いさ」
 目前にスエズ攻略戦が迫っていたこともあり、デュランダルはとりあえずミ
ーアのことを頭から消した。そして、彼女の友人である男のことは、一切思い
出すことなく、政務に没頭していた。

 ロッシェは、ミーアとデュランダルが徐々に対立しはじめるだろうというこ
とを察知はしていたが、特に積極的な行動を起こそうとはしなかった。という
のも、ロッシェはプラントでは限られた人間としか交流がないため、ミーアの
ために人脈を作るとか、そういった行動が起こせなかったのだ。
 だからこそ、彼はハイネを頼ったわけだが、ハイネは現在地球におり、彼の
協力を得るには今しばらくの時間が掛かる。
 することもなく、時間を無為に過ごすロッシェの元へ、ハワードが尋ねてき
た。ハワードはこの度、新型モビルスーツのグフとバビの両機を量産ラインに
乗せることに成功し、一仕事終えてきたばかりだった。
「ロッシェ、折角良い知らせを持ってきたのに、何だそれは」
 彼にしては珍しく、着崩しでソファに寝そべるといった格好でいたため、ハ
ワードはサングラス越しに眉を顰めた。

38:通常の名無しさんの3倍
07/11/01 22:29:31
支援

39:通常の名無しさんの3倍
07/11/01 22:50:07
規制に引っかかったのかな?

40:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
07/11/01 23:00:17
「お前に、服装について何か言われる筋合いはないが……何かあったのか?」
 起きあがり、ハワードに席を勧め、ロッシェはコーヒーを入れはじめる。
「実はな、お前さんが地球に降りてる間、入れ替わりで奴が補給に戻ってきた」
「元気だったか?」
「疲れていたとも言えるな。アイツには似合わん作業をさせているせいもある」
「確かに、奴は戦場で暴れ回ってこそだからな……それで? 収穫は何かあっ
たのか」
 指したる期待はしていなかったが、ハワードは不敵に笑うと、聞いて驚けと
言わんばかりに言い放った。
「喜べ、元の世界に帰ることが出来るかもしれんぞ」
 コーヒーカップを取り落とさなかったことを、褒めるべきだろう。ロッシェ
は意外といえば意外、驚くべきと言えば驚くべき報告に、一瞬硬直してしまっ
た。
「詳しく説明して貰おうか」
 コーヒーを手に、ソファに座り込んだロッシェに促され、ハワードは話し始
める。
「奴に調査させていたのは、我々がこの世界に入り込んだ、謂わば入り口とも
言える場所を探させていたのさ」
「入り口?」
「扉のない部屋にはいることなど、普通は出来ないだろう?」
「確かに……それが見つかったといわけか」
「そうだ。ワシも調べてみたが、強い空間の歪みも発見された。微小だが、ま
だ出入り口は塞がっていないようだ」
 つまり、その出入り口を何とかして広げることが出来れば、帰れるかも知れ
ないと言うことらしい。
「なら広げればいいだろう」
「簡単に言うな。宇宙空間に出来た歪みを広げるには、それこそ、膨大なエネ
ルギーが必要なんじゃ」
「エネルギー?」
「例えば、爆発力でも何でも良いが、それこそ、その空間を揺らすぐらいの勢
いがないと出入り口は広がらん。しかも、一度失敗すれば二度と開かんだろう
しな」
「なら、ザフトから爆薬の類をありったけ集めるか」
「無理だな。計算によると、必要なエネルギーはウィングゼロのツインバスタ
ーライフル並みだ。こちらの兵器では、あの出力は出せん」
 では、何の意味もないではないか。
 ロッシェがそう不満げな顔を向けると、ハワードはニヤリと笑った。
「こちらから開けられないのなら、向こうから開けて貰えばいいのさ」
「―! そうか、その手があったか」
「既にアイツにある種の信号を発生する装置を持たせて、宙域に送り込んだ。
信号が届けば、まあ、プリベンターが動くだろう」
 元の世界に帰れる。その事実は、ロッシェに安堵感を憶えさせた。
 だが……
「そうか、帰るのか」
 脳裏に、一人の少女の姿が過ぎった。

41:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
07/11/01 23:03:18
「ハワード、帰るのは良いが、あっちの捜査はどうする?」
「ウルカヌスか? アレに関しては、そろそろザフトの手を借りてもいいと思
ってるんだがな」
「それはダメだ。デュランダルは信用できん」
 ロッシェは強い不満を声に込めながら、デュランダルを批判した。彼にウル
カヌスの存在を教えようものなら、きっとよからぬことを企むに違いない。
「どうも、まだまだこの世界でやり残したことが多いらしい」
 この宇宙の何処かにあるウルカヌス、地球で未だ戦い続けるオデル、プラン
トでロッシェの助けを必要としているミーア……元の世界に帰りたくないわけ
がない。だが、ロッシェは、全てにケジメをつけなくては、帰るに帰れないと
そう思っていた。
 後々の話になるが、ロッシェはこの時の自分に対し猛烈な自己批判をするこ
ととなる。彼は、ハイネから預かったマイクロディスクをすぐにチェックしな
かった。いくら、元の世界へ帰れるかも知れないという情報が入ってきたから
といって、これは軽率の譏りを免れなかっただろう。
 もし、彼がディスクの中身を知れば、全てが変わっていたのだから。


 数日後、ディオキア基地からミネルバを旗艦とした、ディオキア基地分艦隊
が先鋒として出撃した。オズゴロフ級戦艦で構成されるザフト海軍の中、ミネ
ルバの姿は堂々としており、極めて目立つものであった。
「最終目標地点は敵軍スエズ基地! 全艦、最大船速!」
 ザフトによるスエズ侵攻作戦が開始された。
 実戦部隊として、ジブラルタル、ディオキア、マハムールの三基地から出撃
する三個艦隊が動員されることとなった。そして、遊撃艦としてミネルバが加
わる。
 ザフトは海上、そして陸上から進撃を続け、スエズ基地を包囲圧迫、圧倒し
ながら攻略し、ファントムペインの中東における影響力を一気に殺ぐつもりで
あった。
「だが……果たして、それが上手くいくかな?」
 一人、私室でアスラン・ザラが呟いた。
 デスクの上にあるコンピューターには、メイリン・ホークによって幾重にも
偽装を施された暗号回線を通じ、アスランの元へと一通の通信文が届いていた。
「…………」
 アスランは声を出すことなく、その文面を読んでいる。彼にとって、その通
信自体は予期していたものだったが、内容の方はさすがに意外さを禁じ得なか
った。
(しかし、これは使えるかも知れないな)
 彼にとって、今回の会戦は個人的な武勲の立て所以上に重要なものとなって
いる。アスランには、ある一つの企みがあった。

 ミネルバの発進を前後として、ジブラルタル、マハムールからもそれぞれ艦
隊が進発をはじめた。それぞれの基地から出撃し、戦意高く戦いの途に着こう
とする彼らのうち、一体何人が生きて基地に戻れるのか……

 だが、ほとんどの者はそれを果たすことが、永遠に出来なかった。

                                つづく

42:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
07/11/01 23:05:14
第37話です。
タイトル部分を36話にしてしまった……
短く書くと読み応えがなく、長く書くと規制に引っかかる……いつもなら30分で解ける規制が、
今日は何故か40分掛かりました。支援してくださったから、ありがとうございました。

かなり先読み可能な展開だと思いますが、その辺りはご容赦いただきたいと思います。
最終話までの流れは既に決まってるので、後はひたすら書くだけです。
年内までに完結できればいいのですが……

43:通常の名無しさんの3倍
07/11/01 23:54:52
乙、いろんなキャラの思惑が入り乱れてるな
ミネルバ組が今度の作戦でどうなるか楽しみ

44:通常の名無しさんの3倍
07/11/02 01:01:08
GJでした。
しかし、ザフトと連合ともに負けフラグが立ってるな。
連合の方がフラグは強そうだけど、ハイネの死亡フラグはなくなりそうにないとは。

45:通常の名無しさんの3倍
07/11/02 01:41:31
待ってました!
乙です

46:通常の名無しさんの3倍
07/11/02 08:34:12
GJです
原作ではガッカリだったミーアが、かなり期待出来る方向へ動いてくれてるのが良いです。
ネオにも何やら動きがアリそうですし

47:通常の名無しさんの3倍
07/11/02 09:40:47
ザフトと連合、共に大敗北フラグを立てまくっている件。連合のほうが被害多そうだな…

48:通常の名無しさんの3倍
07/11/02 22:45:08
GJ!
ミーアとデュランダルの対立やアスランの動きなど、かなり気になるな。

ところで、誰かウィキの方のリンク貼り直してくれないか?
あちらは前スレのままなんだが、やり方がわからなくてな。

49:通常の名無しさんの3倍
07/11/04 00:21:18
議長がどんどん小物化していってる

50:通常の名無しさんの3倍
07/11/04 00:53:17
というか、Wのデルマイユ公爵?みたいな立ち位置っぽくなってない?

51:通常の名無しさんの3倍
07/11/04 02:04:44
原作のデュランダル自身が小物だった件について。

52:通常の名無しさんの3倍
07/11/04 03:03:23
>>51
何を言う。あんなにうさんくささでいっぱいだったじゃないかw
あんなタイプの小物はいないさね。あんま大物っぽくもないけど

53:通常の名無しさんの3倍
07/11/05 01:41:21
そもそも、原作に大物は存在しない。

54:通常の名無しさんの3倍
07/11/05 13:19:28
保守

55:通常の名無しさんの3倍
07/11/05 13:46:16
>>53
ラクスは大物ボスですよ?

56:通常の名無しさんの3倍
07/11/05 17:36:23
たしかにラクスは大物だったな・・・

57:通常の名無しさんの3倍
07/11/06 18:08:07
確かに証拠ーぐらいには

58:通常の名無しさんの3倍
07/11/06 22:47:43
ロッシェからの信頼はゼロ以下となり、ミーアは言う事きかなくなり、
いずれアスランにも背かれてドツボとなる議長のもとに、
同じく剣としてのキラがすっかりナマクラと化したため新たな武力を求める
盆地抉れ胸黒桃毒姫偽ミーア……コホン、おっと、もとい、生物学上の前作のラクスが
言葉巧みに接近侵食を……

59:通常の名無しさんの3倍
07/11/07 12:25:03
URLリンク(www.ztv.ne.jp)

60:通常の名無しさんの3倍
07/11/07 19:16:24
>>59

………放映当時の記憶がプレイバックしてきた
やはりシナリオを大幅改変しない限り種死は駄作という事か

61:通常の名無しさんの3倍
07/11/07 20:06:01
>>59
何だこれは

62:通常の名無しさんの3倍
07/11/07 20:16:01
>>59
やっぱりスクコマ2はその方向なのか…
買わんで良かった

63:通常の名無しさんの3倍
07/11/07 20:59:59
次のスパロボからは思いっきり改変してくれるだろう。今回のはいらね

64:通常の名無しさんの3倍
07/11/07 22:17:19
最初は生贄かやっぱり○| ̄|_

65:通常の名無しさんの3倍
07/11/07 22:33:10
しかし負債への捧げものもとい尊い犠牲があってこそ次回作では
・シンが主役で貫頭徹尾
・ハイネが仲間入り
・ステラ生存
と数々のボーナス特典が付いてくるスパロボになるに違いない

下手すれば最初で最後の出演になるかもしれんゴーダンナーが
不憫でならんが……。

66:通常の名無しさんの3倍
07/11/09 12:24:57
保守

67:通常の名無しさんの3倍
07/11/10 05:15:02
>>42
かなり亀だがGJです。
つい最近このスレに辿り着いたんだが、あなたの作品は素晴らしいな。
クロスオーバーとしても本編の改変としてもよく出来ていて、続きが楽しみで仕方がない。
今後もがんばってください。

68:通常の名無しさんの3倍
07/11/10 16:39:57
URLリンク(www.nicovideo.jp)

12辺りからヒイロ大暴れw

69:通常の名無しさんの3倍
07/11/10 16:57:08
ヒイロキラから身体能力と反応速度お墨付き貰ってるよw

70:通常の名無しさんの3倍
07/11/10 20:17:55
スクコマの話食傷気味…

71:通常の名無しさんの3倍
07/11/10 23:53:43
いや別に

72:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
07/11/11 23:05:28
投下します。長いです。規制に引っかかるはずです。

73:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
07/11/11 23:08:32
 敵は、どこだ―?

 当初、スエズ攻略戦に乗り出したザフト軍は、溢れる情熱と、戦意に燃えて
いた。それぞれの基地から出撃し、来るべき敵との戦い備え興奮を隠せなかっ
た彼らだが、その熱狂が冷めるのは意外と早かった。何故なら、一向に敵と遭
遇しないのだ。
「敵はどういうつもりだ? 何故、攻撃を仕掛けてこない」
 初めにその疑問と直面したのは、先陣としてディオキア基地から出撃したミ
ネルバであり、彼らは今のところ、一切の敵に遭遇することなく進撃を続けて
いた。それどころか、このまま順調に進めば攻略目標であるスエズ基地はすぐ
そこという状態だった。
「これは、我々を敵陣深く誘い込む罠かも知れません。偵察機を複数出して、
警戒させましょう」
 副官アーサーの進言を、ミネルバ艦長兼分艦隊司令官のタリアがすんなり受
けたのは、彼女にもやはり不安があったからで、広域索敵機能を備えたディン
を複数機出撃させた。だが、ディンからもたらされる連絡も敵の所在を伝える
ものではなく、艦隊には次第に動揺が走り始めていた。敵が姿を現さないとい
うのは、それだけ不気味なのだ。
「敵はきっと籠城作に出るに違いない。だから基地から出撃せず、防備を固め
ているのだ」
 このように考え、不安を取り払おうとする者もいたが、そんなものは気安め
程度にしかならなかった。何故なら、全員が全員、この状況に思い当たる節が
あるのだ。
「艦長、よろしいですか?」
 事態の推移を伺っていたハイネが、オデルと共にタリアの所へ訪れたのは、
三度目の偵察機も無駄に終わった直後であった。
「何かしら?」
「敵軍の動きについて、俺なりの考えをまとめてみました」
 ハイネがわざわざ自発的に動いたのは、実のところタリア・グラディスとい
う軍人を、ハイネが余り評価していないところにある。女性にして艦長職を任
されるほどであるから、間違っても無能ではないのだが、それはあくまで艦長
としてである。勇猛な艦長が、有能な艦隊司令官になりうるかといえば、正直
なところ難しい話だ。
 だからこそハイネは、タリアが敵の術中に嵌る前に襟首掴んで引き戻さなけ
ればならないと考えていた。でなければ、取り返しの使いないことになってし
まう。
「敵が一向に姿を見せないのは、恐らく敵が我が軍を敵陣地の奥深く、それこ
そスエズ基地まで引きずり込もうとしているが為だと、俺は考えます」
「敵が基地の防衛能力を鎧として、籠城作を使うと?」
「そうではありません。いや、もしかしたらその可能性もあるのかも知れませ
んが、敵は我々を誘い込んで、一気にケリを付けようとしてるのではないです
か? 前大戦のアラスカの時のように」
 アラスカ―それはザフトにとって、思い出したくもない地名の一つだ。前
大戦時、旧連合軍の統合最高司令部が置かれていた彼の地に、ザフトは大艦隊
の派遣と、降下作戦を行った。敵軍の本拠地を叩いてしまおうと考えたのだ。
当時、まだモビルスーツの量産化も進んではないなかった旧連合軍は、この大
進行に対し、とんでもない方法で対抗した。
 統合最高司令部ごと、ザフト軍を消滅させるという作戦だった。

74:通常の名無しさんの3倍
07/11/11 23:11:08
支援

75:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
07/11/11 23:11:39



          第38話「解放軍」


 サイクロプスと呼ばれる、レアメタル採掘用の器材がある。元々はマイクロ
波を使いレアメタルに混ざった氷を加熱し、氷解させるための装置であり、軍
用兵器ではなかった。だが、どんな分野の技術であろうと軍用に転じさせるの
が人であり、サイクロプスは基地自爆用の破壊兵器として使われたのだ。
 ザフトのニュートロンジャマーによって有効範囲を限定されたマイクロ波は
威力を増幅し、範囲内にいる全ての生物は体内にある水分を急激に沸騰させる。
その結果、人体は膨張、破裂し死に至るのが、この兵器の怖いところである。
簡単にいえば、軍用化された電子レンジといったところだろうか。
 この大量破壊兵器を使った自爆作戦は、ザフト軍に致命的な打撃を与えるに
十分だった。作戦投入戦力のうち、八割を失ったのだ。これによって地上戦線
の維持が難しくなったザフト軍は、旧連合がモビルスーツの量産化に成功し、
続々と戦場に送り込んだこともあって地上での戦線が維持できなくなり、つい
には全ての基地を蜂起して宇宙へと逃れる結果に陥ったのだ。
「追いつめられた敵が起死回生を図ろうとアラスカの再現を行う……あり得な
い話ではありません。至急艦隊の進軍を一時的に止め、後続艦隊と連絡を取る
べきでしょう」
 それを知っているからこそ、ハイネの口調は重く、苦いものとなる。サイク
ロプスを使った自爆、二番煎じ所か三番煎じの戦法ではあるが、成功すればこ
れ以上に効果的なものはない。ファントムペインは基地一つ失うことになるが、
代わりに敵軍の三個艦隊を消滅させることが出来る。しかもこの場合、敵はヘ
ブンズベースという余力どころか主力を残しており、今後の戦闘をかなり優位
に展開できるのだ。
「敵の姿を発見できないというのは、敵がどこかに潜み、奇襲を仕掛けてくる
可能性も低いということです。これはやはり」
「確かに一理ある意見だわ。でも、単純な発想でもあるわね。敵が同じ手を何
度も使う独創性のない相手だと、私は思えないわ」
 タリアは、ハイネの言に対し否定的だった。
「大体、仮に的の狙いがサイクロプスだったとしても、前大戦時とは状況も違
う。我々はその存在も知ってるし、警戒して掛かれば大した驚異にはなり得な
いはずよ」
 正論、なのだろうか?
 オデルはやり取りを見ながら、そんな疑問を憶えた。ハイネからアラスカで
の戦いを語られたオデルは、それが如何に悲惨なものであり、また常識外れの
作戦であったかを知った。旧連合とやらは、作戦をより完璧なものとするため
に一部の兵士を犠牲にしたのだという。基地の守備隊などに徹底的に防戦させ、
ザフトとの戦闘状態を作る。ザフトもまさか、それが擬態であり、罠だとは気
付かない。何せ、防戦してる兵士自体が、自分たちが切り捨てられたことを知
らないのだから。

76:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
07/11/11 23:14:02
 だが、今回はどうだろうか? もし敵が同じことを行おうとしているとして、
果たしてそれが成功するのか? タリアの言うとおり、ザフトはその可能性も
視野にいれて行動しているし、警戒もしている。その時点で成功率はかなり減
少する。それだけではない。ザフトがその可能性を予期できると言うことは、
スエズ基地にいる兵士だって同じことだ。まさか、基地と運命を共にしてまで
ザフト軍に勝ちたいと思う兵士は、皆無じゃないにしろそうはいないだろう。
司令部の作戦に異を唱え、暴動が起きていても不思議じゃない。
「では艦長は、敵の不自然な行動を、どう説明しますか?」
 ハイネが切り口を変えた。というより、相手が自分と異なる発想を持ってい
たときは、それを尋ねるのが当然なのだ。
「我々をスエズ基地まで引っ張り込む。遠征による疲労を突くために今は出撃
しない。そんなところかしら」
「馬鹿な。それは相手がこちらより大兵力を有していた場合の話だ。ヘブンズ
ベースならいざ知れず、スエズの戦力ではそんなことできっこない!」
 この反論はもっともである。スエズとて中東最大の軍事基地といわれるぐら
いだから、それなりの防衛機能は備わっているが難攻不落というわけではない。
先ほど陥落されたガルナハン基地のように地の利を活かした戦い方が出来るわ
けでもないし、基地に隠って戦うことに向いていないのだ。むしろ、基地は艦
隊の駐留、修理、補給などの後方支援のみに努めて、艦隊戦を徹底するのが一
番良い戦い方だ。
 例えば、前大戦時カーペンタリア基地に所属していたモラシムが、幾度とな
くスエズ艦隊と紅海にて激戦を繰り広げたことがあった。連戦連勝を重ね、紅
海の鯱などとあだ名されるようになったモラシムだが、スエズ基地が陥落でき
たかと言われれば、出来なかった。逆に補給線が長い分、一戦勝利するごとに
疲弊、疲労していくモラシムの部隊は後方に基地を持つ敵の物量に圧され、撤
退したことが一度や二度ではないのだ。あるいはこれが、今回のスエズ基地攻
略に情熱を燃やすモラシムの理由かも知れなかった。
「どちらにしろ、敵が姿を見せないならまず罠の存在を疑って掛かるべきだ。
一度進軍を停止し、情報収集を行うだけでも……」
「そんなことして、進軍速度が鈍るようなことになったら兵士の士気に関わる
わ」
「しかし!」
 不毛な応酬だった。タリアはハイネの慎重論を取り上げるつもりが全くない
のだ。形だけ、周囲の警戒を怠らず、定期的に偵察機を出すなどと約束はし、
後続艦隊に敵と未だ遭遇しない旨を伝えるため通信は飛ばしたが……

「チッ、要するに艦長は自分も何かしらの手柄が欲しいのさ」
 タリアへの進言が無意味に終わった帰り道、ハイネはオデルと話していた。
「この前のガルナハンは確かに大きな戦果だったが、功績自体はヨアヒム・ラ
ドルと分かち合う形になった。僻地の基地司令だったラドルはそれで満足だろ
うが、うちの艦長は不満があったわけだ」
「功を焦っている、というわけか?」
「なまじ自分が女の士官であることを意識しすぎてるのさ。確かに陰口も多い
人だが、それを気にして出世意欲ばかり高くなってやがる。功績立てて、出世
さえすれば陰口がなくなると思ってるのかね、あれは」
 自分だって若くして特務隊に所属している身であるのだから、そう大きな事
も言えないはずだが、もしかすると自分やアスランのように若くして地位や名
誉を確立している存在がタリアにとっては鬱陶しいのかも知れない。

77:通常の名無しさんの3倍
07/11/11 23:15:14
支援

78:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
07/11/11 23:16:20
「だからといって、それは個人の感情だ。一個人の感情に左右されて、戦闘が
出来るかってんだ」
「そのおかげで敗れた軍隊は、数え切れないほどいると思うがな」
「言うな。嫌な予感に足を絡め取られそうになる」
 怖いのは、ハイネも自分の進言に確証を得られないことだった。その辺りは
タリアの言うとおりで、敵が同じ作戦をそう何度も使うとは思えないのだ。い
くらコーディネイターがナチュラルを見下していると言ってもそのぐらいは判
る。しかし、そうすると一体敵の狙いは何なのか?
「可能性はいくつかあるが、現実味が薄いな。いっそ、敵が基地を放棄して夜
逃げでもしてるってほうがしっくりくるぜ」
「ヘブンズベースに全兵力を集中させるというのも、立派な戦略だからな。あ
り得ない話じゃないだろう」
 これはあくまで冗談だったのだが、二人はすぐにそれが冗談では済まなくな
った事態に直面することとなる。


 驚くべき事に、本当に驚くべき事に、ミネルバはその後も順調なる進軍を続
け、スエズ基地をその視界に捕らえるまで達してしまった。勿論、未だ敵軍と
の遭遇は一切ない、無傷のままでだ。
「これは、どういうことなの……」
 タリアは声もなく呟き、思わず副官であるアーサーの方を見た。しかし、彼
もまた意外な事態に面食らったようにメインスクリーンを見ていた。
 そう、スエズ基地の周囲には一隻の艦艇も存在せず、まるで無人だったのだ。
「こんなことって……」
 出撃に備えて集まっていたパイロットたちの溜まり場でも、驚愕が響き渡っ
ていた。ハイネとオデルは共に険しい顔をしており、シンとルナマリアは普通
に驚いている。レイに至っては驚きを押し隠そうとしているといった表情だっ
た。だが、唯一アスラン・ザラだけは薄く笑ったような気がした。一瞬のこと
で、気付いた者は誰もいなかったが。
「ホントに夜逃げでもしたって言うのかよ」
 ハイネが驚きとともに口を開いた。冗談のつもりだったのだが、どうやら現
実の物となってしまったらしい。基地を放棄する、それ自体は指して珍しいこ
とではない。敵軍の進行を前に小規模な基地が放棄されることは間々あること
で、所謂戦略的撤退の一つだ。だが、まさか、スエズほどの基地をあっさりと
放棄するとは……
「前大戦では、アラスカも自爆して見せたほどだ。ナチュラルは軍事的な拠点
に余り固執しないんだろう」
 アスランの言った意見は、それなりに説得力があっただろう。そして、それ
と同時にある危険性が見えてくる。すなわち、やはりスエズをアラスカのよう
に自爆させる可能性である。サイクロプスではないにしろ、基地の周囲または
動力部、軍港などに大量の爆発物を仕掛け、ザフト軍が入港したところで爆破
させる。爆発によって基地も失われるだろうが敵軍に打撃を与えるにはそれだ
けで十分だ。
「さて、司令部はどうでる?」
 ハイネはこのまま突入するはずはないと思っており、その通りミネルバの艦
橋ではアーサーがタリアへ一つの進言をしていた。

79:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
07/11/11 23:19:16
「艦長、敵が基地を放棄したにせよ、自爆作戦の可能性は無視できません。ま
ずは、爆発物の調査・撤去を専門とした工兵と、それを守る白兵戦部隊を基地
に上陸させては如何でしょうか?」
 無論、その前に海中における機雷等爆発物の調査もを怠らずに。
「そうね、もっともな意見だわ」
 タリアは各艦からその手の作業を得意とする工兵と、白兵戦の部隊を招集し、
部隊長としてアスラン・ザラを選任した。同格で、尚かつ年上のハイネを選ば
なかったのは、先日彼と揉めたことが原因だろうと思われたが少々露骨だった
とも言える。
 海中の調査が終了し、一切の危険物がないと判断された結果、アスランは強
制揚陸艦へ乗り込み、スエズ基地の軍港へと乗り込んだ。どうやら自動防衛シ
ステムの類は作動しないようである。アスランは軍港の一角に仮設指揮所を設
け、指揮を始めた。
「工兵部隊は爆発物等が仕掛けられるであろう場所の調査を開始しろ。発見し
た場合は、撤去作業を行う前に指揮所に報告を入れろ。それと、白兵戦部隊の
うち工兵のバックアップに回らない者は基地の制圧作業に当たらせる。管制塔、
制御室、指令室は絶対だがここにも爆薬が仕掛けられている可能性はある。警
戒してかかってくれ」
 アスランの指示で、それぞれの部隊が動き始めた。人数はそれなりにいるが、
何せ広大な基地の敷地を隈無く調査するのである。一時間や二時間で終わるわ
けがない。それでも何とか六時間後にはあらかたの調査を終えることが出来た
のは、基地内に一切敵兵の姿がなく、何の抵抗も受けなかったからだろう。管
制室も指令室も、まるでもぬけの殻だったのだ。
「基地には一人の人間もいないのか……」
 唸るアスランの口調はいささかわざとらしく思えたが、それに気付き、指摘
する者はいなかった。アスランは指揮所からミネルバに回線を繋ぎ、事の次第
を報告した。
「この基地は無人です。人っ子一人、モビルスーツの一体もありませんでした」
『爆薬等は? 何もないの?』
「その手のトラップは念入りに調べましたが、何も発見できませんでした」
 その他に判ったことといえば、基地のコンピュータデータが全て破壊されて
いたぐらいか。データを消去した後に記憶を司る部分を物理的に破壊するとい
う徹底的なもので、復旧はまずできそうもなかった。
「後、食料庫等の物資ですが、こちらも空っぽでした。小麦の一欠片もありま
せん」
 武器・弾薬に至っては、倉庫の中身はもちろんのこと防衛システムに使用さ
れている実弾類まで抜き取られており、妙な言い方だが引っ越し後の空き屋と
いった感じに見事なまで何もない場所だった。
「ザフトの進行を見越して基地を放棄した、と考えるのが自然でしょう。地中
海に出ず、紅海方面を選択すれば艦隊が逃げ出すことも可能ですから」
『そうね……判ったわ。じゃあ、部隊はそれぞれの艦に戻っていいわ。貴方も
帰投して、報告書の作成をお願い』
「了解しました」
 通信を終え、アスランは指揮所の解体を指示した。指示しながら、考える。
タリアはどのように後続艦隊たちに報告をするつもりだろうか? いや、きっ
とあの人のことだ、このように報告するに違いない。

 我が艦隊、スエズ基地を攻略せしめりと―

80:通常の名無しさんの3倍
07/11/11 23:21:10
支援

81:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
07/11/11 23:21:14

 アスランの予想通り、タリアは本当にそのように各艦隊に連絡を送った。こ
れまでも先鋒を務める者として状況報告は欠かしていなかったわけだが、各艦
隊司令官たちはさすがに驚きを隠せなかった。
「なるほど、つまり敵は恐れを成して逃げ出したわけか」
 いち早くそう結論づけたのはディオキア艦隊主力を指揮するモラシムだった。
その口調は何処か忌々しげだった。まさか、こんなあっさりと攻略作戦が終了
するとは思っても見なかった。一戦もせずに逃げ出すとは、敵も何と不甲斐な
いことか。これでは武勲の立てようもないではないか。
 だがまあ、攻略したなどと言ってはいるが、ミネルバだって空き屋を占拠し
ただけに過ぎない。そんなことは誰にだって出来るし、武勲や功績と言うほど
のものではないだろう。
「仕方ない。ここまで来た以上、引き返すわけにもいかん。このままスエズ基
地まで進んで、ミネルバ分艦隊と合流する」
 あくまで本隊はこちらなのだから、合流次第指揮権を奪ってしまえばいい。
いや、奪うなどと聞こえが悪い、正当な権利どころかか何一つ問題のない行動
だ。
 一方、続いて報告を受けたヨアヒム・ラドル指揮するマハムール陸上艦隊は、
あと一日も走ればスエズ運河という場所まで進軍をしていた。
「そうか……敵は基地を放棄したのか」
 同じ基地司令官として、何とも言えない気分だったのは確かだ。恐らく、上
層部から放棄命令が出たのであろうが、戦わずして逃げるという行為ほど兵士
の士気を低下させるものはない。
「隊長、如何なさいますか?」
 副官が遠慮がちに尋ねてくる。進軍を続けるか、帰投するかと聞いているの
だ。
「一応、作戦が中止になったわけではない。他の艦隊だけに任せるわけにもい
かんし、このまま進軍を続けよう」
 ラドルの心中は、モラシムの悔しさとは違い残念だという気分が占めていた。
彼もまた軍人であれば大会戦になると思われたこの戦いで、武勲の一つでも立
てたかったのだ。

 最後に連絡を受けたのはジブラルタル艦隊であった。実のところジブラルタ
ル艦隊は他の艦隊にかなり後れを取る形で出撃していた。というのも、基地司
令官と艦隊司令官のウィラードの間で動員兵力に関する問題で食い違いが起き
たのだ。ウィラードは艦隊を指揮する立場から、全体の七割以上を今回の作戦
に動員すると決めていたのだが、司令官がそれに文句を付けてきたのだ。
「全体の七割も持って行かれたら、この基地の防衛機能が著しく低下してしま
うではないか」
 まあ、確かにその通りではあるのだが、ウィーラドはこう反論した。
「では基地司令官殿は少ない艦隊で出撃して、我々に負けてこいと仰るのか?」
「そんなことは言ってない! 第一、艦隊の数が少なくとも、それを何とかし
て勝つのが艦隊司令官の役目だろう」

82:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
07/11/11 23:23:19
 自分よりも遥に年長であるウィラードにこうして反発できる辺り、基地司令
官はある意味では凄いのかも知れなかったが言っていることは無茶苦茶だった。
 二人の協議が続き、結局ウィラードは不本意にも半個艦隊で出撃する羽目と
なった。いくらジブラルタル艦隊が通常の艦隊よりも数多い艦艇数で構成され
ているとはいえ、これはあり得ないことだった。
「どうやらあの青二才、我々に死んでこいと言いたいらしいな。はて、そこま
で嫌われるようなことをしただろうか」
 旗艦に乗り込み出撃を指示する前、ウィラードはそう呟いたという。
「しかし、閣下ならば少数の艦隊でも大丈夫だと信じてます。少数なら少数な
りの、戦い方もあるでしょう」
 彼を尊敬する若い副官が熱っぽく言うが、ウィラードは首を振ると、
「さて、それはどうかな。敵軍が我が艦隊に殺到してきたら、さすがにワシも
支えきれるかどうか……」
 本音である。スエズ基地の艦隊が全力上げてジブラルタル艦隊に挑んでくる
のなら、半個艦隊程度の自分たちなどものの数時間で壊滅させられるだろう。
「どうするかな……」
 敵艦隊と遭遇した際の戦術を練るウィラードだったが、出撃して間もなくそ
の心配がなくなった。ジブラルタル艦隊はウィラードの指揮の下、敵に待ち伏
せされる可能性が高いボン岬からマルタへと続く航路を避け、ボニファチオ海
峡からティレニア海に進み、メッシナ海峡へと差し掛かったところであったと
いう。ここから、イオニア海に出て、クレタを経由しスエズを目指す予定だっ
たのだが、他艦隊に遅れながらミネルバから連絡が入った。
「なに? すると敵は夜逃げをしたのか?」
 どうもこの老人、毒を吐く感性がハイネと似ているらしい。
「はぁ、夜に逃げたかどうかはともかく、スエズ基地には一切の敵及び、物資
が存在しないそうです」
 副官はウィラードの毒づきに珍妙な掛け合いをしたが、ミネルバからの報告
に訝しがっているようだ。無理もない、こんな経験、戦歴の長いウィラードで
あっても早々経験することではないのだ。
「すると我々は物資と金の無駄遣いをさせられたわけか。はん、結構なことだ
て」
「どうないさいますか? 基地の攻略は終了しましたし、他の艦隊に任せて我
々は撤退しますか?」
 航路からすればまだ半分進んだほどであるし引き返すこともできる。ウィラ
ードは海図を見ながら唸るように考え込む。本当に敵は基地を放棄したのだろ
うか? 放棄したのが事実として、本当に何の意図もなく逃げ出したのか。ス
エズほどの基地を戦わずして放棄する、戦力を拠点に集中させるつもりといえ
ば聞こえは良いが……
「だが、心理的にはどうだろうか?」
「はっ?」
「いや、敵のスエズ基地を放棄が戦略の一つだったとして、それが与える心理
的効果を考えてな。ただでさえ憎いザフトに追われ、ファントムペインが基地
を放棄したと合ってはファントムペインを支持する者が受ける衝撃は大きいだ
ろう。兵士の士気にだって関わることだ」
 だからこそ、何かあるはずなのだ。平気で基地を放棄してのけるほどの何か
が。

83:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
07/11/11 23:25:13
「考えすぎではありませんか? 小官には、敵が基地を放棄して得することが
あるようには思えませんが」
「そうだといいがな……よし、とりあえずクレタまで艦隊を進めよう。作戦は
終了したも同然だが、国防委員会が何か言ってくるかもしれんし、勝手に撤退
するのはまずかろう」
 こうしてスエズ基地は攻略したものの、全ての艦隊は進軍を続けることとな
った。


 やがて、ミネルバに遅れること一日、ディオキア主力艦隊とマハムール陸上
艦隊がスエズ基地へと到着した。これで全軍の三分の二が揃ったわけであり、
スエズ基地はもはやザフト軍基地と言っても良いぐらいザフト軍艦で溢れかえ
っていた。
「こうも容易く攻略が終了してしまうと、かえって味気ないものだな」
 モラシムは不満そうにザフト兵士によって復旧が急がれる基地を眺め回した。
基地自体は全てのデータを消去されはしたが、そんなものプラント製のものと
入れ替えてしまえば良いだけだ。修理・復旧もそう長くは掛かるまい。
「私など、ガルナハン方面の安定が終わったばかりの出兵だったというのに、
得るもの何もなしでは腹立たしいばかりですよ」
 出番がなかった者同士、共感するところがあるのか、ラドルもまたモラシム
と同意見のようだ。
「我らは敵に勝ったわけではない。確かに基地こそ手に入れたが、それは単に
敵が放棄したものを拾っただけだ……これは戦果とは言えないだろうな」
「戦果も何も、一発の砲火も交えていませんからね」
 軍人であれば戦場に戦いを、戦果に武勲を求めるのは当然なのかも知れない。
故にこの時の二人は、先日の反目が嘘のように互いに無念がり、悔しがっては
張り合いのない敵に対して文句を言っていた。
 そんな会話がしばらく続いたとき、
「いっそのこと、スエズ基地を前線基地とし撤退した敵に追撃をかけたいもの
ですな」
 ラドルとしては、何気ない一言のつもりだったのだろう。言った後も、その
言葉に深い意味などありはしなかったし、モラシムが異様なまでに食いついて
きたことに、むしろ驚きを感じたはずだ。
「周辺に住む民間人の話では、ミネルバが到着する正に前日、敵は基地を引き
払ったらしい。これなら、十分に追撃は可能と思わないか?」
「ふむ……しかし、敵とて逃げ出すからには全力、全速でしょう。そう簡単に
いきますかな」
「敵が慌てて逃げたというのなら、付けいる隙は十分にあるはずだ」
 モラシムは不敵に笑うと、ラドルにある提案を持ちかけた。初めは訝しげに
その内容を聞いていたラドルであったが、思うところ合ったのか、すぐに賛同
した。彼らは、戦いを欲していた。

 一方、距離的問題で最後に報告を受けたのはプラントにある統合作戦本部と
国防委員会である。彼らに報告が言った時点で、既にモラシム艦隊及びラドル
艦隊はスエズへと到着しており、それぞれの署名入りの報告書が届けられた。

84:通常の名無しさんの3倍
07/11/11 23:27:26
支援

85:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
07/11/11 23:27:35
「確かなのか? これは」
 ヘルマン・グルード国防委員長は、報告書に目を通しながらいささか驚いた
ように口を開いた。目を見張って動揺しない辺りはさすがであるが、それでも
ある種の驚愕があるようだ。
「軍人、いや武人であれば面目を保つために基地の死守をやってのけそうなも
のだが、あっさりと放棄するとはな……」
「委員長、報告書にも書いてあることですが、現地の指揮官は進軍の続行を求
めています」
「ふむ……」
 報告書の最後には、『スエズ基地を橋頭堡とし、さらなる進路拡大、周辺地
域の解放に努めたい』と言った趣旨の文が書かれており、特にモラシムとラド
ルが強く希望しているようだった。彼らにしてみれば、武勲も戦果も上げられ
なかった今回の出兵は骨折り損のくたびれもうけもいいところで、このまま得
るものもなく撤退というわけにはいかないのだろう。
「どうなさいますか?」
「気持ちはわからんでもないが、基地は確保できたのだしとりあえずはそれで
満足しておいたほうが良いと思うのだがな……まあ、何にせよ私の一存では決
められん。最高評議会を招集せねば」
 こうしてヘルマンはスエズ基地攻略の報告とさらなる進軍案を片手に議会を
招集したわけだが、余り良い気分ではなかった。彼は今回の戦いに反対した側
の人間であるため、こうもあっさりとカタが付いたことで主戦派に対する影響
力が弱まってしまったのだ。
 案の定議会では主戦派が殊更自分たちの判断の正しさを主張し、ギルバート
・デュランダル最高評議会議長の不見識を非難し、さらに現地指揮官からの進
軍続行を早々に可決してしまった。評決の際、意地があったのかは知らないが
デュランダルもヘルマンもあくまで反対の票を入れていた。主戦派議員の失笑、
冷笑は止まらなかった。既に彼らはデュランダルとヘルマン、二人の肩書きに
『前』という文字を勝手に加えてしまっていた。


 この事態の速さに驚いたのはクレタにて艦隊を停泊させていたウィラードで
ある。彼はモラシムらが自分に相談も為しに進軍案を国防委員会に提出したこ
とを批難した。
「ザフト軍の指揮官は戦場というもの個人的な武勲を立てるだけの場所と勘違
いしている節がある。実際に戦うのは下にいる兵士だというのに、そのことを
一切考えようとせんのだ」
 軍人だからといって、兵が皆戦いを望むわけではない。中にはやむを得ぬ事
情でこの道を選ばざるを得なかった者もいるだろうし、何より大半が戦場でな
ど死にたくないと考えているはずだ。ウィラード自身、叶わぬ事かも知れない
が死ぬなら故郷に帰って家族のもとで死にたい。度重なる遠征や、遠路の進軍
を続けた軍隊が、望郷の念を抑えきれなくなった兵士の叛乱にあってその夢見
果てることなど歴史を紐解けばいくらでもあるではないか。
「我が艦隊に、進軍命令は来ているのか?」
「いえ、モラシム艦隊とラドル艦隊には命令が下りましたが、ミネルバ隊及び
ウィラード艦隊はスエズの確保に専念せよと」
「フン、主戦派の議員共、自分たちが武勲を取らせたい軍人を重用したという
分けか」

86:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
07/11/11 23:30:56
 モラシムは極端なまでに、ラドルもどちらかといえば主戦論者である。ウィ
ラードは戦うべき時は戦うといったタイプの軍人で、それ以前に性格面のきつ
さで政界人から嫌われている。タリア・グラディスに関しては、主戦派のはず
だが恐らく議長との関係から外されたのだろう。
「きっと今頃あの女史はカンカンだろうな。何故自分だけ、と」

 その頃スエズ基地では、進軍の続行が噂として流布され初め、兵士たちの間
に動揺が走っていた。
「聞いた話だが、上の連中はこのまま進軍を続けたいらしい」
「どうしてさ? 基地はこうやって制圧できたんだし、目的は果たせたじゃな
いか」
「空き城を奪ったんじゃ武勲にはならないからな。逃げ出した敵を追ったりし
たいんだろう」
「せっかく一人の死者も出なかったんだし、俺はさっさと基地に戻りたいんだ
がなぁ」
 こうした会話は占拠された基地の中、様々な場所で交わされ、ウィラードが
予想したとおり上層部への不信感を募らせていった。例外があるとすればミネ
ルバで、彼らは進軍へ参加することを禁ぜられ、スエズに残らねばならないの
だ。身の安全という面ではこの上ないことかも知れないが、武勲にはほど遠い
位置にいることとなる。
「居残りなんてつまんない~」
 年若いルナマリアなどはそんな境遇に不満を募らせたが、ハイネやオデルは
モラシムやラドルが進軍を続行させようとしていることに危惧を覚えていた。
彼らはファントムペインの行動に何か裏があるのではないかと考えていたのだ。
 しかし、決定された以上、異を唱えるわけにも行かず続行される進軍をただ
黙ってみているしかなかった。
「チッ、戦い好きの司令部なんてろくでもないことこの上ないな」
 ハイネは毒づくが、司令部は司令部で進軍とは別の問題に悩まされていた。
というのも、制圧したスエズ基地の復旧に勤しんでいるザフト軍の元に、周辺
住民の代表団なるものが話し合いを求めて訪れたのだ。ザフトは当初、ファン
トムペインを追い払ったことに対し、感謝の言葉でも述べられるかと思ったが、
そうではなかった。彼らは基地の中を動き回るザフト兵をつまらなそうに眺め
回した後、こう言った。
「この基地の食料庫には、ファントムペインが我々から奪った食料がごっそり
入ってるはずだ。それを返して欲しい」
 ガルナハンの地でもそうだったように、ファントムペインはスエズにあって
も暴虐の限りを尽くしていたようで、ここ最近は特に食料の強制徴収が激しか
ったらしい。
「もう、パンの一欠片も残ってないんだ。赤ん坊に飲ませるミルクもないし、
当然酒なんてここ数ヶ月一滴も飲んでない。圧政から解放してくださるのは結
構だが、まずは食料を貰いたいもんだな。我々が生きるために」
 そんなことを言われても、スエズ基地の食料庫は空っぽである。ファントム
ペインが逃げる際に小麦の一粒も残さずに持ち逃げしてしまったからだ。

87:通常の名無しさんの3倍
07/11/11 23:35:25
支援

88:通常の名無しさんの3倍
07/11/11 23:35:47
支援

89:通常の名無しさんの3倍
07/11/11 23:38:15
今回のファントムペインの作戦はあれか。ネオが確かに難色示しそうだ。

90:通常の名無しさんの3倍
07/11/11 23:47:28
規制か・・・

91:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
07/11/11 23:50:56
 この当然だが、理想的じゃない現実味溢れる要求にザフト軍は困惑しないで
もなかったが、突き放すわけにも行かなかった。ザフトは解放者なのだ。ファ
ントムペインの圧政に苦しむ人々を解放し、プラントの味方にしなくてはいけ
ない。それは戦闘に勝つことよりも、あるいは重要なのだ。
 だが、スエズの食料庫が空っぽな以上、彼らに与える食料があるとすれば各
艦隊が保有する食料しかない。とりあえず、モラシム艦隊、ラドル艦隊から多
量の食料が周辺住民へ供出されることとなった。
「まあ、仕方のないことだ。基地に補給物資の追加を要請しておこう」
 モラシムもラドルも苦笑しながら、当面の問題は片付いたと言わんばかりに
進軍計画の遂行に戻った。
 そして、それから僅か三日後、両艦隊は更なる戦いを求めてスエズ基地から
出撃した。


 プラントでは、日々今回の出兵が大成功だったことと、主戦派議員の見識の
豊かさをメディアが賞賛していた。
 デュランダルがマスコミから叩かれる様を見るのは、彼のことを嫌うように
なったロッシェからすればいい気味だったが、政府が進軍計画の続行を発表し
たことが気がかりと言えば気がかりだった。
「流れが速すぎるな……周辺地域を掌握せぬままに進軍を続けるつもりか?」
 勢いに乗って進みたいのだろうが、ロッシェからすればそれは愚行のように
思えた。大体、今回の作戦の成功率が高かったのは三個艦隊による包囲作戦に
よるところが大きい。だからこそ、敵は基地を放棄して、ロッシェには信じら
れないことだが、逃げでしたわけである。
 にも関わらす、現地のザフトは陸上艦隊をそのままスエズから南下させ、海
上艦隊は紅海に出ようとしている。何故わざわざ戦力分散の愚を犯すのか? 
無論、陸上艦隊が海上を突き進むことが出来ないのも、海上艦隊が陸地を前進
することが出来ないのも知っている。だからこそ、その不利をカバーするため
にもある程度慎重に動かねばならないのではないか?
 テレビの映像には、周辺住民に食料を配るザフト兵士の慈善的な姿が映し出
されていた。そして、リポーターがファントムペインが住民たちから食料など
を奪っていた事実をあしざまに罵っている。
「食料の徴収か……」
 何とも古典的な話のように思えるが、それほど不自然なことではない。圧政
を行う軍隊にとって、暴力や略奪の類は住民を押さえつけるのには必要な処置
なのだ。金品の場合は、兵士の懐を潤わせる程度にしかならないが、食料は別
だ。なければ相手は死ぬのである。
「本当に敵は基地を放棄しただけなのか……?」
 ロッシェは、頭の中で思考の階段を上りはじめる。彼は今回の会戦に対して
完全なる第三者だ。だからこそ、現場の軍人や後方の政治家とは違った視点で、
戦いの様を見ることが出来る。
「仮に敵の基地放棄が何らかの罠だとして、その意図は?」
 真っ先に思い浮かぶのは、基地を囮にした自爆作戦である。かつて彼が所属
していたOZが歴史の表舞台に立つべく行動を起こしたことがあった。その過程
で、彼らは計画の邪魔となるコロニー側の抵抗、即ちガンダムの存在を疎み、
罠を張った。結果その罠に嵌ったガンダムのパイロットたちは、モビルスーツ
の大部隊と戦う羽目に陥った。

92:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
07/11/11 23:53:26
 だが、さすがはガンダムと言うべきか、彼らは根強い抵抗と反撃を試みた。
モビルスーツ部隊は徐々に数を減らし、戦況不利を悟ったOZの女性士官は、基
地の自爆コードを入力し、基地ごとガンダムを消滅させるという過激な方法を
採ったのだ。
 結果としてガンダムパイロットの一人が爆発物の時限装置を解除し、自爆自
体は失敗に終わった。しかし、もし成功していれば、さすがのガンダムといえ
ど全滅していただろう。
「であるからこそ、自爆という行為も、立派な戦略の一つだが」
 今回、ファントムペインはスエズを放棄するに際して一切爆発物などは仕掛
けていない。設置する間もなく逃げ出したのではないか、と軍部では思ってい
るようだがロッシェにはとてもそうは思えない。
 彼らは初めから基地を爆破する気がなかったのではないか? 基地を爆破す
れば確かにザフト軍にある程度の打撃を与えることは出来るかも知れないが、
必ずしも成功するとは限らない。
「あるいは、もっと有効な手を思いついたか」
 例えば、基地は確かに放棄したが、それはあくまで一時的なもので、すぐに
でも基地を奪還できるだけの作戦を練っているとか。
 ロッシェは自分の考えに小さく唸った。
 あり得ない話ではない。スエズ基地を餌に、ファントムペインはザフトを釣
り上げようとしているのではないか?
「ザフトは敵の思惑に嵌っている……」
 放棄された基地を得たザフトは、指揮官や一部高官の、実にくだらない「物
足りなさ」に後押しされるように進軍の継続を開始した。既に陸上艦隊と海上
艦隊の一部が行動を開始している。これこそが、敵の狙いだとすればどうだろ
うか。
「確かにザフトは結果として戦力を分散させた。だが、それは敵も同じことで
はないのか」
 ロッシェは考えをまとめるべく、デスクのコンピュータを操作し、スエズ周
辺の地図を出した。軍用なので、近場の軍事基地などの詳細もある。
「……これは」
 地図を眺めていたロッシェの顔色が変わった。彼はチラリとテレビの方に目
を向けた。画面にはまだ、スエズ周辺の貧困民に食料を配るザフト軍兵士の姿
が映し出されている。
 瞬間、ロッシェは敵の狙いが何であるか、読めた。
「まずい、このままでは」
 ロッシェは立ちあがり、通信機器に手を伸ばし……その手を止めた。連絡を
するとして、誰に? ギルバート・デュランダル、いや、あの男は信用できな
い。だが、彼しか使える知り合いがいないのも事実だ。ミーアはあくまで民間
人であるから、軍務について口を出す権利はないし、何より彼女にそんなこと
をさせるわけにはいかない。
「ならば」
 少し思案した後、ロッシェはコンピュータで検索を掛け、探し出した番号を
頼りに通信機器の回線を繋いだ。
『はい、プラント国防委員会本部ビルです』
「ザフト軍特務隊所属、ロッシェ・ナトゥーノと申しますが、委員長閣下に回
線を繋いで頂きたい」

93:通常の名無しさんの3倍
07/11/11 23:56:22
支援。

94:通常の名無しさんの3倍
07/11/11 23:57:43
再支援

95:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
07/11/11 23:59:07
 ロッシェには嫌な予感を隠しきれなかった。もし、彼の推測や予測が全て的
中していれば、今頃地上のザフト軍は……


 勢いに任せてスエズ基地から出撃したヨアヒム・ラドル率いるザフト軍艦隊
は、出撃を開始して僅か一日、予想もしなかった問題に直面していた。
「民間人が保護を求めてきている?」
 ラドルは驚いたように副官の報告を聞き返した。何と、彼らが進軍するルー
トにある町や村、集落などに住む人々がザフトに保護を求めてきているという
のだ。
「何でも、スエズの陸上部隊がこの場所を通る際、略奪の限りを尽くしていっ
たらしく……特に食料が無いとか」
 ただ食料を奪うだけならまだしも、ファントムペインはご丁寧に田畑を焼い
て使い物にならなくし、さらに川や池に汚染物を投げ込み魚を死滅させたとい
うのだ。
「酷いな……仕方がない、部隊の物資を分けてやれ」
 ラドルは先日もしたように、艦隊から食料品や衣料品を分け与えることでこ
の問題を解決しようとした。
 そうして進軍を続行したラドルだが、半日と立たないうちに新たな村々から
ザフトに保護を求める人々がやってきたのだ。
「隊長、あまり我が艦隊から食料を供出しますと、物資が欠乏しますぞ」
「判ってはいるが、見捨てるわけにも行かん。仕方ない、一時進軍をストップ
してマハムールやディオキアから届く補給物資を待とう」
 ラドルは届いた補給物資の大半を、やはり飢えに苦しむ民間人に分け与えた。
汚染除去装置などを使って川の水を綺麗にしたり、田畑の手入れも手伝ってや
った。おかげで進軍は滞り、物資の不足が目立ちはじめてきたので、ラドルは
急遽本国に物資の手配を求めた。ラドルたちザフト軍だけではなく、彼らが
『解放』した地域に住む人々の分も、物資を要求したのだ。
 その数は、膨大なものだった。
 物資の補給要請を受けた統合作戦本部は、それを最高評議会へと回した。物
資の生産や流通に関しても、彼らが決めることなのだ。戦果の代わりに届いた
物資の要求書を面白くもなさそうに見始めた最高評議会議員たちが、その顔色
を変えるまで何秒を有しただろうか? 少なくとも、一分はかからなかったは
ずだ。
「何だこの数字は。何だこの量は!」
 桁が、違いすぎる。
 要求された物資の量は、通常送られる補給物資のそれを遙かに上回っていた。
いくらプラントの生産力を持ってしても、一度にこんな膨大な数を送るのは難
しいとは言えないが、簡単なことではない。
「皆さん最後の一文を、お読みになりましたか?」
 デュランダルの声が、会議室に響いた。議員たちは我に返り、報告書の最後
に目を通した。
 そこには一文、ただハッキリとこう書かれていた。
『物資要求は解放地域が増えると同時に、随時行うものである』
 つまり、ザフトが進軍を続ける度にこのような膨大な物資要求が届くのであ
る。

96:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
07/11/12 00:01:02
「敵の狙いはこれだったのだ。基地を放棄して、殊更隙をさらけ出し進軍の続
行を諭す。だが行く手に待つのは飢餓に苦しむ民衆たちだ」
 誠に卑劣な手段ではあるが、要するにファントムペインは無辜の民衆を使っ
た大規模な焦土戦を仕掛けてきたのだ。ザフトが人道目的に『解放』と称して
周辺地域を進軍し続ける以上、プラントは助けを求める彼らを無視することが
出来ない。
「だが、こんな要求を一々呑んでいたら、プラントの財政は崩壊してしまう。
生産ラインも、追いつくわけがない」
 デュランダルの言葉は辛辣だった。先日のお返しだと言わんばかりに、この
進軍が失敗だったことを説いた。
「最早撤退しかない。今のプラントにアフリカ大陸の、一部とはいえそこに住
む全ての人々に食料を与える余裕など無いのだ」
 ただでさえ軍事費がかさんでいるのだ。この上、金も持たない連中に無償で
食料を提供し続けることなど、プラントに出来るわけがない。それでも尚、主
戦派議員たちは口々にとりあえず敵軍を倒してからこの問題には取り組めば良
いだのと自己弁護をはじめた。もしこの進軍がこのまま失敗するようなことに
なれば、彼らは欲を掻きすぎて自滅した奴らとして世間の物笑いとなるだろう。
それは彼らが持つ羞恥心が許せなかった。
「この進軍案は現地の軍人が送ってきたのだ。彼らが何らかの成果を上げるま
で、我々は口を挟むべきではない」
 やや気まずそうに発言された意見は、主戦派議員たちの僅かな抵抗心によっ
て可決された。


 物資が届くまでは現地調達を心がけるべし。
 基地の物資倉庫を空にしてまで周辺住民に尽くしてきた陸上艦隊に送られて
きた通信文は、たったこれだけだった。実際はもう少し長いのだが、要約すれ
ばこれだけのことだ。
「現地調達!? 本国の連中は本気で言ってるのか」
 通信文を読んだラドルは唖然としながら叫んだ。調達するも何も、何もない
から物資を要求したのだ。今も、残り少ない物資を各部隊が分散して周囲に村
々に届けに行っているところだ。
「ですが隊長、我が艦隊の物資が欠乏をはじめているのは事実です。これでは
数日のうちに、周辺地域から微発でもしないことには」
「言葉が間違っているぞ、こういうときはな略奪と言うんだ。まあ、略奪する
ものが何かあればの話だがな」
 最悪、自分たちが与えた食料を自分たちの手で奪う形になるかも知れない。
そんな事態だけは、何としても避けなければならない。
 ラドルは一時的な処置として、一旦食糧の供給を停止させた。だがこれには
すぐに住民からの批難が巻き起こった。その対応に追われる兵士たちは、そん
な事態に不満をぶつけ叫んだ。
「何故、俺達コーディネイターがナチュラルのために腹を空かせねばならない
んだ! 俺達は連中の食料配給車じゃないんだぞ!」
 これは常にナチュラルを蔑視してきた彼らの本音であったが、まずいことに
この叫びが当のナチュラルたちに漏れ伝わってしまったのだ。
 食料供給停止から僅か一日、暴動が起こるには長すぎるほどだった。

97:通常の名無しさんの3倍
07/11/12 00:02:54
支援

98:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
07/11/12 00:03:01
「重火器は使うな! ガス弾や催涙弾を使って無力化させろ!」
 事態の収拾、もとい鎮圧を任された士官は賢明に叫んだが、兵士の一人が石
によって殴り殺され、他の兵士がそれを行った者を撃ち殺したとき、暴動がザ
フト兵士と民間人の前面衝突へと発展した。上層部が事態の深刻さに気付いた
ときには、既に多くの民間人がザフト軍兵士によって撃ち殺され周辺はパニッ
クとなっていた。
 ラドルは必死に惨劇の収束を図るべく動き、ついにはモビルスーツまで出動
させて暴れる連中を威嚇した。
「最悪だ。どうしてこんなことになったんだ……」
 ザフトは民衆を完全に敵に回した。

「解放軍が聞いて呆れるな」
 ラドル艦隊に起こった惨劇がスエズに伝わったとき、ハイネは深い溜息を付
いたという。
「敵がこの基地を放棄した理由は、まさにこれを見越したわけだ。馬鹿なザフ
ト軍の指揮官が功を欲して先走り、敵の焦土戦術に嵌っていく。なかなか、敵
にも策士がいるじゃないか」
 今まで圧政をし続けてきた旧連合、ファントムペインのことだ。こうした民
衆を犠牲にする方法も平気で採れるのだろう。ザフトは馬鹿正直な人道精神で
これに対処しようとしたから、こうして失敗したのだ。
「で、艦長。私としては全軍の撤退をお勧めするのですが?」
 ハイネは再びオデルと共に、タリアの元を訪れていた。スエズにて後方を任
されることとなったタリアは、不満顔を隠しもせずそれに従事していたが、ハ
イネがプラントにいるロッシェに遅れながらもこの事態に対する答えを導き出
し、最早撤退以外に道がないことを伝えに来たのだ。
「全軍撤退しなければ、今に敵艦隊が大襲撃を仕掛けてくるのは間違いないは
ずです。飢えたラドル艦隊とモラシム艦隊は、これに対処することが出来ない
でしょう」
 ある意味で、ラドル艦隊よりもモラシム艦隊の方が悲惨だった。彼らに回す
予定の物資も飢餓に苦しむ民衆に送られた。だが、陸上艦隊と海上艦隊の違い
は、略奪行為すら行うことが出来ないことだった。彼らは今、僅かな物資を食
いつぶしながら進軍を続ける、後のない艦隊だった。
「ここで艦長が撤退案を進言し、これが採用され成功すれば、全軍崩壊に危機
を救ったとして評価されると思いますが?」
 ハイネはタリアを訪ねるに、いつもと論調を変えて挑んだ。相手が好みそう
な言葉を選び、相手の欲を刺激する。後方のタリアが戦果を上げる機会など、
最早無いに等しい以上、ハイネの意見は魅力的なはずだった。
「でも、撤退することをラドル隊長やモラシム隊長が素直に受け入れるかし
ら?」
「ラドル隊長は、すんなり受け入れてくれると思いますよ。今一番苦しんでい
るのは彼だ。モラシム隊長のほうは、ウィラード閣下に仲介して貰ったらどう
です? 閣下に言って貰った方が、効果的でしょう」
 今度はタリアもハイネの意見を受け入れた。早速、ラドル艦隊に長距離通信
を飛ばし、連絡を取った。

99:通常の名無しさんの3倍
07/11/12 00:03:13
再支援

100:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
07/11/12 00:04:41
『タリア・グラディス隊長か……』
 スクリーンに映ったラドルは、いささか以上にやつれていた。精悍だったは
ずの顔には、そんな面影がキレイに消え去ってしまったようだ。タリアは敢え
てそのことには何も言わず、ハイネが到達した答えを差も自分で思い当たった
ように説明し、撤退することを進めた。
『しかし、撤退などしてそれこそ敵の侵攻を誘うものではないのか?』
「ラドル隊長、撤退は物資の残りがあるときに行わねば意味がありません。物
資があれば、敵が攻めてきても戦うことは可能ですが、なくなればそれも出来
なくなるのです」
 ハイネの受け売り意見ではあったが、ラドルを納得させ、説得するには十分
すぎるほどだったようだ。
『各地に分散した部隊を結集して、すぐに撤退するとしよう。どうも貴官の意
見に間違いが見つけられそうにない』
 こうしてラドルは早急に撤退準備に取りかかった。一方、海上のモラシム艦
隊はタリアから打診されたウィラードが、長距離通信の回線を繋ぎ、撤退案を
進めていた。
『ワシはあの女史の意見に賛成する。貴官とて、食力も為しに戦うことなどで
きんだろう?』
「しかし、一戦もせず、戦わずして退くなど……」
 もしこの通信を送ってきたのがタリアならば、モラシムは怒声を持ってはね
除けただろう。が、相手がザフトの宿将ともなれば話は別で、モラシムはしど
ろもどろな意見を言う羽目になった。
『貴官、いい加減にしろよ! 貴官一人の欲がままに、他の兵士を犠牲にする
つもりか!』
 撤退を拒むモラシムに対し、遂にウィラードが怒声を放った。おっかない親
父さんどころではない、子供が聞けば100人中100人が泣き出し、大人が聞けば
すっ飛んで逃げ出すような剣幕と迫力があった。
「判りました……撤退します」
 情けなさそうな顔をしながら、モラシムは頷くしなかったという。


「何とか間に合いそうね」
 折角占拠したスエズ基地を引き払う準備を進めるミネルバだったが、タリア
の顔は何処か明るい。ハイネに乗せられた形とはいえ、この手柄は紛れもなく
自分のものとなるのだ。
「艦長、ミネルバの発進が整いましたよ」
 事務処理に追われるアーサーの代わりに、ハイネが伝えに来た。
「えぇ、もう少しで撤収作業も終わるわね。まったく、戦闘もしてないのに、
どっと疲れたわ」
 形としては、ファントムペインにいいように振り回された形となる。後方の
タリアでさえこれなのだから、ラドルやモラシムが抱える失望感は相当なもの
だろう。
「艦長、本国の統合作戦方部より通信文が届きました!」
 オペレーターのメイリンが、声を上げて報告してきた。
「通信文? 何かしら」
 勝手に撤退を進めている事への苦情だろうか? いや、撤退自体はまだ知ら
せていないし、第一戦場での行動権は一手以上のものなら現場指揮官が持って
いる。撤退の判断も、指揮官の裁量次第のはずだ。

101:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
07/11/12 00:08:47
 では、この通信は?
「何々……あら、何を今更って内容ね」
「どうしたんです?」
 ハイネが訝しげに尋ねる。
「本国が、補給物資を積み込んだ部隊を発進させたそうよ。明日ぐらいには地
球の各基地に届くからって。今更遅い話よ」
 だが、この物資が届けば、基地に帰り着いたザフト軍が食いっぱぐれること
はなくなるだろう。そう考えれば、当面は安心しても良いはずだった。
 しかし、それを聞いたハイネの顔が著しく険しいものとなった。
「まずい、これはまさか」
 ハイネは、冷や汗を流していた。

「それは本当ですか?」
 結局、ロッシェが国防委員長であるヘルマンと面会できたのは彼が連絡を入
れてから数日後だった。最高評議会の閣議が続いたことなどが主な原因で、火
急の用件と言っても聞き入れられなかったロッシェは不満を憶えていた。
「あぁ、既に補給部隊の第一陣は物資を大量に積み込んでプラントを出発した。
そろそろ地球圏軌道にさしかかってもいい頃だと思うが?」
 ヘルマンは突然尋ねてきた珍客ともいうべき男に、疑問を憶えずにはいれな
かった。ロッシェ・ナトゥーノ、決して知らない男ではない。いつだったか、
ラクス・クラインの地球における護衛役を決める話が持ち上がったときに知り
合った。その優美な容姿と、卓越された実力は忘れようはずもない。
「遅かったか」
 そのロッシェが、誠に奇妙なことにザフトの補給計画はどうなっているのか
と尋ねてきたのだ。作戦内容は軍事機密ではあるが、相手はザフト軍人、しか
も特務隊であるし、ヘルマンは特別にそれを教えたのだが……
「それで、護衛は何隻ついているのですか?」
「護衛?」
 ヘルマンは資料を探し出し、補給部隊に付けられた護衛艦の数を調べた。
「戦艦が三隻、モビルスーツが12機となっているが……」
「たった三隻、それじゃ少なすぎる。すぐに補給部隊を引き返させるんです!」
「引き返す? おい、話が見えてこない。一体どういうことだ」
 その時、ヘルマンのデスクの上にある通信機器が音を立てて鳴り響いた。ヘ
ルマンは困惑したように、それを取る。
「ヘルマンだ……あぁ、そうだ。それで? あぁ……なにっ!?」
 ロッシェには、その連絡の内容にある程度予想が付いていた。やがてヘルマ
ンは機器の受話器を置くと、蒼白となった顔をロッシェに向けた。
「補給部隊が、全滅したそうだ」
「……そうですか」
「ファントムペインの月基地から出撃したであろう、五十隻以上の艦隊に襲撃
され、一溜まりもなかったと、報告が来た」
 意気消沈するように、ヘルマンはソファへと沈み込んだ。ロッシェは敢えて、
何も言わなかった。
 そう、ファントムペインによる大反撃が開始されたのだ。

                                つづく


102:通常の名無しさんの3倍
07/11/12 00:09:52
今回は銀英伝でしたね

103:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
07/11/12 00:11:26
第38話です。
規制になったと思ったら、割りとすぐ解け、少し投下したらまた規制、
と思ったら5分と立たずに解け、何か変な感じでした。
支援して下さった方、ありがとうございます。
やっぱり、長すぎるとこんな風に途切れ途切れになってしまうんですかね。
規制時間や規制になるレス数がランダムだと、さすがにちょっと困りますね。

今回の話は……オマージュと言うことにしておいて欲しいです。

104:通常の名無しさんの3倍
07/11/12 00:15:50
乙です。
銀英伝なんか高校のときに読んだきりだから記憶のはるか彼方だ……


105:通常の名無しさんの3倍
07/11/12 00:18:11
乙だぜ

106:通常の名無しさんの3倍
07/11/12 00:19:05
なに
銀英伝も元ネタあるしな
無名時代の銀英伝パクって小説書いたプロ脚本家もいるし

107:通常の名無しさんの3倍
07/11/12 00:39:32
乙。
銀英伝つーか、ソロモン海の消耗戦での米海軍の戦略ですな。

108:通常の名無しさんの3倍
07/11/12 00:39:41
民衆を盾に取った焦土作戦というのは、唾棄すべきやり口だが有効な
常套手段であるのも事実だからなあ。
身体能力に驕ったコーディネイターが戦略というか古来の兵法の研究が
疎かだったという傍証にもなるかな。

109:通常の名無しさんの3倍
07/11/12 00:44:24
そして孤立したザフト軍はガダルカナル島みたく餓死していくかソロモンみたく自給自足するか、だな。

110:通常の名無しさんの3倍
07/11/12 00:53:20
「畜生、生きて帰れたら最高評議会の委員どもを皆殺しにしてやる!
  やつらは今頃パーティーでキャビアでもつまんでやがるに違いないんだ!!」

111:通常の名無しさんの3倍
07/11/12 01:44:21
まあ、この作品の銀英伝臭は毎度のことだし。
それよりも銀英伝にはほとんどない大気圏内外の攻防戦と、全くない単騎の戦闘機によるヒロイック・サーガが繰り広げられるであろう続きを待とうじゃないか。


112:通常の名無しさんの3倍
07/11/12 02:01:53
アスラン、ふと笑みを漏らしていたところを見ると
敵の意図を早々と気付いていたんかね?

113:通常の名無しさんの3倍
07/11/12 03:14:23
放置してナチュラルとコーディの対立を煽ろうとしたのかな

114:通常の名無しさんの3倍
07/11/12 04:54:04
ザフトも疲弊させるつもりだからな
ここでそうしようと思ったんじゃないか

115:通常の名無しさんの3倍
07/11/12 08:55:58
>>112
そうだろうね。
ここのアスランは頭がいい上に腹黒いし。

いやー、順調にいい感じのラスボスに育ってるなー。
AC製ガンダムに乗って戦うのかね、最後は。

116:通常の名無しさんの3倍
07/11/12 11:44:53
やっぱりスコーピオに乗るんじゃないか?赤いし
ところでジェミナスとスコーピオってどっちのほうが強いのだろうか?

117:通常の名無しさんの3倍
07/11/12 19:12:46
投稿乙!!
ザフト軍上層部それぞれの思惑、動きを見せないことが逆に不気味なファントムペイン。
ハイネ、アスラン、など原作以上にキャラが立っていて良い、そして我らが主人公シン・アス……あれ居たっけ?WWW

118:通常の名無しさんの3倍
07/11/12 20:00:39
シンちゃんが空気化するあたり原作どおりだな

119:通常の名無しさんの3倍
07/11/12 23:50:43
だからこそ、シンが主役なW-DESTINYを待っている。

120:通常の名無しさんの3倍
07/11/13 00:17:35
シンはたまに登場すると精神ダメージを負ってる感じ。

121:通常の名無しさんの3倍
07/11/13 00:22:47
シンシンうるせー

122:通常の名無しさんの3倍
07/11/13 00:23:48
キラに至っては最後に登場したのいつだっけ状態


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