07/07/21 16:12:28
>>412
そもそも種で修理中のシーンなんか極端に少ないしな。
砂漠で戦って砂ぼこりで汚れても無いっておかしいだろ。
さらにマードックやヨウラン・ヴィーノといったメカニックもないがしろだし
ラクシズは縁の下でがんばる人のことをわかってるのか?
てめーらの無茶を必死こいて支える人もいるんだぞと言ってやりたい。
419:通常の名無しさんの3倍
07/07/21 17:45:54
>>418
ラクシズだと、縁の下の人たちは「ラクス様のために!」の一言で喜んで働いちゃうから、気にしなくても大丈夫さ orz
420:通常の名無しさんの3倍
07/07/21 17:48:58
ミネルバ組はいつの間にか死んでたな。
421:通常の名無しさんの3倍
07/07/21 18:04:54
宗教だからな。信徒ってすげえぜ、俺らだと金もらわなきゃやりたくねえことを
無料や場合によっては金払って喜んでやるんだぜ。しかも希望者が多くて
選抜すらする、別の生き物だよ、ラクス教徒もそうなんだろ。
422:通常の名無しさんの3倍
07/07/21 18:07:53
>>418
ZZで砂漠では洗浄用のオイルが直ぐ無くなって大変とか、
そんな台詞があった。
稼動部分の多いMSが砂漠で戦闘するって大変なんだろうなぁ。
423:通常の名無しさんの3倍
07/07/21 20:22:58
そういや砂漠専用MSってギレンでもやたらあったなあ
ほぼ使わなかったけど
424:通常の名無しさんの3倍
07/07/21 20:40:04
種死の場合だとMS保有機数に制限があるから、むしろパーツ状態で機体がだぶついているかも知れんな。
基本的に壊れたら手足ごとどんどん交換してしまうとかさ。
インパルスなんてその最たる機体だろう。
一体何機ぶんのチェストとレッグを搭載していたんだか。
425:通常の名無しさんの3倍
07/07/21 21:01:31
しかしベルリンではインパルスしか出撃してないという現実
レストアなんて単語が33話で聞こえるがね
ところでよく目にする単語だが理想郷って何だ?SS投稿サイトか何かなんだろうが・・・
426:通常の名無しさんの3倍
07/07/21 21:41:01
>>425
その言葉を英語に訳してググれば答えは出るさ…
427:通常の名無しさんの3倍
07/07/21 22:08:00
>>425
正直知らなくていい世界だ。
428:通常の名無しさんの3倍
07/07/21 22:18:17
かなりスレ違いなんだが今日OVAのバルドフォースをみたんだ。
そしたら高木氏と鈴村氏が戦ってるじゃないか。鈴村氏主人公でシンみたいな復讐キャラ
高木氏イカレタ戦闘狂で役はまりすぎw
さらにwikiで見たら保志と石田がPC版に出てるし。これ狙ってやってるのか?
429:通常の名無しさんの3倍
07/07/21 23:16:52
>>425
「新品を持ってきた方が早い」
これが答えだ。
430:通常の名無しさんの3倍
07/07/22 00:08:11
高木氏はチンピラ役をやらすと東洋一だとかw
431:通常の名無しさんの3倍
07/07/22 01:24:18
>>424
コアスプレンダーが複数あって、サバイバビリティや継戦能力を度外視するなら、
インパルス複数機出撃とか出来そうじゃねぇか、と思ったもんだ。ランチャー、フォース、ソードが
それぞれ一機ずつでチームプレーとか、そんなことを想像した時期が俺にも(ry
432:通常の名無しさんの3倍
07/07/22 07:38:05
>>431
Vでやってたよな。
コアスプレンダーが複数あれば戦術の幅はかなり広がるのに……他は全てMSVだった。
出撃の度に合体だとか使い方が変だよな、インパルス。
歴代コアブロックシステムは何だったんだろうって首を傾げざる得なかった。
433:通常の名無しさんの3倍
07/07/22 10:15:44
一応最初はシンにしかシステムを使いこなせないって事になってたんだぞ……インパルス
434:通常の名無しさんの3倍
07/07/22 10:17:00
>>433
普通はそれ、欠陥品の烙印を押されるだろw
435:通常の名無しさんの3倍
07/07/22 10:57:18
>>433
ストフリにしろ、なんで特定のキャラにしか使えないって設定が必要なんだ?
しかもまったく根拠がないし。
あるならあるでゾイドみたいに他の奴が乗ったら動かないとか、明らかに能力が落ちるとかの演出がいるんじゃないか?
436:DC ◆BLrWQEywWM
07/07/22 11:27:00
機動新世紀異聞・双星の軌跡
第三話 『わたし……死ぬの?』 後編
閃光は、一瞬だった。
メガソニック砲。ヴァサーゴの腹部に内蔵されたこの大口径ビーム砲は、MS搭載兵器と
して正しく規格外の高威力を誇る。先ほどアーモリーワンの外壁を穿ったのも、この一撃だ
った。
だが―
「ほう」
メインモニターに映された情景を目にし、シャギアは呆れたように、あるいは感心したように
呟く。
インパルスは、いまだ『生きて』いた。
直撃の瞬間、シンは咄嗟にインパルスのVPS装甲の出力を、最硬の強度を持つ『赤』へと
引き上げていたのだ。加えてシャギアが確実に命中させるため、ビームの収束率を甘くした
拡散モードでメガソニック砲を撃っていた事が幸いした。
どちらかの要因が欠けていれば、シンとインパルスは宇宙の藻屑になっていただろう。
「う……く……が―」
とは言っても、インパルスの損傷は甚大なものだった。頭部と両脚は失われ、全身が手酷
く破損している。辛うじて無事なのはシールドで守ったコクピット周りのみ。またその衝撃は、
コクピットのシンにもダメージを与えている。
ずたずたに引き裂かれた装甲がPSダウンし、ディテクティブモードの暗灰色に戻る。
「さあ、その機体も頂こうか」
シャギアのヴァサーゴが、インパルスに接近する。だが捕獲しようとするその瞬間、弾か
れたように後退するヴァサーゴ。その眼前を、無数のビーム弾が翳め飛ぶ。
ようやく追いついたレイのザクの射撃だった。
「シン! どうした、シン!!」
レイの呼びかけにも、意識を失ったシンは答えられない。
「邪魔をしないでもらおうか!」
ヴァサーゴの両腕が伸張し、クロービームを連射する。だがその不規則で変幻自在の射
線を、ザクは悉く掻い潜った。
赤と白、二機のMSが交差する。
「今の動き―」
シャギアの双眸が細まる。
ヴァサーゴのストライククローは、その柔軟でフレキシブルな挙動によって、オールレン
ジ攻撃端末に近い形での運用を実現している。それをこうも易々と回避するとは―
「少々確かめさせてもらうぞ、白い坊主君」
437:DC ◆BLrWQEywWM
07/07/22 11:28:09
「艦長、インパルスとの交信が途絶えました」
ミネルバ艦橋、緊迫したメイリンの報告に、タリアは毅然とした表情で自国の議長を振り
返る。
「議長、私は本艦によってなんとしてでも奪われた機体を奪還、もしくは完全に破壊するべ
きだと意見を具申します。発進の許可を」
「無論だとも、グラディス艦長。みすみすアレを取り逃がしては、この後どれほどの脅威に
なるか。私も十分に把握している積もりだ。国家の安全を司る立場としても、ミネルバには
即座に外の母艦を追跡してもらいたい」
二人のやり取りに、ブリッジが大きくどよめく。
「今からでは、議長に艦を降りて頂く余裕がありませんが」
「艦長、とても残って報告を待っていられる状況ではないよ。私には権限もあれば義務もあ
る。私は君と、話す為だけに来たのではないからね―タリア」
(え!?)
デュランダルの意味深げな言葉に、メイリンの耳が旧世紀のアニメ映画に登場する空飛
ぶ象のように広がった。
深々とため息をついたタリアが、軍帽を被り直すと、腹に響く声を上げる。
「メイリン! ミネルバ発進シークエンス開始! 本艦はこれより戦闘ステータスに移行す
る!」
「りょ、了解! 緊急伝達、全艦にコンディションレッド発令、これは演習にあらず! 繰り返
す、これは演習にあらず!」
栄光と苦闘に満ちた女神の旅路は、こうやってその幕を開けた。
438:DC ◆BLrWQEywWM
07/07/22 11:29:11
結論から述べると、シャギアとヴァサーゴは終始レイのザクを圧倒していた。機体性能、
戦闘経験、操縦技量、その全てにおいて、両者の間には埋めがたい格差があったのだ。
「センスは悪くない、が―」
右、と見せかけて左。フェイントにかかったザクの右腕が、ストライククローの直撃を受け
てもぎ取られる。コントロールを失ったザクは、錐揉みしながら吹っ飛ばされた。
「見込み違いだったか……ここまでだな」
ヴァサーゴの腹部装甲が上下に分割され、メガソニック砲の砲門が露になった。
たかだかMS一機を相手に、非効率極まる過剰殺傷。シャギアは、嗜虐の笑みを浮かべ
ながら白いザクをロックオンする。
だが―
「上!?」
天頂方向より、数条のビームが飛来する。回避機動を取ったシャギアが目にしたのは、
二機のゲイツRと一隻の戦艦。
赤い翼を広げたその姿は、引き絞られた弩を思わせた。
「デイル機およびショーン機、アンノウンMSと接触! 交戦を開始します!」
「インディゴ53、マーク1ブラボーに不明艦1!」
メイリンとバートの報告に、タリアは頷く。
「それが母艦ね。諸元をデータベースに登録、以降は対象をボギーワンと呼称する」
タリアはそこで一拍置く。船出即初実戦―ブリッジクルーの緊張は最高潮に達した。
「艦橋遮蔽! 進路インディゴデルタでボギーワンに突撃! 全兵装使用自由!」
やつばきに命令を出すタリア。同時に艦橋がフロアごと下降し、船体内部の主要防御区
域(ヴァイタルパート)内に設置された戦闘指揮所(CIC)と直結する。
「アーサー、砲戦指揮は任せるわ。操舵は私が指示します」
「りょ、了解―主砲(トリスタン)および副砲(イゾルデ)、全門開け! ランチャーエイト、
1番から4番まで対艦ミサイル(ナイトハルト)装填っ! 砲雷撃戦準備、照準ボギーワンに
合わせっ!」
次々と艦の武装が起動する中、背後からデュランダルがタリアに声をかける。
「彼らを救助する方が先ではないのかね、艦長」
「そうですよ。だから母艦を撃つのです。敵を引き離すのが早いですから、この場合は」
少々、うんざりした口調で振り返るタリア。その顔には見えない文字で『素人は茶でも飲ん
で黙っていろ』と書かれていた。
439:DC ◆BLrWQEywWM
07/07/22 11:31:24
『兄さん、そろそろ潮時だよ』
『分かっている。少しばかり遊び過ぎたようだな』
内心で舌打ちしながら、シャギアはオルバに答える。
「欲をかき過ぎては、元も子もなくなるか」
決断すると、行動は早かった。ヴァサーゴの機体を反転させ、ガーティ・ルーを目指す。
(それにしてもあのパイロット、まさかな……)
先ほどまでの戦闘を反芻し、小さく頭を振るシャギア。
『どうしたんだい、兄さん?』
『少々気にかかる事があってな。これより帰投する』
急速に遠ざかる敵機の姿を目にし、レイは大きく息をついた。
「逃げた―いや、見逃してくれたのか」
一人呟き、乱れかけていた呼吸を整える。常に冷静沈着なレイにとっても、初の実戦がも
たらす重圧と昂揚は相当なものだった。
と、飛来した二機のゲイツRから、通信が入る。
「無事か、レイ?」
「手酷くやられたな」
ゲイルとショーン。レイやシン、ルナマリアと同じくミネルバ所属のパイロットだ。緑服だが、
前大戦での実戦経験を持つベテランである。
「俺はいい。それよりシンを頼む」
「おう、了解だ」
二機のゲイツRは熟練した機動で大破したインパルスに取り付くと、手早く確保する。
「気絶してるが、心臓は動いてるようだな。タフな野郎だ」
「そうか」
それを見届けたレイも、ザクをミネルバへと向けた。
440:DC ◆BLrWQEywWM
07/07/22 11:32:26
目を開いたシンがまず見たのは、オレンジ色の前髪をした、人懐っこそうな少年だった。
「お、気がついたかシン」
少年―整備兵のヴィーノ・デュプレは、安堵の笑みを浮かべる。
「ヴィーノ―こ、ここは?」
「ミネルバだよ。動かない方がいい。直ぐに医務室まで運ぶから」
そう告げるとヴィーノはシンを抱え、コクピットから飛び出す。既に無重力状態にあるため、
二人は緩やかな動きで格納庫の床に降り立った。
そこでは、レイとルナマリアがストレッチャーと共に待機していた。
「すまね、後は任せるよ。俺まだ仕事あるんで」
「分かった。さあシン、横になって」
ヴィーノからシンを受け取ったルナマリアが、ストレッチャーに寝かせる。
「状況は……どうなってるんだ―?」
ズキズキと痛む頭を抱えながら、シンは問い質した。
「それは―」
押し黙るルナマリアに代わり、レイが答える。
「件の不明艦―ボギーワンと呼称する事になったが―には逃げられた。奪われた三
機のセカンドシリーズMSごとな。今、このミネルバで追跡中だ」
「そうか……」
それを聞いたシンが悔しそうに唇を噛み締めると、ストレッチャーに拳を叩きつける。ひど
く弱々しい音が響いた。
「負けたんだな、俺たち」
「だが、まだ生きている」
淡々と、レイが答えた。
「ならば、次の機会があるという事だ。違うか?」
「だから今はとにかく休む事、分かった?」
上から睨みつける二人の戦友に、シンは不承不承ながら頷いた。
「分かったよ、レイ、ルナ」
急速に、再び意識が薄れていく。
意識を手放す直前、最後にシンが目にしたのは、無残なまでに破壊されたインパルスの
姿だった。
―次は、負けない。
NEXT:第四話『ここで仕留める』
441:DC ◆BLrWQEywWM
07/07/22 11:34:33
……ようやく時間が取れた
442:通常の名無しさんの3倍
07/07/22 11:37:45
おお!! 久し振りだ。待っていたよ。
辛うじて生きていたか、シン、インパルス。
気になるのはコアスプレンダーの破損状態だが、頑張れシン!
443:通常の名無しさんの3倍
07/07/22 11:45:02
おお、ひさしぶりです。がんばれシン。
444:通常の名無しさんの3倍
07/07/22 23:33:28
お久しぶりです!投下乙!
シン生きてた~、前回ラストで「あ、死んだ」ってマジ思いましたもん
445:通常の名無しさんの3倍
07/07/23 00:39:42
シン「あーよく死んだ」
446:通常の名無しさんの3倍
07/07/23 06:21:53 s5D2FtBt
d
447:livedoorID持ち ◆yb1J9t3X3g
07/07/23 13:09:41
まとめwiki更新しました。
ところで、どなたかCrossASTRAY氏の第四話持ってませんか?
もし持ってましたら、まとめwikiのうpロダに上げてもらえれば光栄です。
448:通常の名無しさんの3倍
07/07/23 13:29:24
>>447
URLリンク(www3.uploader.jp)
これでいいのかな?
コピペしただけだから修正なんかはお願いします
449:通常の名無しさんの3倍
07/07/23 20:49:23
ついでに他のスレの更新もしてほしいな、ドモンスレとかWスレとか
450:通常の名無しさんの3倍
07/07/23 21:01:20
何か、原作以上に良いとこなしだな、シン。
あまり踏み台な展開は好きじゃない。
451:通常の名無しさんの3倍
07/07/23 22:22:59
そう?また序盤だしこれからシンが成長する為のステップだと思ったけど
452:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 09:53:04
一回負けた相手に特訓を経てリベンジってのは王道なんだぜ?
453:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 12:44:13
主役はフロスト兄弟だろ?
454:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 17:53:41
このままいけばフロスト兄弟、ダーダネルス戦でAAが乱入した時、フリーデンを思い出すかもな。
455:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 18:31:10
>>454
なんでだ?
456:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 19:24:23
敵対した二大勢力の間に、単艦で割って入る第三勢力という構図は同じだろう。
AAとフリーデン。
457:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 19:38:46
>>456
そしてやった事。
フリーデン:サテライトシステムのガイドレーザーで道を開け、DOMEに向かって一直線。戦闘は降りかかる火の粉を払いのける程度。
アークエンジェル:カガリの演説? の後に両陣営に対して積極的に攻撃を行う。
どちらもテロ行為言えばそうなるが、似て非なるものだと思う。
458:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 19:54:09
どちらかといえばヤキンのほうが近いな
まあ最終的に主人公勢が権力握るのは同じだが
459:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 20:03:05
ヤキンの場合でも対立構図が全く違うよな。
Xの場合は、新連邦軍も宇宙革命軍もフリーデンも最終目的はDOMEであり、同一のものだ。言わば競争相手であり、敵戦力の無力化は二の次。
種の場合は、連合はプラントに、プラントは連合に勝利すること、そして三隻同盟はその戦闘行為の停止を目的としていた。
460:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 21:48:19
話を変えるが初代ACEやってみたけど連ザより難しいと思う
ACE3大丈夫かな?不安になってきた・・・もちろんやりきるつもりだが
461:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 23:20:28
>>三隻同盟はその戦闘行為の停止を目的 ×
大量破壊兵器(MS含む)と指揮者の殲滅 ○
462:通常の名無しさんの3倍
07/07/25 04:50:41
>>460
ACEは機体縛りとかしてるとキツいとこがあるだけで
クリアしたいだけならなんとでもなった気がするな。
もちろん難易度の高いミッションはあったけども。
463:通常の名無しさんの3倍
07/07/25 14:43:52
連ザの場合はゲーセンでも出来るからな・・・ACEより優しいのはそこんところがあるのかも
てか俺も理想郷の行き方がわからない、ユートピアでぐぐったんだが・・・
464:通常の名無しさんの3倍
07/07/25 16:06:52
一つほど言っておくけどユートピアじゃあ引っかからないぞ
465:通常の名無しさんの3倍
07/07/25 16:09:14
Arcadiaか?
466:通常の名無しさんの3倍
07/07/25 22:23:15
まさにスコッパーのアルカディア
467:通常の名無しさんの3倍
07/07/26 00:36:05
何であそこが話題に?
468:通常の名無しさんの3倍
07/07/26 01:05:23
ビックリするほどユートピアだからさ…orz
悪い意味でな
469:通常の名無しさんの3倍
07/07/26 01:12:27
変な流れだから話を戻そうか。
ダーダネルス戦でAAが乱入した場合、カガリの演説を聞いたフロスト兄弟がフリーデンを思い出すよりは単純に呆れて鼻で笑うだけな気がする。
470:通常の名無しさんの3倍
07/07/26 01:26:42
そういう踏み台描写は好きじゃないが種のキャラの行動があまりにも
馬鹿すぎるのが多くて本編どおりのキャラでやるとそういう場面ばかりになるな。
471:通常の名無しさんの3倍
07/07/26 06:17:39
しかし、フリーダムの事を考えると、笑ってもいられないと思うが。
472:通常の名無しさんの3倍
07/07/26 08:40:19
変態兄弟の連携プレーで自由を翻弄するな。
473:通常の名無しさんの3倍
07/07/26 13:08:54
シャギア「ふっ、所詮この程度か」
オルバ「最強のスーパーコーディネーターと聞いていたが」
シャギア「興ざめだな。もういい、雑魚は殺すとするかオルバよ」
オルバ「OK兄さん」
キラ「うわぁぁぁぁ!」
474:通常の名無しさんの3倍
07/07/26 14:10:38
キラといえども1対(名前アリ)複数じゃ苦戦してるからな。
コンビネーションも完璧な兄弟相手にするには分が悪いと思われ
475:通常の名無しさんの3倍
07/07/26 14:26:18
でも、ヴァサーゴもアシュタロンもバッテリー機だし、フリーダム相手だと分が悪いんじゃ?
476:通常の名無しさんの3倍
07/07/26 14:38:26
常夏の3機もバッテリーだったぞ。
477:通常の名無しさんの3倍
07/07/26 15:25:48
あの時は2対3で常夏組は連携とれてなかったのに押され気味だったな。
兄弟に会ったらマジでキラ最期かもな・・・
478:通常の名無しさんの3倍
07/07/26 15:43:08
本命にCBとHCも控えてるからなあ。
あの二機って、CE世界だと、どれくらいの強さだろうか?
479:通常の名無しさんの3倍
07/07/26 18:30:05
CB:戦略兵器に片足を突っ込んでる。トリプルメガソニック砲は威力・使い勝手に申し分無し。
HC:CBを乗っけたままGファルコンDXに追いつける推力。オプションにサテライトランチャー。
ふつうに化け物だろう。
480:通常の名無しさんの3倍
07/07/26 19:00:29
MSの性能は作品世界のバランスの問題だからおいとくとしても棒立ちの雑魚
しか落とせないからな、種のキャラは
481:通常の名無しさんの3倍
07/07/26 19:08:22
名有りのパイロットが少ないよな、本編には。
ムウとバルドフェルド以外に二つ名持ちがいたっけ?
482:通常の名無しさんの3倍
07/07/26 19:42:59
アストレイやMSVにならいたけど、本編は2人だけじゃね
483:通常の名無しさんの3倍
07/07/26 19:44:22
>>481
本編では呼ばれてないが黄昏の魔弾さんとか?
484:通常の名無しさんの3倍
07/07/26 20:25:34
砂漠の虎の名はバルドフェルドが自分で宣伝させたんじゃなかったっけ?
485:通常の名無しさんの3倍
07/07/26 21:14:39
そしてX世界は名は無くとも15年以上の歳月が生んだ熟練パイロットばっか。
486:通常の名無しさんの3倍
07/07/26 21:16:15
XのMSが異常に扱いやすいだけのような気もするが
487:通常の名無しさんの3倍
07/07/26 21:22:08
>>483
いくら操作性は良くても、戦いの組み立て方はパイロット次第だ。
無名のバルチャーだってあの世界生き抜いてきたんだから、それに値する熟練者ばかりのはずだ。
488:通常の名無しさんの3倍
07/07/26 21:24:57
>>486
みんな操縦しやすいならみんな条件一緒だろ。
489:通常の名無しさんの3倍
07/07/26 21:26:49
Ⅹ世界のバルチャーがみんな15年前からMS乗ってるわけでもあるまいに。
扱いやすいから熟練しやすいというのは当然アリだろ。
490:通常の名無しさんの3倍
07/07/26 21:28:44
X世界のMSとCE世界のMSじゃ、機械としての完成度が違い過ぎるからなあ
491:通常の名無しさんの3倍
07/07/26 21:39:44
俺はCEの人間の能力が異常に低いだけと思っている。
CEで高速タイピングができるのはコーディネーターだけらしい。
それで飯食ってる連中は普通にできるぞ……
俺たちAD世紀の人間にも劣るな。
また、どいつもこいつも負債のような思考回路しか持ちえず、精神的にも大きく劣る。
492:通常の名無しさんの3倍
07/07/26 23:28:50
高速の度が違うんだろ、きっと。
大体あんなテンキーに毛が生えた程度のキーボードでOS書き換えちまうんだぜ?
493:通常の名無しさんの3倍
07/07/26 23:38:21
パラメータいじっただけだろ
あのタイプ音じゃそれが精一杯
494:通常の名無しさんの3倍
07/07/26 23:39:55
>474
分が悪いどころか絶望的ジャマイカ?兄弟が冷静なら。
あいつ等、どっちかがすぐに調子に乗ってヘマするからなぁ・・・
495:通常の名無しさんの3倍
07/07/27 00:42:47
ガロードの時と違ってキラには心強い仲間がいないからそのまま死ぬ。
496:通常の名無しさんの3倍
07/07/27 01:56:19
自由はフルバーストとか言っても、あれ前方にしか撃てそうにないしなw
2機いたら、普通に横や後ろから撃たれて終わりだろ
497:通常の名無しさんの3倍
07/07/27 09:55:10
戦い方がワンパターンだからな、キラの場合は。
ガロードやシンと違って意外性ってのが薄いし、あっさり癖を見抜かれそう。
498:通常の名無しさんの3倍
07/07/27 10:15:25
戦闘をパターン化してしまうのはコーディネーター軍人特有の欠点らしいぞ。
キラも超絶的な技量を持っているが、その例に漏れないと。
シンもそうなのかな……?
但し、シンには成長の余地がいくらでも残されている感じがする。
キラは現時点で究極の存在であるが、同時にそれが限界でもある。
499:通常の名無しさんの3倍
07/07/27 10:27:26
何でも出来る奴は何にも出来ないって言葉があるよな。誰の言葉だっけ?
戦闘のパターン化は最も避けるべきだと古代の兵法から言われているのに言われ続けるのは、人間の性質なんじゃないかな?
500:DC ◆BLrWQEywWM
07/07/27 19:53:24
ちょいと質問。
ミネルバやガーティって、ラミネート装甲は装備してるんですかね?
501:通常の名無しさんの3倍
07/07/27 20:05:59
>>500
装備しているって話も装備していないって話も聞かないな。
ミネルバやガーティ・ルーで「ラミネート装甲、排熱追いつきません」なんて台詞もなかったし。
不都合がなければどっちでも良いと思うよ。
502:通常の名無しさんの3倍
07/07/27 22:27:20
>>499
マトリフ師匠
503:通常の名無しさんの3倍
07/07/27 22:31:15
>>502
……どなたですか?
504:通常の名無しさんの3倍
07/07/27 22:37:25
>>500
ミネルバはラミネート装甲してないかもね。
あれはAAにしか見られない。
ドミニオンにもあったかどうか分からない。
どうも連合の技術っぽいし。
ザフトにラミネート装甲を採用した兵器はないっぽい。
ガーティはミラコロ採用してるからどうだろ?
505:通常の名無しさんの3倍
07/07/27 22:39:34
>>503
ダイの大冒険のポップの師匠
ちなみに勇者の事を指して言った台詞
506:通常の名無しさんの3倍
07/07/27 22:48:33
>>505
ありがとう。
そうだそうだ。確かに言っていた。
今度ダイの大冒険を読み返してみよ。
ようするに器用貧乏ってやつだよな。
507:通常の名無しさんの3倍
07/07/27 23:08:01
8巻な
ガロードの武器も勇気
508:通常の名無しさんの3倍
07/07/27 23:14:26
確かにガロードも万能タイプに属するキャラだよな。
適応性が高いとはいえ、能力はスペシャリストに劣る。
でも惚れた女のために勇気と根性を振り絞って仲間と共に不可能を可能にする。
まさしく勇者ガンダム。
509:通常の名無しさんの3倍
07/07/27 23:24:53
GXもそういう機体。
サテライトキャノンを除けば、機動力でエアマスターに、火力でレオパルドに劣るし。
510:通常の名無しさんの3倍
07/07/28 00:10:47
>>504 自由正義のシールドは?
511:通常の名無しさんの3倍
07/07/28 00:12:10
>>510
あれは確かナスカ級の装甲と同じ素材だって設定じゃなかったっけ?
512:通常の名無しさんの3倍
07/07/28 00:19:02
>>510
あの世界のシールドはビームコーティングされているだけだ。
自由正義のが特別って訳じゃない。
ストライクのと基本は同じだろう。
インパルスから別物っぽいが。
513:通常の名無しさんの3倍
07/07/28 00:20:18
>>510
ラミネート装甲だったような……?本体がPSなんでそれでカバーしてた(一応は)とオモ。
514:通常の名無しさんの3倍
07/07/28 00:22:11
えーと、ラミネート装甲製でシールド表面のダクト状のものが排熱口じゃなかったっけか?
515:通常の名無しさんの3倍
07/07/28 08:19:01
MSサイズでは廃熱が間に合わないって設定だと思ったが、そんなのをシールドに採用しても……
516:通常の名無しさんの3倍
07/07/28 13:02:05
ブルーフレームセカンドのタクティカル・アームズはラミネート製でバックパック部分から廃熱できたはず
517:通常の名無しさんの3倍
07/07/28 19:40:27
あれはサイズが盾よりでかいぶん廃熱スペースと冷却装置に余裕があるからじゃね?
あと積極的にあれで防御しない点もある。
518:通常の名無しさんの3倍
07/07/28 22:50:17
積極的に防御するのはABCアーマーシュナイダーの方でだもんな青枠セカンド
……なんだろ、小さいくせに使えるのかな? こう、材質の違いが適正の違いって事か?
519:通常の名無しさんの3倍
07/07/28 23:37:36
獣と違ってウサギを狩るのに全力をださないってことだろ。
520:通常の名無しさんの3倍
07/07/28 23:49:56
瞬間的なものだし小さいからすぐ冷めるとか?
521:名無しさん@そうだ選挙に行こう
07/07/29 00:39:25
ラミネートは吸収して熱放出が基本原理
で、ABCはビームを散らして弾き飛ばすコーディング
基本原理的にビームがコーディングに干渉して分散するとかなんとか
PGのインストに書いてあった気がする、トイザラスで店員がいない隙に
パッケージ開けて中身見たから多分そんな感じ、
さすがにプラモに一万も出せないよ
522:名無しさん@そうだ選挙に行こう
07/07/29 11:59:48
>ラミネートは吸収して熱放出
>ABCはビームを散らして弾き飛ばすコーディング
クラウダの装甲はABCに近いかな?
523:通常の名無しさんの3倍
07/07/31 11:20:21
近いといえば近いがあれは元々の装甲の強度で無理やり弾いている印象があるな。
524:通常の名無しさんの3倍
07/08/01 13:07:26
ACE3にDX、CB、HC、Gファルコンまで出てる。感無量。
URLリンク(www.uploda.org)
525:通常の名無しさんの3倍
07/08/03 20:05:11
職人さん来ないな~。
526:通常の名無しさんの3倍
07/08/03 22:20:31
保守保守~
527:Exceed4000 ◆gzIb1zS1Ho
07/08/04 08:57:03
近日中にぼつぼつ投下します。
今まで色々あって投下しにくい雰囲気だったので。
よろしくお願い致します。
528:通常の名無しさんの3倍
07/08/04 08:58:11 DOjnz5A5
追伸。
携帯より
529:通常の名無しさんの3倍
07/08/04 10:41:53
おお! お待ちしてました。
530:通常の名無しさんの3倍
07/08/04 12:59:16
お帰りなさい。
531:通常の名無しさんの3倍
07/08/07 21:52:32
保守
532:通常の名無しさんの3倍
07/08/10 18:33:37
保守
533:通常の名無しさんの3倍
07/08/13 09:23:44
保守でございます
534:通常の名無しさんの3倍
07/08/14 17:25:24
保守だね兄さん
535:通常の名無しさんの3倍
07/08/15 13:47:54
URLリンク(sylphys.ddo.jp)
・・・
536:通常の名無しさんの3倍
07/08/15 18:51:38
保守だぞオルバよ
537:通常の名無しさんの3倍
07/08/15 20:21:24
わかったよタカヤにいさぁぁぁぁぁん
538:通常の名無しさんの3倍
07/08/15 20:50:38
シンヤァァァァァ!!!!!!
539:通常の名無しさんの3倍
07/08/16 23:53:59
ボルテッカ兄弟自重しろw
540:通常の名無しさんの3倍
07/08/17 20:41:27
ライカァァァァ!
541:通常の名無しさんの3倍
07/08/17 23:04:56
>>540
改造人間・弟も自重しなさいw
542:通常の名無しさんの3倍
07/08/17 23:29:33
ところで職人さんはまだかな~、みんな盆休みでのんびりしてるのかな~。
543:通常の名無しさんの3倍
07/08/17 23:39:01
どうやらガロティファが跳ぶのはCEだけじゃなくなったらしい
544:通常の名無しさんの3倍
07/08/17 23:44:22
惑星ZiやUCにも跳んでるな。まあこっちではスレ違いだから
スレリンク(x3板)や
スレリンク(x3板)でやろうな。
545:通常の名無しさんの3倍
07/08/18 00:12:54
なんか下のほうは人名と機体名ばかりでついてけないw
546:通常の名無しさんの3倍
07/08/22 15:32:02
>>540
アイナァァァァァァァ!!!!!!!!!!
547:通常の名無しさんの3倍
07/08/22 20:15:39
>>540
>>546
中の人自重wwww
548:通常の名無しさんの3倍
07/08/22 23:29:04
そして降臨する
ア イ ナ ブ リ ッ ジ
549:通常の名無しさんの3倍
07/08/24 12:52:46
僕らはガンダムというただのロボットアニメにとらわれた世代なのだから・・・
550:通常の名無しさんの3倍
07/08/26 15:06:37
あなたに保守を・・・
551:通常の名無しさんの3倍
07/08/28 13:48:42
保守は出ているか?
552:通常の名無しさんの3倍
07/08/31 09:14:22
保守
553:通常の名無しさんの3倍
07/09/01 21:16:39
保守
554:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/09/04 05:45:26
投下します。
機動新世紀ガンダムXSEED 第二十七話「高くついた寄り道からな」
「こちらガロード ! アークエンジェル応答してくれッ !! くそっ、さっきからうんともすんともいわねえ ! 通信状況が酷すぎる !! 」
『Nジャマーの影響でしょうね……でも大丈夫です。こちらの事は断片的ながらあちらに伝わっているようです。』
通信を入れ続けるも上手くいかない様子のガロードをカリスが宥める。
ザフトが開発し、地球各地に把握しきれないほど落とされたNジャマーことニュートロンジャマーは全ての核分裂を抑制するものであり、
その影響下では核分裂は抑制させられる。そのために核ミサイルをはじめとするかつての最終兵器であった核兵器を始めとする核エンジン、そして原子力発電などは使用不可能となった。
更に電波も阻害するために、影響下では電波を利用した長距離通信や携帯電話は使用不可能となり、レーダーも撹乱される。
自然の中にいる時や戦闘中のモビルスーツとの通信も困難になるケースが多く、長距離通信手段としてレーザー通信が使用されている。
しかし今はそれを一からガロードに詳しく説明している時間は無い。
やがてアークエンジェルが有視界範囲に入った時、彼にとって待ちに待った返事が相手方から返って来た。
『こちらアークエンジェ……マリュー・ラ……ス !! それに乗っ……るのは本当にガロード……のね ?!! 』
それは何度か話した事のあるラミアス艦長の声。
ガロードの声が一気に明るくなる。
「おっ、艦長さんか ?! おーし、本格的に繋がったみてえだな。そうだよ。こっちの黒いMSに乗ってるのは炎のMS乗り、ガロード・ラン様だぜ。
んで、この機体を今持ってくれてんのは俺の頼もしい仲間だ。」
『カリス・ノーティラスです。アークエンジェルの皆さん、お初にお目にかかります。ザフトにいましたがガロードの言った通り僕らは仲間です。
色々とお話したい事は多々あるのですが、後ろからの追手の事もあります。先ずは着艦させてもらえませんでしょうか ? 』
少しの間だけ通信機が静かになる。
ブリッツにガロードが乗っている事は確認出来たものの、詳細が分からないカリスに関しては慎重が要されるといったところだろうか。
調整したモニターの別枠を見ると、追撃隊との差が段々詰まりつつあるのが分かる。
かなり長く待たされたガロードは少し声を荒げた調子でアークエンジェルに再び通信を入れる。
「カリスは味方だ !! 着艦許可だけでも早く下ろさせてくれ !! でねえとハッチに俺が突っ込んででも…… !! 」
『お、落ち着きなさい !! ……分かりました。着艦を許可します !! 』
「よしっ ! サンキュー、艦長さん !! 」
とても穏やかでない発言を抑えつつマリューは着艦の許可を出した。
やがてアークエンジェルの左側のハッチが彼らを受け入れるべくゆっくりと開いていき、ヴェルティゴはそこに一直線に向かっていく。
ものの五分としない内に二機は吸い込まれる様にハッチの中に突っ込んでいった。
デッキに着いた瞬間の下から突き上げる衝撃と見慣れた整備班の面々はガロードに帰ってきたという感情を起こさせる。
555:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/09/04 05:46:54
ガロードはブリッツのコクピット内で一息を吐く。
またしても成り行きとは言えXナンバーの一機の奪還をする事となった。
格納庫にいる皆はその事実に気づき、イージスや艦隊合流前の一戦で勝利した時の様に喜びたい雰囲気の様だったが、今は状況が状況なのでそんな悠長な事は言っていられない。
急いでハッチを開けると、下からいつも世話になっているマードック曹長が両手をメガホンの様にしてガロードに声をかけてきた。
「良くやったな、坊主 !! だけどお祝いは目の前の敵さん追っ払ってからになりそうだ !! 機体の応急処置が終わったら直ぐ出撃できるか ?! 」
「機体は別段何ともねえんだけどよ、OSがコーディネーター用だからナチュラル用の調整が必要なんだ !
自力で何とかしてえけどパソコンとかそういうのまださっぱりだから、キラが一緒にいたらスムーズにいくかもしれねえ !! 」
そうガロードが答えると、マードックは少し渋い顔になる。
「悪ぃがあっちの坊主もこれから直ぐにストライクで出撃しなきゃいけねえ ! けど安心しろ ! ウチんとこの技術班や工作班だってそんなに柔じゃねえさ ! 協力すればある程度は何とかなる筈だ !! 」
「オッケー、わかった !! それから……」
ガロードはちらと後ろの方を見やる。
先程は毅然とした態度でアークエンジェルのブリッジに通信を入れていたが、この状況でカリスはザフトの黒服を着ているのを気にしているのか何の反応もよこしてこない。
不審がっているスタッフを相手にガロードは咄嗟のフォローを入れる。
「こっちの機体に乗っているのはいろいろあってザフトにいた俺の仲間だ。名前はカリス・ノーティラス。」
するとすっとヴェルティゴのコクピットハッチが開く。
全員に姿が見える様に外を出たカリスは格納庫全体に響く様な大きく、そして努めて明るい雰囲気の声で簡単な自分の状況説明を始める。
「皆さん ! 僕は今ザフトの制服を着ています。ですが、ガロードの仲間です !! そしてたった今ジブラルタル基地を脱出し、彼と共にここまで来ました !! もし僕がお役に立てるのなら出させて下さい !! 」
突然の口上に周りの者達は一瞬動きを止める。
だがそこにもう一つガロードにとって聞き慣れた声が響き渡る。
「それでいいのか ? 君は。」
ふとガロード、カリス二人の視線が奥の方に向けられる。
そこには今から一つしかないスカイグラスパーに乗って出撃に向かうといった様子のムウが、カリスの方に真剣な眼差しを向けていた。
ムウは正規の連合軍軍人、そしてカリスは仮にもザフトでは高位の役職の人間が袖を通す黒服を纏っている事から、ガロードはムウが何を言おうとしているのか直感的に気づく。
「外の様子を見れば分かるが俺達は今からザフトと戦闘をするわけだ。今さっきまでジブラルタルで色々な人間に指図出来るほどの権利を持っていた君が、
直ぐに仲間を討つ覚悟がこの戦闘の中で出来るのか俺としては少し厳しい。幾ら坊主の仲間だと言われてもな。
……俺もあまり疑り深い性格だと思われるのは心外だし、来ている制服にとやかく注文をつけるつもりは無いが……本当に良いのか ? 」
カリスはコーディネーターではない。
今のところはガロード、ティファ、テクスしか知らないが、人工ニュータイプであるといった所を除けば彼もナチュラルだから、
コーディネーター達に対して同胞という意識は割合希薄と言った方が正しいかもしれない。
とはいえ、彼はザフトに入って少なからずともある程度の恩恵は受けた。
更に今アークエンジェルを襲おうとしているジブラルタルからの追撃隊にはカリスが昨日今日談笑したり寝食を共にしたりした人間がいるかもしれない。
ここで前線に出て行ってその時になってから迷いや躊躇いが出るようであれば安心してその場を任せるなんて事は出来ないし、勿論自分の背後を守らせるわけにもいかない。
556:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/09/04 05:47:53
しばしの沈黙の後、カリスは口を開いた。
「僕やガロード達は自らの意志でここに来たわけではありません。ですから残りの仲間を見つけた後に全員揃って協力して戻る必要があります。
一人として欠けてはならないですし、こんな世界で敵味方に別れて戦争を続けるなんて愚の骨頂です。
……もしそこまでお疑いなのでしたら、出撃後に僕が妙な動きをした時には即座に撃っても構いません ! 」
その言葉にガロードはギョッとして振り向く。
しかし、カリスの表情は穏やかなものそのもので、言葉にも一片の飾り気は見られなかった。
寧ろそれは心の中の真摯な意見であった。
それを聞いたムウの顔からふっと笑みが漏れる。
「そこまで言ったんならお前さんを信用しよう。但しその代わり、こちらの陣営の人間として戦闘も含めてしゃかりき働いてもらうぜ。それとこれから先の事はもう誰のせいにもできないからな。」
「そのつもりです。信用してくれて有り難う御座います。」
言い終えたカリスの口からも軽く笑みが零れる。
しかし、安心する事は出来なかった。
くぐもった音と強烈な振動が艦全体に響き渡ったからである。
遂に敵方からの砲撃が始まったのだ。
「ともかく艦長達に詳しい話を通すのは戦闘が終わってからだ。相手の数が数だが弱気な事は言ってられねえぞ。ブリッジ ! どうなってんだ ?! 」
ムウは近くにあった通信用パネルまで行き、ブリッジに通信を入れる。
画面には口をこれ以上は無いほど固く真一文字に結んだマリューが映った。
それから神妙な面持ちのまま現状報告をする。
『敵が本艦を捕捉し砲撃を開始しました。出撃準備が整い次第直ちに発進して下さい。……それと、ガロード君と共に来たというあのカリスと名乗る少年については ? 』
「こっちと共闘するとは言ってるぜ。自分の後ろに銃突きつけた状態のままでも良いって覚悟持ったままな。
まあ、あの坊主の知り合いだって言うし、こんな状況だから俺としては信用してやらんでもないが……どうする ? 」
問いかけられたマリューはしばしの間思案にふける。
すると下のCICからナタルの厳しい声が横槍を入れる様に割って入ってきた。
『艦長。いかにこちらに与する意志と覚悟があったとしても、この状況下では信用に欠けます ! やはり一度艦内で勾留した状態にした方が良いかと。』
アークエンジェルの近くでは引っ切り無しに砲撃が続けられている。
マリューの考えとしてはこのまま沈むわけにはいかないというのなら藁にもすがる気持ちでこのカリスという少年の助けを借りたかった。
例えそれが現状にとって焼け石に水程度の事であったとしても。
だが幾ら傭兵にしたガロード達の仲間とはいえ、そして信用が無いなら背中に銃を突きつけたまま戦闘に臨んでもいいとはいえ、元を正せば彼は敵軍の重要ポストにいた人間だ。
早々簡単に信用しても良いものだろうか ?
『敵艦尚も接近 ! 』
ミリアリアの声がその音色も手伝って、自分に素早い処断を求めるベルの様に聞こえてならない。
『艦長 ! 急がなければこちらがやられます ! 』
ナタルは一時勾留を進言しているが、ここで墜とされる様な事があっては勾留も何もあったものではない。
迷った末にマリューは一つの決断を下した。
557:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/09/04 05:49:56
『ストライク、スカイグラスパー発進用意。ブリッツは調整が済み次第発進して下さい。カリス少年の乗った機体については先に述べた三機と同様に処置します。
但し三機の迎撃照準の一部は常に彼に合わせておくように。』
『艦長 ! 』
マリューの判断にナタルは驚きの色を隠せない。
軍門の家で生まれ育った彼女の常識に照らし合わせてみれば、非常識も甚だしい事この上ない事なのだから。
だが近くからブリッジとのやり取りを聞いていたガロードは、そんな空気をあまり意に介さず明るい調子の返事をする。
「おっしゃ、そうこなくちゃあ ! あ……急いでるトコ悪いんだけど、出撃前にキラを少しだけ貸してくれねえか ?
機体はあんまし損傷はねえんだけどよ、こちとらOSの事はそれなりのプロがいねえと殆どさっぱりだし、ザフト製のMSしか動かした事ねえから。な、いいだろ ? 」
『許可します。だけどなるべく急いで ! 敵の接近している距離から判断すればもうそんなに時間的余裕は無いわ ! いいわね ? 』
「りょーかいっ !! 」
ガロードはそう言ってブリッジとの通信を切る。
その時先程より一際大きい振動が艦を揺さぶった。
本当に残された時間は少なさそうである。
直後、格納庫にパイロットスーツに着替えたキラが転がり込む様に入ってきた。
「坊主 ! もう一人の坊主……ガロードが帰ってきたぞ ! 」
マードックの威勢の良い胴間声がキラの耳に入る。
そしてキラは軽く頭を殴られたような衝撃に襲われた。
艦の中にブリッツがある。何故ブリッツがあるんだ ?
確かにあれは元々連合の物だが、あのヘリオポリス襲撃の時にザフト側に奪われ更に今までにも何回か対峙してきた相手だ。
しかもその近くには低軌道会戦の時MIAになったものだと聞かされ続けていたガロードがいる。
生きていた事は純粋に嬉しかったが一体どういう事なのだろう ?
ブリッツのコクピットにはあのティファもいる。
更にそのブリッツの後ろにある白い機体が謎を大きくした。
流線型が特徴的なフォルムのその機体は数日前にとりあえず目を通しておけと言われた連合、ザフト両軍の機体のどれにも一致しなかった。
決定的だったのはそれのコクピットの辺りに見慣れぬ服を着た少年がいる事。
いや、見慣れていなくても彼が一体どういう存在なのかは腕の辺りにあるザフトのマークが雄弁に語っていた。
ザフトの人間が何故この連合の艦にいるのだろうか ? 事情を知らないキラには正に全てが混沌としていた。
そこにキラの姿を確認したガロードが声をかけてくる。
「キラ ! 」
ガロードにとってキラの顔はそんなに長く離れていた訳でもないのに、何故か久しぶりに見るように感じられる。
敵の陣営にいたからだろうか。
やがてキラの目の前に来たガロードは親指をピッと上げて微笑み言う。
「戻ってきたぜ。高くついた寄り道からな。」
キラはそれを聞き一先ず安心する。
どうやら彼自身が何か大きな怪我を負っていたとかそういった事は無かったからだ。
「おかえり。」
キラは笑顔で答えた。
そして、それを聞いたガロードは話を続ける。
「後ろの白いやつに乗ってるのは俺の仲間で名前はカリスっていうんだ。訳あってザフトにいたけど今は俺達の仲間だ。安心してくれ。
それからあのブリッツは俺とティファが捕まってたザフトの基地から逃げる時に取り返してきたんだけどもよ、OSが良くわからねえんだよ。
キラ……これから出撃で時間ねえとは思うけど、出来る範囲で良い ! OS変えるの手伝ってくれねえかな ?! 」
「分かった !! 」
キラは直ぐにガロードの申し出を了承した。
残り少ない時間でどれまで出来るかは分からないが……
それにしても……今まで自分達を執拗に追いかけて攻撃してきたブリッツのOSの調整をやる事になるとは。
心に何がしかむず痒い物を感じたキラだった。
558:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/09/04 05:51:28
投下終了します。
次はいつになるかは分かりませんがなるべく早めにしようと思います。
では、また。
559:通常の名無しさんの3倍
07/09/04 13:25:28
久しぶりの投下、乙です
戦闘終了後のガロードとキラの会話が楽しみだ、特に凸に関してのw
560:通常の名無しさんの3倍
07/09/04 13:39:28
カリス、損な役回りだなあ。相変わらずってとこが泣けるぜ
マリューとナタルがらしいぜGJ
561:通常の名無しさんの3倍
07/09/09 22:41:42
ついさっきまで友軍だったのにあっさり戦うんだなと思っけど
カリスも結構盲目的なところがあったんで、らしいといえばらしいか。
562:通常の名無しさんの3倍
07/09/10 01:08:56
お久しぶりのGJ!
本編の凸だと裏切り、カリスだとゆるぎない仲間への想いに基づく予定調和
ずいぶんと印象の違いが大きいなあ
563:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/09/12 17:32:38
戦闘関係、機体が多かったのできつかったですが、
今晩辺りにまた一話投下していいですか?
564:通常の名無しさんの3倍
07/09/12 17:41:08
どうぞどうぞ
565:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/09/13 14:20:41
昨晩コンピューターがスパイウェアの為一時あぼーんしてしまいましたが、データは無事残っていました。
では、投下します。
機動新世紀ガンダムXSEED 第二十八話「狼退治とキメますか !! 」
「ムウ・ラ・フラガ、スカイグラスパー、発進する!」
「キラ・ヤマト、ストライク、行きます!」
アークエンジェルのカタパルトから先にストライクとスカイグラスパーが発進する。
今回スカイグラスパーはエールパックを装備していた。
ビームライフルとサーベルという組み合わせがマードックを渋い顔にさせたが、これは歴戦を潜り抜けたムウのアイディアによる物だった。
地球では宇宙と違って当然の事ながら重力があるために、機動性で見るならば重い武装は極力避けなくてはならない。
おまけにここは砂漠に程近い場所である。
大気中における熱対流によるビーム兵器の減衰率がどれほどになるものか、それが一体どういう状態になるのかまだよくは分からない。
もし宇宙と同じ様にランチャーパックを装備していればそれらの問題にブチ当たるだけではなく、エネルギー消費問題ももれなく付いてくる。
何の考えも無しにアグニを放てば直ぐにフェイズシフトダウンを迎える事になる。
キラは最初のストライクの戦闘に於いて戦闘中にOSの書き換えを行ったと言うが、
この状況……ほぼ十機を一人で相手にしなくてはならない中でビーム兵器の減衰率計算が出来るかどうかなど本人に訊いたって怪しいものである。
またソードパックにすれば別の問題が浮上してくる。
近接戦闘に特化されたソードストライカーで出撃すれば、当然対MS戦闘も近接戦になる。
という事はそれだけ敵に距離的リーチを与えるという事になる。
捌き切れない敵が母艦であるアークエンジェルを狙い始めたら、蜂の巣になる事は免れない。
加えてガロードが取り戻したブリッツはそれこそ近接戦闘用の機体。
位置的なバランスが崩れてしまう事になる。
エールはその点中距離戦闘はビームライフルで行い、それを逃れてきた敵はサーベルで相手をし、短期戦で決着をつければ遜色は無い。
唯一の問題点、三つのパックの中で最重量である事に関しても四基のバーニアの働きはお釣りが帰ってくるほどにカバーしている。
566:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/09/13 14:21:42
それから遅れる事二分。
「ガロード・ラン、ブリッツ、出るぜっ!」
アークエンジェルのカタパルトから漆黒の機体、ブリッツが発進する。
キラがナチュラル用に調整した事もあってかガロードは直ぐに操縦の感覚を掴んでいた。
しかしブリッツには不安要素が幾つもある。
単機で敵陣に突っ込む様に作られている為に、中距離、或いは遠距離戦用の兵器が搭載されていない事だった。
近接戦と中距離戦にストライクが専念するだけに遠距離用兵器は必要だったが無い物強請りをしたところでしょうがない。
搭載されているレーザーライフルとてストライクのビームライフルと比べれば威力は格段に落ちるし、効果が何処まで効くかそれも分からない。
またブリッツの兵器はピアサーロック グレイプニールを除いて全てレーザーライフルもランサーダートも右に存在している。
頭部にはストライクにも付いているイーゲルシュテルンすら付いていない。
つまり右腕を破壊されればグレイプニールで奮戦するしかないのだ。
そのグレイプニールすらも戦闘慣れしたガロードにとって、使いどころって一体どういうところなんだと思わせる物であるが。
またランサーダートとて三発分しかないので使い所を見極めなければ全部スカで終わってしまう。
またブリッツを魅力的な機体たらしめているミラージュコロイドは熱対流の関係で使えないし、
ストライクの様なバーニアがあってもそこまで高くは飛べないので会敵方法は敵陣までえっちらおっちら走っていかなくてはならない。
地上戦では不自由する事この上ない。
詳細を聞いた時、ガロードは一瞬Xナンバーの機体でも貧乏籤をひいたかなとさえ思ってしまった。
しかし今は戦力の一つでも惜しい所である。出ない訳にはいかなかった。
567:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/09/13 14:22:43
そしてブリッツの出撃とほぼ同時にカリスも発進する。
「カリス・ノーティラス、ヴェルティゴ、発進します!」
ガロード達を救った純白の機体が猛烈なスピードでストライクとほぼ同じ位置に躍り出る。
内蔵ビームライフルとビームサーベルがあるだけにスペックや戦闘方法としてはストライクと同じだが驚異的な武装が一線を画す物となっている。
全方位攻撃とも言われている飽和攻撃を可能とする遠隔誘導端末、ビット。
A.Wにいた時、自身の出身地フォートセバーンでガロードと対峙した時全基打ち落とされてはいたが、第八次宇宙戦争の最終決戦時に修理自体は出来ていた。
死角無しともいえるこの兵器ならこの戦況を覆すどころか戦闘自体も勝利に導く事も容易い物かもしれない。
しかし今のカリスはそれを十分に分かっていたとはいってもビットを使うことに対し相当の自制心をかけていた。
今日はあの症状……シナップス・シンドロームが襲ってくる日ではない。
原因はこの世界のMSを詳細に調べていく仮定で分かった二つの事だった。
一つは材質が全く違う事。
ヴェルティゴの機体を構成しているのはルナ・チタニュウムであったが、この世界ではルナ・チタニュウムは大量生産出来ないばかりか、それ以前に生成する事も出来ない。
A.Wの工業概念に照らし合わせればもっと重くそして脆い金属が使われているのだ。
またビットは小さい故に機体より破損率が高くなる。
どちらかの陣営において微細工学に詳しい人間が手にしたら間違い無くこの世界のパワーバランスは崩れる。
物量で勝る連合が手にしたら尚更不味いだろう。
もう一つはビット攻撃自体がこの世界に存在しない事。
自身が人工的に処置を程された人工ニュータイプだと言う事もビット攻撃が可能になる一つの要因だったがその構造面でも知られてはならない。
しかしずっと自重はしていたが、ガロード達と共に基地から逃れる時に遂にそのシステムを解除した。
既に後戻りは出来ない所まで来たのだ。
568:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/09/13 14:23:47
今アークエンジェルの周囲はそこそこ小高い丘に囲まれている。
元々宇宙での運用を目指していた艦だけに飛ぶにしてもそこまで高い高度は取れない。
降りた場所にしても地形から言えば高度な部類に入るため逃げるにしても平地沿いをずっと進むしかないのだ。
ガロードが発進後直ぐに地面に降り相手を迎える為の位置につくと、通信機から緊張感漂うムウの声が入る。
『相手さんは二手に分かれたままでこっちとやりあう可能性が高い !
発進前に確認したように艦の前方はキラ、後方をザフトの坊主、ガロードは艦自体の防衛に回ってくれ。俺はキラにプレゼント配達し終わったら一旦母艦に戻ってもう一度別のモン付け直して来る ! 』
「OK ! ……9対1だろうとなんだろうとこんな所で負けるわけにはいかねえんだ ! ティファも……みんなも……一人も死なせはしない ! やってやろうじゃねえか !! 」
気合を入れるためにそう叫ぶと操縦桿を握る手に自然と力が入る。
そうでもしなければ、こんな状況を切り抜けなければという感情も沸いて来ないからだった。
やがてそれは丘の向こうにある空から地も震えるような轟音を上げながらやって来る。
艦の後方を向いていた為にモニターに映ったのはジブラルタルからの追撃隊だったが、発進前にあった報告どおり半端な数ではない。
先頭にはテールローターの無い戦闘ヘリと小型VTOL戦闘機が密集陣形で迎撃態勢の用意にはいっているらしく、
その上方にいる6枚の翼を広げたディンは早くも重突撃機銃を携えこちらに狙いを構えている。
またサブフライトシステムに乗ったジンは全機、以前ガロードが改造した練習用ジンと同じ武装、つまりD装備をしてヘリや戦闘機のやや後方からこちらに向かっていた。
最初に挨拶代わりとばかりに戦闘ヘリが対地機関砲、そして戦闘機が25mm機関銃を次々に撃ってくる。
大量の弾がアークエンジェルの周りに着弾し粉塵が舞い上がるもののガロードはそれを何とか回避しながら自分に一番近い位置にいた戦闘機の一つにレーザーライフルの狙いを定め撃った。
レーザー波が到達し狙いの一機が爆散したのは良かったものの、ヘリと戦闘機は密集陣形を解除し、ミサイルまで使いアークエンジェルをあらゆる方向から狙い撃ちし始める。
飛来するミサイルの幾つかは75mm対空自動バルカン砲塔システム イーゲルシュテルンをフルに使って打ち落とすが捌ききれずに着弾するものも少なくは無い。
なるべくそれを防ぐ為、ストライクがバーニアを吹かしながらビームライフルを駆使しヘリと戦闘機を打ち落とすが、前からもMSが接近している状況の中で気を配れる時間はほとほと少なかった。
またヘリと戦闘機が散開したのと同時にその上方にいたディン、そして前にいる味方などがいなくなった為に迫り出したジンが同時に重突撃機銃を斉射しだした。
大量且つ厚い弾幕にガロードは必死で機体を操って回避しながらレーザーライフルを撃つ。
しかし敵とてロックされている事ぐらい頭に入れて戦闘に臨んでいるのだから、ボーッとしながらその一撃を甘んじて受けるわけが無い。
とにかく狙いをつけてレーザーライフルを撃つものの、バーニアがあっても高くは飛べないという事と中距離戦用の兵器が乏しい事によるリーチの差はあまりに大きかった。
ヘリと戦闘機は相変わらずアークエンジェルにとりついて弾丸の雨を降らせていた。
569:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/09/13 14:25:34
だがそれは炎を上げながら落下する鉄塊と爆発音と共に徐々に止んでいった。
カリスとムウである。
彼の乗ったヴェルティゴは地上辺りからものの数秒で敵機のいる空域に上昇し、直ぐに一機のヘリにビームライフルの狙いを定め正確な一撃でしとめる。
その背後から高度を落としたもう一機のヘリが機関砲を構え接近するが、ランチャーパックを抱えたスカイグラスパーが120mm対艦バルカン砲を横っ面から打ち込みそれを撃墜した。
その時唐突にガロードにカリスから通信が入る。
『ガロード、無事ですか ?! 』
「ああ、今のところはなんとかな。この機体じゃ空は飛べねえし、レーザーライフルや槍以外は接近戦に持ち込むしか他ねえんだ。そっちは大丈夫か ?! 」
『正直な事を言うと、さっきから操縦桿を握る手の震えが止まらないんです。
僕も覚悟を決めて発進しましたがやはり慣れるまでに時間はかかりそうですね……あんな啖呵をきったのに情けないものですね……』
あまり心配する事はないと言うような調子の声だったが、事情が事情だけにやはり本人にはかなりの負担なのだろう。
覚悟するのと実際にそれを行動に起こすというのは全くの別物なのだから。
『ガロード。ヘリや戦闘機、ディンに関しては僕が引き受けます。君は地上に降ちた機体やキラ君の対処に回ってもらえますか ? 』
「分かった ! ……カリス !! 」
『はい ?! 』
「……有り難な。出来るだけ無理するんじゃねえぞ。」
『有り難う御座います。』
礼の言葉を言うが速いかカリスは自分の前に躍り出たディンに向けてビームライフルのトリガーを引いていた。
ディンは右腕と右翼を二枚破壊され地上に墜落するもその攻撃は止む事は無い。
更にジンもミサイルや無反動砲を乱れ撃ちしてくる。
しかしそれに負けじとスカイグラスパーが素早い動きを見せ、敵機が密集している場所に向け再度バルカン砲を打ち込みジンを二機空から引き摺り下ろした。
570:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/09/13 14:27:07
通信機からは相変わらず飄々とした感じのムウの声が聞こえてくる。
『俺も忘れてもらっちゃあ困るぜ !! 』
空の足がかりを失ったジンは、煙をあげるサブフライトシステムのグゥルから飛び降りブリッツに向け素早く重突撃機銃を構えて迫る。
間は自分に近い機体は距離にして約200mで遠い方は約300m程。
間合いとしては申し分無い。
ガロードはランサーダートを構えジンに狙いを構え直ぐに撃つ。
銀色の弾丸と化したそれはジンの胸部のやや上を串刺しにした。
ジンは完全にバランスを失い後ろに向かって倒れ、猛烈な火花を散らして爆散する。
それを確認したガロードはバーニアを目一杯に吹かし、もう一機のジンの方に急速接近する。
その過程においてガロードはトリケロスからビームサーベルを繰り出し爆煙の中に突っ込んだ。
一瞬モニターが真っ黒になり次に光を感じた瞬間、目の前にはやはりこちらに向かってきたジンが視界一杯に入る。
ジンは重突撃機銃をブリッツにありったけ撃ち込み、弾切れを起こしたと気づくやそれを捨て、今度は重斬刀を構えて切りこみにかかる。
しかし、フェイズシフト装甲の為に重斬刀は一つの傷も与える事は出来ない。
お返しとばかりにブリッツはすれ違い様にビームサーベルでジンのコクピットの辺りから真っ二つに切る。
分かたれたジンの両半身は空中で四散し、煙が晴れた頃にはただの鉄屑に変貌していた。
「こちとら2対1の戦闘はお手のもの !! 簡単にやられはしねえぜっ !! 」
爆発を背にしたブリッツの中でガロードは大きく叫ぶ。
だが、気を抜く事も格好を付けている場合でもなかった。
後方、アークエンジェルにとって前方からまたも弾丸の嵐が吹き付けてくる。
前方の防衛には確かキラが当たっているはず。
すぐさまガロードがその方向を向くと、様々な種類のMSとビームサーベルを使って接近戦をしつつ、近づいてくる敵にはビームライフルで応戦するキラの姿が映った。
だが素人目に見たって相手に出来ない数の敵を相手に奮戦している。
実体弾のダメージを受けないフェイズシフト装甲とはいえ、喰らっている数からしてもあと10分もしない内にシステムが落ちてしまうだろう。
迫り来るのは後方から襲ってきたのと同型の攻撃用ヘリと戦闘機、戦車の形をした鈍重そうなMS、黄土色に染められたジン、そして……
571:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/09/13 14:28:43
「い、犬ゥ ?? ちげーや、狼かぁ ? 何だ、あれ ?! 」
それはキャタピラを駆使して荒野を縦横無尽に動き回る野生の獣と言った方がいいだろう。
二足歩行ではなく四足歩行をするそれは見慣れていない事もあってか非常に奇異にガロードの目に映る。
が、その敏捷さは十分驚異になり得た。
動体視力ならある程度はあるといっていいガロードでも目でずっと追っていくのはきつかったからだ。
と、アークエンジェルから一本の通信が入る。マリューからのものだった。
「艦長さんか ?! どうした ?! 」
『ガロード君聞こえる ?!! それはザフト軍の地上作戦用MS バクゥよ !! 』
「バクゥっていうのか……」
『数も八機いるわ。キラ君と協力して迎撃して !! 』
しかしその声すらどこか遠くから聞こえているのではないかと錯覚してしまう。
八機もいるそれはブリッツを確認した後、ストライクを残りの連中に任せておき、一気にこちらに向かってやってくる。
その時ふいにガロードの頭の中にティファと始めて会った夜、彼女の導きに従ってGXを手にした時の事がフラッシュバックする。
あの時も……そう。GXの情報を聞きつけたとても一人では相手に出来ないMSを相手に必死に戦った。
撃墜スコアだって今この場にいるMSと同数くらいいっていてもおかしくなかったかもしれない。
もうこれまでか、と思った時に窮地から脱出出来たのはティファが力を使って発射したサテライトキャノンのお陰でもあった。
しかし、今は違う。
自分の乗っている機体にそんな物はついていない。
近接戦に優れたこの機体を上手く活用し、キラやムウ、そしてカリスらと共に連係しながら地道に倒していくしか他無い。
後ろに目をやるとムウは新たに一機のディンを撃墜し、カリスは素早い動きで戦闘機のコクピットを撃ち抜く。
ガロードは心の底に熱い物を感じ、直後小刻みに機体を動かしつつバクゥに向かっていった。
「へっ !! いっちょ、狼退治とキメますか !! 」
572:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/09/13 14:31:04
投下終了します。
今回は一寸した前後編ぽくなってます。続きは鋭意執筆中です。
ではまた後程。
573:通常の名無しさんの3倍
07/09/13 21:42:44
>>567
× ヴェルティゴ
○ ベルティゴ
574:通常の名無しさんの3倍
07/09/13 21:52:12
Bertigo(眩暈)だからヴェじゃなくてべだな。
575:通常の名無しさんの3倍
07/09/13 23:08:10
説明が長すぎ
ブリーフィングの形にして
キャラに説明させる。
最低限の事実のみ書き
図に当たった形にする。
など分散させる手もあります。
詰め過ぎのきらいがありますので打開の一助となればと
576:通常の名無しさんの3倍
07/09/14 00:01:56
乙でした
ガロードの奮戦が楽しみです
577:通常の名無しさんの3倍
07/09/14 19:56:23
一応突っ込むけどルナ・チタニウムだぞ、チタニュウムじゃない
>今回スカイグラスパーはエールパックを装備していた。
>ランチャーパックを抱えたスカイグラスパー
ストライクの間違いじゃね?明らかに後の文章と矛盾している
最大表示だけどやっぱり見づらい、もう少し改稿を何とかしてくれ
今回は楽しめたと思う、前に比べればなかなかのもの
とりあえずもっと読みやすくして欲しいから下記のスレをおいておく、参考にするしないは自由だがね
あとはX本スレを置いておくわ
機動新世紀ガンダムX-45
スレリンク(x3板)
【ドキドキ】新人職人がSSを書いてみる【ハラハラ】7
スレリンク(shar板)
【SS】新シャア板の職人相談室 7部屋目【イラスト】
スレリンク(shar板)
SS職人がコテ・トリを付けたまま雑談するスレ
スレリンク(shar板)
578:通常の名無しさんの3倍
07/09/15 06:07:25
乙~
579:通常の名無しさんの3倍
07/09/18 21:04:02
hosyu
580:通常の名無しさんの3倍
07/09/19 22:32:51
まとめのX-seed◆mGmRyCfjPw氏の第3話をクリックしたら16話に繋がるんだがどうすれば良い?
581:通常の名無しさんの3倍
07/09/20 01:50:16
>>580
修正すれば良い。
582:通常の名無しさんの3倍
07/09/22 22:19:59
保守
583:通常の名無しさんの3倍
07/09/26 06:33:32
保守あげ
584:通常の名無しさんの3倍
07/09/28 21:25:19
保守
585:通常の名無しさんの3倍
07/09/28 22:37:44
ガロinの完結以降、ここも寂しくなったな。
586:通常の名無しさんの3倍
07/09/30 17:18:25
だれか風景画一枚目のURL分からない?
587:通常の名無しさんの3倍
07/09/30 23:18:48
それがどうして必要なのかわからない
588:通常の名無しさんの3倍
07/09/30 23:27:35 qF+IPTqx
わかっている
589:通常の名無しさんの3倍
07/10/01 00:07:29 MREaNRrZ
読みたいからじゃないの?
590:通常の名無しさんの3倍
07/10/01 00:19:18
探してやったぞ
ガロード達が種・種死世界に来たら -風景画1枚目-
スレリンク(shar板)
591:通常の名無しさんの3倍
07/10/01 02:33:32
㌧!!
お前のやさしさに俺が泣いた
592:通常の名無しさんの3倍
07/10/04 23:02:50
もしジャンク屋組合にGXかDXが所属していたらどうなるかな?
593:通常の名無しさんの3倍
07/10/07 11:32:48
保守
594:通常の名無しさんの3倍
07/10/07 16:56:52
>>592
機体だけ・・・ロウorターミナルが解析して和田と隠者がパワーアップ。
サテキャ衛星を開発してラクシズの意のままにならぬ地域にぶち込むように。
ガロファ込み・・・ラクシズに反対して「過ちは繰り返さない!」→DX爆破
て感じになりそう。
595:通常の名無しさんの3倍
07/10/07 20:53:01
普通にジェネシスになるだけだろ、お前馬鹿?
596:通常の名無しさんの3倍
07/10/08 16:58:29
兄弟スレがいつの間にか落ちていてビックリした。いったいなんで?
597:通常の名無しさんの3倍
07/10/08 22:06:15
緊急浮上ついで・・・
598:通常の名無しさんの3倍
07/10/08 22:11:23
GX氏がこっちに合流しないかね?これ以上スレ分けてても無駄だろう
落ちたら立て落ちたら立て、このエンドレスワルツだ
599:通常の名無しさんの3倍
07/10/08 22:16:00
ワルツは3拍子だぞ?
600:GX1/144 ◆nru729E2n2
07/10/08 22:18:22
エー、皆様始めまして(?)
月の公転スレでSS職人やってましたGX1/144です。
私もビックリしたのですが、なんかいつの間にやらスレが落ちてました…orz
以前合流するつもりはないと言いましたが、お願いです。
こ っ ち で 連 載 続 け さ せ て く だ さ い !
つうかあんな話の途中で止めるなんて不完全燃焼過ぎる!
でも皆さんがよければの話ですので、ご検討のほどよろしくお願いしますm(_ _)m
601:通常の名無しさんの3倍
07/10/08 22:27:10
>>600
GX1/144氏、こんばんは。いつもお疲れ様です。
個人的には合流は大歓迎です。
X系のクロススレも外部移転やら完結やらで、良くも悪くも落ち着いたので合流しても問題は無いと思います。
それに、かなり初期の頃から読ませていただいていたので、やはり結末は気になりますね。
これからも頑張って下さい。
602:通常の名無しさんの3倍
07/10/08 22:27:51
お待ちしておりました、GX氏
むしろこちらから連載してくださいと言いたかったです
コーヒー時代から連載を続けてきたあなたをみんな歓迎すると思います
どうかこの風景画で連載してください、お願いします
603:通常の名無しさんの3倍
07/10/08 22:43:03
>>600
続き楽しみにしてますw
604:通常の名無しさんの3倍
07/10/08 22:55:43
ついに一つとなったXスレ、GX氏の合流とともにこれも置いとこう
過去スレ
種・種死のキャラがX世界に来たら 月の公転3周目
スレリンク(shar板)
種・種死のキャラがX世界に来たら 月の公転2周目
スレリンク(shar板)
種・種死のキャラがX世界に来たら
スレリンク(shar板)
まとめサイト
GX-P 様
URLリンク(aw0015.hp.infoseek.co.jp)
GX-P 「ディスティニー in A.W.0015」(作者トリップ:◆nru729E2n2)
URLリンク(aw0015.hp.infoseek.co.jp)
URLリンク(aw0015.hp.infoseek.co.jp)
GX-P 「機動新世紀ガンダムXアストレイ」(作者トリップ:◆XGuB22wfJM)
URLリンク(aw0015.hp.infoseek.co.jp)
605:通常の名無しさんの3倍
07/10/08 23:21:12
祝! 合流おめでとうございます。
606:通常の名無しさんの3倍
07/10/08 23:25:04
スレタイどうすんの?
正直前スレに出てた厨くさいのは勘弁してもらいたいが。
607:通常の名無しさんの3倍
07/10/08 23:48:39
カテゴリー○(A~)
608:GX1/144 ◆nru729E2n2
07/10/09 00:00:26
スレタイについては…この際風景画のままでいいんじゃないかと10枚目まで来て変えるってのも…
とか何とか言いつつ、さっそくネタ投下。今後は日曜日に投下していきます
第七十話『一体何様のつもりだ!?』(前編)
一瞬静寂に包まれたコックピットに警報が響く。シンはすぐさま操作パネルを叩き、
接近するMSの姿を正面のディスプレイで確認した。
「!!? くそ、こんな時に!?」
「シ、シン?」
「しっかりつかまって! これから少し荒っぽい操作になる!!」
「え、ちょッ、ちょっとぉ!」
サクラの返事を聞く前にシンは機体を反転させ、機体を雲の中へと躍らせた。
「…逃げたか。しかしこの距離で接近に気づくとなると、やはりこちら同様多少の改良を受けていると言うことか…。」
ディスティニーにひそかに近づいていたMSのパイロットは静かに口を開いた。月光に浮かぶ整った顔は
どこかうれしそうで、それでいて表情の裏で静かな炎が燃えている。肩までかかる長い金髪を後にまとめ、
緑色の双眸で前方を見つめながら男はスロットルレバーを押し込んだ。
彼の乗るMSはその指示を待っていたかのように加速を開始する。雲の中を突っ切っていくその中で、
二つのカメラアイがギラギラと獲物を狙う猟犬のそれのように光を放つ。
全身灰色のその機体で、カメラアイの次に目を引くのは背中に取り付けられている大きな円形の物体だった。
その周りにはまるで刃のように八本の突起物が生えており、その姿は戦前の東アジア、それも何百年も前に
描かれた"雷神"の雷太鼓を思わせる。
「逃がしはしない。お前には俺の代わりをやってもらわなければならないからな!!」
「くそ、やっぱり振り切れないか!!」
レーダーで相手の位置を確認しながらシンは舌打ちをする。この機体のスピードには自信があったが、
やはり自分1人の時と他人が同乗している時とでは格段に差が出ていた。
「もう何なのよ、一体!?」
シンがいつもどおりの操縦をできない"原因"が彼にしがみついたまま耳元で叫ぶ。シンからすればそれほど
たいした速度ではないし、Gもほとんどかかっていないのだが、初めてGを体験する彼女にとってはやはり
苦しいものがあるのだろう。
「地上に着くまでもう少し待っててくれ! できれば君を巻き込みたくないんだ!!」
「巻き込むって、一体何があるって言うのよ!?」
未だ状況のつかめていないサクラは苦しそうに声を絞り出す。シートに座っているシンに比べて、彼に
抱えられている彼女は無理な体勢でGを受けているせいか、体を完全に彼に押し付けている。
「戦闘になるかもしれないんだ! 君だって嫌だろ!? そんなのに巻き込まれるのは!? だから君を地上で下ろす!!」
「ち、地上まで後どれくらいなの!?」
「後1分もすれば!」
シートとサクラに挟まれた状態のシンも焦りを感じていた。
今はまだ相手が攻撃をしてこないから良い。もし本当に相手が彼の知る"あいつ"であれば逃げる必要は
無かったかもしれない。だが、彼の知る"あいつ"は今立場上敵になっていることも知っていた。
609:GX1/144 ◆nru729E2n2
07/10/09 00:05:06
第七十話『一体何様のつもりだ!?』(中編)
「一刻も早く降ろしてあげないと…!」
以前彼の知るあるパイロットは彼の知人をコックピットに乗せて戦闘し、知人にケガを負わせている。
そんな二の足を踏むのは嫌だったし、もし戦闘になったら彼女は間違いなく彼の操縦を阻害する"お荷物"でしかない。
「ただ星を見にいっただけでなんでこんなことにあるのよ!!?」
「俺にそんなこと聞かないでくれ!!」
地上までの距離はもうわずか。シンは一気に減速し、強い衝撃に耐えながら大きな水しぶきを上げて湖に機体を着水させた。
もうもうと水しぶきが舞い上がる中、シンはコックピットのハッチを開く。
「さぁ早く!!」
「で、でも…!」
「下は水だから落ちても死にはしない! 岸までは自分で泳いでくれ!」
シンに促され、サクラはまだ波しぶきの残る湖に身を躍らせる。泳いで岸まで向かう彼女の姿を確認すると、
シンは険しい表情のまま上空に目を戻した。
「…これからが、本番だ…!」
灰色の雲をバックに円形の物体を背負ったMSが降りてくる。その姿を確認し、シンは通信回線を開いた。
「久しぶりだな…、レイ。」
「ああ。久しぶりだな、シン。」
レイ・ザ・バレル。シンが元いた世界で共に剣を並べた頼りになる仲間であり、新連邦軍で『灰狼の長』と言うあだ名を持つエースである。
「お前、少し髪が伸びたな。」
「そんなことはどうでもいい。髪など長かろうが短かろうが、さして問題ではない。」
以前と変わらない淡々とした口調。士官学校時代から変化のないその様子にシンも真顔で話を続ける。
「で、俺に何か用か? 新連邦の兵士になったお前が、ただ俺と話をするためにここに来たってわけじゃないだろ?」
「俺の任務は、フロスト大佐が逃がしたお前の捜索と、そして抹殺だ。」
レイの言っている内容はシンにとってはとんでもないことである。だが、シンはそれを聞いても驚いた様子を見せなかった。
「そんなことだろうと思った。じゃあこれからお前と戦闘になるわけか?」
「任務に個人的な感情は必要ないからな。だが、俺たちにもいろいろと別の理由がある。」
「別な理由?」
シンも彼の発言に眉をひそめた。レイは淡々と話を続ける。
「この世界は俺たちがいた世界とは明らかに違う。だが議長は、ギルはまだあの計画を諦めたわけではない。」
「! 議長まで着ているのか!?」
ギルバート・デュランダル、プラント最高評議会議長である彼の名前が出るとは思っても見なかった。
シンが知る限り、この世界に来ている人物は彼とキラ・ヤマト、アスラン・ザラ、カガリ・ユラ・アスハ、そして目の前にいるレイ・ザ・バレル。
デュランダル議長がこちらにいると言うことは総勢6名がこの世界に飛ばされてきたことになる。
「ギルはこの世界を見て嘆いていたよ。"この世界は、ディスティニープランを導入しなかった我々の世界の末路だ"とな。
第七次宇宙戦争のおかげで地球はこのざまだ。二度とあの時の悲劇を繰り返さないためにギルは今新連邦にいる。」
「新連邦に?」
610:GX1/144 ◆nru729E2n2
07/10/09 00:10:29
第七十話『一体何様のつもりだ!?』(後編)
「シン、今お前のいるべき場所はそちら側ではない。俺と一緒に来い。」
そう言って、レイは自身の乗るZGMF-X666S"レジェンド"の左手を差し出す。手を取れというのだろう。
「議長のプランを実行していくためには、お前の協力が不可欠だ。」
彼は手を取るのを静かに待つ。だが、シンはその手をなかなか取ろうとしない。
「…なぁレイ、いくつか質問させてもらっていいか?」
「? なんだ?」
「レイは、"運命"という言葉をどういう風に解釈してる?」
「"運命"?」
レイはシンの言葉に眉をひそめる。シンがなぜそんな事を聞いてきたのか彼にはその意図する事がわからない。
真剣な表情を浮かべる彼を前にし、レイは考えをめぐらせた。
「…そうだな、"生きとし生けるものすべてが抗うことのできない宿命"といったところか。」
「"生きとし生けるものすべてが抗うことのできない宿命"?」
「そうだ。鳥は当然のように空を飛び、魚は水中を泳ぎまわり、獅子は大地を駆ける。それは生まれ持った宿命であり、
抗うことのできない絶対的な摂理だ。」
鳥には大海を泳ぐヒレを持たず、魚は陸上で生活をする脚を持たず、獅子は空を飛ぶ翼を持たない。
それぞれが自らの生きるフィールドの中で生まれ、成長し、そして死んでゆく。自然界において、今時分のいる世界で
生きる術を知らなければ滅ぶのみである。
「人間とて、自然の摂理から逃れることはできん。各々の場所で各々の能力を生かし、各々の場所でそのすべてを磨いていく。
進化において、それが一番大切なことだ。」
「なるほど、それが議長の言う"ディスティニー・プラン"と言うわけか……。それは、"今まで"やってきた実績とかって加味されるのかな?」
「さてな。だが、たとえ実力でその地位にいるとしても、適性の無い者がその場所にいるべきではない。俺はそう思うがな。」
「…やっぱり俺、一緒に行けない。」
シンの言葉に、レイは表情を変えた。自分と共に戦い、自分と同じ人を慕い、その人の理想を実現させるために戦うと決意した
仲間が、彼を拒絶した。
「シン!?」
「確かに、議長の言っていることは正しいと思う。適性のある人間が適切な場所に配置されるのは至極当然なことだと思う。」
「ならば、なぜお前は俺と一緒にいこうとしない!?」
「やり方が理不尽なんだよ。」
シンはそう吐き捨てた。レイは目に怒りの色を浮かべ、操縦桿を強く握る。
「聞け、シン! 人間は自分がどんな風な適性を持っているか誰も知らずに生きている。それを知れば、人生の中でより多くの
結果を形として残す事ができるんだぞ!?」
「結果がよくなればそれで良いのかよ! まだ何にもやっていない子供だろうが、がんばってもぜんぜん結果を残せてない大人だろうが、
要領よくやって結果を残した大人だろうが、"結果がすべて"なんてことは俺は絶対に認めない!!」
「シン!?」
彫刻のように整った顔が怒りでゆがむ。シンは彼との溝の深まりを感じながら言葉を続けた。
「"適性があるからやらせる"、"適性がないからやらせない"。一体何様のつもりだ!? そんなことで簡単に他人の人生を勝手に強制したり、
一生懸命今までやってきたものを人のものをうばったりしていいわけないだろ!!」
自ら必死になって作り上げたものを奪われた男。一部の人間の理不尽な考え方によって左腕を失った少女。彼らが抱える
暗い過去は壮絶なものばかりでシンにはどんなものか想像がつかない。
一つだけ確かなことは、彼らが体験した過去の中には必ず"彼らが望まなかった未来"があるということだけだった。
「"そんなこと"? 適性の無い者がやれるはずのないことをやって、結果がついてくるとでも言うのか!!」
「結果がついてこなくても、がんばった中で"プラス"になることはある!」
「そんな非効率的で自分勝手なことをやっているから、世界から戦争は無くならんのだ!!」
レジェンドがライフルを構える。シンも火器管制システムを起動させた。
611:GX1/144 ◆nru729E2n2
07/10/09 00:21:05
はい。と言うわけで本日第七十話「一体何様のつもりだ!」お送りしました。
最初に言い忘れた事があったのでちょっとだけ。
今現在、私のSSのほうはX世界に来たシンが主人公やっとりますが、
X世界はX世界でも、ガロード達とは今ちょっとした理由で離れた状態になっております。
その辺の細かな事情はGX-Pのほうにある第六十五話前後から読んでいただけると幸いです。
結局の所オリジナルな話になっているわけですが、賛否両論有ると思いますけれども
その辺は容赦のほどをお願いします。
今回、一度勝手に本スレを離れたにもかかわらず、またこうやって向かいいれていただきありがとうございます。
今後とも頑張っていきますので皆さんよろしくお願いします。m(_ _)m
612:通常の名無しさんの3倍
07/10/09 00:42:02
>>611
ついにレイが出てきたか。
デュランダルまでAWに来ていようとは、正直驚きました。
今後の展開を楽しみにしています。
613:通常の名無しさんの3倍
07/10/09 00:49:37
保守は皆も気にしてるだろうしまあいいやと高を括っていたら…
ともあれこちらで続けられるのならそれはそれでいいか。
添削は荒れる元になるだろうから読者の初心に返って応援続けますね。
614:通常の名無しさんの3倍
07/10/09 14:51:16
おおう 存在すら知らなかった。
今から一話から全部読むぜ!
615:通常の名無しさんの3倍
07/10/09 19:20:55
レジェンドvsディスティニー 本編ではなかった対決カードってのはいいですね。
どちらもAW仕様に改造済みだけどレジェンドはルナチタ製ではないだろうから
耐久力はディスティニーが有利か?
ともあれ続き楽しみにしてますw
616:通常の名無しさんの3倍
07/10/10 09:28:42
新作が始まったし、これからは毎日(土日は半日に1回?)
保守したほうがいいんだろうな
617:通常の名無しさんの3倍
07/10/12 07:51:18
保守
618:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/10/12 20:43:08
大分遅れましたが投下します。
機動新世紀ガンダムXSEED 第二十七話「俺たちもいるぜ !! 」
ストライクのコクピット内でキラは、常人には考えられないスピードで手足を動かし、必死に機体を駆っていた。
戦闘は何回か経験済みだという事を考慮しても、それはあくまで宇宙空間内に於いてという条件がついている。
カタパルトから発進するまで、重力がある地表での戦闘がどうなるものかあれやこれやと考えてはいたが、そんな物は全て無駄に終わった。
計算していた以上に機動性が良くないのがそれの代表とも言える。
ムウが発進直後に届けてくれたエールパックにはスラスターが付いていたが、バッテリーの関係上機体をずっと飛ばし続けておく事は出来ない。
だが敵は大多数で攻めて来ているので、ヒットアンドアウェイの要領で応対しなければ直ぐにアークエンジェルは蜂の巣となってしまう。
それが頭の中で分かっているだけにさっさと対処出来ないこのもどかしさは言いようも無かった。
「くっ !! 皆頑張っているっていうのに……僕もやらなくちゃ !!! 」
戦闘が始まって六分。
キラにエールパックを渡したムウはすぐさま母艦に戻り、モーターレースのピット顔負けの速さでランチャーパックを換装して出撃したが、
やはり大量の機体を相手にせねばならない事からか上手く動けないでいる。
ガロードもレーザーライフルで対応しているが、いかんせんブリッツは近接戦に特化しているだけに苦戦しており、
ザフトから来たというカリスという少年も奮戦はしているが、同じ空を飛んでいるムウとの連係という形は少し、いやかなりぎこちない。
キラも不自由する状況の中でビームライフルを使って既に戦闘ヘリを二機ほど墜としてはいたが、焼け石に水もいいところである。
その隙を突いてそれらの後方から大量のMS群がアークエンジェルに取り付き始める。
「させるかっ !! 」
キラは身近にいたジンオーカーにライフルの狙いを定めトリガーを引く。
しかし相手はそれを鮮やかに避け、逆に極超高初速ライフルを撃ってくる。
とはいえフェイズシフト装甲が施されているストライクには実体弾は効果が無い。
無論、当たり続けていればあっという間にダウンを迎えるものだが。
その時になってやっと機体の調整が終わる。
レバーやペダルを使っての一挙手一投足が確実に反応するのは僅かばかりの安堵を齎した。
その時前方から強力な衝撃が襲ってきた。
撃ってきたのはザウート。敵は二手に別れ、アークエンジェルとMSを迎撃する組に分かれたらしく、正面から来た時の半数の機体がキラに攻撃の牙を向ける。
「アークエンジェルは、沈めさせはしないッ !!! 」
その次の瞬間、急激に視界がクリアになる。
まるで脳内の神経回路が戦闘という行為に対し能率的な行動をとる為に置き換わったかのようだった。
と同時に、大量の弾丸がストライクに厚すぎる弾幕となって襲い掛かる。
だがキラはそれを無言で一睨みし、上に向かってバーニアを吹かして上空に舞い上がると同時にペダルを踏んでザウートが場所をとっている右方向に突っ込む。
それまで鈍重にしか動いておらず、まともな反攻も見せていなかったストライクが急に目の冷める様な動きをとった事に、ザウートのパイロットは一瞬戸惑い動きを止めるがそれが命取りとなった。
キラはその機を逃さず、即座にコクピットをターゲットロックしライフルを撃ち込む。
光の槍に貫かれたザウートは一瞬機体をスパークさせた後爆散した。
敵のMSはストライクの機動の変わりように警戒したのか、一旦散開しフォーメーションを組みなおそうとする。
だがそういった瞬間もキラは見逃さない。
粉塵と爆煙の中から姿を現したストライクは次に近い位置にいたジンオーカーに向けてロックを定める。
しかし相手も軍人だけに戦闘に関しては相当な手練の様で、次々に素早く位置を変えながらライフルを撃ってくる。
それも撃ちっ放しなど野暮な事はせずに何十発かずつ区切りながら。
619:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/10/12 20:45:04
更に側面から撃墜されたザウートの敵といわんばかりに別のザウートが4門のキャノン砲を銃身が焼けつかんばかりに撃ってくる。
キラはそれらの何発かに当たりながらも相手二機のスピードと動き方を分析し頭の中で自分の力とそれを秤にかける。
弾き出された答えは……遅い。
ジンオーカーは通常のジンと違ってバーニアが無い事、ザウートはそれをやや下回るスピードで動いていた事がその結果に繋がっていた。
その時ジンオーカーは弾切れを起こしたらしく、ライフルを捨て重斬斧を構えてストライクに襲い掛かる。
キラはザウートの放つ砲弾を極力かわしつつ接近し、残り数10mというところでバーニアを吹かす。
相手は止めと言わんばかりに重斬斧をストライクのコクピット付近に向け振り下ろすものの、ストライクはその直前に姿勢を滑空出来得る極限にまで下げ、
構えたビームサーベルを敵機のコクピットへ下から上に斬りつける。
ジンオーカーは真っ二つに破断され爆発するが、ストライクはそれには目もくれず直ぐに右手にビームライフルを構え、側面にいたザウートに向けて数発撃つ。
始めはキャタピラを駆使し上手く避けていたザウートだが、徐々にそれが追いつかなくなり7発目で遂に爆散した。
だが新たに三機のジンオーカーがストライクの死角となる場所からフォーメーションを組んで集中的に攻撃を仕掛けてくる。
キラは銃弾を避けながらとにかくMSの移動の要の脚部か、悪くてメインカメラのある頭部を打ち抜こうとライフルを構える。
が、次の瞬間通信機から割れんばかりの大声が聞こえてきた。
「キラ !! そこを退いてくれぇっ !!! 」
その声にキラは反射的に反応し、アークエンジェルの船体の陰へと移った。
ストライクのメインカメラはジンオーカーを追う様にしていたが、それらの機体は後方から来た貫通弾によって一機が破壊される。
ガロードだった。
バーニアを最大に吹かし、ランサーダートで敵機の内一体をしとめたのだ。
「おっしゃあ !! これでイーブンってやつ ? 」
ガロードの快活な声が響くが敵はそんな事などお構い無しに一機ずつ銃撃を行う。
「キラ ! 俺は左の奴、お前は右の奴を頼む。」
「分かった !! 」
620:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/10/12 20:47:33
戦術的に二対二ならインチキではないだろうと踏んだガロード。
攻盾システムからビームサーベルを繰り出し、前方に向かって猛然とダッシュする。
キラもまた船影から身を躍らせビームサーベルを構えて突進する。
ジンオーカーのパイロットはフェイズシフトシステムの事は知らないのか、出来るだけ移動を繰り返しながらライフルを撃ち続けるが、彼らにとってモニターが死んだであろうその時決着はついた。
ガロードは相手機を袈裟切り、キラは先程と同じ切り結び方でしとめる。
お互いに息を合わせたかのような一撃には少しの無駄も無かった。
だが、今度は上空から後方より合流したディンとジンがアークエンジェルに向けて一斉砲撃を行い始める。
また、残されたジンオーカーが地上戦に特化されたバクゥと再度編隊を組みなおしてアークエンジェルの右翼側から攻めてくる。
あまりの状況にキラは低く呻いてしまう。
「ちぃっ !! ……これ以上ダメージを受け続けたらマズいっていうのに !! 」
『落ち着きな ! 俺達もいるぜ !! 』
と、再び通信機から入る頼もしい大人の風格あるムウの声。
それと同時に戦闘ヘリの一つが、スカイグラスパーから放たれたガンランチャーをまともに喰らい、唐突に火を噴出し空中で四散する。
他機は空中で散開し攻撃をやり過ごそうとするものの、その後方から突然現れたベルティゴのマシンキャノンによって次々に屠られていった。
『空は僕達がカバーします !! 』
カリスが少々荒い息を混じらせてムウに追随するように言う。
『お前一人で戦ってるわけじゃあねえんだぜ ? さあ、皆で協力して早いトコ終わらせちまおうぜ !! 』
最後に聞こえてきたのはガロード。
丁度、こちらに向けて始めに撃ってきたザウートをランサーダートでしとめていた。
そうだった。次々に襲い掛かってくる敵との戦闘に必死になってキラはすっかり忘れていた。
頼もしい味方……背中を預けて戦う事の出来る仲間がいる事を。
その時、地を震わす轟音が辺りに轟く。
相手と対峙した状態で睨み合っていた四人ははっと息を飲む。
敵の攻撃が遂にアークエンジェルの機関部を捉えたのか、左舷後方部から赤々と燃え盛る炎と黒煙があがっていた。
次いで同じく左舷側のゴッドフリートも被弾し、爆発に因る大音響が周囲に木霊する。
『って、カッコつけてる場合でもねえか…… ! 俺は連中の近くまで行ってビームサーベルで切りこみをやる。墜としきれなかった機体はそっちがビームライフルで対処してくれねえか ?! 』
「分かった !! 」
その返事を聞くや否やガロードはバーニアを全開にし、驚くべき敏捷さを見せるバクゥの群れの中に突っ込んで行った。
621:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/10/12 20:49:02
「エンジン被弾 !! 48から55ブロック、125ブロックから144ブロックまで隔壁閉鎖 !! 」
「1番、5番、6番イーゲルシュテルン被弾 !! ゴッドフリート1番、バリアント1番沈黙 ! 艦の損害率、30パーセントを突破します !! 」
「推力……50パーセントに低下 !! 高度維持できませんッ !!! 」
戦闘が始まって十分近くが経とうとしている。
アークエンジェルの艦橋では矢継ぎ早に絶望的な報告がなされ、あちこちのコンソールからはワーニングランプが引っ切り無しに明滅していた。
悲鳴にも程近いその声は、敵がじっくりと大天使を空から引き摺り下ろし完膚なきまでに叩きのめすまでの質の悪いカウントダウンのようにも聞こえてくる。
「生きている火器は全て敵機の迎撃に合わせろ ! ヘルダート、スレッジハマー装填 ! 撃ぇーッ !!! 」
ナタルがブリッジクルーの不安を打ち消すように叫ぶ。
だが、マリューにはその言葉の端々に見られる本人の焦りがはっきりと読み取れた。
メインモニターにはミサイルに気づくのに遅れたヘリが一機回避出来ず着弾する様子が映し出される。
だがまだ敵はヘリが計7機、MSが半数近く残っている。
出撃している者達が確実に敵機を迎撃している事は間違い無い。
マリューもその点に関しては彼等の尽力ぶりを良く分かっているつもりだ。
だが決着を早めにつけなければ、敵陣であるこの場で身動きが出来なくなる等の取り返しのつかない事態に陥ってしまう。
完全撃破などという贅沢は言わない。せめて撤退させるだけでもこの状況なら上出来だ。
その時、ディンの放った対空ミサイルが残っていたイーゲルシュテルンを襲う。
至近距離で爆発が起こった為に艦橋が衝撃でビリビリと震えた。
「イーゲルシュテルン被弾 !! 完全に沈黙 !! 」
「何ですって ?!! 」
チャンドラの報告にマリューは思わず唇を噛んでしまう。
頼みの綱とも言えるメインの火器はもう右舷側にしか残っていない。
致命的なダメージを与えたディンはベルティゴの放ったビームライフルを胸部に二発喰らって爆散するものの、
更にアークエンジェルの死角から別のディンが二機、艦前方部に躍り出て再び対空ミサイルを放つ。
「ミサイル、来ます !! 」
「回避ーっ !! 」
だがノイマンの必死の操縦を嘲笑するかのようにミサイルは両舷蹄部で炸裂する。
「両舷フライトデッキ、被弾ッ !! 」
再びチャンドラの報告が入る。
彼もナタルと同じ様に冷静でいるよう努めようとして……失敗していた。
「高度現在5m !! 両舷バランス、著しく不安定です !! 」
敵の攻撃をかわしつつも、高度計から地面すれすれを航行している事に気づいたノイマンが警告する。
「艦長 !! この陣容では対処しきれませんよ !! 」
パルがマリューの方をちらと見やり抗議するかのような口調で叫ぶ。
言われなくても…… ! と怒鳴りつけようとしてマリューはそれを必死で抑えた。
だが戦闘が始まってから今この時までそれを通し続け、やっと相手の戦力の三分の一ほどを削ぐほどに至ったのだ。
今更文句を言ったとて始まるまい。
すると、丘陵地帯の向こうから敵の戦艦が二隻のっそりとした動きで現れる。
恐らく王手(チェック)は近いと踏んで自ら出てきたのであろう。
モニターに映し出される相手の巨体にとめどない恐怖感がブリッジクルーを襲う。
マリューは思う。長い死闘はまだ続くのだと。
622:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/10/12 20:52:26
投下終了します。以前前後編になるかもと言っていましたが三部構成になってしまいましてすみません。
あと二十七話ってなってますけど二十八話でした。すみません。
チラ裏ですが最近00も始まって皆さんの話題も尽きないと思います。
それではまた後程。
623:通常の名無しさんの3倍
07/10/12 21:48:51
投下乙、まあ今回は普通に読めたね
続きは期待しないでまってるから
>>606-608
・そのまま風景画11枚目
・GX氏が合流したので月の公転4週目
・あるいはコーヒー1杯目
・X的にサテライトキャノン1発目
・カテゴリーF1人目
とか考えりゃあるだろーけど
「ガロード達が種・種死世界に来たら」をまず変えなきゃいかんと思うんだがどうよ?
624:通常の名無しさんの3倍
07/10/12 21:50:56
キラが仲間が居ることでだいぶ安定しているのが良いですね。
アークエンジェル大ピンチですけど。
ただ細かい誤字や
エールストライカーって推進剤で飛ばしてるだろうしバッテリー関係ないんじゃ?
等、気になるところも多々ありました。
625:通常の名無しさんの3倍
07/10/12 21:52:17
>>623
「ガンダムXと種・種死のクロスSSスレ」とか?
626:通常の名無しさんの3倍
07/10/12 21:54:30
>>623
機動新世紀ガンダムSEEDとか?
627:通常の名無しさんの3倍
07/10/12 22:05:52
そんなかんじってゆうかなんとゆうか
GX氏が合流してくれたからスレタイを変えた方がいいと思ったんだよ
流石に
Xキャラと種キャラがコラボしました
とかは不味いと思うけど
628:通常の名無しさんの3倍
07/10/12 22:10:04
AWとCEの人間が出会ったら見たいな感じかな?
それとももっと話を広げて、ガンダムXのクロスオーバー全般みたいにして、UCや他のガンダムも取り入れてみるとか?
629:通常の名無しさんの3倍
07/10/12 22:17:14
そういうのは旧板にいくつもあるから
どれもほのぼの路線だったり、シュールなギャグ路線だったりするが
630:通常の名無しさんの3倍
07/10/13 02:15:34
日登町が懐かしいぜ…
631: ◆L1QckJlrlM
07/10/13 05:02:16
皆様お久しぶりです
新たなる道の作者です。
前回投稿の次の日にサブを含めパソコンがクラッシュ、
ネットに繋ぐのに2ヶ月ほど掛かりました
現在内容を思い出してやっているのですが、
まとめサイトのほうが途中で切れていているのですが…
誰かあの切れている部分を持っている方はいないでしょうか?
あ、今ようやくトラとガロの2対2を書いています
投稿は…最悪でも今月中には…
それではよろしくお願いします
632:通常の名無しさんの3倍
07/10/13 09:13:56
投下のペースは気にしなくても良いよ、あんたのSSはおれ好きだからがんばって
後はフロスト兄弟のSSと保守作品(GX-ASTRAY)かな?
>>628-630
てかその話題後日談スレでもやってるんだけどな、あそこでラン家スレネタもやればいいだろとか思ったけど
あとスレタイは容量かレスがやばいときにまた考えよう、公転スレで無駄なレスのつけあいになったから
しかし・・・GX氏が日曜日に投下するがWスレのようにならないように気をつけなければな
633:通常の名無しさんの3倍
07/10/13 21:36:23
OOのOPに出てるティファの育ったの誰?刹那とガロティファやってるの
634:通常の名無しさんの3倍
07/10/14 19:00:32
>>633
マリナだろ?てか公式サイトぐらい見ておけよ
>>627
ウッソスレがあるんだし「Xキャラが種キャラと出会ったら」なり
「ガロード達がキラ達と出会ったら」でもいいんじゃない?
サブタイにあたる風景画は別に考えて
635:通常の名無しさんの3倍
07/10/14 21:08:51
>>634
「が」と「と」を逆にした方がいいな、それだと「ガロード達が種・種死世界に来たら」と同じで意味がない
「Xキャラと種キャラが出会ったら」か「ガロード達とキラ達が出会ったら」ならどちらの世界にいてもおかしくないし
636:通常の名無しさんの3倍
07/10/15 00:52:50
>>635
添削の人ですか?
どこで会ったか限定されるわけじゃなし、Xキャラメインになるなら
「ガロード達がキラ達と」のほうがなんとなくいいと思うけど……
ってか正直どっちでも(ry
637:通常の名無しさんの3倍
07/10/15 01:51:38
正直どっちでも(ryではあるのだが
別にXキャラメインとは限らないんだぜ
というかXキャラに触れることによって種キャラがうんたらすんたらどうたらこうたらで
その辺にカタルシスを感じるわけなのでむしろメインは種・種死キャラじゃね
638:通常の名無しさんの3倍
07/10/15 02:05:58
確かにどっちメインかはSS次第か。
639:通常の名無しさんの3倍
07/10/15 11:53:31
「キラ達」という表現には引っ掛かりしか感じないので「種・種死キャラ達」にしてくれ
640:通常の名無しさんの3倍
07/10/15 13:02:31
AWとCEが出会ったら
でいいよもう。
641:通常の名無しさんの3倍
07/10/15 13:29:29
>>636
俺は添削の人じゃないが彼がやらないならやってみようかと考えてる
今は亡き向上スレの叩き男氏や新人スレの批評家に比べれば拙いものだがね
まあやるにしても誤字脱字を指摘するぐらいだが
で、スレタイの話だが今のままじゃCEにXキャラがきたらってSSしか書けない訳だ
しかしGX氏が合流したからスレタイを変えないかって話になったんだろ?
俺が言いたいのはガロード達(Xキャラ、もしくはキラ達)がの場合だとガロード(キラ)達がメインになってしまうから
ガロード達、ないしキラ達とガロード達が出会ったらなら問題ないんじゃないかって言ってるだけだ
微妙なニュアンスで説明不足だったから申し訳ないとしかいえんな
642:通常の名無しさんの3倍
07/10/15 13:40:21
>>639
種死って言うのは語呂が悪いし種キャラで十分じゃね?
>>640
よけい意味がわからねーよ
てか一時中断しようぜこの話題、この空気じゃSSの投下もできないぞ
643:通常の名無しさんの3倍
07/10/15 13:52:04
ガンダムXと種・種死のクロスSSスレ
機動新世紀ガンダムSEED
Xキャラと種キャラがコラボしました
AWとCEの人間が出会ったら
Xキャラと種キャラが出会ったら
ガロード達とキラ達が出会ったら
ガロード達と種キャラ達が出会ったら
AWとCEが出会ったら
今のところスレタイの候補はこのぐらいか
この中から職人さん達に選んでもらったら?
あるいはスレを立てる人に任せるとか
しかしいい加減この話題飽きたな
644:通常の名無しさんの3倍
07/10/15 14:05:29
X本スレで曹操ガンダムが良いとか言ってた
三国志好きだから三国伝見てみようかな
645:通常の名無しさんの3倍
07/10/16 22:24:43
ガンダムVSガンダムか・・・
646:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/10/17 03:57:40
投下します。間をかなり開けてしまい済みません。
機動戦士ガンダムXSEED 第三十話「お疲れ様。」
ガロードはトリケロスからビームサーベルを繰り出し、バクゥを切りつけにかかる。
「おりゃああああっ !!! 」
前の右足をもらおうと切りつけると、案の定敵機は一歩引いた姿勢でそれを避ける。
その次の出方は……既に掴んでいた。
バクゥは足をキャタピラに変形させ更に後方に下がって距離を取った後レールガンを発射する態勢に移る。
だがそれは火を噴く事は無い。
ガロードがブリッツの姿勢を下げ、思いっきり前に踏み込みバクゥの様に出来るだけ高速で撹乱する様に移動しながら接近し、目標としていた右の前足を刎ね飛ばしたからである。
正直な話、そこまでコクピットを集中的に狙う必要性はそこまでない。
寧ろ足の一本でも切り落とすか圧し折るかしてやれば機動性に相当な枷が出ると踏んでいたからだ。
それに獣の様な姿で右へ左へと飛び回る動きは、目が慣れてくると案外掴みやすいものとなった。
ザフトの軍人は『このMSに乗った時はこのように動かなくてはならない。』というのを地でいっているのがよく分かるきっかけともなったが。
しかし相手もなかなかにしてしぶとい。
残された足を必死に動かして地面を這いずり、ブリッツに再び狙いを定めようとする。
だがその様子に気づいたキラが後方からビームライフルで上手く撃ち抜いた。
腹部が貫かれたバクゥはその場で一瞬スパークし、爆発する。
そのキラも別の二機のバクゥにとりつかれだしたので身動きが上手く取れなくなった。
その様子はまるでうっかり野犬の群れに襲われだした新米兵といった感じだ。
ガロードはストライクの援護に行きたかったが、あっという間に両側からサブフライトシステムをやられ地上に降りたジンが二機同時に迫ってくる。
先ず左側の一機に向かってグレイプニールを放った。
クローが相手機の頭部を吹き飛ばし、その場に硬直したのと同時に右側の機体は反対側の味方機に当たらぬよう位置を変えて射撃を始める。
クローを戻してその方向を向いたブリッツは直ぐに猛然と走り出す。
そしてトリケロスからビームサーベルを出し、必死に動きで惑わそうとする相手の右腕を切り落す。
そして仕上げとばかりに、ほぼ零距離から上下半身の境目辺りにグレイプニールを撃ちこんで相手機を沈黙させた。
これで前方から来たジンオーカーと後方から来たジンは全て屠った事になる。
そして目的の物……射撃の出来る飛び道具、重突撃機銃も手に入れる事が出来た。
レーザー砲から出されるレーザー波は確かに空気中では見えないが、その波が拡散して味方に当たりでもしたら洒落にもならない。
尤も、右腕に持つのは最初から無理だとして左手に持つとしても、グレイプニールが邪魔にならないか心配だったが。
ふとメインカメラを少し離れた場所にやると、二隻のピートリー級の戦艦が出撃した直後の時よりかなり突出していた。
それぞれは単装砲と連装広角砲の合計9門を絶え間なく撃ち、既に傷だらけのアークエンジェルに更に新たな傷を作っていく。
647:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/10/17 03:59:31
再びモニターを元の位置に戻すと、今度はキラの相手をしていた一機のバクゥが、骨のある相手を見つけたとばかりにこちらに向かって突っ込んできた。
また少し離れたアークエンジェル側からも最後に残されたザウートが駆動系の限界を無視したかのような動きで向かってくる。
ガロードはジンの落とした重突撃機銃を左手に持ち、バクゥにその狙いを定めて思いっきり引き金を引く。
しかし標的は左右に上手く避けながらこちらにミサイルを乱れ撃ちしてくる。
ガロードはここまでにザウートは動きが遅いというのを、キラが戦っていた時に一種の見方として出していた。
そこで、先ず動きの速い相手を優先的にしとめるべくバクゥの方向に時計回りに回り込むようにして接近する。
そしてバクゥとすれ違う一瞬に残された一本のランサーダートをそのボディの首筋付近に撃ちこむ。
流石の威力にバクゥは頭部と胴体部が完全に分離し、胴体部は轟音と共に四散する。
そして火の粉混じりに立ち昇る爆煙の脇からあのザウートが出て来る。
今度はこの重突撃機銃でもどうにかなるだろうと思ったガロードは、相手に狙ってトリガーを引く。
しかし、敵機は当たりそうになる寸前でタンク形態となって回避し、弾丸は虚空を空しく薙いでいく。
次に角度や方向を様々な物にして撃ってみるが、上手く当たらない。
当たったとしてもボディの、それも活動には何の支障もなさそうな場所を掠めていく程度だ。
お返しとばかりにザウートが、両肩合計4門のキャノン砲を殆ど一発の無駄も無くブリッツに発射する。
その命中精度と動きからガロードは被弾しながらも気づく。
乗っているのはかなり戦闘慣れしたプロなのだと。
それの更なる証拠にMS形態の時は鈍重極まりない動きだというのが分かっているのか、殆どがタンク形態での攻撃に絞られていた。
また格闘攻撃を持たないが為に迂闊に近づくといった動作もしない。
なら、そういう人間が出くわした事の無いような戦法を取って対処すればいい。
とは言ってもそうそう簡単にそんな戦法が思いつくわけではないが。
そんな時、ブリッツのメインモニター隅に先程の爆発で吹き飛ばされたバクゥの頭部がちらと映った。
これを使えば、或いは…… ?
その時止めといわんばかりにザウートが全ての砲を撃ってくる。
ブリッツは右方向に前転しながらグレイプニールを開き煙に紛れながら相手に分からぬようバクゥの頭部を掴む。
中距離以上を保ちながら戦っている相手には接近戦を持ちかけるしかないし、意表をつく手段としてはこれぐらいしか無い。
機体にキャノン砲や副砲の弾が度々直撃するのも構わず、ガロードはブリッツのバーニアを吹かし敵機に接近する。
「こいつを喰らってみやがれええっっ !!! 」
互いの距離が20m程をきった時、ガロードはグレイプニールを相手の真正面に撃ちこみ、勢いを付けた状態でバクゥの頭部を相手のメインカメラの辺りに叩きつける。
接近戦を挑んでくると思い込んでいた相手は、いきなり正面に有り得ない物を映し出されたせいか一瞬動きを硬直させる。
その次の瞬間には大質量に因る攻撃の為、ザウートの頭部は大きく拉げスパークを繰り返す回線が機体との間に見え隠れしていた。
その機を逃さずガロードはザウートの前部を踏み台にしながら前転し、空中ですれ違い様にビームサーベルの付け根をその回線の集中している所に零距離で当てスイッチをオンにする。
ザウートは凄まじい音をあげ爆発し、ブリッツはその衝撃の為に上手く着地できずごろごろと転げる。
648:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/10/17 04:00:40
ザウートも、ジンオーカーも、空中を飛んでいたジンも全機連係プレーで墜としきった。
後はキラの援護に回らなくては…… !!
だがその時遂に恐れていた事が起こった。
けたたましい警告音がコクピットに鳴り響き、ブリッツのフェイズシフトがダウンしたのだ。
また時をほぼ同じくしてアークエンジェルも機関部とバランサーが持たなくなったのか、地表に力尽きたかのごとく機体が落ちた。
空中の様子は最早飛んでいる戦闘ヘリと戦闘機はムウとカリスを除けば残り一機になっている。
ガロードは再び右手で重突撃機銃を握りキラの方向へと走る。
キラは丁度その時ビームサーベルをバクゥの頭部に突き刺し、止めとばかりにその胴体にビームライフルを撃って二機目をしとめていた。
だがそこに生まれた一瞬の隙を突いて残された最後のバクゥが、ストライクの死角を突いて突進してくる。
ガロードはブリッツを走らせながら大急ぎで機銃を構えバクゥに向かって撃った。
弾丸はレールガン発射機の付け根を捉えそれと機体とを分けるには至ったが、機体自体を捉える事はなかった。
後方からの攻撃にバクゥはその方向に向かって猛然と走り出す。
ガロードは再び機銃を撃とうと試みたが、最悪な事にトリガーを引いても何の反応もない。
機銃は既に弾を切らしてしまっていたのだ。
「ガロード !!! 」
ブリッツのフェイズシフトが落ちている事に気が付いたキラの大声がガロードの耳に入ってくる。
敵機はどんどん近づいてくる。
その時、モニターに戦闘の最初の段階でジンオーカーをしとめた際に使ったランサーダートの一本が映った。
ブリッツはバクゥの方向に向かって用の為さなくなった機銃を残された力で放り投げ、よろめくような姿勢でその一本を掴みにかかる。
バクゥはその鼻っ面に思いっきり機銃を当てられたせいか、その場で数秒硬直してしまう。
その数秒だけでも十分と言えた。
「うおおおっっっ !!! 」
ガロードが発する、あらん限りの声がその場に響き渡る。
槍の如きランサーダートの一本はその数秒の間にバクゥの機体をメインカメラから首の付け根までの間をあっという間に突き抜けた。
相手機は機体全体からスパークを起こしながらその場にドテッと倒れこみ、次いで強烈な爆発を起こす。
その炎と衝撃は自分を沈めた事への最後の足掻きの如く、直ぐ側にいたブリッツを巻き込んだ。
「ぐああぁぁっ !!! 」
コクピットの中でむち打ちを起こしかねない衝撃に襲われたガロードが呻く。
更に機体は激しく地面に叩きつけられ、ブリッツは後背部のバーニアを大きく破損してしまう。
だが遂に最後のバクゥも沈んだ。
ノイズと砂嵐混じりのブリッツのモニターが映す空を仰げば敵機は一機もいなかったが、やはり機体のあちこちに損傷を負ったスカイグラスパーと、
実体弾の爆発に因る煤で黒ずんだベルティゴが滞空していた。
肝心の敵戦艦は全てのMSと戦闘機、戦闘ヘリが墜とされた事から、砲撃は一種の小康状態となっていた。
「……終わった……のか ? 」
苛烈極まりない戦闘が一時的にせよ終わった事に因る安堵感からか心なしか口にする言葉が震える。
終わったとそう信じたい。
だがそうとは思えていない者が一人いた。