なにそのツンデ霊★九人目☆at OCCULT
なにそのツンデ霊★九人目☆ - 暇つぶし2ch150:本当にあった怖い名無し
08/10/13 11:15:59 ejKZzWmU0
うちのじいちゃん家、テレビは二台。
一台は普通。地デジ対応の大型テレビ。
もう一台はおんぼろ。
チャンネル変えるのにつまみをガチャガチャ回さないといけないタイプ。
古いテレビはじいちゃんでないと扱えない。
ばあちゃんや僕たちがいじっても、まともには映らない。
じいちゃんが、ニコニコしながら優しく撫でると、
我慢すれば見られるくらいの画像が映る。
じいちゃん一人の時は、もう一台のテレビに負けない綺麗さらしい。

151:本当にあった怖い名無し
08/10/13 22:10:52 ejKZzWmU0
>>146より妄想

最近取り憑いたコイツは0感。
ちょっと寂し…む、無視されるのがつまらないから、
仕方ない、あたしの事に気付かせてやるか。

とりあえず、あたしに出来る事は、と。
お、あたしが触ってるとパソコン動かないじゃん。
よぉし、このままこれで焦らせてやる。
…って、え、や、ちょっ…!?
…び、びっくりした。もう少しでアイツの手があたしの手に触れそうに…。
っていやいやあたし!逃げちゃダメじゃん!
んー、仕方ないなぁ、今度は、うん、テレビにしよう。
リモコンだから触られないよね。
…って、何でこっち来るの??
あの、えと、あぅ、やだっ!!

……また逃げちゃった。
アイツ、わかってやってるわけじゃないんだよね?
…えと、悔しいからまたチャレンジするんだから、うん。

152:本当にあった怖い名無し
08/10/14 09:48:32 +6uJyiauO
乙一の「しあわせは子猫のかたち」が、ツンデ霊だと思うのだがどうだろうか?

153:本当にあった怖い名無し
08/10/17 23:48:43 F5oz+CGXO
…まとめwiki更新…ふんっ///だっ誰がお礼なんて…///    ……アリ…ガト

154:本当にあった怖い名無し
08/10/19 01:56:47 K7ujO4w/0
遅いがな

155:本当にあった怖い名無し
08/10/21 01:33:42 RGS0jnQI0
まァそう言うな
>>153も言おうかどうしよか3日悩んでようやく言う気になれたんだろう
その気持ちを汲んでやろうじゃないか

156:本当にあった怖い名無し
08/10/21 10:52:41 LENtVL/n0
空気読めない俺。
前スレで書いた霊刀霞さんの新話を書いた。
相変わらずの無駄な長文三文小説だが、今から投下する。
20レス程消費する予定。

157:1
08/10/21 10:56:09 LENtVL/n0
年経ると、動物や自然物、人工物にも魂が宿ると言う。
彼女もそういった存在だ。日本刀に宿る魂、名を霞という。
縁あって、現在は隆弘という少年と行動を共にしている。

「…で、あれが信号。交差点で車や人がぶつからない様に、進めとか停まれとか合図するもの」
盆を過ぎたとある夏の朝。まだ日の出前だが、ウォーキングやペットの散歩など、出歩く人はそこかしこに見られる。
その中に、周囲からはやや浮き気味に、隆弘と霞の姿もあった。
少年はTシャツにトレーニングパンツという特におかしな所の無い服装だ。
一方傍らの凛とした美女は、着物に袴という時代劇から抜け出したような格好である。
だが誰一人として彼女に視線を向ける事はない。
その姿は少年にしか見えていないからだ。
少年が浮いている理由は、片手に携えた中身入りの太刀袋と、独り言にしてはかなり大きい声。
すれ違う際にあからさまに距離をとる者も少なくない。

158:2
08/10/21 10:57:43 LENtVL/n0
『隆弘。何故そこかしこのものを一つ一つ説明しているのか』
「だって霞さん、まだ今の時代の事よく知らないんでしょ」
『うむ』
「だから説明しようかなって」
人のよさそうな笑顔の隆弘に対し、無愛想な態度で返す霞。実際は、彼女の方がかなり周囲を気にしていた。
『拙者は他人には見えぬ。もう少し声量を落とした方が良いと思われるが』
「…そう?」
今一わかっていない少年に、美女はやや困惑気味に柳眉をひそめた。それからふと思い出して言葉を続ける。
『それに、拙者は、同調すれば相手と記憶を共有する事もできる』
先頃はその同調―簡単に言えば憑依―によって共に強敵を退けた。だからこそ、それ程深くは考えずに思い付きを口にした。
「ふーん」
彼女の言葉にちょっとだけ意外そうに霞を見る少年。先ほどまでの笑顔は消えている。
「でも僕そういうの嫌だな」
『―!む、無論記憶云々はまず相手の同意があってからの話だ』
慌てて取り繕う。内心は後悔の嵐だが、武士たるもの無闇に感情を顕にしてはいけないと自制しているので、結局無愛想になるしかない。
「そう?」
『そうだとも。拙者は武人だからな。そのような無礼な振る舞いはせぬ』
それ程厚みのない胸を張ってみせると、納得したのか少年の顔に笑顔が戻った。
霞も、つられたように表情を緩めかけ、それに気付いて慌ててそっぽを向く。
『と、兎に角だ、説明は有難いのだが、もう少し周囲を気にした方がよい』
「んー、難しいなぁ。僕からすると霞さん、普通の人と変わらないから」
『そ、そうか』
無表情を装いつつも、少年が自分を生きている人間と同様に扱ってくれる事が、経験の少ない霞には嬉しい反面非常に気恥ずかしい。
よく見れば、頬が朱に染まっているのがわかる。
のだが。
「あ、じゃあ、幸樹呼ぼうか。二人なら会話してるように見えるし」
『…え、と?』
思い付きを即行動に移す少年に、虚を突かれた霞は対応出来なかった。
「あ、これ、携帯電話。遠くの人と話が出来る道具。―あ、おはよう幸樹」

159:3
08/10/21 10:59:22 LENtVL/n0
爽やかな笑顔の少年と仏頂面の連れ達は、揃って大きな家の門をくぐった。隆弘の生家、地元ではかなりの名家である。
「ああ、走るの久しぶりだったけど気持ちいいね」
「そうかい」
小一時間ほど汗を流し、そろそろ気温も上がり始めたので引き上げてきたところだ。
玄関を上がると、連絡を受けていた隆之の母親が苦笑交じりに出迎えた。
「あらあら幸樹君、何時も御免なさいね」
「慣れてるんで」
「朝ご飯食べてってもらうから」
「はいはい、準備してありますよ」
そのまま居間に移動した。暖かい純和風の食卓を囲んで三人が談笑しながら食事する間、霞は所在無さげに縁側に腰を下ろしていた。
霞の事は、母親には内緒にしてある。余計な心労をかけるだけだと霞本人が引き止めた。
自分で申し出た事とは言え、こういう状況は酷く孤独に感じてしまう。
やや俯き加減になっていたのだが、ふと、何か気配を感じて振り返る。
居間を挟んだ廊下の向こう側で、何者かがこちらを伺っていた気がしたのだが。
「幸樹君、どうしかした?」
母親の声に意識を戻す。霞と同じ方向を、幸樹も何故か不満げに伺っていたようだ。
「…いや、何でもないです」
そう言って食事を再開する幸樹。不思議そうに顔を見合わせたものの、親子は特に追究することもなく、再び世間話に戻った。
そんなこんなで食事が終わる頃になって、そうそう、と母親が切り出した。
「お願いがあるんだけど」

160:4
08/10/21 11:01:33 LENtVL/n0
朝食が済むと、三人は敷地内にある蔵に向かった。
母親の頼み事―前日に隆之の従兄がTV番組に出場するのだと言って蔵の中を物色して行ったのだが、その後片付けをするためである。
確かに蔵の中は、事情を知らない者が見たら泥棒に入られたと思われる程に荒らされていた。
ぶつぶつと文句を垂れながら、床に乱雑に置かれた古民具等をひょいひょいまたいで奥に進む幸樹。
「くそ、とっとと片付けるぞ。お前ん家、長居すると碌な目に遭わないからな」
その言葉が終わらないうちに、ぱこん、と小気味いい音が響いた。どこからともなく降ってきたダンボール箱が、幸樹の頭に着地した音で

ある。
「…くっそー」
頭を押さえつつ空箱を蹴飛ばす親友を不思議そうに見ていた少年だが、傍らの美女は得心が行ったという風だ。
『どうやら幸樹殿は、霊媒体質のようだな』
「れいばい?」
『霊的な干渉を受けやすいと言う事だ』
「ふうん」
そんな話聞いたこと無いなぁと呟く少年を背に、霞は油断無く闇の向こうを睨みつけていた。
小さな影が一つ、闇の向こうに消えるのを見たからだ。

161:5
08/10/21 11:02:39 LENtVL/n0
二時間で荒らされた蔵を片付けるのに、結局半日近くかかった。
幸樹の頭に、空箱や蛇や古本や古着が降った以外には特におかしな事はない。
「ご苦労さん」
「二度とやらん」
隆弘の倍は埃まみれになっている若者は、差し出された麦茶を受け取り、何故かそのまま固まった。
「幸樹?」
何事かと顔を覗き込むが、幼馴染の表情は完全に不機嫌な状態だ。
よく見るとグラスを握る腕はかなり力が入っているのか、筋や血管が浮き上がり小さく震えている。
霞には、その腕に幼い子供―ただし、額からは角が生えている―が二人、楽しそうにしがみつき、ぶら下がっているのが見えていた。
『これ、童。悪戯が過ぎるな』
呆れつつも手刀で薙ぐように払うと、幼児は威嚇の為か歯をむき出しつつも慌ててとび離れた。
と同時に突然枷を外された腕は勢い余って振り上げられ、グラスの中身を己の頭にぶちまけてしまう。
「糞餓鬼が」
壊れそうな勢いでグラスをテーブルに置く幸樹。だが何が起こったのか今一解らない親友に説明するつもりはないらしい。
『どうやらこの家には良くないものが居るようだ』
代わりに厳しい顔で霞は告げた。

162:6
08/10/21 11:04:04 LENtVL/n0
先にシャワーでさっぱりとしてから、三人は隆弘の部屋に移動した。
ベッドには隆弘、幸樹は床に直接座り、霞は専用に用意されている座布団に正座する。
大まかに霞から説明を受けたものの、少年には今一実感がわかないらしい。
「視えるの?」
不思議そうに、幼馴染に問いかけた。
「視えん、聴こえん。触れられたり気配を感じたりはするが、いつもガン無視してやる」
アイスバーを頬張りながら、未だ怒り収まらないのか鼻息荒く言い切る幸樹。
「霞さんの事は?」
「同じだ。普通じゃないって感覚だけわかる」
『要するに常人より勘が鋭い程度で収まっておると言う事か』
霞がまとめたが、それでも納得がいかないのだろう。首を捻っている。
『それより今回の事象に心当たりは?』
「守り神様かなぁ?」
『何者だ?』
少年の呟きを、霞は鋭く聞き咎めた。
「守り神様は、家の守り神様だって聞いたよ」
「説明になってねぇ」
返す言葉を失った美女の代わりに突っ込む幸樹。
「だって、僕はそうとしか聞いてないからなぁ」
『幸樹殿は何か気付いた事は?』
天然についていけないのか複雑な面持ちで視線を移す霞。同様に隆弘が顔を向けた事で漸く、若者は自分が何か問われていることに気が付いた。
「説明を端折るな。聴こえねぇつったろうが」

163:7
08/10/21 11:07:04 LENtVL/n0
広い屋敷の一角、普段は使われていない別棟にある廊下。雨戸も締め切られたままになっているため、かなり暗い。
「餓鬼の頃、ここで散々酷い目に遭わされた」
「ああ、家の中で神隠しに遭ったっけ」
思い出に耽る二人をさておいて、霞は辺りを伺った。
成る程、廊下の突き当たりに鬼門が口を開けている。そこから子鬼が出入りを行っているのも見えた。
『隆弘、同調してもらえぬだろうか』
「あ、うん」
少年は刀を鞘から抜き放つ。
親友に見守られる中、刀身から放たれたほんのりとした輝きは青いオーラとなり、炎のように少年の体にも移り、全身を覆う。
『視えるか』
「うん。凄いねぇ。大きな穴が開いてる」
『塞いでおこう。やり方はわかるな?』
「大丈夫」
返事をすると同時に少年から穏やかな雰囲気が消失した。代わりに放たれる心地よい緊張感に高揚したのか、白刃が微かに震える。
若武者は正眼に構え、鋭い呼気と共に一撃を放った。青い輝きが通り過ぎた直後、闇はにじむようにかき消える。
「ご苦労さん。じゃ次行くか」
『何!?』
「まだあるの!?」
「何故か知らんが、前来た時よりは増えてる感じだな」
面倒臭そうに頭を掻く幸樹。仕方ないねと嘆息しつつ、隆弘も刀を鞘に納めると、歩き出した。
もう一度鬼門のあった辺りを見やってから、霞も追従する。
と、幸樹の肩からきらりと流れる光の筋が見えた。近寄って確かめてみたが、蜘蛛の糸が風に揺れているだけだ。
『…まぁ無理もないか。ここも長い事手入れされておらぬようだし』
ほんの少し違和感を感じたが、気にするほどの事ではあるまいと、放置した。

164:8
08/10/21 11:09:19 LENtVL/n0
幸樹の勘だけを頼りに回る為、三箇所目の穴を塞いだ頃には、太陽は西の稜線に差し掛かっていた。
「これで一旦帰るわ」
早朝から動き通しの為、さすがに疲労が顔に表れている幸樹。「泊まってく?」という隆弘に「嫌」と即答し、さっさと屋敷を後にした。
「幸樹でも疲れるんだねぇ」
『小鬼に絶えずちょっかいを出されておったし、余分に気を消耗したのだろう』
こういう時には妙に目端の利く少年は、美女の姿が何時もより朧げになっている事にも気付いていた。
「霞さんも今日はありがとう」
『む…別に、取り立てて礼を言われる程の事はしておらぬ』
が、彼女が慌ててそっぽを向く理由には何故か思い至らない。真っ赤になった顔を見られまいとしていただけなのだが。
「霞さんって幸樹に似てるよね、ぶっきらぼうなとことか」
『…ぅぁ…』
霞は言葉を失うしかない。意図通り顔は見られていないようだが誤解されるのもと言うか何故比較対象にあの男…と内心はかなり複雑だ。
だが、ふと嫌な気配を感じて顔を上げた。
ほぼ同時に玄関横の部屋の襖が開き、奥から人影が現れた。隆弘の母親だ。淡い色のスーツを身にまとっている。
「あれ、母さん。出かけるの?」
「ええ」
いつものやわらかい笑顔で、けれどどこかしら感じる違和感。
霞が警告するべきか悩む間も、母親は言葉を続けながら少年に近づいた。

165:9
08/10/21 11:13:26 LENtVL/n0
「母さん婦人会に行くから」
「うん」
少年は、完全に油断していた。脇を通り過ぎる女性から、つ、と伸びた手に左手を掴まれても反応できなかった。
「『だカラ、アソボウ?』
勢いよく捻りあげられた腕から、ごきりと鈍い音が響く。
突然の激痛に思わず取り落とした刀を、母親は笑顔のまま玄関の三和土まで蹴り飛ばした。
「母、さ、ん?」
『違う!』
霞の声は、悲鳴に近い。
品の良い中年女性の華奢な体躯が内側から盛り上がり、弾けるように一瞬で掻き消えた。
代わりに現れたのは、廊下の幅一杯を占める程の屈強な巨体。頭に生えた緩やかに湾曲する角は、天井にこすれそうになっている。
にたにたと下卑た表情で嗤う鬼は、少年をそのまま宙吊りにすると、もと来た場所―玄関横の部屋へ戻るべく向きを変えた。
開いた襖の向こうには、光の届かぬ穴が口を開けていた。
『手を!』
短い言葉が示す意味を一瞬で理解し、少年は僅か先に立つ美女に向けて拘束されていない手を伸ばす。
触れれば、同調すれば、使用者の手を離れている刀でもある程度まで移動する事ができる。
だがそれより早く、闇の中から無数の手が伸びて少年を絡めとった。
『隆之!』
霞が必死に伸ばした手は、虚しく空を掴んだだけだった。

166:10
08/10/21 11:14:48 LENtVL/n0
『どうしようどうしようどうしよう』
立ち竦み、唇を噛み締める。使用者が居ない今、霞はその場から動く事さえ儘ならない。
悔しさと不安と自身に対する怒り。零れる筈のない涙で視界がにじむ。
と、突然背後で玄関が開いた。残党がいたかと慌てて身構える。
「携帯忘れた」
『幸樹殿!』
先ほど帰ったばかりの若者の姿を捕らえ、美女の表情に光が差した。
何時もなら邪魔な存在としか思えないのだが、今回ばかりは唯一の助け手の登場に、僅かながらの安堵を覚えた。
一方の幸樹は、床に投げ出された刀に気付き、それから辺りを見回して親友の姿がないのを確認する。
どうやら自分が居ない間に良くない何かが起こったらしい。瞬時に理解し、盛大に溜息をついた。
若者が状況を知る為の手っ取り早い手段は、お互い良く理解している。
「触るけど怒んなよ」
『緊急だ、致し方ない』
幸樹は刀の柄を握ると、刀身を鞘から引き抜いた。

167:11
08/10/21 11:17:20 LENtVL/n0
踏み込んだ時には既に襖の向こうに開いていた筈の鬼門はどこにも見当たらなかった。
『く、閉じられたか』
頭の中だけで響く声はかなり大きく、幸樹は顔をしかめた。
「俺等どんだけ相性良くないんだろうな」
『下らぬ事を言っておる場合か!』
怒りをあらわに幸樹を睨みつける美女だが、その姿はすぐ傍だというのに若者の目に映っていない。
『くう、厄介な』
ほぼ完全な同調状態―その気になれば使用者の体を霞の意思のままに動かす事も出来る―になっている筈だが、この男が言う通り余程相性が悪いらしい。
「そういやアイツ携帯持ってってるよな」
『何をしておるか!?』
屋敷奥へ向かう若者を制することすら出来ない。
「心配すんなよ、ちゃんと探してやるから…―とあったあった」
隆之の部屋に忘れていた携帯電話を見つけると、幸樹は早速ボタンを操作した。
「餓鬼の頃、携帯持ってりゃなー、と思ったもんよ」
通話口から続く呼び出し音。
ふと、聞きなれない音が微かに響いている事に霞も気が付いた。
「…仏間か?いや、あそこか…?」
『…?』
勝手知ったる何とやら、幼い頃から遊び場だった屋敷を迷うことなく進む若者。
微かだった音が次第にはっきりとした旋律を伴い、やがてある部屋の前に到達した。
「開かずの間。守り神様の部屋だからだとさ」
説明しながら襖を開けて中へ入る。
八畳ほどの部屋は手入れが行き届いていた。
明かりはなく、雨戸も締め切られているが、小さな光を伴いながら軽快な音楽を発する携帯電話はすぐに見つかった。
奥のほうに設置されている祭壇の前だ。
そして、そこにも鬼門が一つ、深い闇の口を広げていた。

168:12
08/10/21 11:20:21 LENtVL/n0
上も下も塗りつぶされた闇の中を、二人は早足で進む。
この穴は鬼達に使われていないのだろうか、今のところ何の気配もない。
『守り神とやらが、手助けをしてくれているのだろうか』
我ながら楽観的な事を言っていると自嘲していたが、返ってきた返事は「そうかもな」というものだった。
『幸樹殿は守り神に会った事が?』
「…あれを神様と呼ぶにはちと抵抗があるが」
嫌な事を思い出したというように渋面になる若者だが、霞にとってはそれは隆弘が助かる可能性が高いという朗報だった。
『急ごう』
「…あんま期待しない方がいいぞ」
急かす霞だが、幸樹の方は今一足取りが重い。
やがて突然視界が開けた。より広い場所へ到達したのだ。
無数の鬼が思い思いに蠢いている様子から、どうやら鬼の住処らしい。
『まずいな、一旦退いて身を隠すべきだ』
その言葉が終わらないうちに、見張りだろう一頭の鬼がこちらに気づき、大声で吼えた。
鬼が、いっせいに振り向いた。

169:13
08/10/21 11:24:06 LENtVL/n0
「おぅわっ!」
辛うじて体を捻るのが間に合った。風を切る音とともに、丸太のように太い腕が幸樹の脇をかすめていく。その風圧だけで体が流されそうになるが何とか踏みとどまった。
『体を貸せ!全て切り伏せる!』
「そんなほいほい貸せりゃ苦労しねえよ!」
襲い掛かってくる鬼に対してなりふり構わず刀を振り回す幸樹だが、剣術に関して素人なのはすぐに見透かされ、威嚇にもならない。
あっという間に取り囲まれてしまう。
『ならば、仕方ない』
(何だ!?)
声の響きに感じた違和感に、幸樹の背筋に悪寒が走った。戦いの最中だというのに手中に視線を走らせる。
刀身からゆらゆらと立ち上っていたオーラが、染み込むように消えていくのが見えた。
異変を好機と見たのか、鬼が数体まとめて襲いかかった。振り上げられた鋭い鍵爪が到達するまさにその瞬間。
凄まじい旋風のように白刃が閃き、赤い飛沫を伴いながら鬼の体を寸断した。
一瞬たじろいだ鬼達だが、すぐに数に任せて猛攻を開始した。それらを若者は先程までとは別人のような滑らかな動きで切り伏せる。
鬼を見据える瞳の奥で燃える青い輝きは、先ほどまで刀身から放たれていたものと同質だった。
(あー糞、冗談じゃねぇぞ)
頭の中で微かに響く声。
「許せ、隆弘を救うためだ」
幸樹の唇から紡がれたのは、女の―霞の声だった。
そのまま鬼の屍を越えて駆け抜けた。さざめく鬼の垣を切り払い、さらに奥へと向かう。
視線は少年の姿を求めて彷徨っていた。

170:14
08/10/21 12:36:36 LENtVL/n0
完全に憑依した状態が負担をかけているのは明らかだった。若者の顔が見る見る憔悴していく。
「長くは保たぬか」
焦りは隙を生むとはわかっているものの、このままでは鬼の巣の中で力尽きてしまうのは明らかだ。
その前に隆弘を見つけ出したいのだが、肝心のその姿は何処にも見当たらない。
既に、鬼の手に掛けられてしまったのだろうか。
(もう少し冷静になれよ)
「わかっておる!」
不安を紛らわせるためか、ぎしりと音を立てそうな勢いで奥歯を噛み締める霞。
そのまま横に凪いだ刃は、鬼の体にめり込んだものの背骨を断ち切ることが出来ずに止まった。
引き抜く為に僅かに動作が遅れた。
鬼が、一斉に飛び掛ってきた。

突如上空から白い糸が降ってきた。投網のように中空で広がり絡み合い、あたり一面を覆い尽くす。
もちろん中心で暴れていた霞と幸樹とて例外ではない。だが、纏わり付こうとしたそれは、鬼に対して構えていた一刀で辛うじて切り払えた。
「これは…蜘蛛の糸、か?」
通常の数十倍の太さを備えるその糸は、高い粘度を備えていた。一度捕らえられてしまうと、逃れるにはかなりの時間を要するだろう。霊刀とは言えそれを切れたのは幸運に近い。
『暴れてるのは誰だろうねぇ』
上の方、糸が放たれた辺りから女の声が響いた。糸に絡め摂られた鬼達が、一斉に悲鳴を上げる。
『新手か』
身構えようとする霞だが、幸樹の反応は鈍い。より正確に言えば、再び自律行動を取り始めていた。
『幸樹殿?』
「来た来た来た来た」
顔を引きつらせてじりじりと後ずさる。
そうしている間にも、粘つく糸を音もなく伝い、声の主は現れた。
霞よりもやや年上の、肉感的な美女だ。
身に着けている色鮮やかな着物は胸元が大きく開いており、ただでさえ豊かな乳房がこぼれそうになっている。
同様にはだけているへその辺りから下は、八本の足と、黄と黒の縞模様の巨大な腹、巨大な女郎蜘蛛へと変わっていた。

171:15
08/10/21 12:38:23 LENtVL/n0
『煩いのは嫌いだと、言っておいた筈だがねぇ?』
さも面倒臭そうに、長い黒髪を掻き揚げながら蜘蛛女は辺りを見渡していた。
『黙レ!此処ハ元々我等ノ住処!!我ノ封印ガ解カレタ今、貴様ノ好キニハサセヌ!』
女の言葉に反応したのは、少年を連れ去った大鬼だった。どうやら群れの頭らしい。網の範囲内からぎりぎり外れた場所に一頭だけで立っていた。
その姿を見た瞬間に飛び掛かろうとした霞だが、幸か不幸か既に体の主導権は幸樹が完全に取り戻している。
仮に霞の意思通りに動けたとして、周囲を覆う蜘蛛の糸に足を捕られて三歩も進めなかっただろう。
霞達を気に留める事も無く、鬼と蜘蛛女のやり取りは続いていた。
『アノ小僧ヲ殺セバ祭ル者ノ血ハ絶エル!サスレバ貴様モ力ヲ失ウ!』
『ふぅん、そう。で?』
『グゥ…!!』
鬼と蜘蛛女は対立しているらしく、そして優位に立っているのは明らかに蜘蛛女の方だった。
『隆弘は何処だ!?』
割って入る形で大声で霞が問いかけると、大鬼はすさまじい形相のままこちらを睨みつけてきた。
蜘蛛女の方も、何故か不機嫌そうに霞に視線を移す。
『何処だ!』
重ねて問いかけると、大鬼ではなく蜘蛛女の方が動いた。
右手を上げ、指先をちょいちょいと動かすと、糸に支えられた少年がおろされてきた。
妖艶な美女は、気絶しているのだろう、ぐったりしたままの少年を両手で受けとめ、胸元へ抱き寄せた。
『鬼共が嬉しそうにしてるんでねぇ、ちょいと横から拝借してやったのさね』
蠱惑的な笑みを浮かべて、少年の髪に白い指を絡める蜘蛛女。
「うあっつ!」
突然の静電気に、幸樹は思わず刀を取り落としそうになった。
気が付くと正面に、ぼんやりとした女侍の背が見えていた。

172:16
08/10/21 12:40:23 LENtVL/n0
その場を支配する雰囲気は、先程とは明らかに変化した。
ぴりぴりと張り詰めた空気に、幸樹のみならず網から逃れようともがいていた鬼達さえも、息を殺して身じろぎすらしない。
唯一、空気に呑まれたのかやや遠慮気味にではあるが、主導権を取り戻そうと大鬼が声を上げた。
『ソノ小僧ヲ寄越セ―』
『黙れ』
『お黙り』
二人の美女に同時に睨まれ、慌てて口をつぐむ。
周囲の状況を他所に、美女達は再度向き直った。
『守り神とは貴女の事か』
一切の表情を消して蜘蛛女を見据える霞。
一方の蜘蛛女も、口元には笑みを浮かべているものの、瞳の底は底冷えするような冷たい光を帯びている。
『知らないねぇ。巣の端の上に住んでいる人間が、勝手に祭っているみたいだけど』
『では、其の者に用は無いな?ならばこちらに引き渡して頂こう』
『あんたに渡さなきゃいけない理由は何処にもないねぇ』
『いいや』
霞は決意を確かめるように一瞬目を伏せた後、真っ直ぐに、少年の姿を見つめた。
『拙者は隆弘の守護者だ。証明する者も居る。―…幸樹殿?』
「ああー、はいはい」
やや他人事風に返事を返す若者に微かに眉をひそめながら、霞は蜘蛛女に視線を戻した。

173:17
08/10/21 12:42:25 LENtVL/n0
『…ふぅーん』
つまらなさそうに鼻を鳴らすと、蜘蛛女は名残惜しそうに指先を這わせつつも、素直に少年を地へ横たわらせた。
『何をしておる幸樹殿。早く隆弘を背負わぬか』
「俺疲れてるし、乳魔神に担いでって貰えばいいj」
『いいから早くせい!!』
(うわメンドクセー)
内心毒づきながら少年の元へ向かう。覚醒を期待して軽く揺すってみたが、それは叶わないらしい。仕方なく背負う。
その間も、二人の美女の対峙は続いていた。
『まだ随分とお若いようだけど?鬼如きにさえ遅れを取る様なお嬢ちゃんに、守護者なんて務まるのかねぇ?』
『ご心配無く。足元で騒がれて漸く気が付くご老体とは違います故』
『そうかい。それならここいらの土地の守護もお嬢ちゃんにお任せした方がいいかも知れないねぇ?』
『それ程には拙者は厚かましくはありませぬ』
(色々ツッコみてぇが口出したら死ぬだろうな)
『…ほほほ』
『…ふふふ』
表面上はにこやかな笑顔の美女達に挟まれた形で立つ若者は、ただ早く帰宅したいとそればかりを願っていた。


三人が鬼の巣を立ち去った直後。
『あんな小娘に、縄張りにずかずか踏み込まれてるなんて、あたしも鈍ってるわねぇ』
ぶつぶつと独り言ちながら、妖艶な美女は大鬼の前に降り立った。
『あんたもとっとと逃げればよかったのにねぇ』
細い細い、正しく蜘蛛の糸と呼べるそれで強靭な足を捕らえられ、逃げることが出来なかった大鬼が口を開く前に。
新たに放たれたしなやか且つ鋼を凌駕する強靭さを備えた糸によって、その場に居た全ての鬼は一瞬で絶命した。

174:18
08/10/21 12:45:31 LENtVL/n0
翌日。
「霞さんから聞いたよ。幸樹、いつも迷惑掛けてごめん。後、ありがとう」
『今回は拙者からも礼を言う。かたじけない』
「って霞さんも言ってる」
『…わかったから、寝かせてくれ…』
外はまだ日の出前。前日の騒動の疲労もあり、幼馴染は着信には何とか応じたものの沈没寸前らしい。
「いいけど、携帯は切っちゃ駄目だよ。昨日言ったよね?霞さんと会話するの誤魔化さなきゃいけないんだから」
『…あー…んん……』
通話口から寝息が聞こえ始めた携帯電話をホルダーに納め、イヤホンマイクを装着し、少年は門をくぐって外へ出た。
『本当に、腕に異常は無いのか?』
「うん。ほら」
心配そうな霞に対して、少年はやや大げさにくるくると左腕を回してみせる。
先晩に鬼によってありえない方向へ捻じ曲げられた筈の腕は、全く問題なく動いていた。
『問題が無いならばそれで良いが』
「守り神様が治してくれたんだよ」
にこにこと無邪気な笑顔を浮かべる少年。
霞は、やや不満げな様子である。
『それで、隆弘はあの守り神…殿とは』
「そうそう、結局僕だけ見てないんだよね、僕ん家で祭ってる神様なのに。お礼言いたいのになー」
『そう、か。そうだな』
邪念など微塵も感じさせない少年らしい言動に、美女は無意識に頬を緩めた。
ふと気が付くと、少年がじっとこちらを見つめている。
『何か?』
「ううん、何でもないよ。ちょっと良い事あっただけ」
そう言ってにっこり笑う。霞は不思議そうに首を傾げていたものの、嬉しそうな少年に「そろそろ行こうか」と声を掛けられると、穏やかな笑顔で頷いた。

175:余分な19
08/10/21 12:47:56 LENtVL/n0
「…彼女?」
幼馴染に向かって、漸くそれだけ言葉をつむいだ。
「殴っていいか?いいか?いいな?」
「うーん、嫌」
幸樹が怒っているのはいつもどおりだから、大した事は無いんだろうと、隆弘は勝手に納得する。
霞も、複雑な表情で二人を見上げていた。
『そこで何をしておるのか』
『ほほほ、確かでぇと?でぃえと?と言う、のよねぇ?』
「絶対違う!」
かさかさと音を立てる巨大な蜘蛛の足は、重力を無視しているかのように逆さになったまま信号機をしっかり捉えている。
早朝の薄暗がりの中、ランニング中の二人の前に現れたのは、身体の半分近くを糸で巻き取られた若者を両腕に抱えた蜘蛛女だった。
「これは当て付けという行動であqwsでrftgyふじこlp」
『ほ、ほほほほ、照れてるなんて可愛いわねぇ』
ちらちらと少年の方を伺いつつ、余計な事を言えないようにと抱きつく振りをして若者に更に糸を巻きつける蜘蛛女。
「…んーと」
困ったように霞と顔を見合わせる隆弘。
「放っといてもいいのかな?」
『でーととは仲睦まじい男女が行うのだろう?本人がそう言っておるのだから問題あるまい』
「うん、そうだね」
『あ、ちょ』
「あ、でも、他の人もびっくりするから、人間に化けられるなら下を歩いた方がいいと思うよ」
邪魔しちゃ悪いから、そう言ってさっさと立ち去る二人を蜘蛛女は未練がましくも見送るしかない。
(絶対殴る)
ぎりぎりと歯軋りしながら心に誓う若者。
遠くの山の頂が、朝陽を反射して明るくなりつつあった。

176:本当にあった怖い名無し
08/10/21 12:52:55 LENtVL/n0
これで心残りは無くなった。
後悔はしてない。

177:本当にあった怖い名無し
08/10/21 12:57:44 egdn/KLTO
乙!

178:本当にあった怖い名無し
08/10/24 04:03:50 p0HhjIVm0


179:本当にあった怖い名無し
08/10/24 21:25:03 4gbnQY8f0
私は死神。
今日も寿命の尽きかけた人を探す。
Mr.フラグは成績の悪い私に簡単な仕事を回してくれるけど。

「もうすぐ子供が生まれるんだ」
そう話す若い消防士。
Mr.から紹介された、今日のターゲット。
彼はその晩の出動で、業火に巻かれて道を失う。
私は彼を炎の中から放り出した。


勘違いしないで。
私にもプライドがあるの。
予定外の仕事はしない主義なだけ。
べ、別に彼がすっごく幸せそうに話してるから気持ちが揺らいだとかそんなのじゃないから。

180:本当にあった怖い名無し
08/10/27 19:02:38 Sh7mHpX70
ほしゅのじかんです

181:本当にあった怖い名無し
08/10/28 23:36:41 ghMCP7Sj0
わかりました

182:本当にあった怖い名無し
08/11/01 23:58:36 yslBB3X00
一応保守。

183:1
08/11/02 01:31:08 ADwIx/zr0
何が起きたのか、最初全然わからなかった。
友達も、先生も。あたしの事を急に無視するようになった。
パパとママも、あたしの事を無視しだした。そのくせ、あたしの部屋に来ては泣くんだ。

何て言うか。
あたし、自分がもう死んでいるって事に気が付くまでにすごく時間が掛かっちゃった。
だから、家族とか友達とか、誰もがあたしを無視するって事がすごくショックで。
最初は何で?どうして?って一生懸命話しかけてたけど、だんだん八つ当たりというか。
うん、怒ってると影響与えられたみたいで、物投げつけたり、人を突き飛ばしたりしてた。
彼に出会った頃には悪霊になりかけてたんだと思う。

184:2
08/11/02 01:32:02 ADwIx/zr0
その頃やってたのは、急に道路に飛び出す事。
通学路の途中の交差点。交通量はそれなり。
たまたまそこの交差点で飛び出した時、さすがに周りの人も驚いて反応してくれたっていうのがきっかけ。
でもまたすぐに、全員であたしを無視するんだけどね。
それでも、反応あるのが嬉しくて、ちょくちょく飛び出すようになった。
けが人が出ても、無視される怒りもあって、ざまあみろって風にしか思えなかった。
罪悪感は消えかかってた。

彼はバイクで走ってきた。
あたしが飛び出すと、避けようとして慌ててハンドルをきって、バランスを崩してそのまま転倒。
転んだ姿を見てあたしは笑ってた。
怪我しなかったんだろうな。彼はすぐに起き上がった。
普段なら、きょろきょろあたしを探す感じに見回した後で、すぐに発車するんだけど。
彼は、まっすぐあたしの方に顔を向けた。
肩をすくめて、フルフェイスのヘルメットのまま、あたしの方に近づいてきて。
「おまえ、何?こんな事して何が楽しいの?」
はっきり、あたしに向かって、そう言った。
無視されだして結構時間が経ってた。やっとあたしを無視しない人に出会った事が、逆にショックで、怖くて。
あたしは、夢中で逃げた。

185:3
08/11/02 01:33:07 ADwIx/zr0
暫くは家で、自分の部屋で大人しくしてた。
でも何日かそうして過ごしてるうちに、彼のことが気になりだした。
皆が無視するのに、何であの人だけあたしの事、ちゃんと見たんだろう?
そんな事考えてて、気が付いたらあの交差点に向かってた。

前に事故があったらしくて、いつも花が置かれてる場所がある。
彼はそこにいた。バイクを脇に止めて、缶ジュースをそこに置いてた。
会いたかったけど、実際前にするとやっぱり怖い。
ちょっと離れた所でどうするか迷ってたら、彼に気付かれた。
やっぱり彼は、あたしの事、無視しようとはしなかった。
勇気を振り絞って、恐る恐る近づいてみた。

「え、と」
何話せばいいのか判らない。
下向いて暫く黙ってたら、思いっきり溜息吐かれた。
「人をこかしといて謝罪も無しかよ」
怒ってるっていうより呆れてるって感じかな、今考えると。
でも微かに残ってた罪悪感と、いきなり文句言われた事で、つい、反発してしまった。
「あんたがぼぉっとしてるから、悪いんでしょ!?」
ばーっとまくしたてて、それから湧き上がる後悔。
恥ずかしさとか怒りとかそんなこんなで頭の中が真っ白になって。
「あんたなんか大っ嫌い!!」
結局また逃げ出した。

186:4
08/11/02 01:34:11 ADwIx/zr0
交差点で事故を起こすのはあたしにとって存在確認みたいになってたんだけど、彼に出会ってからはそれが出来なくなった。
彼がちょくちょくそこの交差点に現れるようになったから。
最初に現れたように颯爽とバイクに乗って、じゃなくて、歩きで来てる。
格好はフルフェイスにライダースーツ、バイクに乗ってたそのままの姿だから、近くで降りてから来てるのかもしれない。
花が供えられてる場所で、多分、本当に、あたしの事を見張ってた。

「大嫌い」なんて言ってしまった手前、彼に話しかけ辛い。
あたしは彼を無視することしか出来なかった。
バカだよね、人に無視されて怒ってたのに、自分は人を無視してる。
それに気付いた時、すごくショック受けて、また部屋に引き篭もって、泣き続けた。

187:5
08/11/02 01:35:51 ADwIx/zr0
その日の朝、何日ぶりかで交差点に向かった。
そこに彼の姿は無い。
まだ来てないのか、それとももう来ないのか。
どきどきしながら待ち続けた。

彼は、向こうから歩いてきた。
「何だ、今日は危ない遊びはしないのか」
出会い頭にそう言われて、ちょっとムカ。
「誰かさんがトロいから、気を使ってあげてるのよ」
思わず言い返してしまった。
自己嫌悪で彼の顔をまともに見れなくてそっぽ向いてたら、「そりゃどーも」とおどけた感じで頭をぽんぽんと叩かれた。
子供扱いされてるのは癪だけど、でも、ちゃんとあたしに向き合ってくれる。
嬉しくて、恥ずかしくて、あたしは彼に真っ赤になった顔を向けられなかったけど。

188:6
08/11/02 01:36:40 ADwIx/zr0
それからは毎日、彼に会うために交差点に立ってた。
何か話すわけじゃなくて、お互い生存確認というか。
彼は通勤だか通学だかでそこを通る必要があるみたいで、その時にお互いちょっと手を上げて挨拶する程度だった。
それでも、あたしには十分だった。

その日、彼は久しぶりにバイクに乗って現れた。
あたしの前で止まると、別に持って来てたヘルメットを投げてよこした。
「…何?」
「乗せてやるよ」
一瞬何を言われてるのか判らなかった。戸惑ってると、彼は慌てたように言葉を続けた。
「勘違いするなよ。たまたま暇そうなおまえがいたから、ちょっと付き合わせてやろうと思っただけだ。嫌ならいい」
「乗る!」
あたしは多分、真っ赤だったと思う。
フルフェイスのヘルメットに遮られて、彼がどんな顔しているのかは、判らなかった。

189:7
08/11/02 01:37:24 ADwIx/zr0
気持ちが良かった。
風を切って走る。
彼の背中にしがみついて、流れていく景色を眺める。自分の置かれている境遇の何もかもを、忘れられた。
ずっと言いたかった事を、やっと口にした。
「こないだは、ごめんなさい」
彼はすぐには返事しなかった。本当に、何の事?って感じだったんだと思う。
「…何が…って、初めて会った時の事?今更?ばっかじゃね?」
「うるさいわね、謝れって言ったじゃん!!」
「ハァ…もういいよ」
「何よそれ!?人が素直に謝ってやってるのに!」
「はいはいわかりましたーもういいですよー」
「棒読みすんな!!」
風に負けないように大声で言い合う。でも、楽しかった。

ふっと、ああ、このまま消えてもいいやって、思った。
目を閉じて、彼の背中にもう一度しがみつこうとして。

突然全部思い出した。

190:8
08/11/02 01:38:19 ADwIx/zr0
あの交差点で、事故にあった。
あたし、車に撥ねられた。
即死じゃなかったんだと思う。
涙交じりにあたしを呼ぶ声とか、覚えてるから。

そうか、あたし、死んじゃったんだ。

目を開けると、一人ぼっちであの交差点に戻ってた。
彼の事が、全部夢だったような気がして。
急に怖くなって、寂しくなって、大声で、泣いた。

191:9
08/11/02 01:39:01 ADwIx/zr0
「ったく、急にいなくなるから驚いたぞ」
しゃがみこんで、膝を抱えてたあたしにかけられた、呆れ声。
顔を上げると、彼がバイクから降りてくるところだった。
夢じゃなかったんだ。
あたしは、無我夢中で彼に飛びついた。

「あたし、死んでるんだよ。ゆーれーなんだ」
彼の胸に顔を押し付けたままで、彼に告げる。
「あー、何だ、やっと気が付いたのか」
彼が平然と答えたので、あたしの方が驚いたけど。
「知ってたの?」
「んー、まぁ、俺も、ご同類だから、な」
あんまし見せたくないんだが、そういいながら、ヘルメットを脱いだ彼。
見たいと思っていた彼の素顔は、永遠に見られないんだと、悟った。

192:10
08/11/02 01:40:46 ADwIx/zr0
彼は最近忙しかったらしくて、今日は久しぶりのデートだ。
いつもと同じ、彼のバイクに二人乗りしてあちこち走るっていうものだけど。
それでも特に今日は、嬉しい報告もある。
あたしの事故はひき逃げらしかったんだけど、この前犯人が捕まった。
パパとママが、あたしの写真に向かって報告してくれた。
新聞を読むと、あの交差点で、一人で勝手に事故を起こして、そこから何だかんだで犯人だってわかったって。
事故の方は、犯人はバイクと接触したとか言ってるらしいけど。
「幽霊とぶつかったとか」
冗談めかして彼に言ってみたけど、「そんな危ない幽霊、お前だけだ」と鼻で笑われた。

193:本当にあった怖い名無し
08/11/02 05:12:13 bWbezCL00
子供っぽさが残るツンデ霊の心理描写が面白くて最後まですらすら読めた
オチもよかったお

読んでて考えたんだがツンデ霊のツンな行動心理にもいくつか種類があって、集積・
類型化できるかもしれんね
お子様型,姉御型,犯罪者型,なりゆき型,超越者型みたいな
メンドいし、やらんけど

194:本当にあった怖い名無し
08/11/03 07:36:23 74HVBPgiO
ageたのは、晒し上げる為なんだから(>_<)

け・・・けっしてスレ位置が700手前で落ちそうだからって理由じゃないんだから・・・(////_<)

195:本当にあった怖い名無し
08/11/04 01:54:48 HscfWUC60
>>193
お子様型
善悪の分別が無くおもしろがってor構って欲しくて悪さを働く
諭されるといったん反発するが内心素直に反省
ごめんなさいが言えた後は諭してくれた人になつく傾向がある

姉御型
自分亡き後だらしなくなってしまった対象者の性根を叩きなおしたくて
or格下扱いしていた対象者に幽霊化してしまった自分の不安を見せたくなくてツン化
対象者の成長した頼もしい一面を見ることが出来るとデレる傾向にあるが同時に成仏
してしまう不安も

超越者型
ツン「人間のごとき虫ケラがどうなろうと知らないわよwww」
デレ「に、人間風情が生意気にドキドキさせないでよ…」

とか

196:本当にあった怖い名無し
08/11/04 05:10:37 c6qR9OBD0
よし、教授のデータ収集のための卒論捨ててそれでいくか

197:本当にあった怖い名無し
08/11/08 00:16:32 R/zas54Y0
冥界よりほしゅ

198:本当にあった怖い名無し
08/11/08 15:42:57 AZeXq8Jv0
動物型はどうよ?

402 :本当にあった怖い名無し:2008/10/20(月) 23:01:25 ID:GB19T2HL0
昔 ネコに大き目の石を頭にぶつけたのは俺です。
ごめんよ 猫。。。

405 :本当にあった怖い名無し:2008/10/20(月) 23:47:29 ID:OSDEmR4kO
>>402
ユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイ
∧ ∧
 ФωФ <ネコカンクレナキャユルサナイニャ

407 :本当にあった怖い名無し:2008/10/21(火) 00:06:26 ID:eH3YXRK00
>>405
つ ねこ缶(ダイエット用)

これで許してー!

419 :本当にあった怖い名無し:2008/10/21(火) 02:48:14 ID:GGO0gplxO
>>407
∧ ∧
(ー~ー)<モグモグ…モグモグ…オイシイニャ コレハユルサナイワケニハイカナイニャ…
       デモココデユルシタラモウネコカンモラエナイカニャ…ドウシヨウ…モグモグ


199:本当にあった怖い名無し
08/11/08 22:05:58 WtUSZN0o0
動物型
執念と野生の本能に従い人間を襲うが、食い物でデレる

200:kiri
08/11/09 00:43:59 36dJl8p80
初投下、文書下手でも勘弁して。
おかしい所指摘してくれると有難し。

ずっと空を見ていた。
住宅街の塀の上に腰掛けて。
足元には、もう萎れて何か分からなくなったものが刺さった瓶。
一日中此処に居るけど誰にも気付かれない。
・・・・僕は死んでいるから。

何もしたくないと思った。
学校も嫌い。塾にも行きたくない。家に帰っても楽しくない。
・・・このまま消えてしまいたかった。
薄暗い帰り道を一人歩く。
ありふれた、少し寂れた住宅街。
この道は歩道もないような小さな道だけど交通量が比較的多くてたびたび事故が起こっていた。

・・突然目の前に白い光が溢れてけたたましいエンジン音が響いた。
目の前にトラックが迫っていた。

201:kiri
08/11/09 00:44:22 36dJl8p80
(あぁ、私死ぬんだな・・。)と思った瞬間トラックがクラクションとともに横を通り過ぎていった。
一瞬何が起きたのか分からなかったが自分は壁際に尻餅をついてどうやら生きているようだ。
壁にしたたかに背中と頭をぶつけたせいでくらくらする。それに尻餅をついたお尻の下に何かあったようでお尻がすごく痛い。
見てみると萎れた花のようなものが入った瓶だった。
まだくらくらする頭でなぜこんなものがあるのか。どうして自分は生きて壁際で尻餅をついているのかを考えた。
たしか私は壁よりも二メートルほど離れて歩いていたはずだった。なのに壁に背中と頭をぶつけている。
誰かによほど大きな力で突き飛ばされない限り自分の跳躍力では届かない距離だ。
それに、その跳躍力があったとしても自分には反応できなかっただろう。つまり自分で壁際に移動し尻餅をつくのは不可能だということになる。
しかし辺りを見回しても周りには誰も居ない。
すると「大丈夫?」と頭上から声が聞こえた。
見上げると若い男が塀の上に腰掛けたまま見下ろしていた。
「・・あなたが助けてくれたのですか?」
少し違和感を感じながらも男に尋ねた。

202:kiri
08/11/09 00:45:01 36dJl8p80
「さあ、どうだろう?君が轢かれそうになった処までは覚えているんだけどそれ以降はよく分からないんだ。」
「そうですか・・・。・・ところでなぜあなたはそんなところに座っているんですか?」問うた後、少し嫌な予感がした。
「僕にはね、此処しかないんだ。・・どこかに行こうと思っても最後には此処に戻ってきてしまう。だからここに居る。ずっと、ずっとね」
「あ、あの、それって・・」
「お察しのとおり、僕は幽霊って奴だ。証拠はその花瓶かな。」
いやな予感はあっさり現実へと変わった。男はこっちが拍子抜けするくらいあっさりと自分が幽霊であると告げた。
でも恐ろしいとは感じられなかった。むしろ彼の口調・雰囲気に親しみすら感じた。
だからかもしれない、気が付くと言葉が漏れていた。
「死ぬって、幽霊になるってどんな感じですか?」
彼はしばらく考えていたあとようやく口を開いた。

203:kiri
08/11/09 00:51:30 36dJl8p80
「死ぬってこと。つまり死の瞬間は覚えてないんだ。車が目の前に来たことまでは覚えているんだけどね。
気が付いたときは血まみれでぐちゃぐちゃの死体が転がってて最初はそれが誰なのかわからなくて、でもよく考えたらどう見ても真上つまり上空からの視点なんだよね。
上空ってことは飛んでないと見れないアングルナな訳で、当然僕は飛行能力なんて持ってないし、何より、服装とかが自分そっくりで路上には自分の荷物が散乱してる、それで(あぁあれは自分の死体で僕は死んだんだなぁ)って気付いたんだ。
というわけで幽霊になった瞬間のことも分からないんだ。質問に答えてあげられなくてごめんね。」
「い、いいえ。すみません、無遠慮にこんなことを聞いてしまって・・」
本当に自分は馬鹿だと思った。自分の不幸を聞かれて辛くない人は居ないのに。まして自分が死んだ時のことなんて。きっと怒らせただろう。悲しませただろう。辛い思いをさせただろう。
よりによって自分の命の恩人になんてことを聞いてしまったんだ。
「あの・・・」
「はいっっ」あぁどうしようなんて言われるだろう。いや、どうやって謝ればいいんだろう。どうすれば・・・
「そんなにびくびくしないで、僕を怒こらせたと思ってるのならそれは間違いだから。別に怒ってないからさ、ね?」
「ど、どうしてですか?私はあなたに辛いことを・・」
辛いことを思い出させた上に、気を使わせてしまうなんて本当になんて私はどうしてこんなに馬鹿なんだろう。

204:kiri
08/11/09 00:52:18 36dJl8p80
「だからもういいんだって。・・確かに死んだという事実は辛いさ、でもそれはもう過去のことだから。
それにね、立場が違ったら多分僕も同じことを聞いたと思うから。人間ってさ、自分の分からないこと、例えば死とか霊とか気になるでしょ?
なら答えを知っていそうなモノに出会ったら聞いてしまうのは本能みたいなものじゃないのかな?僕は、そう思うけど。
それよりさ、僕は君に会えてうれしいんだよ。」
「えっ?ど、どうしてですか?私はこれといった特徴もないし、暗いし、”うれしい”なんて言われるような所なんて・・ありませんよ。」
「いや、君は僕にとってある意味神様や仏様、金銀財宝よりも貴重なものを持っているよ。」
「? なんですか?」
「分からないの?。君は僕とこうして話すことができるし、触れられるみたいだ。これは僕にとって奇跡みたいなことなんだよ。」
そういって彼は”フワリ”と目の前に降りてきて私の手を握った。
ひんやりとしているかと思っていたけどその手は不思議な温かみを私に与えた。
心の奥にまで届くようなほのかなやさしいあたたかさだった。
「君は暖かいね。こうして触れるだけで君の気持ちが伝わってくるみたいだよ?」
そういって彼はくすりと笑った。間近で見る彼の顔はほんの少し幼さが残りった少年のようだった。

205:kiri
08/11/09 00:54:20 36dJl8p80
訂正
間近で見る彼の顔はほんの少し幼さが残りった少年のようだった。
残りった→残った

続き

「ねぇ、僕と友だちになってくれないかな? ずっと一人で退屈だったんだ。」
笑いかけた彼に私は即答できなかった。その代わりにひとつ質問を投げかけた。
「・・・ずっとここにいるって普段は何をしてるんですか?」
「・・普段はこの塀に座って空を見上げているんだ。あまり遠くにいけないし誰も僕に気が付かないから話相手もいない。
鳥の観察をしてみたり、たまに猫会議に出席したりもするけどにゃごにゃも言われても僕には分からないしね。
だから空を見上げる、・・自分が風になってすうっと飛ばされていって小さな小さな粒子になっていく、鳥に食べられたり、吸い込まれたり、吐き出されたり、雨に解けて海や川に流れて少しずつ少しずつ自分が消えていくのを想像するんだ。
空はいいよ、見上げるごとに違う空になるからね。雨の日、風の日、雪の日、晴れの日、嵐の日。同じ空なんて一つもないし、この大きな空を見てると自分がどれほどちっぽけなものかがよく分かるから。」
そういった彼は少し寂しそうに笑った。

206:kiri
08/11/09 00:54:49 36dJl8p80
その顔が悲しくて、切なくて、なぜか私は彼にこんな顔をさせたくないと思った。
「あの、いい・・です、よ? あ、いえ、その・・友達・・になって・・・ください・・・・。」
つっかえつっかえだったがちゃんと言えたことにほっとする。
でも、彼の反応がなくて不思議に思って顔を上げると彼は、まさに”驚き”の表情で固まっていた。
「本当に!?いいの??僕幽霊だよ!?え、本当に?」
彼のあまりの喜びっぷりにこくこくと小さく首を振ることしかできなかった。しかしそれでも十分なようで彼ははしゃぎまくっていた。
彼の見せた変貌振りに唖然としている私に気付いた彼は恥ずかしそうに咳払いをした後に赤くなりながら言った。
「コ、コホンッ。コホンッ。えーあー・・・その・・つい取り乱してしまってごめん・・
あの・・それくらい、うれしかったんだ・・・。えぇっとさ、いつもここに居るから気が向いたらでいいから来てくれるとうれしいな。」
彼はそう言った後、まだ赤い顔を恥ずかしそうに伏せながら早口に「そ、それじゃまたね!」と言ったかと思うともうそこに彼の姿はなかった。
忽然と消えた彼に驚きながらも帰ろうと歩き出した背中に”気をつけて帰るんだよ”と彼の言葉が聞こえた気がした。


207:本当にあった怖い名無し
08/11/09 07:31:23 6M6MY3G50
>>200
レスとか感想文って苦手なんだよね。
そんな俺が、
個人的な印象としてはツンが足りないかな素直クールも好きだけどとか
最初の僕→私視点チェンジ場面でちょっと混乱したから分け方もう少しはっきりした方がいいかもねとか
期待してるよもっと沢山話書いてねとか
言うわけないだろ。

だからまぁなんだ、要はgjとだけ言っておく。

208:kiri
08/11/09 19:18:19 36dJl8p80
・・・家まであと少しという所で(あっ、名前聞き忘れたな・・)と気づいたが明日聞きに行けばいいかと流しておくことにした。
家に入るといつものように味気ない食卓、顔も合わせない両親。
私は重苦しい雰囲気に耐えられずそそくさと自室に逃げ込み勉強をすることにした。
・・・しばらくして弟が部屋に入ってきた。
「姉ちゃん、わかんない所あるんだけど・・・」
どうやら宿題をやっていたらしい。やんちゃで落ち着きがないのにまめに勉強するところは私に似ていてよかった。
「・・はいはい、どこなの?」
「この真ん中のところなんだけど・・・」
・・・・・なんていうやり取りを交わしながら説明すると納得してくれたようだ。
こういうところは私よりも飲み込みがいい。もっと勉強したら私よりも良い所に行けるかもしれない、などと思っていると唐突に「・・・姉ちゃん、何かあったの?」不審気な顔でたずねてきた。
「べ、別に何もないわよ。・・何か気になることでもあるの?」
「いやなんか今日の姉ちゃんどこか楽しそうだから・・何かあったのかなって思ってさ。」
「・・たまたま機嫌が良いだけよ。」
などと言って今日の出来事は話さなかった。言っても信じないだろうし、なにより今日の出来事はあの人と私だけの秘密にしておきたかったのだ。

209:本当にあった怖い名無し
08/11/09 19:19:37 mOVF/yJ90
え、何これ続き?

210:kiri
08/11/09 20:00:47 36dJl8p80
続きます。

不定期になるかもしれませんが・・・

211:本当にあった怖い名無し
08/11/09 21:59:44 FEtdKBLj0
書き上げてから一気に投下した方が良くないか。ブツ切れだと印象薄れるぞな。

212:kiri
08/11/09 22:31:40 36dJl8p80
>>211
おk
しばらく空くかも知れんが・・・

そのときはよろしく(?)

213:ぶつ切りスマソ
08/11/10 20:14:57 ohDsEqoD0
証言1
いやまぁ、家賃も環境の割にはやけに安いし?部屋の温度も外と比べて5℃は寒いし、何かやたらカビが出るし。
噂に聞くアレかなーとは思ったけど住んでみると何もでないし。
いやうん、気配はあるよ。視線とか、夢うつつに、パタパタ歩き回る足音とか。
でも夢とか気のせいで片付けられるレベルっしょ?
最近は猫のせいで金縛り、磔か、酷いけど(笑)

証言2
霊感ゼロ人間って本当にいるのねって感じよ。
試しに外に顔出して歩く人脅してみたけどちゃんと反応するのよ、普通は。
なのにアイツ、追い出そうと思ってあたしがどんだけ騒いでも何にも気づかないんだもん。
バカじゃないの?ホントむかつく。
変な野良猫餌付けして家に入れるし。
あいつがいない間、誰が猫の世話しなきゃいけないと思ってんのよ!?

証言3
最近立ち寄る家は、幽霊と人間が同居している。
そういうのは大概折り合いが付かず人間が出て行くのだが、今回は上手くやっている様子。
此処何日かは酷く寒いので我も人間の家に上がり、
なにぶん暖房など無い家なので人間で暖を取らせてもらっている。
夜中などは、我と幽霊共に仲良く人間を挟んで小の字になって寝ている。

214:本当にあった怖い名無し
08/11/10 23:15:49 L+WWRU9g0
>>213
証言3は猫か何かか?
てか幽霊小さいのな。


ところで二年位前だったと思うが、「眼球を頂きたく思います」みたいなフレーズが出てくる話がここにあった気がするんだが、
一体何スレ目だったか覚えてる人いるか?
まとめwikiにもないみたいなんだよな‥‥‥。

215:本当にあった怖い名無し
08/11/11 00:43:00 QeRyPNeB0
もちろん最近餌付けされた野良猫でしょ。

216:本当にあった怖い名無し
08/11/11 08:22:05 oQMhuKgt0
>>214
アレか!『彼の手記』か!!
ココ↓だな
「なにその ツンデ霊 ☆四人目★」
スレタイは四人目だけど、実質5スレ目。

神作品だな

217:本当にあった怖い名無し
08/11/12 22:36:23 AK/SLeMV0
>>214
軽々しく神とか言いたくないが、確かにあの作品は別格だわな。
「晃子のポックリ」を書いた人と同一ではないか、とにらんでるんだが。

218:214
08/11/13 00:50:25 mqeCQnBG0
そうか、『彼の手記』だったか。独特の文章と例の一行の印象が強く残ってる。
地の文で霊の事を「かれ」と呼んでいたような記憶が蘇ってきた。
五スレ目だったか‥‥‥どうしよう。
まとめサイトの編集したらログもらえるかな。

219:本当にあった怖い名無し
08/11/13 00:54:53 p8tWB2o80
むしろ編集するのにログが必要なんだが

220:本当にあった怖い名無し
08/11/13 01:28:15 mqeCQnBG0
つまり編集するからログをくれと。

221:本当にあった怖い名無し
08/11/13 07:54:06 Kcop91PY0
ここからmakimo.to検索してみれ(検索ワード:ツンデ霊)
URLリンク(www.geocities.jp)

222:本当にあった怖い名無し
08/11/13 11:38:48 Mto/6BJR0
必要なのはHTMLか、DATか

223:本当にあった怖い名無し
08/11/13 18:58:11 uBAzM6+yO
来週土曜に@wiki全サーバの大規模メンテナンスば行うそうだ。
その間はまとめへの接続が困難となります。ご理解ご協力頂きます様お願いするとよ。

月日及び時間は11月15日(土) 22:00~11月16日(日) 7:00 だそうです。
この間に繋がらなかったとしてもまとめが無くなりよったわけではないのでご安心を。

・追伸
前スレのDATば下さい

224:本当にあった怖い名無し
08/11/13 20:16:30 Mto/6BJR0
dat
URLリンク(toku.xdisc.net)

html
URLリンク(toku.xdisc.net)

225:kiri
08/11/14 02:21:04 mbt4fzes0
もう我慢できない。
切れ切れにナっても順次投下します。
では続き。

また朝が来た。憂鬱な一日が始まる。
でも今朝は少し違った。朝の喧騒も、重苦しい食卓も気にならなかった。
あの人に会えるからだろうか、家を出るとき私は少しうきうきしていた。

排気ガスで淀んだ朝。新鮮とは程遠く深呼吸どころか呼吸すらしたくなくなるような爽やかさの欠片も無い朝の空気。
その中を進む。彼のいるであろう場所へ。
はたして、彼はそこにいた。この澱みの中でも見間違えようも無いほどに透き通った何かに包まれるように、はっきりと朝に腰掛けていた。
そらを見上げたままの彼に近づくと「おはよう」の声と共にフワリと降りてきた。
彼が実にあっさりと昨日のことは夢ではなかったのかという疑念を打ち砕いてくれたことに心中感謝しながら挨拶を交わした。
と彼が思いがけない提案をしてきた。

226:kiri
08/11/14 02:21:28 mbt4fzes0
「はーい、ここでちょっと提案です。僕と話すときは誰もいない処でか小声でお願いします。でないとせっかくの友達が”一人事の激しい可哀想な人”になっちゃうよ?」
・・・なるほど今なぜ自分が周りからちらちらと熱視線を送られているのかが分かった。
私の目に彼がどれほどはっきり見えていても周りの人たちにとって私は虚空に向かって話しかける可哀想な人に映る訳だ。
「OKなら手をグーにNOならぱパーにしてね。」
彼の提案にすかさずグーを出す。これで何とか可哀想な人からの脱出出来るだろう。あでぃおす!!
彼は少しならば移動できるというので学校まで話しながら行くことになった。とは言っても彼の言葉にグーパーしていただけなのだが・・


227:kiri
08/11/14 02:21:49 mbt4fzes0
「さて、学校です。今日は授業参観ですか?」
「はい、そうです。トム」
中学生の英語の問題のような答えをしてしまうほどさらりと彼は言った。
「・・・・ってえぇぇぇぇぇ・・・(フェードアウト、はいOKでーす。)。 ち、違いますよ。何ですかいきなり!?」
小声で叫んだ自分を褒めたいと思った。
「いやー授業参観でもないと部外者が授業を見れないじゃないですか!」
チョット マテ・・・ジュギョウ ヲ ミルッテ ?
「だ、駄目ですよ!だって、だって・・・」
「? いいじゃないですか、減るものじゃないんだし。それに暇なんだもん。大丈夫、安心して!君に守護霊のごとき鉄壁のガードをお届けするよ!」
「要りませんからそんなものは・・・」などという小声の攻防戦の結果、彼は渋々ながらも引き下がってくれた。
私はホッと胸を撫で下ろしつつ昇降口に入る。
私の靴箱の中にはやはりというかいくつもの押しピンが入っていた。
(彼に見られなくてよかった。)
いつもの事なので何も感じない、思わない。
もう 慣れてしまった。
いつからこうなったのかさえ覚えていない。理由は些細なことだった。

228:kiri
08/11/14 02:22:51 mbt4fzes0
始まりは私が告白されてそれを断ったということだった。相手は格好良くて人気のある人だった。
そのことが癇に障ったらしい。彼を狙っていた女子と取り巻きの数人が嫌がらせを始めた。もともと私の暗いところやとろいところが気に入らなかったらしい。
彼は私を何度か助けようとしてくれたがその行為をエスカレートさせるだけだった。
そのうちに彼は別の彼女を作った。それでも彼女たちはやめなかった。
私を弄び、蹂躙すること。目的は消え、いつからかその行為自体が目的になったいた。
私はただ耐えた。いつか終わりが来ると信じて。
---信じるものは救われる---誰の言葉だったか。そんなの全然嘘じゃないか。信じる人すべてが救われるなら。戦争なんて起きない。貧困もない。平和な世界。
私もこんな思いをせずに済むはずだ。

皆無責任なことを言う。「努力すれば夢は叶う。」「あきらめるな。」「仲間を信じろ。」でも誰もその言葉に責任を取らない。
責任の無い軽い言葉を一体誰が信じるのか、なぜ誰も異議を唱えないのだろうか。耳障りがいいから?聞こえが良ければそれでいいの?
じゃあそれを信じた人は?どうすればいい?無責任な人達の無責任な言葉に振り回されて捨てられた人は一体どこに行けばいい?何をすればいい?
無責任なことを言わないで。

229:kiri
08/11/14 02:23:45 mbt4fzes0
「・・・ふーん・・・・・」
耳元で今朝の声が聞こえた。顔を上げると彼がいた。

・・・見られてしまった。見られてしまった。見られてしまった。見られてしまった。見られてしまった。見られてしまった。見られてしまった。見られてしまった。
見られてしまった。見られてしまった。見られてしまった。見られてしまった。見られてしまった。見られてしまった。見られてしまった。見られてしまった。
見られてしまった。見られてしまった。見られてしまった。見られてしまった。
見られてしまった。見られてしまった。見られてしまった。見られてしまった。見られてしまった。見られてしまった。見られてしまった。見られてしまった。
見られてしまった。見られてしまった。見られてしまった。見られてしまった。見られてしまった。見られてしまった。見られてしまった。見られてしまった。
見られてしまった。見られてしまった。見られてしまった。見られてしまった。
見られてしまった。見られてしまった。見られてしまった。みられてしまった。みられてしまった。みられてしまった。ミラレテシマッタ。ミラレテシマッタ。
ミラレテシマッタ。ミラレテシマッタ。ミラレテシマッタ。ミラレテシマッタ。ミラレテシマッタ。ミラレテシマッタ。ミラレテシマッタ。ミラレテシマッタ。ミラレテシマッタ。
ミラレテシマッタ。ミラレテシマッタ。ミラレテシマッタ。ミラレテシマッタ。ミラレテシマッタ。
彼にだけは知られたくなかったのに・・・・・・・・・・・・彼にだけは知られたくなかったのに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ミラレテシマッタ。

230:kiri
08/11/14 02:24:37 mbt4fzes0
「・・・こっちへおいで」
カレ ガ ナニ カ イッテ イル。デモ ワカラ ナイ、ワカラ ナイ ノ、ワカリタク ナイ ノ ・・・・
---ぎゅぅぅぅぅぅぅぅうぅぅぅぅぅ---
何が起こったのかわからなかった。いつの間にか私は校舎裏の人気の無い場所にいた。教室の朝の喧騒が遠く響いてくる。
私は一体どうしたんだろう?確か彼に見られてみられてミラレテミラレテ・・・・
---ぎゅぅぅぅぅぅぅぅうぅぅぅぅぅ---
おかしい。さっきから苦しいような気がする。体が動かない。自分の体なのにどうしてだろう?
ふと目をやると彼が私を抱きしめていた。
一瞬で顔が熱くなると同時に私の頭の中に今の状況がストンと入ってきた。
私は見られてしまったのだ。見られたくなかった秘密を

231:kiri
08/11/14 02:26:22 mbt4fzes0
「どうして・・・」
私が言い終えるより早く彼が口を開いた。
「うるさい!!!・・・なんで隠した?どうして?僕は君の友達だって君と友達になったって言ってくれたじゃないか。なのに、どうして隠すの?ねえ・・・・答えてよっ・・・・・・。」
言葉が 出なかった。幽霊の彼は私を抱きしめたまま静かに泣いていた。怒っていた。何よりも自分は友達なのだと。
「見られたく・・なかった・・・から・・・。友達・・だから、虐められている私を・・見せたくはなかった・・・」
口に出せたのはそこまでだった。
「ふざけるな!!!そんなことで僕が君を嫌うとでも思ったの?僕は君の友達なんだよ、友達なんだ、友達なんだよっ。だから・・・、もっと信じてよ。
お化けだけど・・、会ってすぐだけど・・・君が僕を友達だと言ってくれた時から君の一番の友達でいようと決めたんだ。
友達なんだよ。友達だから。だから、もう隠さないで。我慢しないで。すべてを話して、お願いだから・・・」
そこまで言い終えると彼は泣き崩れた

232:kiri
08/11/14 02:28:41 mbt4fzes0
彼の涙に釣られたのかもしれない。私の目に涙がたまり何も見えなくなっていく。目に映る全てが歪み不確かになる。遂に私の瞳のダムは決壊した。
止め処なく溢れる涙の粒が頬を伝って落ちていく。最初の一粒が地上に落ちた時、私も我慢できなくなって彼に抱きしめられらがら泣いた。
暖かな体。温かな心。温かな涙。暖かな彼の温もり。陽だまりに居るようで気持ちもぽかぽかしていく。あったかな涙は止まらず、でも少しも悲しくはなかった。
私には彼がいるから。僕がここにいるからと彼の温度が伝えてくれたから。きっといつか笑顔になれる。笑い会える日が必ず来る。
この瞬間私は疑いようもなくそのことを信じていた。そのことを彼のぬくもりのせいにした。
こんなに泣かされたのは生まれて初めてだ。
あったかな涙に包まれて、そのとき私は確かに幸福のなかにいた。

---柔らかな彼の声がこれほど歪むのを聞いたのは後にも先にもこの一度きりだった。---

233:本当にあった怖い名無し
08/11/14 10:58:35 /edi2KQP0
wktk

234:笹原
08/11/14 22:41:05 nSmxjEkc0
コピペ乙    しかし みんな暇だな∃(^〇^)

235:kiri
08/11/14 23:53:07 mbt4fzes0
>>234
コピペじゃねーべ

236:本当にあった怖い名無し
08/11/15 20:47:42 dvplTXQ50
もうちっと改行どうにかならんかな。読み難くてしゃーない。

237:kiri
08/11/15 22:06:07 V0wZyl3A0
>>236
・・・気をつけます。


238:本当にあった怖い名無し
08/11/16 13:36:09 U9jolzUO0
>>236
感想そんだけかよっw

239:本当にあった怖い名無し
08/11/16 18:57:46 5JVh5PEv0
>>236
まだ話途中みたいだしなー
俺は思いっきりフライングレスしてるが>>207

240:kiri
08/11/16 23:54:00 Uun63K7H0
なんというか読み返してみたら文章構成の下手さに・・・


消してしまいたい・・

241:本当にあった怖い名無し
08/11/17 00:09:05 nUYdp0ZW0
書き終えてから数日置いて見返してみたらいいと思うよ
書いた直後に見直したって絶対に「これ最高じゃね?」ぐらいにしか思えないから

242:本当にあった怖い名無し
08/11/17 13:50:40 6Vx3rbNPO
いきなりの事にビックリして起きたのは夜中だった。
ついに出たのかと冷静に考える頭もあったがやはり驚愕はでかい。
に、しても何だってんだこの状態は。目の前に透けた顔があるんだが。
なんつうかもっとこう…ポルターガイストみたいなもんじゃねぇのか?
ルールなんて別にないけどさ、ここまで安い物件なんだからみんな怖がって出ていったってもんじゃないの?
かなり怖くないんだが。何せこのクリッとした大きな眼といい…タイプだ。
解らないな。もしや幽霊が出たってだけで今までの住人は出ていったのか?
リアルにありえねぇ。「こんなに可愛いのに…」ふと声に出して言ってしまった。
またたく暇すら与えない勢いで真っ赤になる目の前の顔。「な、何言ってるのよ!」と声を上げた。
せっかくだ。「可愛いって言ったんだよ、お前を」少しぐらい会話しよう。
ん~。何とキュートな反応な事か。今時の女じゃ絶対見れない素晴らしい反応だ。
がぜんこの部屋から引っ越す気は薄れるってもんだ。「の、呪い殺すわよ!」なんて言われても迫力に欠ける。
まぁ、むしろ「殺されたいかもしれない」と思った。
と、目の前の顔に動揺が広がった。「何か嫌な事でもあるの?」と心配そうに言ってきた。別にそういうわけでもないんだが…。

243:本当にあった怖い名無し
08/11/17 13:52:24 6Vx3rbNPO
めっきり変わった態度に俺は感じた。こいつは死ぬ時に何かあったんだと。
のんびりと「いや、お前になら殺されても良いかなって思ってしまっただけさ」と返す。
時計の針がコチコチ動く音がする。「死んでも良いことなんて無いよ?」幽霊はそう語る。悲痛過ぎる顔で。
にっこりと笑って「解ってる。お前は優しいんだな」と返してやる。
改めて顔を赤くして「べ、別に…ただ出ていけって遠回しに言いたいだけなんだから…!」と言いやがる。
行いの一つ一つが可愛い。もしかすると俺はこの幽霊に一目惚れしたかも解らんね。
直視する視線がふと逸らされる。「いつまで見てるのよ…」と恥ずかしそうに言いながら。
しかしどこまでも俺のストライクゾーンを抉るな、本当に。
ていうか何でこいつは幽霊なんだろう。本当にそう思った。
おかしく急になんかなって、俺は泣いた。
きっといきなり泣き出した俺に驚いたのだろう。「どうしたの!?」と慌てだした。
まったく…なんでかな。「ごめん、お前に一目惚れした」
すっかり呆けた顔をしたそいつはハッとすると「ば、馬鹿! でも…嬉しかった、かも…」と言った。やれやれ。



授業中に何してんだか…

244:本当にあった怖い名無し
08/11/17 17:19:51 7+MtbvJG0
おk

245:本当にあった怖い名無し
08/11/17 21:27:44 K5syotgE0
心霊スポットで、携帯で写真撮ったら何か写り込んでた。
結構可愛い女の子。欠伸して、油断してる感100%の横顔。
ので、皆に見せて盛り上がっていた。

ある夜、寝てたら金縛りになった。
目を開けると、写真に写ってた女の子が怖い顔して睨んでる。
『写真、消して』
返答に迷ってたら『消せーっ!!』とがくがく揺さぶられつつ首絞められたので、頷いといた。
「でもあの写真、皆に送りまくったんだけ」
『誰に送ったのよちょっと携帯寄越しなさい!!』
彼女やや涙目。
金縛りも解けたんで仕方なく携帯渡すと、早速データ消去してる。勿体無い。
「あの写真結構可愛いと思うけど」
『バカじゃないの!?心霊写真なのよ?あんなの恥ずかしいだけでしょ!!』
怒った途端、変な音立てる携帯電話。静電気?ショート+怪力による破損。
『…ごめん』
「いやいいようん」
ややビビッてます俺。
『…あ、他の人の連絡先、わかんなくなった…』
「ああ、写真送ったの、基本学校の友達だけだから」
『じゃあ、写真消すように回るの、手伝いなさいよ』
「うん、いいよ」
くるくる変わる彼女の表情は生き生きとしてとても魅力的で、俺はすっかり惹かれてしまっていた。

写真一枚でこの騒ぎ、幽霊としてのプライドは高いらしいが、短気で単純で結構ドジっ子な彼女。すっかり尻に敷かれている俺。
「隊長!例のデータ、ネット公開されている模様です!」
『…あんたがあんなの撮るから…』
彼女にがんがん精気吸われながらも、今日も元気に頑張ってます。

246:本当にあった怖い名無し
08/11/18 18:31:15 A0OwNF1N0
下がりすぎなのよ、馬鹿。

あんた分かってるの?

247:本当にあった怖い名無し
08/11/19 14:14:00 bGWE4z2DO
「解ってる…君は素直じゃないからな。心配してくれてるんだろう?」
「けっ…どんだ勘違いね。別にそんなんじゃないんだから」
「なんで素直じゃないのか…」
「いい加減にしなさい! 本当に思い込みもいいところだわ!」
「…そうか…それはすまんな………」
「絡み辛いわね、そう落ち込まれると………」
「まぁ、また君に怒られてしまったからな」
「ルックスいいんだから女々しいと色々勿体無いわよ?」
「あぁ、いいんだ。僕には君が居るから」
「なっ…!?」
「ただ僕には君が居ればそれで良い。僕にずっととり憑いてくれるんだろう? 死ぬまで」
「の、呪い殺すわよ、今すぐ!」
「かなり願ったり叶ったりかもしれない。君に殺されるなら本望だ」
「おかしいわよ、あんた本当に! 初めてわたしを見た時も怖がらなかったし!」
「リクエストした反応が必ず帰って来るとは限らない。君だって僕が好きと言っても顔を赤くして馬鹿としか返してくれない」
「…っ! 解ったわよ!! ………よ……わたしも好きよ! これで満足でしょ!!」
「愛らしい。まぁ、知ってたさ」
「し、死ねぇ!!」
「いいの?」
「よ、よくないに決まってるでしょ! もう………!!」

上手く文章にならんなぁ

248:本当にあった怖い名無し
08/11/19 21:05:41 q4gCtCrQ0
萌えた

249:本当にあった怖い名無し
08/11/20 19:13:58 /aypny6W0
>>247 GJ!

250:本当にあった怖い名無し
08/11/21 17:02:44 lF6+j8uA0
もえ

251:本当にあった怖い名無し
08/11/23 23:57:23 XjGeR3sR0
シンプル イズ ベスト

252:220
08/11/24 16:55:13 kqmlPJUk0
>>224
申し訳ない、取り損ねた‥‥。
わざわざ上げていただいたことには本当に感謝しております。

>>221
三、四、四(五スレ目)は970位まで確保したので、隙を見て編集してみようかと思います。

253:本当にあった怖い名無し
08/11/24 19:11:43 aMKApOsS0
>>252
URLリンク(toku.xdisc.net)


254:本当にあった怖い名無し
08/11/25 17:38:05 g/iVcYKeO
(*・A・A・*)ぬ、ヌッヘッホーなんだからね!

255:kiri
08/11/25 22:41:55 hTwKLSm/0
>>232のつづきです。10日

彼は、私が泣き止むまでずっと抱きしめていてくれた。泣き止んでもそのまま放そうとしなかった。
だから、私も遠慮せず彼に抱きついていた。恥ずかしかったけれどこの泣き膨れた顔ではどうしようもない、顔の赤さは涙の所為にでもしてしまおう。
「・・・いつからなの。」
涙でぐじぐじになった顔を隠すようにそっぽを向いた彼が言った。
私はいつからなのか覚えてないこと、原因、今の状況などを答えさせられた。
それを聞いた彼はしばらくしてポツリと独り言のように小さな声で呟いた。
「言ってくれれば良かったのに。・・・心配、させるなよ。」
そう言った彼の顔は相変わらずそっぽを向いたままだったけど赤く染まった耳が彼が照れまくっていることを教えてくれた。


256:本当にあった怖い名無し
08/11/29 21:11:50 Xz5QrBk8O
ho

257:本当にあった怖い名無し
08/12/01 06:03:08 5WfbLk4WO
保守

258:本当にあった怖い名無し
08/12/01 21:03:25 8sqOpyBP0
wiki更新乙です

259:kiri
08/12/02 22:49:02 2cqvq6Fs0
>>255
続き

カツカツカツ・・・教師が黒板に板書していく。
それをノートに取りながら授業が終わるのを待つ。
あの後、彼は学校の敷地内を回ってくると言ったままどこかへ消えてしまった。

キーンコーンカーンコーン・・・

チャイムが授業の終わりを告げる、
・・・昼休みだ。
私はいつものように屋上に来ていた。ものぐさな校務の人が変えていないのか、はたまた気付いていないのか屋上の鍵は壊れて開いている。
「おー、遅かったね。」
ドアをを空けるや否や彼の声がした。どうして私がここに来ると分かったのだろうか?
「・・・なんでここにいるんですか?・・・・いえ、答えなくて良いです。」
「えー、せっかくどう答えようか考えてたのにー」
不満気な声を上げているがそれはこっちの台詞だ。
「・・まあいいです。もう気にしません。」
「?、何を??」

260:kiri
08/12/02 22:49:56 2cqvq6Fs0
彼の頭上には?がぐるぐる旋回していたがそのまま放置しておこう。言っても分からないだろうし。
「それでどうだったんですか?」
「?」
「回ってくるって言ってたでしょう?」
「あぁ・・、そうだね。言ってた言ってた。フツーの学校だね。」
本当にどうでもいい感じで言ったのが気に入らなかったのかもしれない。
「じゃあフツーじゃない学校ってどういう学校なんですか。」聞き返してしまった。本当はどうでもいいことなんだけどな・・
「ええっと・・、例えば恐怖!七不思議~とか、歩く二ノ宮さんとかあとそれからny・・」
「いいですからもう。はい、この話題は終了です。」
「えーー聞いてきたのそっちじゃん。・・・まあいいや。いい学校だね、ここ」
さっきのふざけた態度から急にいつものさらりとした態度に変わった彼に少しどきどきしながら話を聞く。
「不良が裏で喧嘩したりとか、煙草吸ったりだとか、幽霊もいないし、怪談もない・・・」
「不良と幽霊の事だけですね。」

261:kiri
08/12/02 22:53:36 2cqvq6Fs0
「あはは、そうだね。でも、この二つは快適な学生生活を送る上で重要だよ?僕がいた高校じゃ不良が我が物顔で闊歩していてもしぶつかったりしようものなら・・・」
「話さなくていいです。むしろ聞きたくありません。」・・・なるほど、彼の話は自身の実体験に基づいているようだ。
「だけどさー、虐める方も相当暇だね。むかつくなら相手にしなけりゃいいのに。自分の時間を使ってさあ・・もっと他にやるべきことがあるだろうに・・・・」
「そのやるべきことが他人にかまうことなんじゃないんですか?」
弁当の包みを開けて箸を取り出し手を合わせて食べはじめる。今日のお弁当も良い出来だ。ユータも言ってくれれば作ってあげるのに・・・
「・・・そのお弁当、美味しそうだねー。・・・・・一口!一口でいいからちょうだい!」
「・・・別にいいですけど・・・・・食べられるんですか?」
私の素朴な疑問は、彼が忘れていたものを呼び起こした様だった。
「・・・・・・・・・・・ア---------僕幽霊ダッタ--------------------------!!!!」
叫び続けたまま彼はみるみる萎んで行き最後にぷしゅーと空気が抜ける様な音がした後床にぺたりと張り付いてしまった。

262:kiri
08/12/02 22:55:12 2cqvq6Fs0
「・・・・・はむはむはむ・・・・もぐもぐもぐ・・・・もっきゅもっきゅもっきゅ・・・・ごくん・・・・はむはむ・・・・・・・」
リアクションに困った私はそのままご飯を食べ続けることにした。学生の昼休みは貴重なのだ。
「・・・・プシュ------------・・・・・プシュ----------------」
床にへばり付いた物体Xはまだ元に戻る気は無いらしい。
・・・なんだか不憫になってきたので物体Xに卵焼き(甘い)をお供えすることにした。
・・・・・お、卵焼きに気付いたみたいだ。触手の様なものが伸びてきた。
匂いを嗅ぐように周りでクンクンと動いた後で別の触手が伸びて物体Xを卵焼きの近くまで引きずった。
顔(?)が上がって触手ごと飲み込んだ(!)
「・・・・・・んっまーーーーーーーーーーーい!!!!!!!」
へばり付いていた物体Xは急膨張、ウルトラマンのポーズで復活。
「・・・あなたって本当に幽霊なんですか?妖怪とかそんなのじゃないんですか?」
「何を失敬な!拙者、生まれてこの方幽霊一筋でござる!!」
「いや、最初はちゃんと生きてたんでしょ・・・」
他にもいろいろとツッコミ所はあるが(なぜ侍?などなど)ツッコミ出したら彼のペースなので黙るが勝ちだ。
さあ、ご飯の残りを片付けなくては。

263:kiri
08/12/02 23:05:04 2cqvq6Fs0
「いやー、この卵焼きは美味しいね。やっぱり卵焼きは甘いに限るよね!」
・・自分の料理を家族以外の人に褒めてもらったのは初めてだ、幽霊だけど。何か嬉しいっていうかなんというか・・だめだ顔が熱くなってきちゃった。
「・・・口にあったのなら良かったです。・・って言うより幽霊もご飯を食べられるんですね。驚きです。」
赤い顔を見られたくなくてそっぽを向いてしまった。しかもちょっと声がぎこちない。変に思われたかな・・?
「仏壇とかお墓とかにお供え物をするんだし食べられるんじゃないのかな?良く知らないけど。」
けれど彼は気付かなかったようだ。よかったよかった。
「じゃああのリアクションは何だったんですか?あの物体Xは?」
「食べられるなんて知らなかったんだよぅ。食べようとしたらなぜか食べれたのっ!あと、さっきのは僕の百八あるうちの・・・」
-----キーン コーン カーン コーン-----
(あ、五時間目は移動教室だった。急がなきゃ。)
いそいそと弁当箱を片付けて走り出す。
「じゃあごゆっくりどうぞー・・・・」
「あっ、待って!今ちょうど良い所なのにーー・・・・」
身振り手振り興奮気味にしゃべっていた彼にそれじゃあと後手に手を振って屋上から出る。

久しぶりに他の誰かと一緒に食べたお弁当はいつもよりも美味しく、温かかだった。


264:本当にあった怖い名無し
08/12/03 04:49:10 qmmz7SOK0
?

265:本当にあった怖い名無し
08/12/03 05:34:56 lhBN/BZOO
なにこの人
つまらんし長いし、よそでスレ立てて書いてくれないかな

266:本当にあった怖い名無し
08/12/03 12:56:05 RjpXqYVaO
コピペにもならんわ

267:本当にあった怖い名無し
08/12/03 14:58:01 MfL7Gkln0
こんだけ過疎ってもまだケチつけるだけのやつっているんだね

268:本当にあった怖い名無し
08/12/03 18:33:41 DAXUCXPeO
つ、ツンデレなんかじゃないんだからね!

269:本当にあった怖い名無し
08/12/04 08:55:30 +3XhIje70
いつのまにかwiki更新してらー。乙です

270:本当にあった怖い名無し
08/12/08 19:00:47 Kk4kE3CW0
あげてなんかやらねーよ

271:本当にあった怖い名無し
08/12/09 04:26:03 BEcDubm50
ものすごいハイテンションor半径1M感動シアターモードで書き込んだのが
まとめられると死にたくなる

272:本当にあった怖い名無し
08/12/10 12:31:02 wQOH/LdX0
し、死んじゃダメなんだからね!

273:本当にあった怖い名無し
08/12/10 20:13:14 eD6qL2jfO
悪霊「え~たまには死んでも良いじゃん」
地縛霊「そうだ! そうだ!」
ツンデ霊「え、えっと…」

274:本当にあった怖い名無し
08/12/13 18:25:33 5IouOZuJ0
悪霊「考えてみなよ死んだら今の若いままの姿でユーレイになるんだよ」
地縛霊「そのままずっと一緒にいられる」
ツンデ霊「た、確かに・・・って別にあんな奴と一緒にいたくないんだからね!」

275:本当にあった怖い名無し
08/12/15 20:09:51 rwZfHRfA0
忘年会で、しこたま飲んだ。
帰り道、同僚と別れた俺は一人、駅のホームでふらつきながら電車を待つ。
構内アナウンスが入り、電車の明かりが近づいてくる。
電車に乗り込もうとして前に歩み出た。

『随分とぉぉ飲んでますねえぇぇ』
エコーが掛かった低い声が頭の中で響くと同時に後ろから肩をガシッと掴まれた。
『これじゃぁぁ線路にぅ落ちても文句言えませんねぇぇ』
暗いホームの下から、血まみれの手が這い上がり、足首に掴みかかる。
そしてそのまま―

電車がホームに入ってきた。
複数の手に支えられた俺の体は風圧に揺らぐ事も無い。
俺の前でドアが開き、そして、俺は電車内へ押し込められた。
閉まるドアの向こう側に立っていたのは、駅員の格好をした骸骨だった。

終点まで気絶してました。
飲みすぎには注意です。

276:本当にあった怖い名無し
08/12/19 15:09:31 SZHfkPaNO
ほしゅするわけじゃないんだからねっ!

277:本当にあった怖い名無し
08/12/19 15:28:09 Jtvu/esn0
ありがとう、君のおかげで落ちずに済んだよ。
またお願いしても良いかな?

278:本当にあった怖い名無し
08/12/21 14:57:05 OvlU8MW0O
>>275
某灼眼に出てくるドォォミノォォォォ!の人に見えたwww

279:1/4
08/12/22 00:53:04 wI+/FK8u0

画家志望だった若い頃に暮らしていたぼろアパート。
ただでさえ安普請な造りの上、私の部屋は女の幽霊が出た。

白装束に、長い髪。顔立ちは整っているが、いつも無表情。
色彩の無い半透明な体は膝から下が完全に消えている。
典型的な日本幽霊スタイルの彼女。

幽霊が出てくる場所はいつも決まっていた。
部屋の一角にある押入れ。
襖がじわりじわりと音も無く開いていったかと思うと、
そこから若い女が無表情のまま現れ、部屋の中を徘徊する。

最初は恐ろしかった。
追い回され襲われるとかそういった直接的な干渉は無い。
霊障と言うのか、彼女が現れている間は空気だけではなく体も酷く重く感じ、
誤って彼女と接触した時は、触れた部分を中心に異常な冷たさと痺れに襲われた。
夜中に目覚めた際に、枕元に立つ彼女にじぃっと見下ろされていた時などは、
その後暫くはまともに眠れなかった。

280:2/4
08/12/22 00:54:02 wI+/FK8u0

慣れとは不思議なもの。
彼女の進路と交差しないように注意する以外は、
その存在を極当たり前のものとして受け入れるようになっていた。
時には彼女の姿を速写する事もあった。

彼女が最初に現れる押入れの襖には、人の形をした染みが浮き出ていた。
アパートに入る際に襖は全くの新品に差し替えられていたのだが、
気が付くと彼女の残像のように浮き出ていた。


その日ふと思い立ち、絵の具と筆を手に襖に向かう。
彼女の姿を思い出しながら、彼女の残像に色を乗せていく。

その晩いつものように現れた彼女は、
襖に描かれた色鮮やかな自身の姿を目にすると不思議そうにそれを眺めていた。

次の日からは、彼女は現れなくなった。

一人きりの部屋で過ごす私の心には、何故か虚無感に似た感情が生じていた。
微妙な気持ちのまま、それでも大事にしていた彼女の絵も、一日毎に色を失い、
やがて彼女と同様に、痕も残さず消えてしまった。

彼女の事は、消えぬ痛みとして心に刻み込まれた。
これ以降、女性を描く事が出来なくなった。

281:3/4
08/12/22 00:55:06 wI+/FK8u0

年月を経て、それなりに食べていける程度の絵を描けるようになっていた。
だがある時、不摂生が祟り大病を患い、結果失明すると宣告された。
死よりも目が見えない事に恐怖し、絵を描けない事に絶望した。
入院していた病室を抜け出すと、手探りに屋上まで行く。
外は雨が降っていた。
無意識に自殺を考えていたのだろうが、端に行き着く前に転んでしまった。
そのまま雨に全身を晒し、見えぬ天を仰いでいた。

暗く濁った闇の中に、鮮やかな色が見えた。
目の前に、あの日描いた色彩を伴った彼女が居た。
何時かの様に、黙ったまま私を見下ろす彼女は相変わらずの無表情。
だが、私は再会を心の底から喜んた。
私の望みがわかったのだろうか。
彼女は身を屈めると、私の体を上から下へとなぞるように手を滑らせた。
かつてと同様に、私の体を異常な冷たさと痺れが襲った。
私は黙って瞼を閉じる。
雨とは別の、柔らかく冷たい感触が、微かに頬を掠めた気がした。


結局私は死に切れなかった。
誰かが押した私の部屋のナースコール。
屋上で倒れていた私は、看護師によって発見された。

長期に渡ったものの、治療によって幸いにも失明は免れた。

282:4/4
08/12/22 00:56:39 wI+/FK8u0

今は時々彼女の姿を描く。
けれどその絵は長くは残らない。
あの日、襖に描いたものと同様に、ゆっくりと消えていく。

だからと言って彼女の姿が記憶から消える事は無い。
彼女の姿が己の想像で書き換えられる事も無い。

今、否、多分あの日からずっと。
私は彼女に取り憑かれている。

彼女が愛おしそうに撫でる度に、絵はゆっくりと消え、
そして彼女は鮮やかに色を得る。
何時か本物の肉体を得られるかもしれない。
私のそんな荒唐無稽な夢物語を聞いて以来、彼女は静かに現れる。
例のごとく無表情のまま。
私が描く彼女の姿を、
私が彼女を描く姿を、
すぐ隣で見ている。

283:本当にあった怖い名無し
08/12/22 08:34:22 ZMXidJ4YO
良かった GJ

284:本当にあった怖い名無し
08/12/22 10:05:26 axJI8CD30
>>279
デレ分が足りなくね?

285:5/4
08/12/22 19:30:01 wI+/FK8u0
柔らかな香りに目を覚ます。
カーテンの外は明るい。
首をめぐらせて、香りの源へ顔を向ける。
彼女が枕元で膝を折り、私の顔を覗き込んでいた。

彼女の髪が私の頬をくすぐっている。
真逆。
私は、確かめるために恐る恐る手を伸ばした。
手から逃げるように彼女が身を引く直前に、私の指はその頬に触れた。

怯えた様に揺れる瞳で、彼女は差し伸ばしたままの私の手を眺めていた。
今度は彼女が、恐る恐る細い指を私の手の甲に重ねる。
少しだけ冷たく、柔らかな感触。
彼女の頬が、徐々に紅潮していく。
私は静かに微笑みかけた。


何時かまた、離さなければならなくなるかもしれません。
だから、それまではずっと、手をつないでいて下さい。

私が最後に描いた彼女の絵。
それに何時の間にか、彼女が文を添えていた。
額に納められたその絵の前で、私達はお互いの手を握り直した。
その感触を、存在を確かめる様に。

286:本当にあった怖い名無し
08/12/22 19:37:08 wI+/FK8u0
俺はツンツンが好きなんだ。
デレになる直前が好きなだけだ。
決してデレデレなんて恥ずかしい事公衆の前で発表出来ないつか俺にはそんな力量も想像力も経験も無いから無理
o...rz

287:本当にあった怖い名無し
08/12/22 21:01:27 o2H/i0ez0
o...rz

あんたこれ死んでるんじゃね?w

288:本当にあった怖い名無し
08/12/23 13:36:36 hZAWz5fZO
o..rz

o.. .rz

or. orz

orz orz <これが分裂増殖!!


289:本当にあった怖い名無し
08/12/25 22:43:13 ZFB8ejmzO
『赤字だと騒いでいる癖に随分買い込んで来ましたね』
「クリスマスケーキが見切り処分で激安だったので」
『くりすますとは何です?』
「う…外国の宗教行事、でス」
『此処は何処です?』
「神社です、はい」
『……』
「……えと、ケーキ食べます?」
『勿論です。…買って来た物は仕方ありません。捨てるのは勿体無いですから』
「ではお茶を」
『紅茶ですよ』
「はい」
『…うふふ、ケーキ、ケーキ♪』

290:本当にあった怖い名無し
08/12/28 20:57:34 IELVoD2+0
hosyu

291:本当にあった怖い名無し
08/12/31 05:19:42 aciAmdci0
.

292:本当にあった怖い名無し
09/01/01 13:54:18 0+PAq3S4O
あけましてご愁傷様です

293:!omikuji!dama
09/01/02 00:30:53 kbmCj6iGO
まだ出るのかな?


ツンデ霊みくじ

294:本当にあった怖い名無し
09/01/03 14:37:32 ZA6gFqAL0
二年ぶりくらいにこのスレ見つけた。
ツンデ霊とか懐かしい…

295:本当にあった怖い名無し
09/01/07 07:17:34 9owRqAEIO
あげちゃうよ

296:本当にあった怖い名無し
09/01/08 17:09:41 lMY3j7ULO
>>295


297:本当にあった怖い名無し
09/01/08 23:44:55 Mpo+Tj6g0
    ∧∧
    /⌒ヽ)   
   i三 ∪   
  ~三 |
   (/~∪
   三三
  三三
 三三



298:本当にあった怖い名無し
09/01/11 07:02:13 oN8IhkIT0

秋も大分深まったある日。
午後の授業をサボって校舎裏の日当たり良のお気に入りの場所で昼寝しようとしていた俺の視界を、何かがちらりと掠めた。
見上げると、四階建て校舎の屋上に人影が一つ。
(真逆、な)
なんとなく嫌な予感がして、俺は人影から目を離さずに上体を起こす。
その予感は当たってしまった。
ふわり、と表現出来そうな身軽さで、人影は屋上の縁から宙へ身を躍らせた。
落下地点は丁度俺の転がっている場所。
一瞬の事に俺は逃げる暇も無かった。

風をはらんで捲れたスカートが空を遮る。
「ストライプ」
思わず呟く俺の顔面に、上からまっすぐ落ちてきたスニーカー履きの足の裏が直撃。
尤も痛みも重量も無いまま俺の体を突き抜けていったが。
白く華奢な手がすさまじい勢いでスカートの裾を押さえたおかげで俺の視界は開け、
同時に鬼の形相でこちらを睨む少女と目が合った。

299:本当にあった怖い名無し
09/01/11 07:04:20 oN8IhkIT0

聞いた事はある。
昔、屋上から飛び降りた生徒がいると。
慰霊碑らしき石碑もある。
そこの陰は丁度周囲から死角になるので俺はよく昼寝場所にしていた。
昨日も、そして今日も。

『…またスカート覗きに来たわけ』
「アレは下を碌に確かめずに落ちてきたお前が悪いんだろが」
今日は遮光用の週刊誌を顔に乗せていたので、そいつが何時現れたのかは判らなかった。
寝転がったまま雑誌を持ち上げてみると、人の頭の直ぐ間近―スカートの縁は押さえている―に立ち、
こっちを覗き込んでいる少女が見えた。
「今日も紐無しバンジーしたのか?」
『勘違いしないで。私はね、死を超越した今、あそこから飛び降りて上手に着地する方法を極めているのよ』
「そっちの方が意味不明だろうが」
『ふんっ。あんたには絶対解らないでしょうね』
何故か勝ち誇ったような笑みを浮かべるそいつは放っといて、昼寝を続行する事にした。
五月蝿いとは思うが、でもまあ、多分俺は明日もここで昼寝するんだろう。

300:本当にあった怖い名無し
09/01/11 07:05:11 oN8IhkIT0

お互いに何を話すわけじゃない。
アイツの事を知りたいとも、俺の事を教えたいとも思わない。
基本は昼休み、時々追い込みかかった高校受験用の退屈な授業を抜け出して、あの場所で昼寝する。
偶にアイツが屋上から飛び降りる所を運悪く目撃して、パンツを見たと罵られる。
そんなくだらない生活。

変化があったのは、11月に入った頃か。
日々寒くなる一方だが俺はいつもの場所に腰をすえていた。
『…用意がいいわね』
「当たり前だ」
銀マットとブランケットを広げている俺に、アイツは呆れた表情を見せた。
だが急に、その表情が険しくなった。キッと顔を天に向ける。
俺も釣られて上を見た。
人影が、屋上に消えるのが見えた。
その日から、アイツは俺の前に現れなくなった。

301:本当にあった怖い名無し
09/01/11 07:33:15 oN8IhkIT0

屋上通用口は、鍵が掛けられたままになっている。
目的は事故防止。
でも。
鍵は壊れている。
内側からなら、特定の方向に力を入れて少ししつこくガチャガチャやってれば、開く。
知っている奴は少ないが。

噂は聞いている。
学校の怪談って奴か。
曰く、昔生徒が屋上から飛び降り自殺した。
その後同じ場所で立て続けに自殺者が出た。
最初に死んだ生徒が仲間を欲しており、屋上で待ち構えている。
だから今は鍵が掛けれらているのだ―と。
実際屋上に行く生徒はいない。
行くのは俺みたいなバカか、あるいは。

302:本当にあった怖い名無し
09/01/11 07:34:33 oN8IhkIT0

数日後。夕焼けで辺りは真っ赤に染まっている。
昼過ぎから屋上で待機していた俺は、気配を感じて後ろを振り返る。
ガチャガチャと音を立てた後、扉はゆっくりと開いた。
薄暗い校舎内から静かな赤い世界へと踏み込んで来たのは女生徒だ。
確か隣のクラスの西。
学年トップクラスの成績を誇るが地味というか少し暗い印象で、あまりお近づきにはなりたくないタイプ。
「おい」
無表情のそいつは俺の声に全く反応を見せない。
まるでゲームの中のゾンビのように、かくかくとした奇妙な動きで、ゆっくりと前へ足を運ぶ。
「おい、待てよ」
「……」
西はぶつぶつと口の中で何か言っているようだが、はっきりとは聞き取れない。
ただゆっくりと、まっすぐに、屋上の端へ進む。
「西!」
腕を掴んで止めようとした。だが意外な程に強い力で振り払われた。
あと少しで、端に到達する。いや、到達した。
「…いい加減に、しろっ!!」
むかついた俺は、横に回り込み全身全力で西に体当たり。勢い余って俺達は床へ転がった。
『邪魔しないで』
背筋が凍るような声に、顔を上げる。
見覚えのある背中が、つい今まで西がいた場所に代わりに立っていた。
「いや、いや、いや…」
転がったまま西がかすれた声で呟いている。
『後少しだったのに』
屋上の縁に立つその人影は、何のためらいも無く、飛び降りた。
西が、絶叫した。
悲鳴を聞きつけた教師達によって俺達は保護―というか俺は殆ど拘束―された。

303:本当にあった怖い名無し
09/01/11 07:36:21 oN8IhkIT0

西の飛び降り騒動から数日後。
直後から言い渡されていた自宅謹慎を漸く解除され、俺は久しぶりに登校した。
屋上は鍵が付け替えられ、完全に進入禁止になっている。
俺や西についても色々噂が飛び交っているようだが、別にどうと言う事は無い。
それよりも。
「お前さ、もう少しやり方考えろよな」
昼休み、石碑に体をもたれ掛けさせてぼやく俺。
「屋上から無理やり落とすフリして驚かそうとしたんだろうが、アレじゃ悪霊だ」
『いいじゃない、悪霊で』
石碑の向こう側から、冷たく凍った声が返ってきた。
『機会があれば、あんただって殺してあげるわ』
「俺は死なないよ。少なくともお前には殺されない」
『何でそう言い切れるの?』
「お前は悪霊じゃないから」
強い口調で返すと、奴は押し黙ってしまった。
「あと、俺はひ孫の顔を見てから大往生する予定だから。俺人生設計ではそうなっている」
『バーカ』
呆れた様な、笑った様な声を残して、あいつはいつものように消えた。

後日、本人から聞いたのだが、どうやら西は受験ノイローゼだったらしい。
最初に偶然屋上に出た日も、自殺を考えていたものの下を覗くとそこに偶然俺が居て、我に返って慌てて逃げたんだとか。
だがその後も自殺衝動は残っていたらしい。
あの日も『死にたい』と考えていたら、突然頭の中に『屋上のあの場所から飛び降りて死のう』という囁き声が響き、
その後はまるで操られたように屋上へ向かったんだと。
「幽霊って本当に居るんだね」
親や教師と話し合い、志望高校を変更した西は、あっけらかんとした表情で笑って言った。
暗い印象は払拭されている。どうやら本来のコイツは、かしましいに分類される人種らしい。
最近は何故か俺によく構ってくる。

304:本当にあった怖い名無し
09/01/11 07:37:55 oN8IhkIT0

『何してるの?』
「いいだろ別に」
いつもの場所で昼寝をする俺。呆れた顔で姿を現す奴。
いつものだらだらした時間。
『この糞寒い時期にここで昼寝なんて、本物のバカよね』
「俺の勝手だ」
一応使い捨てカイロや毛布で防寒対策しているが、寒いものは寒い。
12月24日。世間ではクリスマスイブ。でも俺には関係ない。
『あんたさ、あの子…確か、西?に告られた?』
「何で知ってんだよ」
『昨日あの子がここに来て、あんたの事、絶対譲らないって啖呵切ってった』
「告られたけど、断った。そんな風に考えた事無かったし」
それに。続けたい言葉は飲み込んだ。
ほんの僅かだけ空いた時間。
それをコイツはどう捉えたのだろうか。
『西ちゃんは絶対デートだって意気込んでたけど、こんな時期に何故か制服着て毎日学校来てるあんた。真逆補習?』
「五月蝿い!」
奴のバカにした笑いを聞きながら、頭から毛布を被った。

305:本当にあった怖い名無し
09/01/11 07:39:10 oN8IhkIT0

卒業式は既に終わり、皆思い思いに過ごしている。
西も俺と何処かへ行こうと言ってきたのだがのらくらと断り、俺はいつもの場所に、いつものように寝転がっていた。

『…何、それ?』
「一般的にセクハラアイテムという」
広げて見せたそれは、ストライプの女性物下着。因みに奴のと同じ柄。
『取り憑いて、それ穿いて、屋上から落としてあげようか』
「是非遠慮させていただこう」
冗談のわからん奴だ。俺は下着をポケットに仕舞う。
『全く、卒業式だって言うのにもうちょっとセンチメンタルになりなさいよね』
奴は口を尖らせて石碑の上に腰掛けた。
「別に、絶対会えなくなる訳じゃないし」
「え」
俺の言葉にきょとんとした顔で振り返る。
「俺人生設計に、お前に関した項目を取り入れてるしな。坊さんとか霊能者になってお前をガッツリ成仏させてやるコース、教師になり帰ってきた俺の素晴らしい指導によってお前が悪霊チックにならなくてもいいコース、それから」
『…とうとうバカは治らなかったか』
「五月蝿い」
深々と溜息をつかれ、ちょっと悔しい俺。最後のコースはちょっと変更。
「それからだな、大往生で死んだ俺がお前を連れて強制成仏コース」
『…出来るつもり?』
ふふんと鼻で笑う奴に、「当然」と俺も無駄に胸を張って返す。
「…取り敢えず明日も学校来るから。最後の入試結果、まだなんで」
『…そう。人生語るより前に卒業式って感じじゃないのねあんたは』
奴の優しい視線から微妙に目を逸らす俺。
見返してやる、そう決意しつつ。

306:本当にあった怖い名無し
09/01/11 07:42:52 oN8IhkIT0

初めて屋上に上がったのは、一年生の初夏の頃。
人付き合いが苦手な俺は、当時休憩時間のたびに逃げ場所を探して校内を彷徨っていた。

ある時屋上に出る扉をいじっていたら偶々開いた。というか、壊したというか。
屋上に出ると、なんとなく近寄りたくない一角がある。
そこから下を覗くと、ぽつんと石碑が佇んでいるのが見えた。
下に降りて確かめる。
そこはいつも喧騒から取り残されているようだった。

屋上の幽霊の噂はそれから少しして聞いた。
幽霊に会いたくて―多分殺されたくて、毎日石碑の側で時間を過ごすようになった。
そして三年目。
呆れる程のんびりした秋の午後の日差しに、死にたいという気持ちがかすんで消えた。
その時初めて、念願の幽霊は現れた。

307:本当にあった怖い名無し
09/01/11 22:33:09 vTsES3hZ0
( ̄(エ) ̄)zzz

308:本当にあった怖い名無し
09/01/12 18:14:22 mmfcr6ZNO
GJ!でもせつね~

309:本当にあった怖い名無し
09/01/12 20:35:00 kfzuz60f0
これで終わり?

ちょっとデレ分が不足です。

310:298-306
09/01/13 09:32:28 quu0LOjr0
ああそっかー。最後の9を、彼女視点で書けばよかったのかー。
と今思いついたけどもういいや。
デレは他の人に任せますw

311:本当にあった怖い名無し
09/01/17 23:58:44 D/49ZAzf0
帰り道からやけに体が重いと思っていたのだが、
家の鏡に映っていたのは、背中にしがみついた幽霊(推定10歳)。

「…あの」
『取り憑いただけなんだからね』
「ああ、そうなんだ」
『そうだよ。誰でも良かったんだけど偶々お兄ちゃんが通りかかったから取り憑いたの。
別に迷子で寂しかったとかお兄ちゃんなら気付いてくれそうだったからとかそんなんじゃないから』
「…そう」

家に居るときは部屋の中を好き勝手に動いているが、
俺が外出する時は必ず、本人曰く『取り憑いているから仕方なく』くっついてくる。
出先で一度はぐれてからは、外では背中とか手にしがみついて離れなくなった。

312:本当にあった怖い名無し
09/01/18 22:35:45 SnAoHjqhO
5か6人目の頃に何作か書いたのも良い思い出。
懐かしついでに保守。

313:本当にあった怖い名無し
09/01/20 22:41:27 T6rosdQB0
>>312
ほしゅになってないんだからね!

314:本当にあった怖い名無し
09/01/20 23:00:51 6+dFnGdG0
>>313
下げても保守になるんだよ
そんなことも知らないの?まったく・・・


べ、別にあんたのことを思って言った訳じゃ・・・
晒し上げに来ただけなんだからね!!

315:本当にあった怖い名無し
09/01/22 03:23:03 bffSgVDKO
>>314


316:本当にあった怖い名無し
09/01/22 20:26:15 OvaQ12el0
ああ言ってるがageてはいない…つまりこれは


317:本当にあった怖い名無し
09/01/25 03:17:50 pj0BCvxjO
ツンデレだな

318:本当にあった怖い名無し
09/01/25 05:53:00 fjtAJbia0
インフルエンザにかかったので幽霊でもいいので介抱して欲しい

319:本当にあった怖い名無し
09/01/26 03:09:19 psUxVwL30
ガッチリ系激マブの俺でよければ

320:本当にあった怖い名無し
09/01/28 05:44:30 B0we/Idw0
>>318
あんたバカだから、風邪なんてすぐ治るでしょ! べ…別に心配な訳じゃないよ!
つ旦【タミフル】

321:本当にあった怖い名無し
09/01/28 18:39:00 pPcJGbjtO
未だに1スレ目の>>1以上のツンデ霊に会ったことが無い。
やはり、どの分野でもパイオニアは偉大だ。

322:318
09/01/30 19:28:37 O/JDntB90
>>319
熱出てた時は本当に頼みたかった…

>>320
ありがとう
君は優しいね

323:本当にあった怖い名無し
09/02/01 13:08:20 YbnAXmxm0


324:1/5
09/02/01 22:13:57 qN0fjnk+0
いつもの通勤路。
その姿は私にしか視えないらしい。
十数年前の最先端の夏ファッションで着飾った彼女。
今日も、誰かを待っている。

一度だけ、彼女に声を掛けたことがある。
去年の今頃。
今考えると何でそんな事を考えたのか不思議でならない。
自分が首に巻いていたマフラーを渡そうと思った。
結果は、まぁ、言うまでもない。
もろ不審者扱いされて、消えられた。
それ以来、彼女とは偶に目が会うものの、あからさまに目をそらされている。


325:2/5
09/02/01 22:14:53 qN0fjnk+0

いつもの通勤路。
酔っ払い同士のつまらない喧嘩に巻き込まれた。
顔面に拳を受けて一瞬意識が飛んだ。

地面に崩れ落ちる際、したたかに背中を打ったせいで意識が回復する。
続けてこちらに殴りかかろうとしていた酔っ払いの後ろに、彼女の姿が見えた。
小さなポシェットを両手で握り締め、振りかざし。
酔っ払いの薄くなった頭めがけて振り下ろした。

勢いあまったせいか、それとも彼女の奮闘が役立ったのか。
バランスを崩した酔っ払いは私が慌てて避けた地面に正面から倒れこんだ。


326:3/5
09/02/01 22:15:38 qN0fjnk+0

いつもの通勤路。
喧嘩のダメージが予想以上に大きく、検査などで休んでいたため久しぶりの通勤だ。
私の片手には、彼女に似合いそうな華やかな花束。
援護してくれたお礼のつもりだった。

けれど、彼女の姿はいつもの場所には無かった。


327:4/5
09/02/01 22:16:48 qN0fjnk+0

ちらちら雪が降っている。
少ししおれた花束を下げて、暗くなった夜道を歩く。
自宅マンションが見えてきた頃。
マンションを見上げる彼女の後姿が見えた。

声を掛けると、勢いよく振り返り、それから怒ったようにぷうっと頬を膨らませていた。
ちょっとしおれちゃったけど、そう前置きして彼女に花束を渡す。
きょとんとした顔。
ほんの僅かに時間を置いて、その瞳から、ぽろぽろ涙が零れ落ちた。
彼女は焦ったように涙を拭くが、ぜんぜん追いつかないようだ。
私がポケットのハンカチを探っている間に、いつのまにか、姿を消した。


328:5/5
09/02/01 22:18:43 qN0fjnk+0

いつもの通勤路。
彼女が姿を消して2ヶ月。季節は春になっていた。

懐かしさを感じさせる後姿に、足が止まった。
あの場所に、大学生くらいの女の子が立っていた。
視線を感じたのだろう、振り返った女の子と目があった。
顔立ちは明らかに違う、けれど何故か彼女を思い出させる女の子。
不思議そうな顔をして、あからさまに視線をさ迷わせ。
それから再びこちらに向き直ると、まっすぐ近づいてきた。

数年前から不思議な夢を見るようになったという。
夏の知らない街角で、誰かを待つ夢。
そのうちに、季節外れの格好の男が出て来るようになったらしい。
夢の中の彼女は、いつしかその妙な男に会うのを心待ちにしていたそうだ。

予知夢とか、デジャ・ヴュって、本当にあるんですね。
彼女の不思議そうな、でも嬉しそうなその言葉に、私も微笑って頷いた。

329:本当にあった怖い名無し
09/02/01 22:29:27 mkoRPHiq0
ちょっとデレ分が不足です。

330:本当にあった怖い名無し
09/02/02 19:10:11 +KnDr15YO
何となく引き込まれる話だった

331:本当にあった怖い名無し
09/02/03 14:22:06 m2QymBbkO
お前らのせいでツンデ霊が頭にずっと浮かんで入試試験が手につかなかったじゃねぇか。どうすんだよ。

べ、別に気に入ったわけじゃないんやけんね!!

332:本当にあった怖い名無し
09/02/03 21:40:37 0jo6cR0n0
>>331
広島人?

333:本当にあった怖い名無し
09/02/04 02:43:00 a1V7A4j+O
>>333

334:本当にあった怖い名無し
09/02/06 09:07:28 cj57XnFNO
書き込んだのはIDテストなんだから!
け・・・決して保守なんかじゃないんだから!

335:本当にあった怖い名無し
09/02/07 21:16:19 tSnMZ8vW0
近所に祟り石という巨石を祀る神社がある。
ばあちゃんが信心深いほうだったので、俺も前を通るときには挨拶してた。

神社には昔から美人の巫女さんがいる。ただし視える人と視えない人とがいる。
視えても良い事はない。
巫女さんは大体いつも不機嫌だからだ。ついでにすぐに拳も飛んでくる。俺体験済み。

祟り石に悪さすると大怪我をするらしい。
その日は俺が直接悪さしたわけじゃない。
近所の糞ガキがその上から滑り落ちたのを抱きとめたものの、ガキの肘と膝が俺にヒット。俺転倒。その後ガキ逃走。まぁいいけど。

座り込んだまま肘が入った顎をさすってたら、巫女さんに見つかった。
「痛むのか?」
「唾つけときゃ治るよ」
「ふむ」
巫女さんは急にしゃがみこむと、わっしと俺の頭を掴んだ。
条件反射で何されるのかガクブルな俺だったが、気が付くと柔らかな唇が俺の顎に触れていた。
「他に痛む所は?」
「ななななないです」
本当は鳩尾とか腰とか後頭部も痛いです。
「今回だけの特別じゃぞ?」
唇に人差し指を添えて、悪戯っぽい微笑みを浮かべる巫女さん。
顎の痛みは消えていた。

数年後、神職として戻ってきた俺を「誰?」みたいな顔で迎えてくれたときはショックだったが。
相変わらず怒らせると恐ろしいが。
「なんじゃ、今日も子供の相手か」
「ボロ神社だから秘密基地扱いされてるからなー。いいんだけどさ」
「ふふ、だが御主が来てからは私も随分と楽をさせてもらっておるぞ」
そう言いながら、隣に腰掛けた巫女さんが肩に頭を預けてきた。
彼女の笑顔が得られるならどんな苦労もいとわない。

336:本当にあった怖い名無し
09/02/07 23:37:42 tSnMZ8vW0
昔々、山の神だった俺様を祓おうとした人間がいた。
血を絶やし恨みを晴らすべく奴に取り憑いた俺様。
それから数百年経ったとある昼下がり。


「わんたん」
『誰がじゃ』
凄んで見せるがいつも喜ぶ幼児。
『俺様は取り憑いとるんだぞ!?祟っとるんだぞ!?』
「ああ、そうだったねー」
けーたいでんわ片手にまったり空気の母親。コラ俺様を撮るな!魂が吸い取られるだろうが!!
「こないだTVでやってたドッグフード買って来たよー」
『だから俺様を犬扱いするなと』
「今開けるねー」
『……ううう』

末代のこの男。
隔世遺伝か霊力が非常に強い割には制御がまるでなってない。生まれる前から他の悪霊妖魔に狙われる。
何で俺様がコイツを護っいや別に護っている訳じゃなく俺様が散々恐怖と屈辱を与えた上で殺さねば意味が無いから他の奴等を追い払っているだけであって(ry

「美味しい?」
『…まあまあ。偶になら喰ってやらんことも無い』


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