12/03/05 21:15:20.72
欧州連合(EU)の欧州委員会は5日、上場企業などに一定以上の女性役員登用を義務づける
法案の検討に入ると発表した。役員の3~4割を女性に割り当てる仕組みで、企業の自助努力
だけでは不十分と判断した。5月下旬までEU企業、市民らの意見を聴取、年後半に法整備を
最終判断する。
欧州委員会によると、大卒者の6割は女性。一方、今年1月時点で欧州の上場企業の女性役員の
割合は13.7%。レディング欧州副委員長(司法・基本権・市民権担当)はこの割合を2015年までに
30%、20年までに40%に引き上げるよう求めてきたが、「企業の自主規制では満足のいく結果は
得られなかった」と法整備が必要との見解を示した。
女性役員の登用を義務づける仕組みは割当制(クオータ制)と呼ばれ、ベルギー、フランス、
イタリア、オランダ、スペインで導入済み。デンマーク、フィンランド、ギリシャ、オーストリア、
スロベニアでは国営企業に限って導入された。
欧州委員会が検討するのは、EU加盟27カ国の上場企業などを対象にした割当制の導入だ。
現状のままだと、域内の国境を越えて活動する欧州企業は国ごとに異なる対応をしなければ
ならず、欧州委はEU全域を対象にした制度が必要との判断に傾いた。
欧州委によると、女性役員の登用に積極的な企業ほど収益力が高いとの複数の調査結果がある。
EU市民を対象にした世論調査では、約75%が割当制に賛成で、約49%が違反時の制裁金導入が
女性役員登用拡大に効果があると回答している。
EU加盟国のうち、上場企業の女性役員の割合が高いのはフィンランド(27.1%)、ラトビア
(25.9%)、スウェーデン(25.2%)など北部欧州が際立つ。一方、マルタ(3.0%)、キプロス
(4.4%)などでは低く、域内格差が大きい。
いまのところ女性役員の登用を義務づける仕組みは欧州が日米よりも先行している。ただ、こうした
動きが欧州全域で広がれば、日本企業も直接・間接の影響を受けるのは確実。日本の国内主要企業の
女性役員比率は1%未満で、先進国では異例の低さにとどまる。
◎URLリンク(www.nikkei.com)