16/05/26 22:33:09.43
>>1より
■次々頓挫する中国プロジェクト
中南米ではベネズエラ以外でも、中国関係の鉄道プロジェクトが次々と頓挫している。
コロンビアでは2011年、サントス大統領が太平洋とカリブ海を結ぶ鉄道計画を明らかにした。
5年たつが進展の気配はなく、CNNは今年2月、コロンビアの経済省が取材に応じないと報じた。
中米ホンジュラスでも13年、中国資本による太平洋とカリブ海をつなぐ鉄道計画が公表されたが、それっきりだ。
メキシコでは14年、中国中心の企業連合が全長210キロの高速鉄道建設工事を落札したが、
突然キャンセルされた。その後に財政難などからメキシコは昨年、計画自体の無期限延期を発表した。
中国の李克強首相は昨年5月、ブラジルとペルーを訪れ、大陸横断鉄道の検討開始で合意した。
アマゾンやアンデス山脈を貫く総延長5300キロ。ブラジルの農産品などを運び、太平洋岸から
積み出せるようにするという壮大な計画だ。
しかし、実現性には多くの疑問符がつく。
ニューヨーク・タイムズ紙は昨年10月、ブラジルの大豆生産業界幹部が「中国は金もノウハウも
あるだろうが、問題はブラジル政府だ。アンデスの峰を越えるより難しい」と述べ、非効率な政府を
全く信頼していないと伝えた。外国人雇用に厳しいブラジルの法律が、自国の労働者を大量に入れる
中国方式と相いれないといった問題もあるという。
ルセフ大統領が弾劾裁判で職務停止となり、逆風に追い打ちをかける。
構想を推進してきた中道左派政権が退き、中道右派のテメル大統領代行に引き継がれた。強力な推進役はない。
■深入りしすぎた中国
鉄道ではないが、香港企業が2014年末に着工した太平洋とカリブ海をつなぐニカラグア運河も停滞している。
15年11月に16年末までの工事延期が発表され、CNNは「着工に至るのか専門家は疑いのまなざしを向ける」と伝えた。
中国が鉄道などの事業に取り組む背後には、パナマ運河を避け米国に影響されない輸送ルートを確保する思惑がある。
また中南米諸国との関係強化は、アジアで対中包囲網を築く米国への牽制にもなってきた。
しかし昨年、キューバが54年ぶりに米国と国交を回復し、11月にはアルゼンチンで12年続いた反米左派政権が倒れた。
中南米の政治的な風向きは変わった。経済悪化も加わり、中国はこれまでの深入りがアダとなる事態に直面している。
今年のインフレ率が700%を超すとも予測されるベネズエラとの関係は深刻だ。鉄道以外にも住宅建設など
政治的な動機に基づく事業に多額の金をつぎ込んできたからだ。中国はいまや、融資焦げ付きを防ぐための
融資をする状態に陥っているとの指摘もある。
両国関係に詳しいボストン大学のケビン・ギャラハー教授はAP通信に「内部崩壊するベネズエラ経済に
中国の憂慮は募り、もはやパニック状態だ」と指摘している。(了)