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★【私説・論説室から】憲法は日本人だけのものか
2015年9月7日
「戦争のできる国」へと憲法を変質させる安保関連法案の廃案を求め、
群衆が国会前を埋め尽くした八月三十日。人垣の中に民族差別に反対する
市民団体「のりこえねっと」の共同代表、辛淑玉さんの姿があった。
両手で掲げた大きなカードにはこう書かれていた。
「日本は、私の故郷です。在日として、人殺し法案に反対します!」
在日コリアンらを標的に「殺せ!」「日本からたたき出せ!」と口汚く
攻撃する人と闘うことと、安保法案に反対することの根っこは同じだと
辛さんは言う。
日本が戦争に加われば、女や子ども、高齢者・障害者ら戦力にならない
人々とともに、在日コリアンら外国人は真っ先に邪魔もの扱いされるだろう。
「互いを殺し尽くすまでやるのが戦争。私たちは祖国からも日本からも殺される」。
辛さんの言葉を思い出す。不戦を誓った憲法には在日の人々の生存もかかっているのだ。
法案に反対する著名人のスピーチに気になる表現を感じたことがある。
その人は「私たち日本人の中に憲法がある」と言った。だが在日の友人はつぶやく。
デモで「日本人」とか「国民」という言葉を聞くと怖くなる、と。
敏感な友人は、何げない言葉にもナショナリズムの芽を感じたのだろう。
言うまでもない。憲法は、多くの権利を在日外国人にも保障する。
日本人だけの宝ではない。日本に生きるすべての人のためにある。 (佐藤直子)
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