15/06/11 13:02:02.14
>>1より
《米国には機能しない日本主敵論》
中国は米国に対しても同様の戦略をとっている。中米には日本軍国主義という共通の敵が存在し、
中米は共闘できると主張している。しかし、現在の米国にとって主敵は米国の覇権を脅かす中国であり、
過去の日本軍国主義ではない。中国の日本軍国主義主敵論は日本に対して効果をあげているが
米国に対しては機能していない。
日中関係では、中国政府が自国を階級闘争を卒業し国民と政府が一体化した民族主義国家として
行動するのに対して、日本の左派は日本を「市民対政府」という疑似階級闘争が進行中の国家で
あると見做している。日中対立は、一体化した中国と分裂した日本の対立という構造になっている。
この点が中国の対日世論戦(心理戦)が有効に機能するポイントである。
ただし、表面的には階級闘争のない民族主義国家である中国が、階級闘争があり民族主義が弱い
日本に世論戦を仕掛ける形になっている。しかし、日中両国の基本構造を見れば、日本は中流
意識を持つ国民が多く階級矛盾の少ない国であり、自然災害その他で社会が不安定になっても、
低所得者層による暴動が発生せず、きっかけがあれば一致団結する民族主義を内に秘めた国家である。
一方、中国では豊かな共産党員と貧しい労働者の格差が拡大して階級闘争の圧力が高くなっており、
漢民族と少数民族間の矛盾も拡大して大漢民族主義は不安定である。表面的な日中間の前提が
突然逆転する可能性も視野に入れておかなければならない。(むらい ともひで)