23/07/15 17:43:56.91 vskapC7b.net
上で定義された作用により$F=V/\mathbb{Z}^2$であり$A\in SL(2,\mathbb{Z})$であるから、$A$は$V$に作用するだけでなく、$F$の自己同型$\sigma_A$を誘導する。$\sigma$としてこの$\sigma_A$をとれば上の$\hat{\Omega}$はSteinでない。$F$をファイバーにもつ$\mathbb{C}^*$上の非Stein束の構成も同様である。この議論は面白いが、定理1の主要な主張である完備K\"ahler性とは関係がないから、詳細は[C-L]に譲る。
ちなみに、座標$(v_1,v_2)$を用いれば、$A$により$(v_1,v_2)=(e^{2i\pi(z_1+z_2)},e^{2i\pi z_2})$が$(e^{2i\pi(2z_1+z_2+z_1+z_2)},e^{2i\pi(z_1+z_2)})=(v_1^3v_2^{-1},v_1)$に対応付けられるので、$\sigma_A$は$\mathbb{C}^*\times\mathbb{C}^*$の自己同型へと拡張される。よってこれに付随した$\mathbb{C}^*$上の$\mathbb{C}^*\times\mathbb{C}^*$束が定まるが,
$\hat{\Omega}$がSteinではないのでこの束もSteinではない\footnote{Stein多様体内の任意の局所擬凸擬凸領域はSteinである。}。