23/05/30 22:13:44.50 c7ny97ow.net
>>330
つづき
(2)進化心理学による宗教論 社会生物学、進化生物学、脳科学、認知科学、そして進化心理学へと発達してきた人間の研究において、宗教はどのように捉えられるのか、筆者が興味を覚えた主張を紹介していく。
信仰を持とうとする傾向は、人間の心の中の最も複雑で強力な力であって、それは人間の本性(nature)の一部であるが故に、宗教行為は普遍的な社会行動の一つである。
人類の宗教は多様に見えるが、その形態や機能には類似性がみられ、その要因は遺伝子による一定の幅を持つ生物学的規制と環境との双方による規制の下で、聖職者、広くは信仰者が選択する文化的形態のバラツキによるものであるということになろう。
P273
④ニコラス・ウェイド『宗教を生み出す本能―進化論から見たヒトと信仰―』(2010, 邦訳2011年)
要旨は、宗教行動は人間の本能に根ざし、人類の進化に重要な役割を果たした。宗教を実践する集団は生存上有利だったため、宗教行動は少なくとも5万年前、おそらくはもっと早い時期に私たちの神経回路に書き込まれた。宗教行動は共通の価値と感情を伝えるシステムであり、このシステムを効果的にする遺伝的変異は、自然淘汰によって強化されてきた。その淘汰(選択)は個人淘汰だけでなく、集団淘汰としても働くとして、ウィルソンの説に依拠している。
(引用終り)
以上