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便宜的な時代区分として今日もっとも広く使われ
ているのは,古代・中世・現代(近代)という三時代
区分であるようにみえる。それは16世紀ヨーロッ
パのルネサンス運動の中で,この運動の指導者
たちが,これから出発すべき新しい時代を〈現
代〉,これに改新の手段を与える模範とすべきギ
リシア・ローマの古典古代文明を生んだ時代を
〈古代〉,その中間のキリスト教中心の時代を〈中
世〉ととらえたことに由来する。なおこの区分は,ド
イツの学者ケラリウス Christophus Cellarius
(1638‐1707)がその著作に用いてから一般化した
とされる。それは,古代と現代(近代)を重視する一
方,中世を過渡的で克服すべき時代とみるなど,
ヨーロッパ市民階級の台頭過程における彼らの自
己認識の表現として生み出されたものであった
が,世界史の時代区分だけでなく,各民族史にも
適用されうる便利なものであったため,その根底
にある価値観を離れて,文明化したすべての民族
の歴史の時代区分として使われるようになった。
しかしこの時代区分は,古代・中世・現代(近代)の
境界をどこにおくかについて意見の相違があり,
そしてこの相違は再び何をもって時代区分の原理
とするかに由来する。なお,この三時代区分を修
正して,中世と現代(近代)の間に〈近世〉を入れる
つづく