10/11/11 10:10:12
休日の昼下がり。
ティファは久々にガロードをモデルとして絵を描いていた。
「動いちゃダメ…!」
「あ、う、はい…」
イーゼルを立て、キャンバスにその姿を描いていく。
椅子に掛けて落ち着かなさげにもじもじとしている彼を見てティファは優しく微笑む。
視線が合うとガロードもはにかみながら微笑み返す。
「何か照れくさいな…」
「ふふっ…ガマンして、もう少しだから」
しばらく、画布に描く音だけが部屋に響き、やがて止まる。
「出来た?」
「うん…」
白い画面に木炭で描かれたガロードは凛々しく男らしい。
「ヘヘ…ちょっと割り増して描いてくれたんだな」
照れくさそうに鼻をかきながら笑う。
「違うわ、見たとおりよ」
頬を染めたティファに釣られますます照れくさそうに、でも頬が緩む。
「…それは、どうも」
「ふふふ…」
「しかし…いつも思うけどすごいな、こういうのさっと描けるんだもんな」
「そんなことない……そうだわ」
ティファはもう一枚新しいキャンバスを取り出すとガロードに差し出す。
「はい」
「え?」
勢いで受け取った真っ白なそれと、ティファの顔を見比べるガロードににっこり笑って、言った。
「あなたも描いてみて」
「ええ!?…む、無理だよ、俺、絵を描いたことなんてないし!!」
「たまには気分転換になるかなって思って…」
「そりゃ、まあ…」
「…だめ?」
上目使いに見ると、ガロードは困り顔で頭を掻いた。
「…わかった、やってみる。でもヘタクソだぞ?」